Act.8-343 騒乱を呼ぶ園遊会〜ブライトネス王国大戦〜 scene.30
<三人称全知視点>
「Dear my homeland. For my homeland. Allegiance to my homeland. Devote to my homeland. Loyalty to my homeland. 纏う守護剣」
五つのオリジナル身体強化魔法を発動し、一度目で魔力操作によって身体能力の底上げと筋力強化を行い、二度目で自己治癒力と耐久力を上昇させ、三度目で敏捷性を上昇させ、四度目で身体のリミッターを外し、限界を越えた力を出し、五つ目で魔法威力上昇と魔法耐性強化が加わる。
『近衛守護騎士の両装備』に水を纏わせて空歩を駆使して天使に肉薄し、次々と仕留めていくシモン。
「風跳飛蝗」
その相棒であるエアハルトは風を圧縮した床を踏み、蹴ると同時に爆発させてその圧倒的な空気の奔流に乗って敵と距離を詰める風属性魔法と空歩を折り混ぜて上空の天使相手に互角以上の戦いを繰り広げていた。
天使が創り出した光の剣を暴風と武装闘気を纏わせて剣で粉砕し、暴風を纏った剣を天使の胸に突き刺して絶命に追い込むと、次の天使に狙いを定めて再び「風跳飛蝗」を発動する。
そんな動の戦いを繰り広げるエアハルトと対照的なのがカルコスだった。
武装闘気を纏わせた剣を構え、小細工は一切なし。空歩と俊身を駆使して静かに、そして確実に天使達とアザトホートのコケラを淡々と撃破していく。その表情に敵を倒した達成感は一切浮かばず無表情で無心。
目立つことはないものの確実に積み重ねていく姿は、圓やオルパタータダから全幅の信頼を寄せられる真面目な彼らしいものであった。
「フンヌ! 筋肉こそがパワー! パワーこそが力だ!」
と、そんな静かな戦いを繰り広げるカルコスと対照的なのが、圓から最も嫌われているフォルトナの筋肉騎士ドロォウィン。
意味不明な言葉を叫びながら筋肉を誇示し、汗を撒き散らしながら敵を一体撃破してはまた筋肉を誇示するドロォウィン。心なしか天使もドン引きして少しずつ距離を取っているように見える。
いつもストッパーの役割を果たすバチストも、ドロォウィンを物理的に沈める圓もいないので、誰にも手綱の握られていないドロォウィンはやりたい放題の状態になっていた。
天使達と交戦している女性陣にもあからさまに距離を取られているのだが、全くドロォウィンは気づいていないようである。
◆
ファンマンとレオネイドの元騎馬隊の名コンビが戦場の空を駆け抜けながら競うように両者とも武装闘気と覇王の霸気を纏わせた剣で天使達を屠っていく。
「魂魄の霸気《蒼騎士》」
ポラリスが魂魄の霸気を発動し、青い鎧の鎧武者を纏った。巨大な騎士の剣でポラリス特有の刺突型の剣技を放ち、一体ずつ天使を確実に仕留めていく。天使達が光の剣を創り出して応戦するも、武装闘気に守られた《蒼騎士》を突破することはできない。
「無礼者共! ポラリス様に剣を向けるとは! 天罰が降るぞ! 《天罰》!」
ミゲルが魂魄の霸気を使って上空から無数の漆黒の光条を放ち、光の柱を幾重にも顕現してポラリスに攻撃していた天使を抹殺する。
漆黒の光条の正体は光と化した覇王の霸気である。汎用さに欠ける魂魄の霸気で回避することも容易であるが、一度浴びれば覇王の霸気を上回る防御力を持っていない限りは消し飛ばされてしまうほどの威力を持つ。
ヨナタンとジョナサンが枢機司教の討伐に向かい、一人残されたジョゼフが遊ぶように剣を振るって恐ろしいほど鋭い斬撃で次々と天使達を屠っていく。
「花吹雪の太刀」
ブランシュが魔力を花弁型に変化させ、武装闘気を纏った天使に斬撃を浴びせると共に撒き散らせて周囲の天使に放った。
見た目こそ美しい花弁だが、その実態は猛毒である。傷口から侵入すれば、血液を介して身体中を巡り蝕む特殊な毒で天使であっても状態異常回復魔法を使わなければ無力化することはできない。そして、最も恐ろしいのが毒だと認知することが難しいことである。死の間際になってようやく毒に蝕まれているという高い潜伏性を誇り、また攻撃の見た目もただの魔力の花弁にしか見えない。
特殊な毒属性魔法の斬撃を浴びた天使達を放置してブランシュは次の敵を狙うべく動き出す。
天使達は身体が毒に蝕まれていることに気づかないままブランシュを追い、時間経過と共に天使達の体内で毒が巡り、次々と命を落として地上へと落下していく。
結局、毒に侵された天使達は誰一人ブランシュに一撃を浴びせることもできずに命を落としていった。
「龍の魔力、お借り致します! 奥の手――龍宿魔法! 岩地竜の咆哮!!」
『フハハハ! 思う存分使うが良い! 我も本気を出すとしよう! 岩地竜の咆哮!!』
ポーチュラカとポーチヴァがブレスを放って天使達を纏めて撃破していく。
「「「「兎の狩場」」」」
裏の見気である心を凍てつかせることで相手に心を読まれないようにする拒読心、気配を極限まで消すことで自らを希薄にすることで見気を掻い潜る薄隠気で兎人族の有する隠業の技を強化し、更に神速闘気と神境智證通によって敏捷を高めることで素早い戦闘と隠密を可能とする正に兎人族の集大成と呼べる技を使って姿を消したラーフェリア、メラルゥーナ、ヤオゼルド、ガルッテが武装闘気を纏わせた二振りの『霹靂の可変戦鎚』を振るって天使達に気づかれることなく頭をかち割った。
「水晶波濤」
オルフェアの足元から次々と結晶が広がっていき、結晶が剥がれるように次々と先端の尖った小さな柱の連なりのようなものへと成長していく。
武装闘気を纏った小さな水晶の柱はアザトホートのコケラを刺し貫く形で成長し、少しずつ撃破していく。
「信楽狸分身〜オペレーション・オブ・サーレ〜」
二十四体のサーレが出現し、その全てが武装闘気を纏う。
寸分の狂いのない実体のない自分の分身の幻影生み出す狸人族の秘伝妖術「信楽狸分身」を改良した、大量の妖力を練り込むことで実体のある分身を作り上げるサーレのオリジナル妖術により生じた二十四体のサーレは『暴風の撃鎚』を構えると、息の合った連携で一斉に攻撃を天使達に仕掛けた。
天使達は応戦するも、二対一、三対一という不利な状況に対応し切れず、次々と撃破されていく。
「「「「音纏・打音」」」」
ヘルムート、ラミリア、フォッサス、イフィス――四人全員が武装闘気を纏わせた青龍偃月刀にも匹敵する巨大な太刀を構えたヘルムート、ククリナイフを構えたフォッサスが天使達に攻撃を仕掛ける。
独創級の蛇腹剣『相喰む蛇の牙剣』のスキル【喰蛇環】を発動して、蛇腹に変形する刀身の三分の一を切り離して高速回転させて天使達を次々と両断し、細剣を構えたイフィスがに首、心臓、肝臓を狙う刺突技――「三閃刺突華」で確実に天使達を仕留めていく。
「侏儒式暗殺魔忍術・戦輪影分身」
「侏儒式暗殺魔忍術・苦無影分身」
エリッサとアリーチェは空歩駆使して戦場を駆け巡りながら裏の武装闘気で作り出した戦輪と苦無を放つ。
エリッサが放った戦輪は天使の首を次々と切り落とし、アリーチェが投擲した苦無は天使達の心臓を貫いて絶命させた。
「ドヴェルグ流槍術一式 疾風之突」
パーンは『戦槍シュラハト』を構えると体勢を低くして下半身のバネを一気に解放し、突進すると同時に槍に武装闘気を纏わせて渾身の突きを放ち、アザトホートのコケラを粉砕する。
「高速錬成魔法・聖剣。高速錬成魔法・魔剣」
金属性と光属性の複合高速錬成魔法「高速錬成魔法・聖剣」と金属性と闇属性の複合高速錬成魔法「高速錬成魔法・魔剣」で聖剣エヴァンスカリバーと魔剣ジュラルスレイヴを瞬時に錬成したロックスが武装闘気を纏わせた両刀で次々と天使達を討ち取っていく。
「雷撃の天輪」
ヴィクトスは杖先を上空に向け、金色に輝く輪を生み出すと、そこから無数の雷撃の槍を降らせる。流石に一撃で天使を撃破するには至らないが、二撃、三撃と相次いで雷撃を落とし、確実に天使達を撃破していく。
「――海王子の波斬」
ソットマリーノは二振りのサーベルに武装闘気と覇王の霸気を纏わせると、その上から水を纏わせて斬り掛かり、更に生物内の水に干渉して水の内部に衝撃波を伝達させることができる《海握》を使って不可視の衝撃を空気中の水分を伝播させて無数の斬撃を天使の群れに放った。天使達は無数の斬撃を浴びて細切れになって、肉片となって地上に落下していく。
「魂魄の霸気《凍鮫》」
無数の獰猛な氷の鮫を作り出して攻撃するボルティセの《凍鮫》によって生まれた十二体の氷の鮫が猛烈なスピードで空中を泳ぎながら天使の群れに突撃し、天使の頭を確実に噛み砕いた。
「魂魄の霸気《鰐》――炎の殺戮剣!」
武装闘気と覇王の霸気をサーベルに宿し、シャードンが天使達へ次々と炎の斬撃を飛ばす。鰐型の炎の斬撃は天使達を噛み砕くように襲い掛かり、傷口から燃え上がった炎が天使達を焼き尽くした。
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