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Act.8-241 バトル・シャトーのお披露目と剣武大会 scene.9

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ビオラ=マラキア>


 ラインヴェルドとオルパタータダの王室剣技ダイナスティー・アーツ王家伝剣(ロイヤル・アーツ)は洗練されていて、しかも攻撃よりも防御に重きを置かれていることで崩すのは極めて難しい。

 今のところジュワイユーズ流聖剣術に切り替えてくる気配はないけど、いつのタイミングで織り交ぜてくるかも分からないし、一切油断はできない。


「「ジュワイユーズ流聖剣術 聖ノ型 聖纏魔祓」」


「聖装纏武」


 互いに聖属性の魔力を纏わせ、斬り結ぶ。魔法を使っても使わなくても特にこれといっては変化がないように思える……もしかしなくても必要無かったんじゃない?


「「ジュワイユーズ流聖剣術 覇ノ型 百華繚乱螺旋剣舞連」」


「その技は、もう見切っているよ。――天覇鵬神劒」「――地征碎祇劍」


 横の回転の斬撃によって生まれた竜巻が斬撃となり、地面を削って生まれた周囲の瓦礫も巻き込んで敵に命中する剣士系四次元職の剣帝が習得する特技と、地面に突き立てて、地面に斬撃を走らせ、地面を走った斬撃は地割れのようにひび割れを作りながら前方へと殺到し、最終的に青い鮫の尾鰭のような斬撃が三方から敵に殺到する剣士系四次元職の剣帝が習得する特技を分身のアネモネと共に発動し、「神祇剣技」で連続攻撃を仕掛けようとしていたラインヴェルドとオルパタータダを挟み込むように放つ。


「――ッ!? なんで二人同時で特技を使えるんだよ!? 本物しか特技は使えないんじゃ……まさか!?」


「《太陽神》での光への変化で、私の身体を分割したのですわ。つまり、どちらのアネモネも本体なのです。勿論、分割すればそれだけ本来の強さからは遠ざかりますが……特技の威力は変化しないのですわ」


「「そんなのズルい!!」」


 ラインヴェルドとオルパタータダを四次元職の特技であっさり撃破。まあ、こっちの方が威力も大きく、「天覇鵬神劒」の方が「百華繚乱螺旋剣舞連」より範囲が広く、「地征碎祇劍」は「百華繚乱螺旋剣舞連」では対処が難しい遠距離斬撃攻撃だからねぇ……まあ、正攻法での攻撃ではないから二人にとっては不服な幕引きかもしれないけど、このまま戦ってもなかなか崩せなかっただろうし、これは致し方ない結果として諦めてもらいたいものだよ。


「……あの二人の国王、無駄にハードルを上げていきおって……ディグラン陛下、元『勇者』の『剣聖』殿、我と共に仕掛けてはくれぬか?」


「意外な組み合わせだな。何か意図はあるのか?」


「ディグラン陛下は、あの戦闘狂クソ国王の剣を受け止めたほどの手練れじゃ。そして、『剣聖』殿は魔王と渡り合う力を持つ英雄級の化け物。我に思いつく最強のメンバーをただ挙げただけじゃ。無論、これだけ揃えても全く勝てるとは思えんが」


「……まあ、それを言ったら最初からこれは負け戦であろう。どれだけ確率が低くても番狂わせジャイアント・キリングを起こせるかもしれない――その一欠片の期待に縋って我らは戦場に立っておるのだ。とはいえ、少しでも勝率は上げておきたい。ジルイグス殿、ミスルトウ殿、力を貸してはくれぬか」


 アスカリッド、ミリアム、ディグラン、ジルイグス、ミスルトウ――所属もバラバラで共闘した経験も少ない完全な未知数パーティだけど、これはとんでもなく面白い組み合わせだ。わくわくするねぇ!!


 ……まあ、五人が仕掛けてくる前に動き出した一団が居たんだけど。


「ここで来ますか、ラピスラズリ公爵家の戦闘使用人」


 アルベルトの表情に驚きの色が宿ったのを一瞥で確認し、すぐに視線をエリシェア、スティーブンス、ジミニー、アルバート、パペット、フェイトーン、ダラス、アンタレス、アリエル、シュトルメルト、ローランド、エルネスティに向ける。


「「串刺しにしてあげるよ!」」


 アリエルが魂魄の霸気《鐡操針》を使ってボクの血中の鉄分に干渉してきた。通常ならば鉄分を操って内部から無数の鉄針を作り出して相手を刺し貫くことができるという極めて厄介で暗殺向きな魂魄の霸気だけど、絶えず治癒闘気を巡らせることによって、無効化することができる。

 厄介なのはアンタレスの方の魂魄の霸気だ。絶対に相手を串刺しにするという執念から生まれたこの魂魄の霸気《飛刺突剣》によって生まれた無数の串のような細剣には、「必ず相手を刺し貫く」という結果のみを得るために投げられたのと同時に貪欲に敵を串刺しにするために飛んでくる。逃げても回避することはできず、時間を止めても止められた時間突き進む殺戮の意思――面倒なことこの上ない。


雲消霧散オブジェクト・ディスパージョン


 対象を物質を元素レベルの分子に分解する分解属性の魔法によって細剣を抹消し、《飛刺突剣》の抹消を想定していたのかコンツェシュを構えて同時に攻撃を仕掛けてくる庭師服姿のアンタレスと、メイド服姿のアリエル――似ても似つかない容貌に全く同じ串刺しの愉悦によった笑顔を覗かせる二人の串刺し狂を『銀星ツインシルヴァー』に武装闘気と覇王の覇気を纏わせて両断し、ひどく血に飢えた獣のように瞳孔の開いた目を向け、殺意剥き出しで斬り掛かってくる元連続殺人鬼のフェイトーンが、背筋の凍りそうな悍ましいオーラを纏わせた剣で斬り掛かってくるのを武装闘気を纏わせた剣で受け止めた。


「黄泉の焔は冷たいようですが、お味はいかがですか? 黄泉の焔剣(ヘルヘイム・フレイム)


「……希少な魂魄魔法に闇属性を複合した、複合魔法ということですわね。黄泉の焔は万象を凍らせる異界の理によって成り立つ力――とはいえ、絶えず神光闘気を流せば無力化できるレベルですわ」


「私の魔法がこれだけだと? 黄泉の焔包ヘルヘイム・スクリイム。――矢筈斬り」


 圧倒的な黄泉の焔で包み込んで凍らせ、圧倒的な速度故に相手が斬り殺されたことに気づかないという、連続殺人鬼〝辻斬り〟のフェイトーンの代名詞である矢筈斬りを放ってきた。

 まあ、全身に治癒闘気と武装闘気を纏わせて黄泉の焔を纏わせて、矢筈斬りを上回る速度で圓式の矢筈斬りを浴びせて斬り殺し終えているんだけど。


 しかし、この矢筈斬り――「千羽鬼殺流・熒惑」に極めてよく似ているから、習得自体は他の剣技より簡単な印象がある。まあ、フェイトーンは不服だと思うけど。


「――これだけ危険を冒すのです! 後でお嬢様にポーク食べ放題で、後、デザートに生クリームが山ほど乗ったケーキを所望しなくては!!」


「……では、そもそも戦わないという選択をすれば良いのでは? そうすれば、危険を冒すことにはならないですし……そもそも、ここでは殺されても死にませんから、危険を冒してすらいないのでは?」


「裏武装闘気-苦無嵐撃-」


 ボクの言葉をさらりと聞き流し、ポークとケーキは確定事項にしつつ、無数の苦無を裏武装闘気で作り出して投げてくるエリシェラ……いや、別に作るのは構わないんだけどねぇ、強制っていうのが引っかかっているだけで。


「魂魄の霸気《飛刺突剣》」


 アンタレスの魂魄の霸気を使って無数の串のような細剣を顕現し、エリシェラの無数の苦無を打ち落とす。……まあ、それも想定内ということで神攻闘気、神堅闘気、神速闘気をその身に纏い、『闇を征く使用人の飛翔ブーツ』に武装闘気を纏わせたエリシェラが師匠クイネラ直伝の足技を放って……って、今回の模擬戦の趣旨分かっている?


重力刀(グラビティ・ソード)


 重力属性の魔力を刃に纏わせ、振り下ろした瞬間に猛烈な重力がエリシェラを襲った。

 真月の作成時に取り込ませた、魔法系三次元職の魔導帝が覚える魔法の一つで重力を強化することで移動阻害を引き起こしながら永続ダメージを与える「超重力域グラビティ・フィールド」から抽出したこの重力属性は、瀬島新代魔法と共に重力的なブラックホールを作り出せる力を秘めたものだ。闇属性のブラックホールは、重力はあまり関係ない魔法なんだよねぇ……ブラックホールって名前なのに。


 地面に押し付けられて、打ち付けられた羽虫のように踠くエリシェラに、容赦なく刃を突き刺す。剣士同士の戦いの筈なのに、第一回のエリシェラ戦は剣を使わなかったなぁ。


「仕掛けますよ、アルバート」


「了解しました、師匠」


 続いて仕掛けてきたのは、先代料理長で初代アーヴァンスでもある、その生涯を費やして生きたまま人を捌くことに全霊を捧げてきた料理長――シュトルメルトと、その弟子で上級貴族と娼婦の間に生まれた忌子として生を受け、スラムで研鑽を積み、カノープスに見込まれて戦闘使用人となった二代目アーヴァンスのアルバートが、手術メスと『黒刃天目刀-濡羽-』を構えて左右から斬りかかってくる。


「医師免許は持っていないものの、化野さんの手術はよく見て様々学んでいましたからねぇ。美しく捌いて差し上げますわ」


 二刀を鞘に戻して巨大な包丁のような剣を裏武装闘気で創り上げる。


「……それで、美しい『執刀』ができるのですか?」


「アルバート、この人を舐めてはいけませんよ。この方の『執刀』は私のそれよりも遥かに美しいものですから」


 そううっとりとアルバートの質問に答えたシュトルメルトはそのまま綺麗に頭から真っ二つになった。そのあまりにも静かな両断に、アルバートが理解できずに脳の処理が遅れ、一瞬だけ動きを止めた――その隙をついてアルバートも綺麗に両断し、巨大な包丁を解いて双刀を鞘から抜き払う。


「ああ、実に、実に楽しいッ! やはり血湧き肉躍る戦場でしか、この楽しさは味わえないッ! 鎬を削る死闘、このギリギリで命を削るような感覚、このゾクゾクを味わうために私は傭兵になり、そして更なるスリルを求めて公爵家の執事となったのですよォッ!」


 傭兵上がりの執事のスティーブンスが銀縁眼鏡と共に謹厳実直な執事の仮面を投げ捨て、飢えた獣のように瞳孔をぎらつかせ、丁寧にセットされた髪を無造作に掻き乱すと、剣を構えて突撃……と見せかけて、俊身で背後に仕掛けてきた。

 振り向きざまにスティーブンスの剣を受け止めると、そのまま力任せに振り下ろしてきた武装闘気を纏った剣を武装闘気を衝撃波として放つことで吹き飛ばす武気衝撃を放って握っていた手から吹き飛ばし、武器が無くなったところで武装闘気を纏って殴り掛かってきたところで拳を回避して腹に武流爆撃を叩き込んで撃破した。


 スティーブンスがポリゴンと化して消える中、ボクは残るジミニー、パペット、ダラス、ローランド、エルネスティに警戒の視線を向ける。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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