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Act.8-354 園遊会の終わりと戦後処理。 scene.6

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア>


 ラインヴェルドも秘密通路に消え、アルベルトも戻っていったタイミングで、ボクも本日の業務を再開することにした。

 パパッと書類仕事を済ませ、プリムラの部屋に向かいシェルロッタと交代して身の回りのお世話を……と思って部屋を出ると、メイナの姿があった。


「ローザ様、先程ヴァルドーナ公子様が真っ青な顔をして飛び出して行かれましたが、大丈夫なのでしょうか?」


「大丈夫よ。しかし、困ったものよね……城内を散策中に道に迷われてしまって王女宮まで入ってしまうなんて。外交問題になったらどうするおつもりなのかしら?」


 まあ、外交問題も何も既に国は滅んで後はどうやってパイを切り分けるかという話になっているんだけどねぇ。それを、メイナに言っても仕方がないし。

 園遊会後ということで、今日は授業も無し。ああいう騒ぎさえなければ平穏な一日だ……まあ、実は裏でブラックソニア辺境伯名代のデガンド=ガルフォロの処刑が行われ、その身柄を引き受けることになっているんだけどねぇ。


 えぇ、本日の一周目が終わった段階でビオラの仕事よりも先にデガンドの死体を確保。蘇生して、調整を加えて今回は妖艶な色気漂う女性に変えてジェルメーヌの時みたいに長い時間を掛けてゆっくりと女に落としていった。

 ……最初の方は自分の色気漂う見た目に酔ってしまってリアルナルキッソス状態というか、大変なことになっていたけど、うん……これは同性でも惚れるくらいヤバい……エロい。


 名前はアフロディーテ=ナルシス、デガンド=ガルフォロの面影は欠片も残っていないし、彼女からの要望で作った特殊な記憶の飴玉を使うことで少しだけ妖艶に振る舞えるようになっているけど、デガンドの記憶を引き継いでいるし自我もしっかりと彼のもの……内面までは流石に大きく弄ってはいないよ。


 アフロディーテの調きょ……女性化が完了したところで、いつもの業務へ。

 まずはビオラ商会合同会社の本社で書類仕事をして、それから各部署を巡る。続いて領地へ――。


 ちなみに各領地には領主代官の役割を兼任する分社長が置かれ、ドゥンケルヴァルト分社長にルイス=サヴォーノ、ライヘンバッハ分社長に藍晶、ザール分社長にドゥンケルヴァルト出身でルイスの右腕のアーソニー=カリッシュ、ウォルザッハ分社長にビオラ商会時代にモレッティに雇われた元秘書のソーニャ=コットンス女史、インヴェルザード分社長にマラキア共和国時代から文官の仕事をしていたビオラ=マラキア商主国筆頭官僚のバリトン=ルキソフォン、ジードラバイル分社長に緑霊の森の出身で多種族同盟加入とほぼ同時期にビオラ商会に入社したイポメーア=ベルドゥジュール女史、ヒューレイツ分社長にドゥンケルヴァルト出身のエンデミュオン=ロックハートがそれぞれ就任し、中間管理職的な役割を果たしてくれている……藍晶は建築部門統括長との兼任だから別の人――元融資部門所属で、現在は異動を経て領主コンサルタント部門の部門長をしているグレッグ=フォーンルが普段は職務を代行しているんだけどねぇ。ちなみに、ファンデッド子爵領で融資の相談に乗った件の功績を認められての部門長入り、全会一致だったよ。


 領地も巡ってそれぞれの困りごとを聞きつつ仕事を手伝い、その日の業務は終了。

 そして、次の日……今日はエルヴィーラとの面会の日だ。それから、クレセントムーン聖皇国のための布石となる天上の黒百合聖女神聖法神聖教会の設立のために各宗教団体の代表の方々にも集まってもらうことになっている……こっちは二周目の午後からだけどねぇ。


 と、そんな感じで午前中は特に用事もなく過ごせるかな? と思っていたら、朝から召集です。内容は園遊会の反省会と慰労会。本当は午後からやる予定だったらしいけど、ボクが午後にエルヴィーラとの面会を設定したから午前に移動することになったらしい……気を遣わせてしまってすみません。


「先日の園遊会、皆よく働きました。打ち合わせの時点で避難誘導の準備がしっかりとされていたとはいえ、混乱なく当日の避難が死亡者も怪我人もなく無事に行えたこととても喜ばしいことだと思います。王妃殿下も今回の皆の活躍をとてもお喜びになられていました……国王陛下は『いくらデッドコピーとはいえ超越者(プレイヤー)が相手だからもう少し楽しめると期待していたんだけどなぁ……』とかなんとか不満そうに仰っておりましたが」


 まあ、これ普通の王様なら「不測の事態が起こった事は大変残念でお心を痛めておられます」と表現されるところなんだよ? ……勿論、全部ラインヴェルド達の掌の上だったとはいえ。

 ……クソつまんないみたいな表現は普通はダメだよねぇ。戦争っていうものは圧勝してこちら側の被害を極力減らせること以上に良いことはないんだから。


 園遊会の反省会とは言うものの、今回はほとんど慰労会に近い。まあ、そりゃ、カルナ王妃の顔に泥を塗るような形になってしまったものの、実質はシェールグレンド王国が火種を作った訳でカルナに落ち度があった訳ではない……まあ、見逃していたとかそういう意図的なものはあったんだけどねぇ。

 その後の戦争も様々な要因が重なって複合的に連合軍のようなものが攻めてきたというだけ。これもある程度コントロールはしたものの、カルナ王妃の責任はない。


 というか、流石に筆頭侍女も含めた侍女に魔物から園遊会を守れなんて内容の仕事は課せられるべきではないし、本来はお客様が怪我人ゼロというだけでも御の字と言っていいんだよ。


「今回、王女宮筆頭侍女であるローザ=ラピスラズリがリーリエ様と連携して避難のシステムを構築し、率先して魔物撃破に動いてくださったおかげでヴァルドーナ公爵の奥方様を初め、多くの方々の避難に貢献し、結果として死亡者も怪我人もなく無事に避難を完了できたこと、王妃殿下はとてもお喜びくださいました。我が国の侍女は客人を見捨てる事なくその身を挺しお守りする、侍女の鑑たる姿を内外に示したと。……陛下は『俺の親友って凄いだろ?』と何故かとても憎たらしいドヤ顔をしていて殴りたくなる気持ちを抑えるのに必死でしたが」


 「それ、殴っていいですよ」って言いたくなったけど、ここにはボクの正体を知らない外宮筆頭侍女のファレル=メディッシスもいるからねぇ……ここはグッと我慢。


「……ありがたきお言葉です」


 陛下のことは勿論スルー。


「表立っての表彰はできませんし、昨日、褒賞金の件も辞退するとお応え頂きましたので、その件を王妃様に伝えたところ申し訳なさそうにしておられましたよ。まあ、あの件は王妃様以外の方々の目論みが重なったもので、王妃様を被害者だと捉えるリーリエ様や貴女の気持ちも分かりますが。……ただ、王妃様もお伝えした時に相当しょんぼりされていたので、代案の有給九日だけは受け取ってください」


 もう、そこまで言われたら受け取るしかないじゃん。……まあ、遠慮し過ぎても仕方ないし、そっちの方が負担になるならいい塩梅のところで妥協できる折衷案を出すのも大切なことなんだよ。


「……しかし、驚きました。シェルロッタはともかく、あのソフィスもあそこまで戦えるとは。陛下もそれについては本当に驚いていたようでした」


「リーリエ様から今回の戦争での活躍に応じた戦功とそれに対する褒賞に関するメモを賜っております。今回、ソフィス様の戦功は唯一神クラスの討伐・或いは交渉によって仲間に引き込むなど最も貢献した者に贈られる特級戦功、戦争で特に目立った冥黎域の十三使徒クラスの強敵の撃破・或いは交渉によって仲間に引き込むなどして貢献した者に贈られる一級戦功に次ぐ、最もランクの低い二級戦功という扱いですが、これはメアレイズ閣下の判断というものも大きく影響しておりますし、一級戦功、場合によっては特級戦功クラスの活躍もできたのではないかとリーリエ様はお考えのようです。討伐数についてはフォルトナの総隊長よりも上という結果ですし、まず時空騎士(クロノス・マスター)に任命されるほどの活躍はしたと思います。正直、私も驚きの結果でした」


「今回のソフィスの活躍も表彰に値するものです。表立ってとはいきませんが、その他貢献した騎士達などと共に褒賞金を出す予定ではいるようですが、貴女が受け取らなければ彼女も頑なに受け取りそうにないですね」


 ……そう言われると、何とも返せないんですが。まあ、ソフィスなら絶対に渋りそうだよねぇ、気持ちは分からない訳ではないから辛いところだけど。……じゃあ、カルナの褒賞を受けるべきかというと、今回の件の責任はボクにあるんだし、難しいところだよねぇ。


「それとは別に聞いておきたいことがあります。エルヴィーラについてです。……彼女は騎士団によって取り調べのため勾留されていますが怪我もなく、元気です。反抗的な態度も見られましたから勾留は少々長引くかもしれません。……そのエルヴィーラをブラックソニア辺境伯名代のデガンド=ガルフォロと共に捕らえたのは他ならぬ貴女です。その処遇を陛下は貴女とリーリエ様に一任したいと仰っています」


 外宮筆頭が何とも言えない表情を見せた……申し訳ないという気持ちもあるんだろうけど、それ以上にボクの一言で彼女の処遇が決まってしまうことを恐れているようだった。


「そうですねぇ……これは、近衛騎士のエディル様にもその場でお伝えしたことにはなるのですが、選択肢は三つあると思います。これは私ではなくエルヴィーラさんが選ぶものです。一、王城で侍女として働き続ける。二、辺境に帰る。三、新天地を探す……三つ目を選ぶ場合はリーリエ様が対応してくださるそうなので問題はないのですが、問題は二を選んだ場合ですね。彼女の故郷はスティーリアの怒りを買って実質滅んでしまった状況です。といっても、被害は領主館周辺の猛吹雪及び、領主を含む今回の件に関わった者全ての死亡というそれだけですが。ブラックソニア辺境伯領は、今後、旧シェールグレンド王国を取り込む形でクレセントムーン聖皇国になる予定だそうなので、クレセントムーン聖皇国は新天地に行くという選択肢も故郷に戻るという選択肢も含んでいますね。まあ、それ以外にも選択肢はあるようですが。ただ、このまま働き続けるのは茨の道だということは明らかです。まあ、どうしてもというなら止めませんが」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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