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Act.8-340 騒乱を呼ぶ園遊会〜ブライトネス王国大戦〜 scene.27

<三人称全知視点>


『『『『『『『魂魄の霸気《昴》』』』』』』』


 欅、梛、樒、椛、槭、楪、櫻は魂絆融体を使って欅に力を収斂すると、魂絆融体した欅は地を蹴って加速――白い柄の薙刀を構えた雪菜に狙いを定め、『星砕ノ木刀』に武装闘気を纏わせて斬り掛かる。


『――なっ!?』


 欅の表情が驚愕に染まる。薙刀を吹き飛ばすつもりで放った斬撃が雪菜に受け止められたのだ。


武装解除(エクスペリ・アームズ)


 何一つ感情の篭っていない平坦な声で呪文を呟いた瞬間、欅が吹き飛ばされ、更に欅の中から梛、樒、椛、槭、楪、櫻が弾き出される。


『……どういうことかしら? お姉様? 圓様は絆を断ち切られて闇堕ちした者達は敵意剥き出しに襲ってくると聞いたのだけど……』


『……明らかにおかしいわよね。欅お姉様、事情は分かりませんが、敵が普通の闇堕ちとは違う状況になっている可能性があります。『武装解除(エクスペリ・アームズ)』を使ってくるということは闘気などの強化は控えた方がいいかもしれません』


『私も梛の意見に賛同するわ。……いずれにしても、あの膂力は人間離れしていたわ。人間には百パーセントの力が出せないようにリミッターが掛かっているというわ。魔法少女になっていくら力が強化されていたとしても、あれは流石におかしい。……もし、何かしらの外的要因でリミッターが外されているとしたら……危険ね』


「ほう、なかなか鋭い魔物ですね。ヒィヤヒャヒョヒャ! いかにも、彼女達は極めて危険な状態だよ。我が魔蟲の力でね」


 白衣を纏った白髪の痩せ過ぎな老人が雪菜の背後から現れた。

 下卑た笑みを浮かべながら表情の抜け落ちた雪菜の身体を下品に愛撫する老人。無抵抗の雪菜の服の中に手を這わせていき、胸を愛撫する。


「素晴らしい力だろう? この魔蟲は! 脳に取り付けことで私の意のままに操れる。十一人、十一人もの小娘が儂、Dr.(ドクトル)F(フォックストロット)のものとなったのだよ!」


『――ッ! 度し難い男だわ! ……許さない、絶対にお前はここで殺す! 殺してやる』


 まさに女の敵であるビクター=フォックストロットを前に怒りを露わにし、斬り掛かる欅。

 しかし、その攻撃は雪菜に受け止められた。


「ヒィヤヒャヒョヒャ! すぐにお前も私のものになる。私だけの愛玩奴隷にね!」


『……そんなこと、させると思っているのかしら? 私は、私達は圓様の義妹よ!』


「ヒィヤヒャヒョヒャ! その圓も私の女となるのだよ! まだ小娘だが、ローザ=ラピスラズリは成長すればきっと良い女になるだろう」


 その瞬間、欅の怒りが頂点に達した。自分が毒牙に掛かることだけは百歩譲っても許せるが、最愛の義姉である圓に手を出すことだけは欅達も許せない。


『悪いわね、搦め手を使わせてもらったわ』


 梛、樒、椛、槭、楪、櫻の六人が地下茎を伸ばして雪菜とビクターの注意が欅に向いている間に雪菜の全身を拘束。根で口を封じたことで呪文を唱えられなくなった。

 武装闘気を纏った根による拘束は例え魔法少女の膂力であっても抜け出すことはできない。


『もう雪菜を使って身を守ることはできないわよ! お前はここで必ず殺す!』


「――ッ!? 結城、雫、綾夏、天音、燕、春海、美姫、火憐、玲華、瑞穂、私を守れッ!!」


『無駄よ!』


 「お菓子の天恵」を使う結城は地面をチョコレートの池に変えるなどのトリッキーな戦法でバルトロメオと戦いを繰り広げた……が、俊身と空歩を駆使した撹乱作戦で「武装解除(エクスペリ・アームズ)」を躱し続け、峰打ちで気絶させることに成功した。

 捕縛班に回った榊と槐によって既に蔓でぐるぐる巻にされていて例え目を覚ましても身動きは取れない状態になっている。


 障壁を展開することができる「守護者の天恵」を持つ雫はクィレルと戦いを繰り広げた。高い格闘能力をリミッターを外すことで更に高め、その上で障壁を駆使して戦う雫相手に苦戦は免れなかったものの、障壁を足場にして空中戦を仕掛けてきた雫に空歩を使って対抗し、高圧縮された透明な魔力を刀身に纏わせ、自在に伸縮させることで攻撃範囲を拡大させる「透明な刃トランスパレント・ブレイド」を駆使して雫を翻弄、最終的に峰打ちで気絶させることに成功した。


 生み出した霧を操り、実体化させることも可能な「夜霧の天恵」を持つ綾夏と対峙したのは椿だった。綾夏は霧を実体化させて攻撃に利用したため、能力本来の柔軟さは発揮されず、椿も比較的簡単に綾夏を気絶させて捕縛することに成功した。


 音響操作の効果を持つ「音響の天恵」を持つ天音と対峙したのは榎だった。不可視の音による攻撃は音属性魔法の使い手との戦いで経験済みということもあって、「武装解除(エクスペリ・アームズ)」と音による攻撃を警戒しながら上手く立ち回りつつ、無傷のまま背後を取って気絶させ、こちらも捕縛することに成功した。


 燕の翼を生やして飛翔することが可能な「飛翔の天恵(モデル:(スワロー))」の力を持つ燕と対峙したのは楸だった。飛翔能力を持つ燕に空歩を使って対抗し、「蔓鞭ノ乱打」で弱らせてから捕縛、飛行力を奪って地上に落下したところで更に一撃浴びせて気絶させた。


 「武器匠の天恵」の力を持つ春海と対峙したのは柊だった。創り出した拳銃を「武器匠の天恵」の力で強化して銃撃してきたが、柊は全て見気で躱しながら接近して腹に一撃浴びせて気絶させてから蔓の鞭を使って縛り上げた。


 極低温を操り、周囲にあるものを冷却し凍らせる「極寒の天恵」の力を持つ美姫と対峙したのはミスルトウだった。極低温の冷却を『神殺しの焔(レーヴァテイン)』の高温で中和し、創り上げた氷上を滑りながらミスルトウへと迫る美姫に次々と致命傷にはならない場所を狙って「風刃空断」の斬撃を飛ばして弱らせ、動きが鈍ったところに調整した『神殺しの焔(レーヴァテイン)』で創り出した紐状の炎を放って拘束する。


 「飛翔の天恵(モデル:鳳凰(フェニックス ))」の力を持つ火憐と対峙したのはエイミーンだった。

 絶えず再生の炎の効果で回復し、灼熱の炎で攻撃することができ、更に飛行することもできる火憐は厄介な相手であったが、エイミーンは「第四防衛術式プリティヴィー・ムドラー」で作った安全地帯に引きこもり、『E・M・A・S(エマーズ)』を使って発動した重力魔法で火憐を地面に叩きつけ、そのまま拘束することでいとも容易く勝利を収めた。

 火憐は必死に拘束を抜け出そうとするも、超重力には逆らえず指一本持ち上げることはできない。魔蟲に支配された火憐は自分の身体を顧みずに拘束を解こうとしたが、やはり拘束から抜け出すことはできなかった。他の天恵の巫女達とは違って意識は刈り取られていないものの無力化されているので戦闘に参加することはできなさそうだ。


 エイミーンは続いて「魔女の天恵」の力を持つ玲華と「強奪の天恵」の力を持つ瑞穂を拘束する。

 「魔女の天恵」の力を使って悪魔をその身に宿して身体能力を底上げした玲華だが、超重力の拘束を抜け出すことはできない。

 一方、瑞穂は超重量の拘束を抜け出すのではなく、エイミーンを殺害することで拘束を解くことにしたようだ。

 美しくなりたいという願いで手に入れた「強奪の天恵」、その力を魔蟲に洗脳された瑞穂は命を奪うという最も忌まわしい方法で発動する。


 刹那――「第四防衛術式プリティヴィー・ムドラー」で守られていたエイミーンが事切れる……が、「最窮極の腕輪フィロソフィカス・ソトホート」に嵌め込まれた「生命の輝石ラピス・フィロソフィカス・セフィロト」の力で息を吹き返した。


魔法の手術室サージカル・オペレーション・ルーム魔法の刃の舞ダンシング・スカルペル・アンピュテート


 そのタイミングでクレール、デルフィーナ、汀、アメジスタ、黒華が参戦する。

 クレールが参戦と同時に「魔法の手術室サージカル・オペレーション・ルーム」を展開して無数のメスで瑞穂を切り刻んだ。


「……だ、大丈夫なのかしら?」


「私は魔法少女である前に医者よ。……大丈夫、『魔法の手術室サージカル・オペレーション・ルーム』の効果さえ消えなければ死ぬことはないわ。――摘出手術(エクスターペイション)


 切り刻まれた瑞穂の体から何かが取り出され、クレールの手の中に完全な形で出現する。

 一つは気持ち悪い小さな蟲――洗脳の力を持つ魔蟲であり、もう一つは瑞穂自身が食した「強奪の天恵」の天恵の実だった。

 クレールは魔蟲を握り潰して殺すと、天恵の実を四次元空間に入れた。


 魔蟲に洗脳されていた瑞穂は魔蟲が摘出された時点で意識を失った。恐らく、長く魔蟲に酷使された反動で意識を失ったのだろう。


『クレールさん、他のみんなもその魔蟲で洗脳されているようだわ』


「分かったわ。――摘出手術(エクスターペイション)


 「魔法の手術室サージカル・オペレーション・ルーム」の範囲を更に拡大し、洗脳に使われた魔蟲を全て摘出する。


「なっ……わ、私の魔蟲が! 貴様ら、絶対に許さん! 全員洗脳して私のものにしてやる! だが、その前に逆らえないように弱らせる必要があるな。何、少し欠損していても私は存分に愛してあげるさ」


『……外道ね。人質は全て奪い返したわ! 次は貴方を殺す番よ!』


「できるものならやってみるが良い! この『這い寄る混沌の蛇』の冥黎域の十三使徒に最も近いというDr.(ドクトル)F(フォックストロット)の本気を見せてやる! 黴ろ黴ろ黴ろ黴ろ! 黴世界(モールド・ワールド)


 ビクターの得意魔法は黴を操作する生物魔法である。自然界には存在しない特殊な食人黴を発生させ、無差別に攻撃すると共に死体を追加起点とすることで更に攻撃範囲を広めていくことができるという本人の性格をそのまま反映したような厄介な力を持つ。

 ビクターは勝利を確信した……が、黴に汚染されたのは雪菜と黒華、そして天恵の巫女達のみ……欅達は全く痛痒に感じた様子もない。


「な、何故だ! 何故私の黴が効かない!?」


『どれほど強力な黴でも太陽の力で死滅させることはできるわ。神光闘気……身体全身に流すと使用者自身もダメージを負ってしまうけど、黴に対する殺菌効果は覿面だったようね。さて、召される準備はできているかしら?』


「ま、待ってくれ! わ、私は『這い寄る混沌の蛇』の冥黎域の十三使徒の候補の一人、当然『這い寄る混沌の蛇』とのパイプも持っている! 私が裏切って『這い寄る混沌の蛇』のスパイとなろう! だ、だから命だけは――」


『『『『『『『……無垢な女の子達を凌辱しようとした外道を、私達が赦すとでも! お義姉様に代わって私達がここで天誅を下すわ!』』』』』』』


 「樹法秘術・木千手掌」を使って万力の如き猛烈な力を持つ無数の木の掌を生み出し、無数の掌に武装闘気と覇王の霸気を纏わせてラッシュを繰り出す。

 タコ殴りにされたビクターが絶命した後もラッシュは続き、最終的にビクターの骸は原型が分からないところまで損壊した状態でゴミのように捨てられた。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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