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Act.8-235 バトル・シャトーのお披露目と剣武大会 scene.3

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ビオラ=マラキア>


「……マジかよ!? ディーエルの魔法を模倣するどころか、上位互換みたいな魔法を作りやがった!! おい、流石にこれじゃあ俺に勝ち目がないから、斬撃縛りしてくれないかッ!」


「いいですよ?」


「いや流石に無理だよなぁ……っていいのかよ!」


 モーランジュ……驚くくらいなら最初から頼まなければいいのに。


「サルヴァトーレ流暗殺歩術 影疾蛇執」


 地を這う蛇が如く低い姿勢のままジグザグに移動しながら敵に迫る暗殺歩術――更に空歩を応用することで空中を滑るように移動できるようになっているみたいだ。進化しているねぇ。


「サルヴァトーレ流暗殺剣技 這突蛇執」


 更にそこから突きを放ってくる……のだけど、その突きがまた独特で手首のスナップを利用して執念深い蛇の幻影が見えるほど畝るように迫ってくるこの突きは正直読みづらい。


「サルヴァトーレ流暗殺剣技 這突蛇執」


 まあ、読みづらいというだけで読めないという訳ではないんだけど。

 「静寂流十九芸 剣術応用止ノ型 鋒止突」を応用し、モーランジュの軌道を少しだけなぞりつつ、的確にモーランジュの剣の鋒に『銀星ツインシルヴァー』の右の太刀の鋒を寸分違わずぶつけた。


「――ッ!? しかも、毒入りかよ!」


 更にそこに斬撃を繰り出した際に筋肉の収縮を連続で行うことによって、 その際に発する衝撃波を武器を通して相手に叩きこむ「常夜流忍暗殺剣術・毒入太刀」を混ぜることで、モーランジュの利き手を完全に使いものにならなくすることに成功する。

 まあ、ボクが「サルヴァトーレ流暗殺剣技 這突蛇執」を使ってくるなんて予想もしなかっただろうし、その時点でかなり後手後手に回っているんだから、毒入りの可能性なんて考慮できる筈がないよねぇ。


赤熱する閃剣(ヒートソニック)・一刀斬鉄!」


「雷魔法・這い寄る雷蛇(サーペント・ボルト)


 ジルイグスが赤熱化させた刃で高速斬撃を放ってきた。ボクの注意がジルイグスに向けられた一瞬の隙をついて左手の五本の指から雷蛇型の電撃を放ったつもりだったようだけど……見え見えだよ?

 光速以上の速度での攻撃や光の操作が可能になる《太陽神》を駆使した光の速度の空歩を使ってモーランジュの背後に回り込み、「サルヴァトーレ流暗殺剣技 這突蛇執」を圓式で叩き込む。


 モーランジュが撃破されてポリゴン化していくのを横目で確認しつつ、ジルイグスに仕掛ける……と見せかけて。


「このタイミングで仕掛けてくるんだねぇ。シューベルト、ティアミリス」


「ちっ、同時か! ――俺がアイツを討ち取る。貴様は下がってろ!」


「それはこっちの台詞だ。……先に貴様をぶっ倒すぞ」


 同一人物なのに仲悪いねぇ、コイツら。ティアミリスとオニキスの婚約の話がかなり進んだ頃から更に仲が悪くなったそうだけど。

 コレが本当の同族嫌悪か。


「「魂魄の霸気――《大魔王》」」


 シューベルトとティアミリスを赤い稲妻を伴った黒いオーラのようなものが包み込み、燃え盛るように溢れ出したかと思うと、二人に飲み込まれるように消えていった。

 ……転生した場合は魂魄の霸気の内容が変わることもあるんだけど、コイツらの場合は同一なんだねぇ……仲良いなぁ。


「本当に仲良いねぇ、シューベルトとティアミリス」


「「貴様の目は節穴か。……よほど、俺を怒らせたいと見える。安心しろ、すぐに殺してやる。――真似をするなッ!」」


 ひゅんッ、と風を切る音が響き、ついで空間がガリンっという音と共にひび割れ、猛烈な衝撃がボクを襲う……けど、紙躱を使って風圧を利用して回避し、ボクも両刀に《大魔王》の力を纏わせる。


「圓流耀刄」


 二刀を翼のように広げ、無音の踏み込みと同時に加速が存在しない急激な緩急を旨とする不可視の斬撃を放つ。

 空気を擦過する大気の燦きが瞬いた瞬間――ボクの剣は空中で武器も触れない状態でシューベルトとティアミリスに受け止められ、破壊のエネルギーが衝突――更に纏わせた覇王の霸気が衝突して猛烈な衝撃が戦場を駆け巡った。


「へぇ、受け止められるんですねぇ、これも。圓式基礎剣術でもダメならぁ……ここで、《天照日孁大御神アマテラス・ヒルメノオオミカミ》」


 巫女の姿へと変化し、結界や障壁の展開が可能になる《天ツ巫女姫》を発動して巫女服姿に変化し、《天ツ巫女姫》を完全な状態で発動した際に現れる光背を背負って、光速以上の速度での攻撃や光の操作が可能になる《太陽神》で光の速度を基礎とする圓式を放つ。

 シューベルトもティアミリスも、それどころかこの場にいるボク以外の誰一人として捉えられない神速の圓式がシューベルトとティアミリスの胴を同時に両断した。



「おいおいマジかよ! まだ速くなるのかッ! ようやく圓式にも対応できる奴が増えてきたってのに! ……マジか、クソ面白いッ! そうこなくっちゃな! アネモネ、お前はどこまでも強くなる! それなら、俺達だって負けちゃいられねぇ! 次は俺とラインヴェルドが――」


 盛り上がっているところ悪いけど、次はカレン、ジョナサン、ヨナタン、ジョゼフ、ヴェルナルドが参戦してくるみたいだよ?


「嗚呼、この魔法を貴方様に使うことをお許しくださいませ! 神罰の剣よ、我が祈りに応え、降り注ぎ給え! 神話再現魔法・神罰の聖剣(天叢雲剣)


「赦しを乞うくらいなら最初から使わない方がいいのではありませんか? 天降八枝刃ッ!」


 聖なる輝きを放つ魔法陣が展開され、刃渡り百メートルを優に超える巨大な一振の剣がボクの頭上から降り注ぐ。

 見気で完璧に見切っていたボクは光の剣を躱しつつヴェルナルドの空歩で移動し、まやかしや残像ではない実体のある分裂した八つの剣先を降り注がせる剣士系四次元職の剣帝が習得する特技――「天降八枝刃」を放った。


 ヴェルナルドのポリゴン化を待っている余裕はない。

 ジョナサン、ヨナタン、ジョゼフの三人が三方向からほぼ同速の空歩でボクの方へと迫ってくる。


「魂魄の霸気《落花生》」


 ……いや、たった今四人になったみたいだ。

 ちなみに、ヨナタンの魂魄の霸気とジョゼフの魂魄の霸気はどちらも《双子》で、ヨナタンとジョセフの位置を自在に入れ替えることができるというもの。まあ、便利ではあるけど、この状況では間違いなく使われないだろうねぇ。


「幻氷の大角礫・連撃!」


 そして、地上からは既にカレンが狙いを定めて無数の三角錐が突き出した巨大な氷の塊をこちらに掃射しようとしている。……即席のチームにしては連携がしっかりしていて良いねぇ。


「四対一……少し面倒ですね。しばらく『背繋飛剣(ナインチェーサー)』と遊んでいてください」


 ツヴァイハンダーの《雪》、大太刀の《月》、レイピア の 《風》、フランベルジェの《花》、タルワールの《朧》、ソードブレイカーの《空》、ファルシオンの《天》、ズルフィカールの《光》、クレイモアの《泡》、パンツァーシュテッヒャーの《霧》の十本の剣からなる幻想級背中装備『背繋飛剣(ナインチェーサー)』をステータス経由で装備し、ツヴァイハンダーの《雪》、大太刀の《月》、レイピア の 《風》、フランベルジェの《花》に三重の武装闘気――紫色の闘気を硬化するように纏わせてジョナサン二人とヨナタンとジョゼフに向かって放つ。


 そして、地面を踏み砕くほどの勢いと共に上空へと跳躍してきたカレンの武装闘気で硬化した大人の女性特有の曲線を描く長い足を振り下ろす一撃を、『銀星ツインシルヴァー』を鞘に戻しつつ、通常の武装闘気で硬化した右足を蹴り上げて受け止めた。


「幻惑の森――幻惑爆散」


 水属性を応用した幻惑魔法で虚像を五つ作り上げ、水を利用した幻惑の虚像のうち三つを、四散させて小さな礫に変える。

 その礫状のものの分子活動を強制的に停滞させて凍らせ、指向性を持たせて放ってきたか。しかも、ご丁寧に三つの氷礫の中には神光闘気が大量に練り込まれている。あそこまで太陽と同じ波長のエネルギーを収束させられると吸血鬼じゃなくてもダメージを受けるねぇ。


「クリムゾン・プロージョン」


 三つの氷礫を水魔法と火魔法の複合で瞬時に水分を気化させる魔法で蒸発させて無力化し、足技を防がれてから距離を取っていたカレンが『黒刃天目刀-濡羽-』に武装闘気を纏わせて斬り掛かってくるのを視認すると、『銀星ツインシルヴァー』の双刀に武装闘気を纏わせて受け止める。


「ここは一旦距離を取るべきですわね。幻惑突撃」


 へぇ、カレン本人は素早く後方に空歩で下がり、残った二体の幻影を嗾しかけてきたのか。

 しかも、上手い塩梅で「幻惑爆散」の要領で一部のみ氷礫に変化させて、上手く幻影に紛れ込ませているみたいだ。つまり、無意味な幻影の攻撃だと無視すれば、礫を浴びることになるということか。しかも、ご丁寧に礫の中に大量の神光闘気が注ぎ込まれていて、浴びれば普通の礫を浴びた時以上のダメージを喰らうことになる。……本当に手の込んだ攻撃だねぇ。


「クリムゾン・プロージョン」


 まあ、さっきの氷礫と同じ要領で瞬時に気化すれば何の問題もないんだけど。


「暗殺脚技弍式 嵐脚刃旋」


 距離を取ったカレンは、武装闘気を纏わせた脚で次々と手や足を刃に見立て、超人的脚力や腕力で放つ飛ぶ斬撃――刃躰を駆使して斬撃を放ってくる。


「風刃空断・双刀」


 出現する風の刃十二本を一本ずつ消費することで、目視している場所ならばどこでも斬ることができるミスルトウのオリジナル風魔法を『銀星ツインシルヴァー』の双刀に発動して、二十四の斬撃を放って刃躰の斬撃を打ち砕くと、そのまま俊身を使ってカレンと距離を詰めて――。


「暗殺脚技壱式 瞬降斧脚」


 カレンは空歩を駆使して上へと飛び上がり、身体を鋼鉄を凌駕する硬度に変える鋼身をも取り入れた振り下ろしの足技を放ってきた。

 『銀星ツインシルヴァー』の左の太刀で受け止めると、僅かに腕に痛みが走る。……レベルが上がっているねぇ。


「風刃空断」


 カレンの援護をするように地上から武装闘気を纏わせた「ストームブリンガー」で次々と「風刃空断」を放ってくるミスルトウと、カレン、どっちを先に潰そうかと僅かに悩み……突然出現する風の刃を全て見気の未来視と紙躱と空歩の組み合わせで躱しつつ、空歩に完全に音と気配を消す隠密行動技に特殊な呼吸法と歩法によって相手の脳を誤認させ、自身の存在を認識させなくする古武術の抜き足を組み合わせたおおぐま座ε星の名を冠する鬼斬の技――「千羽鬼殺流・廉貞」を組み合わせてカレンに気づかれることなく肉薄し、圓式基礎剣術の斬撃を浴びせて撃破した。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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