表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
781/1360

Act.8-353 園遊会の終わりと戦後処理。 scene.5

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア>


「報告ありがとう。さて、分かってもらえたかな? これがブライトネス王国とラピスラズリ公爵家、そしてボクに喧嘩を売ったものの末路だよ。……もっとも今回の件は主に君のボクに対する態度に苛立ちを覚えたスティーリアが半ば私怨を晴らすように行ったことなんだけど。……で? ボクを愛人にするんだっけ? 最早、大臣の息子でもない、何の権力も持たない亡国の生き残り風情が? 笑わせるんじゃないよ」


『……圓様、私にこいつを殺す許可を頂けませんか?』


「気持ちは痛いほど分かるし、是非そうしてもらいたい……と言いたいところなんだけど、まあ、アルベルトの弟弟子だし、目の前で殺されたら寝覚めも悪いでしょう。とりあえず、今回だけは見逃してあげて」


『承知致しました。……ギルデロイ、圓様の慈悲に感謝しなさい。貴方の行った無礼は本来万死に値するものです』


「……くっ……すまなかった」


 まあ、流石に自分の発言が結果としてこの惨状を生んだ、その意味を理解できたんだろう……ってか、できなかったら本当にどうしようもないやべぇ奴ということになるんだけど。


「……ちなみに、アルベルトはまだ可能性があるけど、君の場合は……そうだねぇ、ボク好みの可愛らしい、或いは妖艶な美しい女性へと身体は変えて、記憶と精神を弄って、ボク好みの完璧な女性になれば考えてあげてもいいんだけど」


「それって、つまりギルデロイ要素ゼロということではありませんか?」


「……そうだけど? 何でボクがこんな脳筋のことを恋人にしなければいけないの? 吐き気がするんだけど」


 もうやめて! とっくにギルデロイのライフはゼロよ!! と空耳が聞こえた気がしたけど、空耳だから聞き流した。


「まあ、非常に残念なことにギルデロイはブライトネス王国で軟禁されているということになっている。殺したくても実際、殺すと処理が面倒でねぇ、まあ、大臣夫妻とあの妾のメイドについては生存ルートってことになる。ただ、王国そのものが滅んじゃったからねぇ、大臣で居続けることは無理かな? 一応、王家の血を継いでいるからヴァルドーナ大臣家に王族となってもらいつつ、傀儡政権にするパターンか、別の人に統治をさせるか、その辺りは決まっていないけどねぇ、まあ、その辺りはラインヴェルド陛下と相談かな?」


 後者ならギルデロイ達の地位は保証されないし、平民落ちする可能性もある訳だから戦々恐々だろうけど、ボクにとっては特に興味もない話なので。


「それじゃあ、そろそろ戻ろっか? スティーリア、申し訳ないけどここで暫く睨みを効かせてもらってもいいかな? ごめんねぇ、戦争後の疲れている時に、早めに処遇は決めるから」


 《蒼穹の門(ディヴァイン・ゲート)》を使ってブライトネス王宮の王女宮筆頭侍女の執務室に転移する。

 「それじゃあ、具体的な処分決まるまで王宮内部で待機するように。万が一騒ぎ起こしたらコンクリートで固めて海底八万キロに放置するからねぇ」と言うと、流石のギルデロイも真っ青になって王女宮を飛び出していった。


「……恐ろしかったですか?」


「……まあ、正直怖くないと言えば嘘になりますが、スティーリア殿の気持ちもよく分かります。大切な人を侮辱されたら、誰だって怒りを覚えます。……私だって、もしそれだけの力を持っていたらあのようなことをしたかもしれません。……ギルデロイの件、私のことを気遣ってくださってありがとうございます」


「あれは極度のバカですが、悪気のないことは存じていますから。この一件で懲りて絡んでくることはないと思いますよ。……しかし、あれではダメでしょうねぇ。名声なんてものは後からついてくるものです。ボクも『剣神』なんて言われてますが、剣の道も道半ば、それ以外も道半ば、ボクだって発展途上なんです。いえ、終わりを決めればそこで終わりかもしれませんが、終わりを決めてしまえばそれ以上の成長は見込めない。……あの戦争は我々が確実に強くなっていることを証明してくれました。確実に強くなっている……でも、ここで終わりという訳ではないんです。切磋琢磨して更に上を目指すことができる。ボクもそれを加速させるために一つの仕掛けを行うつもりです。……個人的には、アルベルト様も時空騎士に選ばれるだけの才能は持っていると思います。後は研鑽ですねぇ、ミリアム様も一から修行し直すと言っているくらいですから先はまだまだ長い。……まあ、必要であればボクも剣の相手くらいにはなりますよ」


「……本当は貴女を守れるくらいになりたいものですが、今の私はそんなことを言える立場ではありませんね。……時間がある時に試合のお相手をお願いしてもよろしいですか?」


「えぇ、喜んで」


 まあ、次期『剣聖』と言われるほどのアルベルトにとっては屈辱的な提案かもしれないけどねぇ。でも、これだけ才能のある人間を野放しにしておくのは勿体無いし。

 さて、そろそろ仕事に戻らせてもらおうかな? とアルベルトに言おうとしたタイミングでゴッと音がして隠し通路の床が開いて中からラインヴェルドが……。


「おっ、アルベルトも居たのか? まあ、丁度いいかもしれねぇな。ローザ、さっきメールをもらったシェールグレンド王国とブラックソニア辺境伯領について方針を決めておきたい。今から時間もらえるか?」


「そうだねぇ、じゃあ個人的に今用意しているプランについて説明しようか?」


「おっ、もう計画立てているのか? 流石は仕事のできる超有能公爵令嬢兼王女宮筆頭侍女!!」


「……煽てても何も出ないよ?」


 こうやって煽てた上で仕事を押し付けてくるタイプだから嫌になっちゃうよねぇ。まあ、スティーリアにゴーサイン出した今回はボクの責任もあるんだけど。



<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・ビオラ=マラキア>


 シェールグレンド王国とブラックソニア辺境伯領が空白地帯になった特殊な地図を取り出してラインヴェルドとアルベルトの前に広げる。


「まず、ヴァルドーナ公爵家は王族と貴族のほとんどが殺害されたシェールグレンド王国の中では最も王に近い位置にいる。王族の血も引いているからねぇ。まあ、ヴァルドーナ公爵家を旧シェールグレンド王国の君主に据えるのが妥当だと考えている。流石にすぐに爵位剥奪、平民になれと言っても難しいし、それで残る反乱分子と結託して反乱でもされたら二度手間になる。そこで、まず、旧王都のルテルヴェと一部地域を統合してヴァルドーナ=ルテルヴェ市国を建国する」


 ルテルヴェを中心に歪んだ円を描く。まあ、こんなところかな?


「それ以外の土地は流石に四度もブライトネス王国に喧嘩を売って返り討ちにされたんだから没収でいいと思う。ブラックソニア辺境伯領も含めてここが空白地帯になるんだけど……新たに辺境伯を置く気ってあるのかな?」


「有能だっていう若い貴族に辺境伯叙勲した結果がこれだからなぁ……お前に統治してもらった方が安心だ。ってことで、この空白地帯でお前に新国家を建国してもらうっていうのがベストだと俺は思う」


「他人事だから勝手なこと言ってくれるねぇ。まあ、それも予測済み。……この地域にクレセントムーン聖皇国というものを建国しようと思っている」


「……クレセントムーン聖皇国ですか?」


 不思議そうにアルベルトが尋ねる。……まあ、どこから三日月(クレセントムーン)が出てきたんだって話だよねぇ。


「三日月に見えない? この地形? まあ、一応ボクが国家の君主にはなるんだけど、統治の方法はビオラ=マラキア商主国とは変えるつもりだよ。まあ、ボクが断っても頂点にされちゃうんだろうけど、そこは諦めて……ビオラ商会合同会社と双璧を成すように天上の黒百合聖女神聖法神聖教会が国家運営の母体となり、政治決定・国家運営はリーリエ……つまり、ボク及びビオラ商会合同会社の八幹部と中庸枢軸教会の五名によって行われることになっている」


「天上の黒百合聖女神聖法神聖教会ってなんだ?」


 ……うん、まあそこからだよねぇ。天上の黒百合聖女神聖法神聖教会について説明していないし、今はまだ誰にも伝えていない構想段階のものだからねぇ、まあ、こればかりは確実に実現させるけど。


「今回の園遊会と戦争でくだらない論争を繰り広げて関係各所に迷惑を掛けていた宗教が三つ……崇められている側としては相当恥ずかしかったんだねぇ。……もう流石に我慢の限界だから天上の薔薇聖女神教団、金色の魔導神姫教、兎人姫ネメシア教、竜皇神教を統合して天上の黒百合聖女神聖法神聖教会にして、元々の四宗教には教派として教会内部だけで論争をしてもらおうと思って。……新たに中庸枢軸教会という最高機関を設定して、各宗派のトップと兼任する天法導皇を束ねる総法導皇に白夜を指名しようと思っている。まあ、暴走するのは天上の薔薇聖女神教団、金色の魔導神姫教、兎人姫ネメシア教……と、後は竜皇神教のミッドレス=ケルファーを含む一部の過激派くらいなんだけどねぇ……」


「まあ、どこかで神と崇めながらお前の意向を丸っ切り無視するあの狂信者共には鉄槌を喰らわせると思っていたが、まさか、教会にまで掌握して睨みを効かせるなんてウケるんだけど。しかも、白夜はビオラ商会合同会社警備部門警備企画課諜報工作局のトップも兼任だろ? ……ますます敵に回したら怖い奴になっていくよなぁ、お前。クソウケるんだけど」


「……絶対に怖いって思ってないよねぇ?」


「そりゃ、お前のことを信頼しているからに決まっているだろ? 親友」


 アルベルトがボクとラインヴェルドの関係を羨ましそうに見ていたけど……別にそんないい関係ではないと思うんだけどねぇ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

 よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)


 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ