表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
481/1358

Act.8-53 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。第三部 scene.1 下

<三人称全知視点>


 カノープスとメネラオスは、森の一角で吸血姫と翼を広げて飛翔するリーリエ(の姿をしたペルシウム)と遭遇していた。


「ローザではないね。雰囲気が違い過ぎるよ」


『僕の変身能力も上がっていると思ったんだけどな』


「前に一度ローザに化けていたことがあっただろう? あの時から見分ける方法を私も模索していたからね。……さて、お父様。彼は本物のリーリエに数段落ちるとはいえ、能力自体はリーリエとほとんど変わらない強敵だ。どう仕掛ける?」


「無論、誰が相手だろうと変わらない――暗殺するだけだ。漆黒暴奔流砲ダークレイ・ディザスター


 メネラオスの右手の掌に展開された黒い魔法陣から漆黒の魔力の奔流が放たれる。

 ペルシウム(リーリエ)は吸血姫の翼を駆使して漆黒の魔力の奔流を躱すと――。


極技・終焉波動剣エターナル・ハイウェイヴ・ソード!! マナフィールド-大魔導覇斬-!!!』


 イベント職の剣聖が習得する最上級のバフ特技で物理攻撃力とクリティカルを大幅上昇させたペルシウム(リーリエ)はローザのオリジナル無属性魔法斬撃で外魔法を発動して大気中の魔力を圧縮して力任せにぶっ放した。

 狙われたカノープスは《姿眩瞬移》でペルシウム(リーリエ)の背後に転移することで攻撃を免れたが、魔力の流れが掻き乱された今の状態では回復するまでしばらくカノープスとメネラオスは魔法を使えないことになる。


 カノープスは武装闘気を纏わせた異様に厚みのある黄色く鋭い爪で背後から奇襲を仕掛けるが、見気を駆使した紙躱によってあっさりと躱され――。


時空崩壊ワールドクロック・コラプシス


 ペルシウム(リーリエ)はヨグ=ソトホート討伐のラストアタック報酬として入手できる限定職の時空魔法神を最大まで育て上げることで獲得できる特技を使い、狙い付けた空間の時空を滅茶苦茶に捻って消し飛ばす。

 《姿眩瞬移》で逃げる前に時空諸共捻られたカノープスはポリゴンとなる間もなく消滅した。


 空歩を駆使して上空へと上りながら『黒刃天目刀-可変-』で武装闘気を纏わせた【魔導弾丸】を放ってくるメネラオスの攻撃を全て紙躱で躱すペルシウム(リーリエ)


天上の霹靂降霆セレスティアル・サンダー


 そして、完全に接近される前に魔法系四次元職の大魔導帝が習得する雷属性魔法の奥義を発動し、猛烈な雷撃を次々と発生させてメネラオスの周囲に縦横無尽に雷撃を走らせる。

 メネラオスは雷撃を躱し切れずに消し炭になり、ポリゴン化する間もなく崩れ落ちて戦場から姿を消した。



 欅と従魔合神しているリーリエはそのままの状態で戦場を駆け抜け、あっという間にピトフューイとエイミーンのいる敵本陣に乗り込んだ。


「来てしまったのですよぉ!? ちょっと早過ぎるのですよぉ!!」


 と、表向き動揺しているように見せているエイミーンだが、実は隠し球を用意してやる気満々だ。

 『補助結晶(ブースター)』を忘れ、誕生日の二次会を抜け出して取りに行きたいと言い出しづらく、結果として残る時間を使い果たして賭けに出たエイミーンはつい先程賭けに勝って新たな力を得た。


 魂魄の霸気《奏者》――魔法容量を一切消費せず、最大八個まで魔法をストックすることができる《保管者》を更に極め、【再解釈】することで至った境地だ。自身の魔法適性を十二重奏(デュオデクテット)まで引き上げる《唱者》と《保管者》の二つを有する。

 これにより、エイミーンは最大八個の魔法をストックして、更にそれとは別に十二重奏(デュオデクテット)までの魔法を発動できるようになったのだ。五大術式を全て使える十二重奏(デュオデクテット)に至るということの意味は大きい。


 しかし、エイミーンはすっかり失念していた! リーリエは魂魄の霸気を複写する力を持っていることを。

 自分の魂魄の霸気のお披露目が諸刃の剣であることを思い出すまで後……僅か。



「ピトフューイさん、よろしく頼むのですよぉ〜!」


「仕掛けるぞ、スサノオ!」


『承知した!』


 ピトフューイの隣にいた稀人神(マロウドノカミ)建速須佐之男命タケハヤスサノオノミコトが「天叢雲剣」を発動した。

 光の魔力を固めた煌くの剣を伸ばし、斬りかかったスサノオに対し、圓は双剣を翼の如く広げると左の剣で圓式の神速の斬撃を放って煌くの剣を粉砕し、右の剣でコアを狙い容赦なく突きを放った。


『荒魂顕現』


「黄泉比良坂」


 スサノオが闇の魔力を纏うことで身体能力を底上げすることで間一髪リーリエの斬撃を紙一重で躱すことに成功し、ピトフューイの放った蛇のように執念深く敵を狙い喰らうように襲う無数の闇条がリーリエに殺到した。


「残念だねぇ、それじゃあボクは倒せないよ」


 リーリエが発動した「ブラックホール・フラグメント」に無数の闇条が飲み込まれて消滅し、「千羽鬼殺流・貪狼」によって一気に間合いを詰めて放たれた「殺戮者の一太刀エクスターミネーション」によってスサノオがコアごと両断された。

 更に「空間魔法-リアル・ディスタンス・ディスターブ-」と「空間魔法-センソリー・ディスタンス・ディスターブ-」のコンボによってピトフューイの距離感が狂わされたまま一気に間合いを詰められ、今度はスティーリアの魂魄の霸気《暗殺者》で「殺戮者の一太刀エクスターミネーション」を発動しら武器を大きく振り回して敵の首を刈るイメージで高確率の即死効果が付与された暗殺者に相応しい一撃を浴びせてピトフューイを撃破する。


「ちょっと、あっさり撃破され過ぎなのですよぉ! もっと頑張って欲しかったのですよぉ!!」


「大丈夫、すぐに後を追わせてあげるからねぇ♡」


「笑顔が不気味だし、言っていることが物騒なのですよぉ〜。でも、安心するのですよぉ〜、私には「第四防衛術式プリティヴィー・ムドラーが――」


時空崩壊ワールドクロック・コラプシス


 ヨグ=ソトホート討伐のラストアタック報酬として入手できる限定職の時空魔法神を最大まで育て上げることで獲得できる奥義によって狙い付けた空間の時空を滅茶苦茶に捻って消し飛ばされた。

 時間的、空間的に断絶を一時的に発生させることで一切の攻撃を遮断する究極の物理防御が粉砕され、無敵防御が崩壊する。


「あっさり壊されたのですのぉ! でも、連鎖爆散(チェイン・バースト)、これなら躱せないのですよぉ!!」


 発動したのは、対象範囲に存在する概念の一時的な書き換えるという強力無比でありながら、一方で幅が広過ぎて使い方によっては活かし切れないという厄介極まりない魔法である。

 「第零改変術式(アカーシャ・ムドラー)」で書き換えられるのは、基本的に一概念についてのみで、魔法の使用が終了した時点で変化した概念は元に戻る。


 ローザがこの魔法に明確な使い道を設定し、完成させたのが特定の素材を指定し、その素材を書き換えることで爆破させ、更にその爆発に巻き込まれた対象物質を誘爆させることで連鎖爆発を巻き起こす「連鎖爆散(チェイン・バースト)」だ。

 爆発に巻き込まれたが最後、影響範囲内の全ての対象物質が爆発に巻き込まれ威力を増しながら被害は拡大していく。


 例えば、酸素や水、魔力を指定すればその攻撃範囲は星全土に及ぶだろう。

 それほど恐ろしい魔法の対象に窒素を指定したエイミーンだが、リーリエは全く臆することなく「大規模術式崩壊グラム・ディストラクション」を発動し、一瞬にして無効化してみせた。


「せ、折角使えるようになった大魔法だったのですよぉ〜! 使わせてくれないなんてケチ、なのですよぉ!」


「ケチって……まあ、いいや。しかし、使えるようになったんだねぇ?」


「な、なんのことなのですよぉ?」


「へぇ、魂魄の霸気《奏者》か。いい魂魄の霸気だ」


「……あっ、すっかり忘れていましたのですよぉ。この人、他人の魂魄の霸気をコピーできるのですよぉ〜。……折角手に入れたのに、つ、使わないで欲しいのですよぉ」


「新しく手に入れたものを使いたくなるのは人間の性じゃないかな? 第一転移術式(ヴァーユ・ムドラー)


 魔力そのもので複雑な術式を編むことで大規模な事象改変を可能とするエルフ固有の魔法――五大術式の一つを発動し、別の座標に存在する物体と空間を指定し、空間ごとエイミーンを目の前に転移させたリーリエは圓式で神速の斬撃を浴びせてエイミーンを無数のポリゴンへと変えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ