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Act.8-169 第一王女の誕生パーティ scene.7

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ビオラ=マラキア>


 第一王子の婚約者と第二王子の婚約者が結婚できない理由――それは、第三王子の立太子、そして国王即位が現時点では行えないからだ。

 現在、第三王子の婚約者は空席。最も出遅れている第三王子ヘンリーだけど、ラインヴェルドはヘンリーに国王を継がせるつもりでいる。そして、王妃にはヒロインのマリエッタ(仮称)を据えるつもり満々だ。

 ……正直、為人も把握できていないのだからそうそう上手くいくとは思えないんだけど……あのラインヴェルドならどんな性格のヒロインでも圧倒的な童心(悪ガキ)的恐怖でどうにかしてしまいそうな気がする。


 勿論、そのために第三王子には婚約者を用意していないし(ボクが望めばヘンリーとの婚約もできたそうだけど、それはボクが全力で拒否させてもらった)、各王子と婚約者の結婚もそれが済んでからの方が都合が良いのだそう。

 まあ、実際ヴァンとスカーレットは結婚までもう暫く時間があるから問題ないし、残る二人とその婚約者はヴェモンハルトとスザンナとルクシアが寧ろ仕掛け人側で、フレイも事情を知った上で反対していないので問題ない。


 アンブローズ男爵家はスザンナが完全に掌握しているようだし、ヴェモンハルトとルクシアの派閥コントロールも完璧だから、後はフレイが頑張るだけなんだよねぇ……彼女に掛かるプレッシャーはえげつないことになっているけど。

 だけど、ただ小動物で気弱な性格という訳じゃなくて、やる時は覚悟決めてしっかりとやれるタイプみたいだからこちらもあんまり心配していないんだけど……なんでも成績優秀で二年次に生徒会の会長になってしまって、覚悟決めて頑張ったというエピソードもあるみたいだからねぇ。



 スザンナ達と一通り挨拶を交わしたところで、スティーリアと共に挨拶回りを再開した。


 次に向かったのは騎士団長が集まっている一団――丁度、自分達の部下とは分かれて挨拶をするために集まっていたらしいねぇ。

 まあ、ボクが挨拶に来そうなので、集まっておいたというところもあるみたいだけど。……寧ろ、集まるように催促してしまったのかもしれないねぇ。


「お久しぶりですわ、ジルイグス=パルムドーハ侯爵様、シモン=グスタフ伯爵様、モーランジュ=サルヴァトーレ伯爵様、ペルミタージュ=レストレイ子爵様、イスタルティ=ジェルエスネ男爵様、ディーエル=ノッディルク男爵令嬢。それと初めまして、フレッサ=パルムドーハ様、ゼルド=パルムドーハ様、アクティ=ジェルエスネ様、エルティヒア=レストレイ様、フロレンシア=グスタフ様。私はアネモネと申します、以後お見知り置きください」


「初めまして、アネモネ様。お会いできて光栄だわ」


 フレッサを皮切りに次々とボクとスティーリアに挨拶をしてくれた。

 ちなみに、奥様方は夫からボクの話を聞いているようで、事情も分かっているそう。とはいえ、アネモネとしての接点はないから(ローザとしても面識はないんだけど)、こういう形になっている。


 余談だけど、騎士団長クラスとは面識があるということで通すつもりだ。何度かアネモネとして入城経験もあるし、緑霊の森の一件でも騎士団長クラスのジルイグスとペルミタージュが同行している。まあ、騎士団長全員と面識があってもなんら不思議ではないよねぇ。


 この騎士団長メンバーとの挨拶はそこまで騎士関連の話題で会話も弾まずに終わった。寧ろ、ビオラに関する話題で話に花が咲いたよ。

 まあ、日頃の騎士団長としての仕事ぶりの話を聞こうとしてもアネモネじゃ不自然だからねぇ……そういった踏み込んだ話はまたの機会にするつもりなんじゃないかな?


 ただ、貴族夫人や貴族令嬢達にとってはこの話題が一番興味を唆られるものだったらしく、聞き耳の段階が数段は上がっていた気がする。

 ビオラの商品はかなりの人気で、社交界でブームを巻き起こしているからねぇ。


 騎士団長メンバーの次はブラックストーン子爵家の三人――ホネスト=ブラックストーン子爵、エウフェーミア=ブラックストーン子爵夫人、ジュード=ブラックストーン子爵令息と挨拶をし、こちらでも少々会話をしてから分かれた。

 そして、丁度このタイミングで――。


「緑霊の森より族長エイミーン=メグメル様、族長補佐ミスルトウ=オミェーラ様、次期族長マグノーリエ=メグメル様、次期族長補佐・次期族長の婚約者のプリムヴェール=オミェーラ様、神樹衛士隊長マルグリットゥ=グリシーヌ様、神樹衛士ブランシュ=アルブル様、到着にございます! 続いてユミル自由同盟より獣皇ヴェルディエ=拳清(チュェン・チン)=ラシェッド=ティグロン陛下、獣王アルティナ=狐尾(フー・ウェイ)=フェオリエス=ウゥルペース様、到着にございます! 続いてド=ワンド大洞窟王国よりディグラン=ヴォン=ファデル=ダ=ド=ワンド国王陛下、婚約者のエルレシア=ヴォン=リゼローズ=ダ=ド=ワンド様、軍部の最高司令官のパーン=ヴォン=マジェボルツ=ダ=ド=ワンド閣下、宮廷騎士団長のロックス=ヴォン=ハルシャタ=ダ=ド=ワンド閣下、到着にございます! 続いてエナリオス海洋王国より、バダヴァロート=アムピトリーテー国王陛下、シリェーナ=アムピトリーテー王妃殿下、ソットマリーノ=アムピトリーテー第一王子殿下、ボルティセ=アムピトリーテー第二王子殿下、軍司長シャードン=ピストリークス閣下、ご到着にございます! 続いてルヴェリオス共和国より首相ピトフューイ=スクロペトゥム様、副首相トネール=フードゥル様、「真紅騎士団(グラナートロート)」騎士団長・大参謀イリーナ=シャルラッハ閣下、「真紅騎士団(グラナートロート)」副団長プルウィア=ピオッジャ閣下、外部政治評価機関会長ヴァルナー=ファーフナ様、外部政治評価機関副会長ネーラ=スペッサルティン様、到着にございます! 続いて風の国ウェントゥスより緑の使徒(ヴェルデ)の代表のアリシータ=エメライン様、ご到着にございます! 続いてラングリス王国よりクラウディア=ラングリス女王陛下、エリザヴェータ=ラングリス王太后殿下、エルセリス=シルヴァレスト騎士団長閣下、ご到着にございます! 続いて、宮廷魔法師団相談役ミーフィリア=ナノーグ閣下、ご到着にございます! 続いて『剣聖』ミリアム・ササラ・ヒルデガルト・ヴォン・ジュワイユーズ閣下、ご到着にございます!」


 ――団体様がご到着なされたようだ。



「皆様、お久しぶりですわ」


「お久しぶりなのですよぉ〜」


「お久しぶりです、アネモネ様」


「……お久しぶりですわ、アネモネ様」


「……うむ、久しぶりだな」


 ……プリムヴェール、相当緊張しているみたいだねぇ。マグノーリエも若干緊張しているみたいだ。やっぱり、こういう場には慣れないか。


「全く、二人とも情けないのですよぉ〜」


「……エイミーン様はもう少し緊張してしおらしくしてもらいたいと思いますけどね、私は」


 本当にこいつ調子乗って何かやらかさないかって、ミスルトウ、マルグリットゥ、ブランシュの胃がキリキリしているみたいだよ。

 まあ、エイミーンはこう見えてラインヴェルドやオルパタータダと同じ賢いけど悪ふざけをするタイプだから本当にやらかしちゃいけないところではやらかさないと……思うけどねぇ。ちょっと心配になってきたなぁ。


「久しぶりじゃな。こういった場にはほとんど参加した経験が無かったから、知人が沢山いて本当に良かった」


「……これだけ頼りになる知人がいるなら、ウチって要らなかったっスよね?」


「それについては私も同意致しますわ。エイミーン様以上にアルティナ様は信用できかねます」


「それはそれで酷いっスよ!」


 黙っていれば美人だけど、口を開いた瞬間から墓穴を掘っていくエイミーンの同類みたいなタイプ。じゃあ、エイミーンと同じかというとエイミーンがラインヴェルドと同じ天才型であるのに対して、アルティナは計算尽くでやっている訳じゃないからタチが悪い……この少し馴れ馴れしい態度が不敬罪に取られないと良いんだけどねぇ。

 まあ、獣王っていうのは、多種族同盟では公爵家と同等ということになっているから(国王と同等としようという案もあったんだけど、獣皇の概念が生まれたので却下された)、国際問題にも発展するし、そのような莫迦なことをする貴族はいないと思うけど。


 内心はどうあれ、もう多種族同盟加盟国の中で亜人種を差別することは許されないことだからねぇ。


「我はド=ワンドの貴族相手にこういった場で渡り合ってきたから問題はないが、エルレシアはド=ワンドでも片手で数えるほどしか社交界に出席していないからな。かなり緊張しているようだ」


「……すみません、こういった場は慣れていなくて」


「ウチも全然慣れていないから一緒っスね!」


「……アルティナ様はもう少し礼儀正しい振る舞いというものを学びましょうねぇ?」


「アネモネさんが、全く笑っていない目で笑っているっス! 怖いっス! ヴェルディエさん、助けてくれっ――」


「我もアネモネの意見に賛成じゃ」


 あっ、完全に詰んだアルティナがしょぼーんとしている。

 ってか、そもそも向いていないんだからコイツ以外にできそうな奴を探せば良かったんじゃないかな? これ、歴史に残るほどの人選ミスだよ!


「……本当は、シレーヌも連れてくるつもりだったのだが」


 第一王女のシレーヌは極度の人見知りだけど、このままでは流石にまずいということで、プリムラの学園入学と同じタイミングで学園に通わせるつもりでいるらしい。

 少しずつ外界と関わらせようとエナリオス海洋王国の社交界にも少しずつ出させるようにしているものの……あまり状況は芳しくない。


 以前はすっかり怯えられてしまっていたボクだけど、絵を切っ掛けにして少しずつ打ち解けることができてきているとは思う……とはいえ、まだまだ先は長そうだけど。

 まあ、流石にいきなりの大舞台はキツいだろうし、今回のプリムラの誕生パーティは欠席で良かったんじゃないかな?


「帝国軍人時代には貴族のパーティに参加することもあったが、長らく参加して来なかったから少し不安があるな」


「トネール様は将軍としてこういったパーティへの参加経験は豊富、ピトフューイ様も何度か参加経験があるようですし、イリーナ様、プルウィア様、ヴァルナー様、ネーラ様も常識がありますから、アクアやディラン様、フォルトナ王国組、エイミーン様に比べたら全く心配の必要のない方々だと思いますわ」


「……流石にアクアさんと同列に扱われるのはな」


「心外だと思う」


「お姉ちゃんの言う通りだよ」


「俺も田舎者の感覚がいまだに抜けないが……あの連中みたいなことは流石にしないぜ」


 アクア達への信頼感、本当に凄いことになっているねぇ。……子供じゃないんだから、せめて問題だけは起こさないでもらいたいものだよ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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