Act.8-342 騒乱を呼ぶ園遊会〜ブライトネス王国大戦〜 scene.29
<三人称全知視点>
『永劫の虚無』が両の掌からエネルギーを放出して凝縮――「波動砲」を放たれる。
「瞬飛する時空の転移」
ミーフィリアは「最窮極の腕輪」を使って時空魔法を発動し、「波動砲」を丸ごと時空魔法で作り出した専用の時空間に転移させた。
「瞬飛する時空の転移」は専用の時空間を作り出し、専用の時空間を経由して自他の対象を転送するという時空魔法だ。転送できる範囲は認識できている空間に限られるが、時間軸については過去や未来も指定できる。
ただし、過去や未来に転送する場合は追加の魔力を必要とする。
ミーフィリアは過去や未来への転送を行わず、現在地点の『永劫の虚無』の背後に「波動砲」を転送することで『永劫の虚無』に「波動砲」を命中させる。
「……流石にこれだけでは倒し切れないか。カリエンテ殿、スティーリア殿、ラファール殿、琉璃殿、紅羽殿、ここからは一人ずつインターバルを置いて攻撃をしてもらえないだろうか? こういったカウンターが攻撃に含まれているのかを確認したい」
『氷武創造・千の氷剣――《圓様に捧げる殺戮者の一太刀》!!』
まずはスティーリアが『漆黒魔剣ブラッドリリー』と『白光聖剣ベラドンナリリー』を模した剣を創り上げて武装闘気と覇王の霸気を纏わせ、圓への愛で著しく強化された「殺戮者の一太刀」を放つ。
もし、転送による「波動砲」の命中が攻撃と判定されている場合はこれでカウントが七、判定されていない場合はカウントが六ということになる。
『――火竜帝の咆哮!!』
『――暴風竜の咆哮』
少し開けてカリエンテがスティーリアに指示されるままにブレスを放ち、続いてラファールがブレスを放つ。
『これで、九カウントか八カウントですわね。次の攻撃で「虚無砲」が来る可能性がありますわね。……ッ!? 十秒後、火炎放射と吹雪が来ます!』
見気の未来予知でラファールが触手による攻撃を察知してから丁度十秒後、右と左の触手が火炎放射と吹雪を放つ。
勿論、ラファールと同じレベルかそれ以上見気を鍛えているスティーリア達も見通していた未来なので……。
『『竜暴食』』
慌てずカリエンテとスティーリアが捕食し、攻撃の無力化と体力回復と強化を行う。
『――崩滅雷龍咆哮三重連撃!』
そして、琉璃が擬似的に作り出した電子加速器によって数百億~数千兆電子ボルトにまで加速された電子を三つ首から放ち、これで攻撃は通算十発目。
「『波動砲』が来ます」
「やはり、自分の攻撃を浴びる場合は攻撃にカウントされないのか」
『ミーフィリアさん、「瞬飛する時空の転移」は後どれくらい撃てますか?』
「今の自前の魔力量だと五発が限度だな。『最窮極の腕輪』に蓄えられた魔力を使って追加で二発。神水を飲んで魔力を回復させればそれ以上撃つこともできる。……ただ、カウンター戦法で『虚無砲』を撃たせないように戦うとコストが嵩むな。『虚無砲』がどれほど通用するか分からないが、『永劫の虚無』の放った『虚無砲』を転送して浴びせる戦法の方が良いかもしれない。試してみる価値はありそうだな」
『確かに、その方が回数を気にせず攻撃もできるわね。タイミングもギミックが分かっているからコントロールもできる。……そうね、試してみる価値はあると思うわ』
『うむ、では我は十発目の攻撃をさせてもらおう。――火竜帝の咆哮!!』
カリエンテのブレスが『永劫の虚無』に命中――強力な攻撃を何度も浴びている『永劫の虚無』だが、十一撃目を浴びても撃破には至らない。
「『虚無砲』が来ます!」
『永劫の虚無』の口から純白のブレスが放たれた。純白のブレスは十発目の攻撃を放ったカリエンテをこの世から消し去るべく迫る。
「瞬飛する時空の転移」
ミーフィリアはカリエンテに迫る『虚無砲』を専用の時空間へと転送――『永劫の虚無』のお腹から突き上げるように転移先を設定し、解き放った。
『永劫の虚無』の腹部に風穴が空き、飛行する力を失った『永劫の虚無』が地面へと落下する。
残った触手が最後の悪足掻きをするように雷撃と火炎放射を放とうとしたが、それを察知したカリエンテとホネストが放ったブレスと「宝石魔法・黒晶弾」で創り出された究極金属ブラックストーンの弾丸に撃ち抜かれて撃破され、触手の攻撃は不発に終わる。
こうして、『永劫の虚無』との戦いは当初スティーリア達が想定していたほど長期戦になることなく、スティーリア側の完全勝利で終わったのだった。
◆
オーレ=ルゲイエ戦と共に戦闘の規模が拡大したのが天使軍とアザトホートのコケラと戦うグループである。
ヴェモンハルト、スザンナ、レイン、ジルイグス、ホセ、ディーエル、クラップ、モーランジュ、ゼルガド、イスタルティ、デイビッド、ペルミタージュ、クレイン、シモン、エアハルト、ドロォウィン、カルコス、シューベルト、モネ、ファンマン、レオネイド、ポラリス、ミゲル、ジョゼフ、ブランシュ、ポーチュラカ、ポーチヴァ、ラーフェリア、メラルゥーナ、ヤオゼルド、ガルッテ、オルフェア、サーレ、ヘルムート、ラミリア、フォッサス、イフィス、エリッサ、アリーチェ、パーン、ロックス、ヴィクトス、ソットマリーノ、ボルティセ、シャードン、ピトフューイ、稀人神・建速須佐之男命、トネール、ホーリィ、リヴァス、クラリス、エルセリス、ゲリュミュス、ガンティツ、ヴァーナム、イルワ、セリーナ、ダヴィッド、ヴァケラー、ジャンロー、ティルフィ、ハルト、ターニャ、ディルグレン、ダールムント、ジェシカ、レミュア、ラル、ペストーラ、スピネル、チャールズ、ボルトス、カルメナ、エヴァンジェリン、ドミティア、リヒャルダ、ベラトリックス、サトゥルニナ、アピトハニー、藍晶、碧羅、日長、月長、玻璃、紫水、翡翠からなる八十七人、そこにメアレイズとアルティナ、ミリアム、アルベルト、ギルデロイ、ソフィスを含めた九十三人が天から無数に降りてくる天使軍と地上を中心に猛威を振るうアザトホートのコケラと死闘を繰り広げていた。
「「クリムゾン・プロージョン。共振共鳴」」
ヴェモンハルトとスザンナが「共振共鳴」を使って同属性の魔力に対象となる魔法を転写し、四発の体内の血液の液体成分である血漿を気化させる単体魔法が四体ずつ天使を仕留めていく。
「叢雨忍術・篠突く手裏剣」
無数の微細な、刃のような形状の雨が寄せ集まって生まれた水の巨大な手裏剣に武装闘気と神光闘気を纏わせると、レインは次々と天使の群れに向かって放つ。
無数の手裏剣は天使の身体を貫通すると共に巨大な手裏剣に溜め込まれた神光闘気を一気に流し込み、猛烈なエネルギーで心停止に追い込んだ。
「赤熱する閃剣・一刀斬鉄!」
「電光石火の剣」
赤熱化させた刃に武装闘気を纏わせ、俊身を駆使して天使を両断していくジルイグス。
やはりブライトネス王国の最高戦力に数えられるほどの実力者ということもあり、雷の魔力を纏わせた剣を構えたホセが必死で討伐を続けても目に見えるほど討伐数の差が開いていく。
「風獣顕纏・暴風恐鳥-テンペスト-」
ディーエルは自らに風の魔法陣を展開し、暴風の鳥を纏うと、更に武装闘気で暴風の鳥をコーティングした上で神攻闘気、神堅闘気、神速闘気を自身の身に纏わせる。
更に足から風の魔力を流し込んで魔法陣を展開し、武装闘気を纏った暴風の鳥を顕現する。
暴風の鳥を嗾けて「風獣爆裂-マグヌス・ストーム・バースト-」で天使を仕留めながら、自身も暴風の鳥を纏った状態で天使に突撃し、次々と天使達を葬っていく。
「流石はディーエル隊長、私も副官として負けていられませんな」
クラップは剣に武装闘気を纏わせると、空歩を使って空を走り、動きを止めない限り自分にかかる速度を累積して無限に加速し続ける得意の加速魔法「疾風太刀」を駆使して加速しながら次々と天使をすれ違い様に斬りつけて撃破していく。
「サルヴァトーレ流暗殺歩術 影疾蛇執」
姿勢を低くして横薙ぎを回避すると同時に地を這う蛇が如く低い姿勢のままジグザグに移動しながら地上に降りた天使を次々と撃破していくモーランジュ。
「不可視の硝子剣。不可視の硝子弾」
そんなモーランジュの右腕であるゼルガドは目に見えにくい特殊な硝子を魔法で生成し、弾丸として放つと共に、創り出した特殊な硝子の剣で次々と天使の頭を落としていく。
「ジェルエスネ流槍術 三ノ型 嵐刃閃禍」
「旋風の尖槍撃」
イスタルティとデイビッドは空駆ける天馬に騎乗して天使達と交戦していた。
イスタルティは『天津神之金剛宝杵』に暴風を纏わせ、振り下ろすと同時に無数の風の刃を放って天使を両断し、デイビッドは小さな竜巻を槍に纏わせて天使を突くと同時に解放――猛烈な暴風で天使の腹を抉って風穴を空ける。
「イスタルティ達に負けてられないな。蒼焔の馬。蒼焔纏槍」
ペルミタージュは蒼焔の馬を魔法で作り上げてアザトホートのコケラ・ヴェートに嗾けると、自身は槍に蒼焔を纏わせてアザトホートのコケラ・ダレットに突きを放って刺し貫き、焼き尽くす。
「蜈蚣の槍」
クレインは魔力を槍に纏わせて透明な蜈蚣のような無数の節のある長槍を生成し、節を利用した変幻自在の穂先による突きを放ち、次々と天使やアザトホートのコケラを撃破していく。
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それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
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