Act.8-54 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。第三部 scene.2
<三人称全知視点>
準決勝第二試合、ヴェモンハルト率いるパーティはヴェモンハルト、スザンナ、アゴーギク、ケプラー、ヒョッドル、シュピーゲル、カトリーヌ、リサーナ、ミーフィリア、ホネスト、ヴィクトス――つまりパーティの全メンバーで敵本陣に速攻を仕掛けた。
ヴェモンハルト達も普通に戦えば間違いなく敗北すると理解していた。
特に物理攻撃が弱点のオルカは魔法重視のパーティであるヴェモンハルト達にとっては極めて相性の悪い相手だ。第二回戦ではバチストが相性の悪いオルカを撃破しているが、長い時間が掛かっているため、とても現実的とは言えない。
第二回戦の時点で分散の作戦に変更された。ローザがこの準決勝で再び数の暴力を仕掛けるとは思えない。
可能性は無きにしも非ずだが、確率はかなり低いだろうとヴェモンハルト達は判断した。もし、数の暴力で仕掛けてきたのなら、その時は勝ち目が薄いと分かっていても全力で応戦するしかない。
トーナメントを勝ち上がるためには、究極的には敵の総大将を倒せばいい。
ヴェモンハルト達は唯一の勝ち筋であるDelphiniumと護衛としているであろうブリザードの最低二体を最低限の犠牲で撃破することを目標に動き出した訳だが、その第一の障害だった敵の数は望んだ通りDelphiniumとブリザードの二体で、ヴェモンハルト達の想定通り他の魔物達は散開して各々敵本陣を目指して突き進んでいることが明らかとなった。
◆
「「共振共鳴、真紅爆裂」」
「真なる凍結」
「クマの滑撃」
「骨喰の焔華」
「魔導武装! 分子裁断!!」
「酸性霧! 酸性槍」
「高速錬金術式」
「真・夜魔の女王の息吹-局所暴風-」
「宝石魔法・黒晶弾!」
「月銀の投槍」
同属性の魔力に対象となる魔法を転写し、対象と同じ状態から同レベルの魔法を発動する「共振共鳴」によって増幅され、四倍になったスザンナが完成させた水魔法と火魔法の複合からなる対人殺傷魔法を最適化して効率を上昇させ、魔力消費を削減した対人殺傷魔法「真紅爆裂」、物質の性質問わず均一に凍結させるアゴーギクのオリジナル減速系統氷属性魔法、クマの縫い包みリゼリゼを使ったリゼリゼに空中を滑らせて鋭い爪で攻撃させるリサーナのオリジナル無属性魂魄魔法、骨まで焼き尽くすほどの超高温な炎を操るケプラーのオリジナル魔法、酸性の霧を発生させるシュピーゲルのオリジナル酸魔法と水魔法の複合魔法から酸の成分を抽出し、瞬時に槍を生み出して攻撃するオリジナル酸魔法と水魔法の複合魔法への鮮やかなコンボ、空間跳躍、座標指定、透過能力を空間魔法で付与した空間魔法による干渉以外では回避不能な局所的に竜巻を発生させるミーフィリアの戦術級魔法の応用版、無数に展開されて放たれた月光のような輝きを放つ槍、耐酸性、耐塩基性、耐毒性、耐熱性、ダイアモンドを超える硬度と、ダイアモンドが持ち得ない高い靭性を兼ね備えた究極金属ブラックストーンの弾丸が次々とDelphiniumに殺到し、魔力を纏うことで身体強化を行った上で分子間力に干渉して分子結合を破壊し、対象を両断する魔法を剣に付与したヒョードルとオリジナル錬金術系金属性魔法で巨大な剣を生み出したカトリーヌが左右から挟撃を仕掛けた。
ヴェモンハルト達の最大火力を詰め込んだ奇襲だった……が、オーバーキルにすら思える高火力を浴びた筈のDelphiniumは大きく消耗していたものの撃破されてはいなかった。
「……ペンギンがいないな。従魔合神したのか」
無数の氷の結晶のようなものがDelphiniumの周囲に展開され、その防壁がほとんどの魔法を無効化したようだ。
『海賊剣士の速撃』
イベント職の海賊女帝が習得する最も速い斬撃を五連続で浴びせる特技を発動したDelphiniumがヒョードルを切り捨て、流れるような剣捌きでカトリーヌを撃破した。
『海賊式決闘! 滅びの幽霊海賊船!!』
イベント職の海賊女帝が習得する攻撃力と敏捷と幸運値を上昇させる代わりに防御力を低下させる特技を発動したDelphiniumが、上空に巨大な半透明の海賊船を顕現させて落下させた。
ホネスト、ヴィクトス、リサーナの三人は逃げ遅れて半透明の海賊船に押しつぶされて撃破され、海賊船から現れた無数の半透明の骸骨の海賊達がヴェモンハルト、スザンナ、アゴーギク、ケプラー、シュピーゲル、ミーフィリアに襲い掛かる。
『凍冽の秘剣』
最も距離が近いアゴーギクに狙いを定めたDelphiniumはイベント職の海賊女帝が習得する触れた相手を瞬間凍結させる特殊な水を武器に纏わせる特技を発動して凍結させた後に打ち砕いてアゴーギクを仕留めるのとほぼ同時に半透明の骸骨の海賊達が銃撃でシュピーゲルを蜂の巣にして仕留めた。
一気に戦力が減らされ、ヴェモンハルト達は残りヴェモンハルト、スザンナ、ケプラー、ミーフィリアの四人となった。この時点で作戦は破綻をきたしているが、Delphiniumが黙って逃がしてくれるような相手ではない以上、ヴェモンハルト達に撤退という選択肢はない。
「骨喰の焔華」
『焔という概念を凍らせる焔。絶対零度の極寒地獄』
ケプラーは骨まで焼き尽くすほどの超高温な炎を放つも「焔すらも凍らせる、あらゆるものを凍らせる異界の焔」によって凍らされ、絶対零度の極寒で瞬時に凍てつかせる魔法系四次元職の大魔導帝が習得する氷属性魔法の奥義で氷像に変えられた。
『海賊剣士の速撃』
イベント職の海賊女帝が習得する最も速い斬撃を五連続で浴びせる特技を発動したDelphiniumがケプラーを切り捨て、次にミーフィリアに狙いを定める。
「蒼氷の女王の尖兵! 灼熱の女王の白霧」
『氷の尖兵を作り出す魔法』、『作り出した氷を分解する魔法』、『空気中の水分と氷像の水分を凝固させる魔法』の三つからなる複合魔法で最初に氷の尖兵を作り、『作り出した氷を分解する魔法』、『氷を熱して水蒸気に変える火魔法』、『水蒸気の分子を加速させる火魔法』によって「蒼氷の女王の尖兵」で生み出した氷の尖兵を核として水蒸気爆発を発生させて迫り来るDelphiniumを巻き込ませると、ミーフィリアは「錯覚する時間の連続」で時間的幻影を残しつつ、「空間瞬間転移魔法-アプリション・アンド・ディサパーリション-」で水蒸気爆発の範囲外に転移した。
Delphiniumが満身創痍で水蒸気爆発の中から飛び出してくるのを確認し、ヴェモンハルトとスザンナが「共振共鳴」によって増幅され、四倍になったスザンナが完成させた水魔法と火魔法の複合からなる対人殺傷魔法を最適化して効率を上昇させ、魔力消費を削減した対人殺傷魔法「真紅爆裂」を、ミーフィリアが時間魔法の球体により対象を包み込み、時の流れを奪うことで一時的に相手を時間停止、或いは低速状態にする「強奪する時間の拘束」を発動してから「空間切断魔法-スペーシャル・カット-」で切り刻む。
流石にDelphiniumも耐え切れず、無数のポリゴンと化して消滅した。
◆
Delphiniumとブリザードを撃破したものの、ポイント的にはDelphiniumパーティを上回ることができなかったため、準決勝敗退となったヴェモンハルトパーティ。
この時点で決勝戦の対戦カードが決まった。
-----------------------------------------------
・決勝戦
◆チーム一
ローザ、エヴァンジェリン、欅、梛、樒、椛、槭、楪、櫻、ペルちゃん
vs
◆NPCチャレンジクラスチーム
Delphinium、ブリザード、シャーベット、オルカ、バトラコ、柑橘の魔女シトラスクイーン
-----------------------------------------------
このNPCが勝ち残ってしまった結果を目の当たりにしたローザは「ゲームバランス間違えたねぇ」と苦笑いを溢した。
お読みくださり、ありがとうございます。
よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)
もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。
それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。




