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Act.8-341 騒乱を呼ぶ園遊会〜ブライトネス王国大戦〜 scene.28

<一人称視点・リーリエ>


「欅、お疲れ様。梛達も雪菜さんと結城さん達の捕縛お疲れ様。……さて、刻曜黒華。雪菜さんの闇堕ちを解いて欲しいならば『管理者権限』を返還してもらいたい……と言いたいところなんだけど、オルタとかいう『冥黎域の十三使徒』に奪われたんだって?」


「……虫のいい話だとは思っている。だが、それでも雪菜は私の大切な人なんだ。頼む、私がどうなっても構わない……だから、雪菜を救ってくれ」


『圓さん、『管理者権限』を奪われた原因は私達にもあるわ。……ごめんなさい、油断していた。すぐに黒華さんのことはクレールさんが助けてくれたのだけど、オルタの方には逃げられてしまった』


「まあ、仕方ないよ。誰だって失敗することはある。幸い、巻き返しができない訳ではないからねぇ。アポピス=ケイオスカーンを殺せば奪い返すことができる。……気持ちはよく分かったよ。雪菜さんと出会って変わった君と、君の抱いている恋心に免じて救ってあげるよ。その代わり、今後、ボクとは敵対しないこと。分かったねぇ?」


「……えぇ、どの道、唯一神を巡る戦いには興味が無かったもの。魔法の国の支配だってどうでもいい……勿論、Queen of Heartは倒さないといけないとは思うけど」


「まあ、その辺りは要交渉だねぇ。黒の使徒達の中には未だに魔法の国の支配を目指している人達もいるんでしょう? その辺りの説得もしないといけないし……勿論、黒華さんにも説得には参加してもらうよ。そもそも、説明不足だった君にも責任の一旦がある訳だし」


「分かっているわ」


 ボクはその後、「魔皇魔剣・絆縁遡断」を使って雪菜達と『這い寄る混沌の蛇』との関係を断ち切った。その結果、歴史が改編され、雪菜達はビクターの魔蟲に洗脳されて戦わされていたということに辻褄が合わせられたようだ。


「雪菜のこと、救ってくれてありがとう」


「お礼はいいよ」


「わ……私の顔が」


 黒華に抱き締められた雪菜が困惑の表情を浮かべ、雫と綾夏が抱き合い、天音、燕、春海、美姫、火憐、玲華が状況を理解できず困惑している中、瑞穂が叫び声を上げた。

 「強奪の天恵」が取り出されたことで、瑞穂が奪い取った美貌が消滅したからだろうねぇ。


「圓様、私の判断は間違っていたでしょうか?」


「いいや、クレールさんの判断が正しかったと思うよ。ボクもクレールさんにお願いしたいと思っていたことだったし。……瑞穂さん、容姿にコンプレックスを抱いているのはボクも理解している。でも、その天恵の実は誰かを蹴落として、生まれ持ったものを奪って上にのし上がるという力だ。それに、その実の力ではそれ以上のことができる……願えば人の命すら奪い取ることができるその力のために、君って本当はあっさりと殺されちゃうんだよねぇ。……まだ戦争中で仕事がいっぱいなんだけど、先に執刀を行おうか。納得してくれないと思うし。……君が望む姿にボクがしてあげる」


「……ほ、本当に、本当にですか……私、こんな醜い顔のままは嫌なの!」


 瑞穂は声が可愛くスタイルも良いんだけど、容貌が極めて醜悪。……まあ、ボクがそうデザインしたんだけどねぇ。

 更に食べた天恵の実が使い方によっては恐ろしいものであるということに本編でも早々に脱落……まあ、なんというか色々と可哀想な子だよねぇ。


 即席で張った天幕の中に連れていき、『統合アイテムストレージ』から取り出したベッドで寝かせる。施すのはカルロスに施したのと同じ究極調整体アルティメット・ドリーカドモン化。容貌は彼女の美少女バージョンをベースにしつつもボクの思い描く可愛い系美少女の要素をかなり詰め込んだので、レベルとしては世界で通用するレベルの美少女七千人から美貌を全て抽出して取り込んだレベルの美少女になったと思う。……要するに、ゲーム時代の瑞穂の美のピークよりも遥かに可愛い美少女に変身したってことねぇ。ここまで僅か十五分。

 瑞穂が鏡に映った自分を見て「これが……私?」と決まりきった反応をしている。


 ボクは瑞穂をそのまま残し、天幕の外に出た。


「欅さん達はまだ戦闘の終わっていないところに応援に向かってねぇ。黒華さん達については加勢しても良し、この場に留まっても良し。ただ邪魔だけはしないように。ボクは撃破された敵から『管理者権限』を回収する必要があるからこれで失礼するよ」


「……加勢は難しいかもしれないわ。黒の使徒の説得が難しいと思うし……きっと、反対派も大勢いる。私が説得を先延ばしにしてきたことが原因なのだけど。恥ずかしい話、圓さんに協力してもらわないと纏まりそうにないし、もし、この場で離反して敵に回ったら迷惑を掛けてしまうわ。私はここに留まらせてもらうわね。……力になれなくて申し訳ないのだけど」


「まあ、今の黒華さん達じゃ大して戦力にもならないし大丈夫だよ」


「……なんか、もうちょっと言い方あるんじゃないかしら? いえ、事実なのは認めるけど」


 何とも言えない表情になる黒華達を残してボクは枢機司教達が倒れている区画を目指す。

 同時に欅達も戦闘に加勢するためにこの場を離れたようだ。

 残された黒華は少しでもこの場に残された者達に事情を説明するためにこの場に残った天恵の巫女達を自分の近くに集めた。



<三人称全知視点>


 『永劫の虚無』――MMORPG『Fîve worlds On-line』の『唯一神』にして、全てを虚無へと還そうとする意思なき大災害。

 その姿は白い霧のようなものが集合して生まれた巨大なスタイルの良く、かなり際どい格好をした女性だ。羽衣のようなものを纏い、その羽衣を触手のように変化させて操ることができる。


 触手からは雷、暴風雨、竜巻といった天候的な大災害を発生させることが可能で、まさに大災害の具現化とも言うべき力を有する。


 その在り方は台風のような自然災害的であり、全てを無に返そうとしている虚無の意思そのものであるが、意思とは言うもののその性質は本能とさほど変わらないものであるため、確固たる意思を持って行動している訳ではない。

 意外なことに、実体を持つことからダメージを与えることも可能ではあるが、MMORPG『Fîve worlds On-line』の『唯一神』ということもあり、そう簡単には討伐されてはくれないだろう。


 そんな『永劫の虚無』に挑むのはカリエンテ、スティーリア、ラファール、琉璃、紅羽――圓の従魔達、そしてホネストとミーフィリアというブライトネス王国の上位に位置する魔法師達である。


『先程、圓様がアイオーンとの戦いに参戦する前にテレパシーで「永劫の虚無」に関する情報を頂きました。「永劫の虚無」には本体と羽衣が変化した二つの触手があります。触手は「雷禍」、「火禍」、「震禍」、「嵐禍」、「氷禍」という技を使用し、このうちカリエンテ様は「火禍」、ラファール様は「嵐禍」、スティーリア様は「氷禍」を吸収することが可能です。空中戦を仕掛ければ「震禍」は実質無効化できます。問題の「永劫の虚無」の本体ですが、弱点は特に無し、攻撃方法は単体必中魔法攻撃の「審判」、単体物理攻撃の「波動砲」、単体物理追尾攻撃の「追尾式波動砲」、全体物理攻撃の「拡散式波動砲」の四つと、味方側の攻撃が十回に達する度に放ってくる攻撃対象を虚無へと還し、この世から消滅させる単体消滅属性攻撃の「虚無砲」を放ってきます。圓様曰く、「永劫の虚無」は世界を消滅に導く本能だけの存在なので、攻撃パターンに変化はないとお考えのようです』


『琉璃、報告ありがとう。……さて、なかなか厄介な相手のようね。勿論、圓様のご期待に応えるために圓様が戻ってくる前に「永劫の虚無」を討伐しなくてはならないのだけど』


『……あれは危険な存在ですね。この世界を虚無へと帰そうとする意思……そのようなものを放置しては置けません。私も全力で戦わせて頂きます』


『攻撃の回数で発動するギミックがあるそうだから、特にカリエンテさん。勝手な行動は慎んでくださいね』


『な、なんで我を名指しなのじゃ!? ……して、どう戦う? 先に触手を叩くか、本体に攻撃を仕掛けて削るか』


「琉璃殿、圓様は触手の方は本体を倒せば自然に機能を停止するのか、それとも触手は本体を倒しても動くのか、どのように仰っていましたか?」


『正攻法は触手の攻撃を回避、あるいは耐えられるのであれば触手を無視して、本体を攻撃する。攻撃の回数は触手か本体に対する攻撃がなされた場合にカウントされるので、自己強化等にターンを使った場合は加算されないようです』


「ならば、カリエンテ殿の魂魄の霸気の力で強化して全力で本体を叩くということになりそうだな。攻撃力の高いスティーリア殿達に戦闘は任せ、私とホネスト殿はフォローに回るべきか」


「……攻撃回数のことを考えるとあまり私は攻撃しない方が良さそうですね」


 作戦も決まったところで、カリエンテが「《情熱装填》」をスティーリア達に撃ち込んで行く。カリエンテの「《情熱攻勢》」のエネルギーをスティーリア達が一通り受け取ったところで、カリエンテ、スティーリア、ラファール、琉璃、紅羽は一斉に攻撃を開始した。


『――火竜帝の咆哮スカーレット・ヴォルカニック・ブレスロア!!』


『――白氷竜の咆哮ホワイト・ブリザード・ブレスロア!』


『――暴風竜の咆哮テンペスト・ドラゴン・ブレスロア


『――崩滅雷龍咆哮三重連撃トライコラプス・スプライト・ブレスカノン!』


神鳥の翼撃(ゴッドバード)


 カリエンテ、スティーリア、ラファールの三人がブレスを放ち、琉璃は三つ首の水龍へと姿を変え、黄金竜王(ナーガ・ラージャ)としての本領を発揮し、擬似的に作り出した電子加速器によって数百億~数千兆電子(エレクトロン)ボルトにまで加速された電子を三つ首から放ち、紅羽が精霊術法の炎と鳳凰の焔を燃やして巨大な炎の鳥と化し、武装闘気を纏って攻撃を仕掛ける。

 五人の全力の攻撃を浴びた『永劫の虚無』だったが……。


「やはり、そう簡単には勝たせてくれないか」


 全くダメージを受けた様子ではない『永劫の虚無』が両の掌からエネルギーを放出して凝縮――「波動砲」を放った。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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