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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 6. フォルトナ王国擾乱〜戦闘メイドと逃亡癖のある大臣に転職した最強の漆黒騎士と副団長、自らの死の真相に挑みます〜

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Act.6-16 対帝国前哨戦〜フォルトナ王国擾乱〜 謎解き 中篇 scene.1

<一人称視点・アネモネ>


「さて、本日はお忙しい中お集まり頂きまして誠にありがとうございます。既に皆様ご存知かとは思いますが、改めて自己紹介を、隣国ブライトネス王国でビオラ商会の商会長を務めているアネモネと申します」


「ああ、そういうのはいらねぇからとっとと推理とやらを聞かせてくれ。ってか、お前のそのプロフィールだって偽物だろ?」


「全く失敬だねぇ、ボクのアネモネとしてのプロフィールは紛うことなき本物だよ。ただし、語っていない隠している部分が大半だっていう話」


 部屋に集められたのは、オルパタータダ、アクア、ドネーリー、正妃のイリス、側妃のシヘラザード、宰相のアルマン。王子達や騎士団の関係者は呼んでいない……王子達には王宮のドロドロとした部分を見せたくないし、騎士団のメンバーが加わると拗れそうだからねぇ。まあ、王子たちに関しては薄々勘づいていると思うけど。

 事情を知らないイリス、シヘラザード、アルマンの三人は国王相手に馴れ馴れしく話すボクに内心驚きを隠せないようだ。

 時間魔法の束縛から解放され、現在ディランからコピーした《影》によってその動きを完全に封じられている侍女は一切表情を変えないまま置物に徹している。


「さて、どこから話せばいいかな? やっぱり、物語は最初の地点から話すのがベターかな? まあ、最初は俄には信じ難い話から入らないといけないけど、紛れもない事実だからそこは信じられなくても信じて、余計な茶々は入れないでもらいたいねぇ」


 最初は何故ボク達がこの国に来ることになったか、という動機から。


「今からそう遠くない未来に、フォルトナ王国国王オルパタータダ陛下と第一王子ルーネス殿下が毒殺される。あっ、ルーネス殿下と二人纏めて殺される訳じゃないからねぇ? オルパタータダ陛下が殺されたのとほぼ同時期にフォルトナ王国最強とされた漆黒騎士団が何らかの理由により全滅する。身の危険を感じた第三王子アインス殿下は親戚筋にあたるスフォルツァード侯爵家を頼ってブライトネス王国に避難。その後、魔法学園に通うことになり聖女候補のマリエッタと親密になった場合……ならなかった場合どうなるかは本当に知らないけど……アインス殿下は国に戻りルーネス殿下を推そうとするんだけど、その最中にルーネス殿下は暗殺され、アインス殿下はルーネス殿下の意志を継いで国王として即位することを目指すことになる。そこからはトゥルーエンドならアインス殿下はサレム殿下を倒して次の王位につく。一方、サレム殿下がアインス殿下の暗殺に成功すると、サレム殿下は王太后となって権力を恣にしようと考えていたシヘラザード様やお零れに預かろうと思っていたサレム派の上位貴族をも殺害し、フォルトナ王国に史上稀にみる暴君が誕生する。まあ、そんなノリ?」


「な、何を言っているのよ! オルパタータダ陛下、この女の言っていることは出鱈目だわ!! 出鱈目なことを言って国を惑わそうとしているのよ!!」


「いや、ノリって軽くね? 俺殺されているし、漆黒騎士団全滅しているし、俺の子供達が殺し合っているし、ディストピアなんだけど? よく、そんな軽い感じに喋れるよな?」


「別にボクはブライトネス王国が滅ぼうがフォルトナ王国が滅ぼうが知ったこっちゃないっていうスタンスだからねぇ。愚かな治世で国が滅茶苦茶になっても、それはその国の人々の自己責任。必要以上に口出しされたって困るでしょう? で、なんでボクがそんな未来のことを知っているのか? って話なんだけど、答えはボクと一緒にこの国に来た二人がそのことを知っていたからなんだよねぇ」


「ビオラ商会のアネモネ会長のメイドのアクアと名乗っていましたが、正確にはブライトネス王国ラピスラズリ公爵家の使用人のアクアと申しますわ。前世は部下達が順番に倒れていく姿を見ていることしかできなかった不甲斐ない漆黒騎士団団長オニキス=コールサックです」


「ビオラ商会の職員ドネーリー=テネーブルって名乗っていたが、実際はブライトネス王国のヴァルグファウトス公爵家の次男ディラン=ヴァルグファウトス、大臣様だぜ? ちなみに、前世は副団長のファント=アトランタ。前世から随分と出世しちまったなぁ。あっ、大臣の仕事は俺の影武者がきっちりやっているから安心していいぜ?」


「宰相のアーネスト様からも、他の文官からも心を入れ替えたディラン大臣は以前のディラン大臣よりも断然いいって高評価をもらっていたよ? もういっそ大臣影武者に譲ったほうがいいんじゃない?」


「酷くね? 親友」


「アハハハ、超ウケる! 大臣解雇だとよ!!」


 ドネーリー改めディランと、オルパタータダが盛り上がっているだけで、置いてきぼりだよ? 他のメンバー。


「そして、最後にボクはラピスラズリ公爵家の長女――ローザ=ラピスラズリ、今年で五歳になるねぇ。まあ、前世が十七で死んでいるから、通算で二十二だけど。さて、なんとなくボク達の関係とフォルトナ王国に来た目的が分かったと思うけど、そろそろ本題に入っていいかな?」


 ……この時点で、既にイリス、シヘラザード、アルマンの三人は頭の処理が追いついていないようだった。ここで小休憩を挟みます。続きはCMの後……『ドリルお嬢様の優雅なお茶会』の宣伝でも流しておこうかな?



<一人称視点・ローザ=ラピスラズリ>


 CMは冗談だよ? さて、そろそろ落ち着いてきたみたいだし、話を続けるとしますか。


「つまり、ローザ様とアクア様、ディラン様の三人はフォルトナ王国の内乱を避けるためにこの国にお越しになったということですね?」


「イリス様の仰る通りアクアとディランさんに関してはそうだねぇ。ボクはグレーかな? さっきも公言した通りこの国がどうなろうと知ったことじゃないって立ち位置だからねぇ。ただ、ボクにとって家族(・・)にも等しいアクアとディランさんが自分達の死の理由を知りたい、フォルトナ王国の運命を変えたいってそう望んだから協力したっていうのも理由の一つ」


「まあ、随分と捻くれているが、俺達の国の未来を憂いて、この国に来てくれたってことは確かだと思うぜ? なっ、親友」


「ラインヴェルド陛下とオルパタータダ陛下って絶対に親友になったら後悔する人ランキングの上位に食い込むよねぇ? さて、続きを話そっか? 運命を変えるにあたり、ボクはサレム殿下とルーネス殿下、アインス殿下の関係改善のために行動した。家庭教師役はそれに最適だからとそこのクソ陛下が勝手に任命したんだけど。ただ、それはシヘラザード様やサレム派筆頭の宰相アルマン様にとっては面白くない展開……更にサレム殿下に虐待を行っていたことに気づき、イリス様がサレム殿下とシヘラザード様を引き離したことも大きな怒りの要因となった。アネモネさえいなければ、と思うのは当然だよね?」


「だから何よ! 私が何かをやったとでも言うの!?」


「はい、ここで証拠VTRいきます。どうぞ」


 『管理者権限』と「E.DEVISE」を強引に接続し、画面を全員が視認できる状態にして拡大する。

 流れたのは「サーチアンドデストロイ・オートマトンプログラム」で撮られた映像の一部始終。シヘラザードがアネモネ暗殺を命じ、命じられたアルマンが暗殺者に声を掛けて依頼するところまで。


「まあ、シヘラザード様に関しては何となく分かったと思うけど、ここで人物像が掴めないアルマン宰相に関して補足説明を。彼らはサレム殿下が天下を取った後に混乱に乗じてサレム殿下とシヘラザード様を殺害して自分が王座に座ることを狙っていた。これまで散々シヘラザード様に扱き使われてきた、その対価として。彼はフロンサック公爵家の裏家業を継承し、随分と法に触れることをしてきたみたいだけど、宰相としてはごくごく真面目に仕事をしてきた。そのことを加味してフォルトナ王国の方で適切な処分を下すことを部外者の立場だけど切に願っている。シヘラザード様もどうしようもない勘違い女だけど、彼女の息子――サレム殿下に罪はない。可能性の未来でも、彼は環境に歪められて暴君になってしまう訳だからねぇ。……シヘラザード様、母親なら少しは子供のことを考えるべきじゃないのかな? 子供は政治の道具じゃない、その子供が自分の人生を最高なものにできるようにサポートするのが親の役目だ、そうあるべきだと思っている。子供は親の強くてニューゲームじゃない。……じゃないと、サレム殿下が可哀想だよ。まあ、ボクが言うべきことじゃないと思うけどねぇ」


 無言のまま俯くアルマンと、黙り込んでしまったシヘラザード。

 いつか、サレムとシヘラザードが本当の意味で親子になれる未来を祈りつつ――。


「さて、アルマン様。聡明な宰相様にご質問です。サレム殿下がアインス殿下を倒し、この国にフォルトナ王国の王位継承権を持つ存在はサレム様だけになりました。その未来で最後に覇権を手にするのは一体誰でしょう?」


「何を今更。もう私にもシヘラザード様にも天下を取ることはできない……私の完敗だ。少しはシヘラザード様に意趣返しをしたかったのにな」


「いや、そうじゃなくて、敗北宣言しなくていいから? で、答えは?」


「……お前の話通りなら、サレム殿下が天下を取るか、私かシヘラザード様が天下を取るか、そのいずれかだろう? 何が言いたい?」


「残念ハズレ。確かに、今までボクが開示した材料ではそこまでしか推理はできないよねぇ? それじゃあ、新たな材料を配るとしよう。まず、このフォルトナ王国、隣国ブライトネス王国はボクの前世でボク自身が仲間と協力して作った『スターチス・レコード』という乙女ゲーム……まあ説明するのも難しいし、作り上げた物語と解釈してもらえばいいんじゃないかな? ちなみに、ローザ=ラピスラズリの立ち位置は聖女マリエッタと敵対する悪役令嬢、ってそれは今はどうでもいいか。さっき話したのはあくまでその範囲外から逸脱しないレベルでの話。アルマン様は登場しないけど、サレム派の貴族という括りなら別段あり得ない話じゃないからねぇ。ただ、この世界はそのゲームを基にした歴とした異世界――もう一つの現実だ。そして、この世界には『スターチス・レコード』には存在しなかった要素も含まれている……例えばその一つが――」


 侍女の口角が僅かに上がった。まあ、最初から隠す気なんて無かったと思うけどねぇ。


「例えば、アルマン様が雇ったこの凶手――【濡羽】。この女暗殺者の本名をボクは知っている。グローシィ=ナイトメアブラック――帝国に仕える暗殺者兼医療術師の八十代歳の老婆。彼女の存在によってフォルトナ王国はどのような運命を辿るのか? もうお分かりだよね? ――フォルトナ王国は内乱で弱ったところを叩かれ、ルヴェリオス帝国に支配される。サレム殿下が天下を取ったって、シヘラザード様が天下を取ったって、アルマン様が天下を取ったって結末は変わらない。フォルトナ王国はバッドエンド一色――ですよね? 帝国の凶手グローシィさん?」


「素晴らしい推理でしたわ! 流石は創造主たるローザ=ラピスラズリ、いえ百合薗圓と呼ぶべきですわね? ですが、一つだけ訂正させてくださいませんか? バッドエンドにはなりませんわ、真の神たる皇帝陛下がこのフォルトナの地を支配するのですもの!! その方が幸せに決まっていますわ!!」


 ――グローシィが遂に狂信者の本性を現した。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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― 新着の感想 ―
[一言] > の文官からも心を入れ替えたディラン大臣は以前のディラン大臣よりも断然いいって高評価をもらっていたよ?  きれいなディラン(違いは太眉と凛々しい目元とアルカイックスマイル) > ラインヴ…
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