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Act.8-244 バトル・シャトーのお披露目と剣武大会 scene.12

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ビオラ=マラキア>


「まだじゃッ! 奥の手――聖滅爆散セルフ・ホーリー・デストラクション!」


 自爆魔法――各国教会のお家芸みたいなもので、自身の内部で猛烈なエネルギーを発生させて自身の身体ごと辺り一帯を焼き払う「最後の忠誠ラスト・ロイヤルティー」。

 そこに聖属性の魔力を加えた魔法なんだろうけど、まさか奥の手が特攻だったとはねぇ。


闇なる護壁(ダークネス・バリア)


 「聖なる護壁(ディヴァイン・バリア)」をそのまま闇魔法に置き換えた魔法でダメージを大幅にカットすると、ボクは「七彩虹輝終焉刺突(アルク・アン・シエル)」を武装闘気と覇王の覇気を纏わせた剣で受け止めた。


「『聖燦蘇甦(レアニマシオン)』を自身の死のタイミングに合わせて発動するように仕込んでいたのですわねぇ? なかなか良い攻撃ですわ」


「良い攻撃か……攻撃はまだ終わってはおらぬぞ! 魂魄の霸気《四天魔女王》!」


 ……これが、アスカリッドの魂魄の霸気か。

 効果は見気を使わなければ捉えることができない分身を作り出すというものみたいだねぇ。ただし、魔法は使えないようだ。……常時武装闘気を纏っているようなものみたいだから、身体を水に変えているような相手にもダメージを与えられるみたいだけど。


「火球。……やっぱり無意味か」


「ふはは! 我の魂魄の霸気は姿無き攻撃者じゃ! 決して倒すことは――」


「八刃陰鐵」


 武装闘気と覇王の霸気を纏わせた透明な刃が八方に伸び、アスカリッドと四人の魂魄の霸気で作られた影を差し貫いた。

 「七彩虹輝終焉刺突(アルク・アン・シエル)」の聖属性の輝きが消滅し、カルロスのオリジナルの魔力操作系魔法を浴びたアスカリッドの身体がポリゴンと化していく。


「見気で捉えられるもう一人のアスカリッドさんと呼ぶべき彼女達には闘気を纏った攻撃しか通用しないみたいですねぇ。なかなか面白いですけど、種が分かれば対処は簡単ですわ」


「――風刃空断」


「無意味です」


 武装闘気を纏った風の刃を、その武装闘気を遥かに上回る武装闘気を纏って無効化し、そのままミスルトウを落とすために攻めに転じ――。


「ここで仕掛けてきますか、『剣聖』」


「『覇ノ型』は見破られているのだろう? ならば、あれを使うしかないな。悪く思うな、魔法は封じさせてもらうぞ! ジュワイユーズ流聖剣術 滅ノ型 大魔導滅斬!」


「マナフィールドにはマナフィールドですわ! 大魔導覇斬」


 ミリアムが自身と全く同種の技をボクが使えることに驚く中、大気中の魔力をどちらが支配するかという激しい魔力支配争いが幕を開けた。

 しばらく拮抗したものの、僅かにボクが有利な形で圧倒的な魔力の奔流を互いの振り下ろす剣から解き放つ。


 結果として、覇王の霸気を纏わせていたボクの「大魔導覇斬」がミリアムの「大魔導滅斬」を破ってミリアムを消し飛ばし、ミリアムを消し飛ばしてなお威力の衰えぬ魔導斬撃は、退避の選択が遅れたミスルトウを飲み込んで消滅させた。



「……師匠が、負けた」


 アルベルトはミリアムの敗北に衝撃を受けて固まっている。……まあ、今回の模擬戦自体、衝撃的な彼の常識を揺さぶられる場面が圧倒的に多かったし、そもそもこのステージは早過ぎる。こうなっても致し方なしだと思うよ。そもそも、今回の模擬戦では活躍を微塵も期待していなかったし。


「マナフィールド解除。さあ、次はどなたがお相手をしてくださるのかしら?」


 挑発的な発言で戦闘を加速させようと思ったんだけど、出てきたメンツを見て溜息を吐きたくなった。

 モネとヴァーナム、そしてドロォウィン……ドMと筋肉、最悪のトリオだ。


「「嗚呼、素晴らしい戦いです! これならば、私達も満足できるでしょう! さぁ、どうぞ思い切り打ってください!!」」


「全く軟弱だ! 筋肉こそが至上! 筋肉こそが正義(ジャスティス)ッ! 筋肉を鍛えないからこそ負けるのだァ! フハハッ!」


「……いいでしょう、ドロォウィン。私の剣で貴方の全てを否定して差し上げますわ。そのキモい隆起した筋肉を見せつけるなァ! 脳まで筋肉な筋肉達磨がァ!!」


 溢れ出る殺気を隠そうともせず、ボクはドロォウィンの力任せの、ウォスカーと同等の一撃を受け止めると、「圓式独創秘剣術 一ノ型 圓-Madoka-」を放って一撃で仕留めた。

 ドロォウィンがポリゴン化するのを確認もせず(というか、あんなキモい奴を見たら目が腐る!)、モネとヴァーナムに二刀の鋒を向けた。


「お望み通り、満足させた上でこの場から退場して頂きますわ、ドM共!」


 モネの魂魄の霸気は攻撃を浴びて痛みを感じる度に力を上昇させていく《耐攻者》だ。

 そして、魂魄の霸気は前世と今世で似る傾向にある。シューベルトのように在り方が変わらない者は完全に同じということもあるようだけど……モネとヴァーナムの魂魄の霸気は同じ《耐攻者》なのかな? ……面倒だよねぇ、あの魂魄の霸気、長期戦をすればするほど不利になる。


「「私達の魂魄の霸気は《耐攻共振者》! 互いの痛みを共有し、互いが攻撃を受ける度にその双方の力を上昇させていくというものです! 私達の片方だけが幸せを味わうなど許さない! どんな痛みも二人で分け合うという素晴らしい発想から生まれたもの! これが私たちの新たな力です!!」」


「最悪ですわ! なんですか、そのドMの極みみたいな魂魄の霸気は!? まあ、いいですわ!! その強化も打ち破って、泣き喚くまでボコボコにして差し上げますッ!」


 モネの剣を握りしめる騎士にしては綺麗な手に向かって武装闘気を三重に纏わせた足を振り上げ、全身を捻る負荷を加えて、思い切り蹴りを叩き込む。

 反撃に怯んだように、モネの動きが鈍ったタイミングで跳躍し、脇腹に膝を打ち込むと、隙ができたモネの胸板を踏み台に再び飛び上がり、その顔面に思いっきり右脚の蹴りを、ついで宙を蹴って回転しながら右脚の回し蹴りを、そして最後に大気との摩擦で発火させた右脚の蹴りを叩き込んだ。


 モネの眼鏡にヒビが入り、ポリゴン化して消えていくものの、モネ自身に大したダメージは与えられなかったようだ。淑女らしからぬボクの蹴り技の凄惨さ、顔面を狙う容赦なさに驚いていたアルベルトの驚愕も、すぐにあれほどの攻撃を耐え抜いたモネに対する別種の驚愕に塗り替えられてしまったようだ。


 痛みの余韻を味わっていたモネの腹を上向きに左脚で蹴り、上空に飛ばすと共に空歩を駆使してモネに迫る。

 手や足を刃に見立て、超人的脚力や腕力で飛ぶ斬撃を放つ「刃躰」を二、三度見舞うも、どうやらお気に召さなかったらしく、武装闘気を纏わせた剣で簡単に斬り切れてしまった。


 そのまま覇王の霸気と武装闘気を纏わせたモネの剣と覇王の霸気と武装闘気を纏わせたボクの右脚が交錯しそうになり、霸気同士の激突で触れ合わないままモネに上昇、ボクに下降の力を加えた。


「素晴らしい蹴りです。アクアさんやオニキスさんの蹴りも大変素晴らしいものですが、やはりアネモネさんのそれには別種の素晴らしさがあると思います」


「……生憎と私はドMでも、蹴りの評論家でもないのでその別種の違いというものはよく分かりませんわ。しかし、貴方は本当に頑丈ですね。私の蹴りを受けてなお、僅かに髪が解けるくらいですからねぇ……なので、次は本気で潰しに行きますわ」


「それは、魔法で……でしょうか?」


「あくまで拳でお相手して差し上げますわ……ヴァーナム殿も同じ条件で撃破して差し上げますからご安心ください」


 空歩を使ってモネと同じ高さまで一瞬にして辿り着くと、相手に掌を押し当てて寸勁の如く一撃を叩き込む「静寂流十九芸 体術四ノ型 内衝勁」と、相手の身体に直接武装闘気を流し込むことで内部から敵の身体を破壊する武流爆撃、そして神光闘気を組み合わせて叩き込んだ。

 完全に音と気配を消す隠密行動技に特殊な呼吸法と歩法によって相手の脳を誤認させ、自身の存在を認識させなくする古武術の抜き足を組み合わせたおおぐま座ε星の名を冠する鬼斬の技「千羽鬼殺流・廉貞」と心を凍てつかせることで相手に心を読まれないようにする拒読心、気配を極限まで消すことで自らを希薄にすることで見気を掻い潜る薄隠気を組み合わせたことでモネはボクを捉えることができず、この圧倒的な内部からの爆発的侵食攻撃をその身に受けて、内部から崩壊した。


 肉片の代わりに無数のポリゴンを四散するモネから、すぐに標的をヴァーナムに切り替え、漆黒に染まった剣を構えたヴァーナムに、武装闘気を纏った拳で攻撃を叩き込んだ。


「――ッ! 武流爆撃ですか」


「やはり通用しませんか。貴方の武装闘気は強固ですね。あらゆる衝撃を防いでくるとは厄介だ。これだけの強化をしたのに、まだ足りませんか」


 ……ガードが硬い。モネのやられ方をよく見ていたヴァーナムだから、あの一撃に対する警戒心を抱いているのは至極当然なこと。

 簡単にガードは崩せないか……なら、別の手を使うまでだ。


「《神の見えざる手インビジブル・ハンズ・オブ・ジュピター》」


 ヴァーナムが驚愕で目を見開く中、三百六十度全方位から伸びた不可視の手が一斉にモネを滅ぼした一撃を叩き込んだ。

 圧倒的な物量で放たれた相手に掌を押し当てて寸勁の如く一撃を叩き込む「静寂流十九芸 体術四ノ型 内衝勁」と、相手の身体に直接武装闘気を流し込むことで内部から敵の身体を破壊する武流爆撃、そして神光闘気を組み合わせは、ヴァーナムの防御を一瞬にして貫き、無数のポリゴンへと変えてしまう。


「……そろそろ本気で仕掛ける気になりましたか。これだけの人数相手に、さて、どのように立ち回りましょうねぇ?」


 レイン、アゴーギク、カトリーヌ、バチスト、ファンマン、レオネイド、フレデリカ、ジャスティーナ、カルコス、プルウィア、リヴァス、エルセリス――今日最多の十二人の戦闘の意思を確認し、ボクは不敵な笑みを浮かべて見せた。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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