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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 2. 乙女ゲームにボツ設定を追加すると世界観が崩壊するようです。

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Act.2-5 「比翼の騎士」と活動の開始 scene.4

<一人称視点・アネモネ>


 調子に乗ってやり過ぎた。反省はしていない。


 最初は普通に鉛筆画で済ませようと思ったんだけど、描き出した楽しくなってGペンとかトーンとかも使って結局漫画チックなデザイン画ができてしまった……いや、これでも自重したんだよ?


 まあ、漫画家の職業病といいますか……実は週刊連載とかはしていないんだけど、融資していた『KARAMARU書房』からいくつか漫画を出していたりするんだよねぇ。後、自分で書いたライトノベルの挿絵も描いたり、セルフでコミカライズ、果ては自作ライトノベルのアニメ化の際にアニメの原画とか色指定とか色々なことをまでやったこともあるし……ああ、アニメは『KARAMARU書房』じゃなくて別で融資していた『映報アニメーション株式会社』だけど。


 そもそも、この世界は写本レベルで印刷技術すら存在しない。

 鉛筆も存在していないし、ボクが取り出したレベルの紙も当然存在しないんだから、今ここに存在するデザイン画はそれこそオーパーツみたいなものなんだよねぇ。


「前々から思っていましたけど、姐さんってどこから取り出しているんですか? それに、どう考えても私達の技術よりも遥かに上なものを持ち出しているようにしか見えないんですが」


「まあ、このくらいのものは将来作れるようになってもらいたいですね。ちなみに、この鉛筆は黒鉛と粘土を混ぜて焼いた鉛筆芯と、木材を張り合わせた鉛筆軸から作られた画材で、この紙はパルプから作られますが、その中でも木材パルプと呼ばれるものは針葉樹や広葉樹の繊維を取り出して……」


 ところで、なんで画材の説明をしているんだろう? ……デザイン画の方じゃなくて?? 普通はこっちに注目すると思うんだけど……ボクの感覚がズレているのかな?


「えっと……この姿絵の衣装を実際に作るということですか?」


 そうそう、ラーナの反応みたいなものを求めていたんだよ。

 ちなみにユニフォームはメイド喫茶で見かけるようないわゆるフレンチメイド型に分類されるもので、スカートは膝丈、裾からは二重に重ねられたレースがふわりと広がって足を上手く隠しているので安心安全……この状態から回し蹴りを打ち込んだりしたら話は別だけど、そんなことにはまずならないし。


 イラストには細いリボンで編み上げられた胸元や白い丸襟も描かれている。

 顔のアップは排除して、前と後ろと横の三視点で描かれたイラストを元に実際のものを作るんだけど……。


「ところで、黒系統と白系統の布はありますか?」


「ええっと……確か多少は在庫が残っていたと思いますが、リボンは……」


「ああ、大丈夫ですよ。確か在庫があったはず……」


 本当は現地で調達した方がいいんだろうけど、わざわざ持ってきてもらうと面倒だろうし。

 混沌と化した四次元空間から目当ての黒い布と白い布、レースやリボンなどなど必要なものを取り出すと、一緒に取り出したソーイングセットを使って製作を開始した。まずは見本に一つ。


 しかし、ミシン使わずに手縫いで全部仕上げるのは本当に久しぶりだねぇ。確か、ミシンが壊れてどうしようもなくなった時に何度か手縫いで仕上げたんだけど、意外に綺麗にできるんだってあの時はびっくりしたよ。


 サクッとメイド服擬きを仕上げた。とりあえずは自分の体型に合わせたものを作ってみた……スリーサイズとか聞いていないからぴったりのものは作れないし、目算で作っても無駄になっちゃうし。

 試着室を一部屋借りて、早速完成したメイド服擬きに着替えてみる。装備切り替えをすれば簡単に着られるんだけど、やっぱり色々なことを簡略化し過ぎると人間ダメになるからねぇ。着替えくらいは自分でしないと。


「イメージはこんな感じですが、どうですか?」


 双子の店員と店長が目を輝かせている。ジェーオは何故か鼻血を出して気絶していた……一体全体どういうことなんだろうねぇ?


「とてもお似合いです。本当にこれほど素晴らしいものを私達が着てもよろしいのでしょうか?」


「はい、元々素材が最高な三人ですからきっと私以上に似合うと思いますよ!」


 \\ナイナイ//と首を横に振る三人……本心で言ったんだけどねぇ。まあ、確かにアネモネを含めてMMORPG『Eternal Fairytale On-line』の全キャラは容姿も含めて拘りに拘ったどこに出しても恥ずかしくない娘達だけど(ちなみに男性キャラは作らなかった)。

 でも、ラーナやニーハイム姉妹だって美人さんなんだよ? 三人でウェディングドレス姿とか絶対に似合う! って、今回はウェディングドレスじゃなくてメイド服擬きなんだけど……。


「このデザインでいいのでしたら全員分早速作りますのでサイズを教えていただけないでしょうか?」


 全員の了承が得られたところで早速製作開始。

 さっきと同じ要領で高速手縫いで仕上げて手渡す。

 そして着替えてもらってから合流したんだけど……『ビオラ』に楽園(エンピレオ)が顕現した。


 ああ、眼福♡ 最高♡ 悶え死んじゃいそう♡♡


「大丈夫ですか!? 物凄い蕩けた表情をしていますよ!! それに、性別を飛び越えるんじゃないかって本気で不安に駆られるような目で三人を見ていたけど!!」


「オホホホホホ。いやですわ、どこかのリボンの似合うメイドやラピスラズリ公爵家の最も若いメイドじゃあるまいし」


 ちなみに後半の例えの方は分かったらしく「ああ、よく城下町に買い物に来るラピスラズリ公爵家のアクアちゃんか。そうか、あの視線に似ていたのか!」とうんうん頷いている……解せぬ。ボクは純粋に百合百合しい空間を楽しんでいるだけなんだけどねぇ。


 それから今後販売する商品について五人で相談してからまた明日ということで別れた。

 ……服飾系の店なんだけど、何故か鉛筆とか画材とかも売らないかなって話になったからねぇ。まあ、服飾品を売りながら文房具や家事道具、棚とかまで売っているプチ何でも屋みたいな店もあるけど。


 まあ、その辺りは文具や家事道具、建築系などが得意そうな/興味がありそうな、未だ芽吹かない……でも、援助さえあれば化けるっていう人を見つけて店を用意するって感じかな? いずれは商売の手を広げて……ってことになると前世とはまた違う意味で大所帯になりそうだけど。

 その辺りの見繕いはラーナやジェーオの方でやってくれるらしい……まあ、全てお任せするのは流石に気が引けるし、自分で目利きをした方が楽だから城下町を歩いている間は常に目を光らせておくようにするけど。

 まあ、それは明日以降の話。今日はとりあえず一旦屋敷に戻ろう。体力的には大丈夫なんだけど……ちょっとペルちゃんが上手くやっているか気になるだからねぇ。別にペルちゃんが無能だって思っている訳じゃないんだよ?


『管理者権限・全移動』


 ボクは全移動を発動して屋敷の自室へと転移した。



<三人称全知視点>


「そうか……『ビオラ』の権利書を購入されたか」


「ええ、旦那。あの(アマ)調子に乗りやがって! しかし熟れた体だったなぁ。奴隷に落としたらきっと稼げるだろう。その前に味見をしてえけどなァ」


 チンピラ二人が持ち帰った情報を聞きながら、アンクワールは溜息を吐いた。

 とりあえず、頭の中でこの二人の処分を決定し、次の段階へと思考を動かす。


(…………このまま小娘一人にやられたままというのは癪に触る。とはいえ、この二人如きでは大したことができないだろう。……やはり、ここはプロを使うか?)


「モレッティ……話に出た小娘の情報はあるか?」


 アンクワールはチンピラ二人を部屋から追い出して、ついでに二人の処分を部下に命じてから同席している長年付き合いのある情報屋に尋ねた。


「そうですね……特徴が一致するのは本日冒険者ギルドの扉を斬撃一つで破壊してSSランクとして冒険者登録を行ったアネモネという女……これが最有力でしょう」


「女だから、と侮れば返り討ちに合うか……複数の人間を経由して連中に依頼をすることは可能か?」


「連中……といいますと、極夜の黒狼ですか?」


「ああ……その女は勘も良さそうだからな。こちらが依頼を出したことを悟られないように、複数の人間を経由した方がいい。少し高くつくがな。依頼内容は『可能であれば小娘の捕縛。無理ならば暗殺』、これでいいだろう。どうせ捨て石にしても惜しくはない連中だ。部下でもなんでもないしな」


「畏まりました」


 モレッティは恭しい態度のままその場を後にし――。


「おや? ペチカお嬢様ではありませんか? こんなところでどうしたのですか?」


「……いえ、なんでもありません」


 アンクワールの一人娘と廊下ですれ違った。

 モレッティはペチカに興味がないようで、簡素な礼をするとその場を後にした。もしくは聞き耳を立てていたところで何もできないと考えたのかもしれない。


「……お父様」


 ペチカは自分の父がよくない商売――例えば非合法な裏カジノの経営や悪徳金融のような手法――をしていることをよく存じていた。

 元々はそこまで裕福な家の育ちではなく、だからこそ人一倍金に取り憑かれてしまった父親。

 せめて家族は幸せにしようと頑張ってきた父親が全く笑わなくなり、怖い顔ばかりをしている姿を見ているとペチカは悲しくなってくる。


 今回、父親は一人の女性を毒牙に掛けようとしている。「癪に触った」という身勝手な理由で……これまでは勇気が出なかった。沢山の目の前で行われる悪事を見て見ぬ振りしてきた。

 でも、いつまでもそれではダメなのだ……ペチカは覚悟を決め、屋敷を飛び出す。


「伝えなきゃ……アネモネ、さん? 冒険者ギルドに行けばきっと」


 そして、これがゼルベード商会を大きく揺るがすその序章となるのだが、この時そのことに気づいている者は誰一人としていなかった。


 ――ペチカはただ、「伝えなければ」という衝動に駆られて走った。その頭にゼルベード商会の存亡や自分が伝えた結果、家族がどうなるかということはすっかりなかった。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] \\ナイナイ//と首を横に振る三人…… ナイナイの最初の方がこっちの方にコピペしたときは普通になっていますが文章の方だと¥¥ナイナイ//となっていました。環境の問題できたらすみませんm…
[一言]  Gペンと丸ペンってどう違うの? と聞くと多分怒られる世界。 > 黒鉛  発見されてから3世紀くらい炭素だと気づかれなかった謎物質。鉛とつくけど無鉛の鉛筆。  一説には昔は実際に鉛を使った…
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