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Act.8-163 第一王女の誕生パーティ scene.1

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ビオラ=マラキア>


 今日はいよいよ、プリムラ第一王女の誕生パーティの当日、スティーリアをエスコート役として伴い、アネモネとしてボクはこのパーティに出席する。


「ビオラ=マラキア商主国よりアネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ビオラ=マラキア大統領、スティーリア=グラセ・フリーレン=グラキエース様、到着にございます!」


 さわさわと話を弾ませている宮廷の蝶達(といっても、まだまだ誕生パーティも序盤の序盤なので参加予定の全ての貴族が到着しているという訳ではないものの)が王宮勤めの侍従の一人が仰々しく羊皮紙を広げ、息を吸い込んでパーティ会場全体に聞こえるように朗々とボク達の名を読み上げると一斉にこちらに視線を向けた。


 その中には明らかに不快な感情や悪感情を滲ませる視線も含まれている。スティーリアが冷気を放出しそうになるのを視線一つで制止すると、ボクは会場の中心で目的の人物を目指して歩き始めた。


 ところで、今回のパーティにはブライトネス王国の貴族のほとんどと、それに加えて国賓として招かれた各国の要人、その他のゲストが出席することになっている。


 ブライトネス王国の貴族はエタンセル大公家、シンティッリーオ大公家、フンケルン大公家、アストラプスィテ大公家、アグレアスブリージョ大公家――五摂家を頂点とし、大公・公・侯・伯・子・男が勢揃い。


 その中でも関係深いところを挙げていくと、まずは我がラピスラズリ公爵家。当主カノープス=ラピスラズリ公爵、カトレヤ=ラピスラズリ公爵夫人、次期当主のネスト=ラピスラズリ公爵子息、先代当主メネラオス=ラピスラズリ前公爵、リスティナ=ラピスラズリ前公爵夫人――社交界のルールを遵守し、デビュー前のネストは仮面をつけている。

 ちなみに、長女で公爵の実の娘であるローザは出席していないが、これには分家筋のネストが公爵を継ぐことを公に認めさせるためにあえて本人は出席を見送ったという。……まあ、アネモネとして当の本人――つまり、ボクは出席しているだけどねぇ。


 続いてヴァルグファウトス公爵家。当主ランチア=ヴァルグファウトス公爵とベルサリア=ヴァルグファウトス公爵夫人。

 ヴァルグファウトス公爵はあの暴走列車な大臣――ディランの兄で相当な苦労人だと聞いている。ベルサリア様はアクアとディランを快く受け入れてくださっている心の広い方で、あの二人はどちらかと言えばラピスラズリ公爵家の方に比重を置いているようだけど、四人の関係は非常に良好なのだそう。

 今回のパーティも四人で参加(ちなみにアクアは青いミニドレス姿で黙っていれば普通の令嬢に見えなくないと思う……少し未成年って思われそうな感じではあるけど)。あいつらは相変わらずガチガチマナーの社交会とは相性が悪いようで、事情を知らない貴族がディランに「婚約者様ですか?」と幼女趣味を疑うように質問するのに対し、揃って「何言ってんの? 俺達、どう考えても最高の親友コンビだろ?」と真顔で返して貴族達を混乱させていた。……ランチア様は苦笑い……まあ、いつものことなんだろうけど、本当に心が広いお二人だねぇ。

 後で莫迦二人の保護者としてお二人にも挨拶をしないといけないねぇ。


 続いてヴァーミリオン侯爵家。フェラード=ヴァーミリオン侯爵と前妻の二人の娘――リリア=ヴァーミリオン侯爵令嬢とアリナ=ヴァーミリオン侯爵令嬢、後妻の娘のスカーレット=ヴァーミリオン。

 以前はスカーレットが姉二人相手に怯えていたようだけど、今では完璧な淑女然としていて姉達二人と対等以上に渡り合っている。寧ろ、あまりスカーレットのことをよく思っていない、不満そうな表情をした姉二人の方がよっぽど子供じみているねぇ。


 続いてスフォルツァード侯爵家。当主のトバイアス=スフォルツァード侯爵、カンナ=スフォルツァード侯爵夫人、ジャンヌ=スフォルツァード侯爵令嬢の三名が出席。

 このカンナ様は元フォルトナ王国のパルツファー伯爵家の出身で、アーネェナリアの生家であるラルツヴァー子爵家はパルツファー伯爵家の分家にあたる。乙女ゲームで第三王子のアインスが親戚筋経由でブライトネス王国に亡命してくるけど、これはこのカンナ様を頼ってということなんだよねぇ。


 ヴァーミリオン侯爵家、スフォルツァード侯爵家共にローザとしては接点があるもののアネモネとしては接点がない。

 今回、わざわざこちらから挨拶をしても不自然がられるだろうし、向こうからされない限りはスルーの方向で。


 続いてパルムドーハ侯爵家。こちらは、当主で第一騎士団騎士団長のジルイグス=パルムドーハ、フレッサ=パルムドーハ侯爵夫人、一人息子のゼルド=パルムドーハ侯爵令息の三人で参加のようだ。

 騎士団長には後で挨拶回りをする予定だし、その時にフレッサとゼルドともご挨拶することになると思う。


 侯爵家だと、ノーヴェンバー侯爵とゲルン侯爵。どちらも家族総出で参加という風だけど、リサーナ=ノーヴェンバー侯爵令嬢、ケプラー=ゲルン侯爵令息も含め特務騎士で揃っているようなので、特務騎士の方のグループの方に後でご挨拶すればいいかな?


 宮中伯、伯爵家に移り、まずはヴァルムト宮中伯家。現当主のクラインリヒ=ヴァルムト宮中伯、サフラン=ヴァルムト宮中伯夫人、近衛騎士アルベルト=ヴァルムト宮中伯令息、ルークディーン=ヴァルムト宮中伯令息。

 こちらも、ローザ関連ではアルベルトとルークディーンに接点があるものの、アネモネとして関わりがないので基本的にはスルーの方針で。


 続いて、アクアマリン伯爵家。宰相で現当主のアーネスト=アクアマリン伯爵、ミランダ=アクアマリン伯爵夫人、ニルヴァス=アクアマリン伯爵令息、ソフィス=アクアマリン伯爵令嬢。

 勿論、このアクアマリン家とは繋がりが深いし、真っ先に声を掛けるのもアクアマリン伯爵家と決めていた。今ボク達が目指しているのもアクアマリン伯爵家の面々が集まっているところだったりする。……人気があるからやっぱり人だかりになっているし、挨拶ができるのは本当にいつになるのやらという雰囲気だけどねぇ。


 続いて、ルーセント伯爵家。クィレル=ルーセント伯爵とローレル=ルーセント伯爵夫人。

 この二人は王太后様と共にファンデッド子爵令嬢の社交界デビューをバッグアップする共犯者でもある。会場入りと共に別行動をしているようで、予定通り噂を流してくれているようだ。この噂はきっと貴族夫人や貴族令嬢達の耳を楽しませてくれるだろう。


 続いてグスタフ伯爵家。王国宮廷近衛騎士団騎士団長を務める当主シモン=グスタフ伯爵とフロレンシア=グスタフ伯爵夫人。

 堅物なイメージのある近衛騎士隊騎士団長と、ほんわかした少女のような可愛らしさのあるフロレンシアはなかなか対比があって面白いねぇ。

 実際、フロレンシア様との間は十五歳ほど離れているそう。実は一途でパワフルなところもあるフロレンシア様がアタックを続けてようやく夫婦になることができたそうだ。

 夫婦となった今でも恋人のような濃密な関係で、伯爵邸では愛を囁き合っているとか……王城で働いている姿からは想像もつかないんだけどねぇ。


 続いてサルヴァトーレ伯爵家。当主のモーランジュ=サルヴァトーレ伯爵お一人様。……理由は独身だから。

 かなりの地位だからそういった話が舞い込んできて早々に夫婦になってしまいそうなものの、婚約を結んだ相手もなく、騎士の道で仕事に邁進してきたからそういったことに積極的になることもなく、実際に見かねた前当主夫妻がお見合いを行ったこともあったものの、良い相手に巡りあうこともなくそのままなのだそうだ。

 実際、優良物件なので本日参加している独身令嬢達は獲物を狙うような目でモーランジュに狙いを定めているものの……まあ、確率はかなり低いだろうねぇ。


 続いてブラン伯爵家。当主のクィリナス=ブラン伯爵、ヘンリエッタ=ブラン伯爵夫人、フィネオ=ブラン伯爵令嬢。

 この三人は家族ぐるみで仲の良いスフォルツァード侯爵家の三人の近くにいる。

 ああ、今日もジャンヌとフィネオの百合が見られて……ご馳走様でした。


 他にコーニッシュ伯爵家のご夫妻と長男から三男まで三人の伯爵令息が参加しているものの、ヒョッドル=コーニッシュ伯爵令息は特務騎士のグループにいてこちらの一団には不参加。

 特に挨拶をする必要もないので(ry


 次は子爵家ゾーン。まずはブラックストーン子爵家。

 宮廷魔法師団団長も務める現当主のホネスト=ブラックストーン子爵、エウフェーミア=ブラックストーン子爵夫人、ジュード=ブラックストーン子爵令息。

 現在、ホネストはゲストのミーフィリア、そしてスザンナと談笑中。これまで仲が拗れていた宮廷魔法師団と魔法省が良い関係に戻ったことを内外にアピールするためなんだろうねぇ。


 続いてライブラリア子爵。ギルドロック=ライブラリア子爵、パトリシア=ライブラリア子爵夫人、メアリー=ライブラリア子爵令嬢。

 ……こちらに気づいたメアリーが少し驚いて、「なるほど、ローザ様が参加しないなんてあり得ないとは思っていましたが、やはりそういうことでしたのですわね」と合点がいったようだった。

 乙女ゲーム時代は人見知り設定で、実際に人見知りであったものの王女宮での生活を経てかなり改善されてきているみたいだねぇ(おどおどしているのは相変わらずなんだけど)。

 王女宮でも特に仲のいいソフィスと挨拶をしたいみたいだけど、タイミングを計りかねているみたいだ。……社交界のルールでは爵位の上の人から声を掛けられないと会話ができないし、自分からアタックというのは難しいから、なんとか気づいてもらえないかな? と念を送っているものの、伝わっていない……後でソフィスにメアリーのことを伝えておこう。


 続いて本日の主役の一角――ファンデッド子爵家。ロウズ=ファンディッド子爵、フラン=ファンデッド子爵夫人、アルマ=ファンデッド子爵令嬢、メレク=ファンデッド次期子爵。

 ロウズとフランは既に会場入りしていて、先程アルマとメレクが会場入りしたようだねぇ。その際、会場がざわついたようだけど、王太后様達の思惑通りにうまく運んだようだ。


 続いてレストレイ子爵家。陸上騎兵団騎兵長を務めるペルミタージュ=レストレイ子爵とエルティヒア=レストレイ子爵夫人。

 こちらもお二人で参加。部下を中心に騎士関係者に囲まれているみたいだねぇ。

 エルティヒア様はお優しい方で、屋敷を訪れるペルミタージュの部下達を手厚くもてなすことから高い人気を誇っているらしい。それに、元々貧乏な子爵家の生まれで社交界にもほとんど出ないことから「幻の奥様」などと呼ばれていたそうだ。今でも隙あらば社交界を引退しようと画策しているようで、あまりこういった場を好まないのは昔から変わらないそうだ。


 他にデーリアス子爵家のご夫妻と二人の子爵令息と五人の子爵令嬢が参加しているけど、カトリーヌ=デーリアス子爵令嬢は特務騎士のグループにいてこちらの一団には不参加。

 特に挨拶をする必要も(ry


 続いてジェルエスネ男爵家。天馬騎士団騎士団長を務めるイスタルティ=ジェルエスネ男爵とアクティ=ジェルエスネ男爵夫人。

 アクティ様はかつて男装して騎士団に所属していた、そういう意味ではディーエルに近い女性で、騎士としてかなりの実力を誇っていたそう。今でも男装していた頃の名残で、意識しない時の一人称は「僕」なのだそうだ。……ボクの認識だとボクっていうのは中性的だと思うんだけどねぇ。


 他にノッディルク男爵家のご夫妻と二人のノッディルク男爵令息とノッディルク男爵令嬢、プラードン男爵夫妻と二人のプラードン男爵令息が参加しているけど、ディーエル=ノッディルク男爵令嬢は騎士団のメンバーと共にいて、シュピーゲル=プラードン男爵令嬢は特務騎士のグループにいてこちらの一団には不参加。

 特に挨拶をする必要も(ry


 ……まあ、こんなところだねぇ。これだけいるけど、実際にこちらから挨拶することになるのはほんの少しになる予定。……その分、濃い内容になりそうだけど。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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