表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/1357

月刊チャレンジクエスト 2022.4

<三人称全知視点>


 月刊チャレンジクエスト、通称チャレクエは多種族同盟の時空騎士(クロノス・マスター)達に定着し、月に一度更新される猛者との戦いは一部戦闘狂達を中心に人気を集めている。

 時空騎士(クロノス・マスター)全員が戦闘狂という訳ではないが、全力を尽くしてなお勝てるか勝てないかの瀬戸際という強敵に調整されているため、修行の相手としては申し分ない。

 また、規定の条件下で発狂状態となり、攻略難易度が増すという設定も搭載されていることが多く、駆け引きの場面も多い。戦略性が高い戦いを楽しむことができるのも月刊チャレンジクエストならではと言える。


 今回、更新されたばかりの月刊チャレンジクエストに挑むのはポラリス、シューベルト、モネ、ヴァーナム、ジョナサンというフォルトナ=フィートランド連合王国の関係者とその転生者で構成された連合チームだ。

 予め申し合わせて集まった訳ではなく、受付付近で集まってことを切っ掛けに結成した即席パーティだが、同じ戦場を共に駆け抜けた経験のある者達ばかりであり、連携に不安はない。……若干独断専行しそうな者がいるのが不安要素ではあるが。


「ポラリス第六師団長殿に、総隊長殿に、総隊長補佐殿に、ヴァーナム冒険者ギルド本部長殿に、ジョナサン神父、珍しい組み合わせですね」


「ルーネス殿下!?」


 バトル・クエストの施設内でルーネスの姿を発見し、ルーネスに最敬礼するポラリスにルーネスは苦笑いを浮かべた。隣にはルーネスと共に敬われるべきサレムとアインスの姿もあるのだが、目が節穴のポラリスにはどうやら仕えるべき主君以外は見えていないらしい。……まあ、サレムとアインスも長い付き合いなのでポラリスの性質や重々承知の上ではあるが。


「……お久しぶりでございます、ルーネス殿下、サレム殿下、アインス殿下。……それで、オニキスさん? ファントさん? 今回の月刊チャレンジクエストはクリアできたのか?」


「それがなぁ……惨敗してしまってさてどうしたものかと考えていたところだ」


「――オニキス! ファント! 貴様らがついていながらどういうことた! ルーネス殿下の顔に泥を塗らないように全力を尽くしてでもお守りし、勝利しなければならないに決まっているではないか!」


「……いや、それ言うならルーネス殿下だけじゃなくてサレム殿下とアインス殿下もだからな? 相変わらず目が腐ってやがる」


「……今回は圓先生の前世で命を奪ったあの魔物達が相手だったので勝ちたいと思って戦いに挑みましたが、まさに初見殺しという相手でした」


「初見殺しですか? ワクワクしますね」


「ヴァーナムが想像しているような奴じゃ間違いなくないけどな。まあ、挑んでみれば分かると思うぜ?」


「僕達はもう少し作戦を練ってから再度挑戦してみるよ。ポラリスさん、シューベルトさん、モネさん、ヴァーナムさん、ジョナサンさん、頑張ってね!」


 ルーネス達に見送られ、ポラリス達は受付をして月刊チャレンジクエストのフィールドへと入っていった。



『それでは、バトル開始!』


-----------------------------------------------

【The three-necked skeleton centipede】 の ボーン・オブ・ガーディアン

【The three-necked skeleton centipede】 に 999回攻撃を100%カットするバリアを付与

【The three-necked skeleton centipede】 の ステータスダウンを四十五分無効化

【The three-necked skeleton centipede】 の 状態異常を四十五分無効化

-----------------------------------------------


 戦闘開始早々、三体の鋭利な骨によって構成されたムカデを束ねたような化け物――【The three-necked skeleton centipede】が完全ダメージカットバリアを九百九十九枚張った後、ステータスダウンと状態異常を四十五分間無効化した。


「……ダメージカットバリアですか。厄介ですね」


「ふん、バリアの枚数を超える攻撃を浴びせれば済む問題だ」


「ふーん、でも意外と普通だよね。ということは、他にギミックがあるってことかな? 楽しみだね」


-----------------------------------------------

【The flame devil king】 の ジャイアントキラー

【The great frost giant】 に 100のダメージ

-----------------------------------------------


 ジョナサンが楽しそうに笑みを浮かべる中、ジョナサン達が攻撃を仕掛ける前に【The flame devil king】も攻撃を開始した……のだが、その攻撃対象は何故か【The great frost giant】だ。


「――ッ! 貴様、舐めているのか!? 同士討ちをしても勝てる相手だといいたいのか!?」


 ポラリスが相手がCPUであることも忘れて激昂し、シューベルトも青筋を立てて【The flame devil king】を睨め付ける中、モネのヴァーナムは注意深く【The great frost giant】を観察した。


-----------------------------------------------

【The great frost giant】 の デビルスレイヤー

【The flame devil king】 に 6,460,000のダメージ

-----------------------------------------------


「「……なるほど、そういうことでしたか」」


「ルーネス殿下達が言っていた意味が分かったね。……実質ターン制ということか。圓さんも面白いことを考えるね」


「……モネ、ヴァーナム。どういうことか説明してもらおうか?」


「総隊長殿はどうやら気づいていないようですね。このまま【The great frost giant】と【The flame devil king】が殴り合いをし続けた場合、【The flame devil king】はデビルスレイヤーを三発食らって死にます」


「まあ、そういう計算だな。だからどうした?」


「サレム殿下は初見殺しと仰っていました。しかし、四十分以降の発狂状態への移行は既に前例がいくつかあります。……オニキスさんにファントさんまでいる状況で負けたということは、恐らくそれ以外のギミックがあったということです。戦闘時間以外の制限時間があるとすれば、それは【The flame devil king】が死ぬまでの時間ということになります。……恐らく、【The great frost giant】か【The three-necked skeleton centipede】、或いは両方には【The flame devil king】が死亡することで何かしらの強化が施されるか、発狂状態になるようにプログラムされているのだと思います」


「まあ、【The flame devil king】の死亡という括りではなく、個体数が二以下という括りの方が正しいと僕は思うけどね」


「……ということは、デビルスレイヤーが後二回使われる前に【The great frost giant】か【The three-necked skeleton centipede】を倒してしまえば良いということか!!」


「二択じゃなくて、制限時間以内に【The great frost giant】を倒せという圓さんのメッセージだと僕は思うけどね」


 と言いつつ、武装闘気と覇王の霸気、神光闘気を剣に纏わせ、魂魄の霸気《落花生》を発動して偽物ではないもう一人を創り出して同時攻撃を【The great frost giant】に仕掛けるジョナサン。

 【The great frost giant】が放った物理攻撃で威力超々々々特大という喰らえば即死間違いなしの攻撃「バニシングクラッシュ」も紙躱を駆使して擦ることすらなく躱し、【The three-necked skeleton centipede】と【The flame devil king】が次の攻撃を仕掛けてくる前にHPゲージを半分まで削った。


 そこに、モネとヴァーナムが参戦し、武装闘気と覇王の霸気を纏わせた剣で次々と斬撃を刻み込んでいく。

 堪らず【The flame devil king】が絶叫し、威力特大に加え、盲目のバッドステータスを付与と強化抹消の効果を持つ部屋全体対象魔法攻撃「ドライビングクラッシュ」を放つが、全身に纏った武装闘気で攻撃を軽減、更に解除された武装闘気、覇王の霸気、神光闘気を纏わせ直し、失った視力は見気で補填してそのまますぐに攻撃を再開する二人のジョナサン、モネ、ヴァーナムの四人。


 更にここに魂魄の霸気《蒼騎士》を発動し、創り出した剣に武装闘気と覇王の霸気を纏わせ、その上から灼熱の炎を刀身に纏わせて渾身の刺突を放つ火属性魔法「焔獅子の神速突ヒートソニック・ピアッサー」を発動したポラリスとあらゆるものを破壊する破壊の概念を宿す《大魔王》を発動し、更に武装闘気と覇王の霸気を纏わせたシューベルトが加わり、【The flame devil king】は四回目の攻撃をすることなく無数のポリゴンと化して消滅した。


 その後、六人の攻撃対象は【The flame devil king】にシフトする。

 六人の攻撃は苛烈を極め、【The great frost giant】が放った「デビルスレイヤー」のダメージも相まって、【The flame devil king】よりも簡単に撃破することに成功した。

 ……ただ、その過程で「慈悲無き悪魔のサバト」を浴びてしまい、炎上のバッドステータスを付加され、毎ターンスリップダメージを負ってしまうことになったが。


-----------------------------------------------

【The three-necked skeleton centipede】 の ボーンラッシュハリケーン

-----------------------------------------------


 【The three-necked skeleton centipede】が敵に連続で骨を投げつける敵全体攻撃を放つが、ポラリス達は見気で紙躱を駆使して全ての攻撃を回避、そのまま六人で攻撃を仕掛ける。

 やはりバリアが厄介で破壊するまでには時間が掛かったが、バリアが破壊された後は少しずつHPゲージが減っていき、チャージ攻撃を使われる前に【The three-necked skeleton centipede】の討伐に成功した。


 ちなみに、バリアの破壊が面倒くさいと「武装解除(エクスペリ・アームズ)」などの魔法に頼った場合は事実上の単体即死攻撃の「アンチ・バリアブレイカー」を食らって一人が犠牲になるというギミックが用意されていた。


 ちなみに、ルーネス達のパーティは【The three-necked skeleton centipede】が「ボーン・オブ・ガーディアン」を使ったタイミングでサレムが「武装解除(エクスペリ・アームズ)」を発動してしまい、「アンチ・バリアブレイカー」を浴びて撃破されてしまう。

 残るオニキス、ファント、ルーネス、アインスの四人で戦うも【The great frost giant】と【The flame devil king】の殴り合いギミックに気づくのが遅れてしまった結果、発狂モードでのみ使用が解禁される「エターナルフォース・オブ・アヴァランチカノン」を食らって全滅したという結果だった。圓の用意した罠に二重に引っかかったという結果である。


 ちなみに、二度目の挑戦でルーネス達は同じメンバーで【The three-necked skeleton centipede】、【The great frost giant】、【The flame devil king】の撃破に成功した模様だ。

 サレムは後に、「ギミックさえ分かって攻撃を耐えられるほどの力があれば、他の月刊チャレンジクエストの敵と然程大差ない強さの敵でした」と語っている。……まあ、倒せるように難易度設定されているので当然と言えば、当然なのだが。


 この月刊チャレンジクエストは、サレム達の中で倒す順番によっては厄介な状況になるギミックのクエストとして心に刻まれることとなった。
























◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


◆2022年4月 月刊チャレンジクエスト


・【The three-necked skeleton centipede】


-----------------------------------------------

名称:The three-necked skeleton centipede 属性:鋼

HP:21,000,000 チャージまで十九ターン DEF≥MDF


通常攻撃

・ボーン・オブ・ガーディアン 自身に999回攻撃を100%カットするバリアを張る+自身のステータスダウンを四十五分無効化+自身の状態異常を四十五分無効化

・アンチ・バリアブレイカー 敵単体に0.00000000001%ダメージカットバリアを張る+次回確定攻撃命中+ 物理・威力超々々々特大) ※正攻法以外で直接バリアを解除しようとした場合に使用

・クラッシュボーン 敵単体攻撃(物理・威力特大)

・スペシャルボーンラッシュ 敵の頭上から骨を降らせる敵全体攻撃(物理・威力大)

・ボーンラッシュハリケーン 敵に連続で骨を投げつける敵全体攻撃(物理・威力特大)

・フォース・オブ・ボーン チャージカウントを最大にする ※戦闘開始から四十分経過した時に使用し、次の攻撃は確定で「フェイタル・デス・ボーン・インフェルノ」になる。


チャージ攻撃

・慈悲なき骨蜈蚣の乱心 敵全体攻撃(物理・威力超々特大+自身に0.00000000001%ダメージカットバリアを張る

・Death fire-blue burst 敵全体攻撃(魔法・威力超々特大+自身に0.00000000001%ダメージカットバリアを張る)

・フェイタル・デス・ボーン・インフェルノ 敵全体攻撃(敵全体に0.00000000001%ダメージカットバリアを張る+ 物理+魔法・威力超々特大+低確率即死+自身に0.00000000001%ダメージカットバリアを張る)

-----------------------------------------------


・【The great frost giant】


-----------------------------------------------

名称:The great frost giant 属性:氷

HP:31,000,000 チャージまで二十五ターン DEF≥MDF


通常攻撃

・バニシングクラッシュ 敵単体攻撃(物理・威力超々々々特大)

・ブリザードクラッシュ 部屋全体に吹雪による攻撃(魔法・威力大+盲目のバッドステータスを付与)

・ドライビングクラッシュ 部屋全体に吹雪による攻撃(魔法・威力特大+盲目のバッドステータスを付与+強化抹消)

・デビルスレイヤー 【The flame devil king】に対する攻撃(物理・最大 HPの34.0%)


チャージ技

・大いなる霜の巨人の猛吹雪 部屋全体に吹雪による攻撃(魔法・威力大+体温低下による移動力低下と身体能力にほとんど行動不能になるほどのペナルティ)

・エターナルフォース・オブ・アヴァランチカノン 敵全体に雪崩による攻撃(物理・敵全体に0.00000000001%ダメージカットバリアを張る+威力超々特大+自身のSPDを中アップ+命中した相手に「物理・威力超々特大」のスキルカードを100枚設置) ※エネミー≤2

-----------------------------------------------


・【The flame devil king】


-----------------------------------------------

名称:The flame devil king 属性:火

HP:19,000,000 チャージまで五ターン DEF≤MDF


通常攻撃

・トリプルフレアショット 敵単体攻撃(物理・威力大×3+低確率で炎上のバッドステータスを付加)

・フレイムカウンター 敵の近距離攻撃に対するカウンター(魔法・威力大)

・色無き悪魔の焔の矢 敵単体ヘイトすり抜け攻撃(魔法・威力超特大+防御貫通+ステルス攻撃)

・慈悲無き悪魔のサバト 【The flame devil king】を中心に激しい炎が上がり、範囲内の敵を焼き尽くす(魔法・威力超々特大+確定で炎上のバッドステータスを付加)

・ジャイアントキラー 【The great frost giant】に対する攻撃(物理・100ダメージ固定)


チャージ技

・紅蓮の悪魔の煉獄顕現  【The flame devil king】を中心に激しい炎が上がり、範囲内の敵を焼き尽くす(魔法・威力超々特大+命中した相手に「魔法・敵単体に0.00000000001%ダメージカットバリアを張る+威力超々特大」のスキルカードを1枚設置」+確定で炎上のバッドステータスを付加)

-----------------------------------------------

 お読みくださり、ありがとうございます。

 よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)


 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ