Act.5 用語辞典・世界観紹介篇 part.ⅩⅠ
◆VRMMORPG『Clans in the wilderness』
高槻斉人とフルール・ドリスがタッグを組んだ第二十八作。
蒼岩市の電脳機器メーカー「蒼岩電機製作所」が開発した眼鏡型のヘッドマウントディスプレイ一体型ウェアラブルコンピューター「電界接続用眼鏡型端末」を「蒼岩電機製作所」から引き継いだ百合薗グループの天才科学者化野學が改良した半オリジナル端末である「E.DEVISE」を使用したVRMMORPG。百合薗グループの「E.DEVISE」はコンタクトレンズ型と眼鏡型の二種類が存在し、イヤフォンとセットで使われるという点が従来の「電界接続用眼鏡型端末」と異なる。
従来の「電界接続用眼鏡型端末」は「微弱電波でも高速通信が可能な量子回路」の研究の際に発見された「電波だけでなく人間の脳波をも受信する」という現象を利用し、「脳に対してデータを送受信できるシステム」を搭載していた。
その結果、意識による「電界接続用眼鏡型端末」の操作や、その逆流によって意識を操作することさえできるようになる。
しかし、それによって生み出された人間の集合的無意識が電脳空間化し、現実世界と重ね合わせで存在するようになった電脳世界に深刻なバグを生み出すようになった。
深く侵食された空間において、肉体と意識が分離する現象が確認されるようになり、電脳空間に迷い込み意識不明になるという事件が試験運用されていた蒼岩市内で増大。
その責任を取った結果「蒼岩電機製作所」は倒産し、「電界接続用眼鏡型端末」の技術を「蒼岩電機製作所」から高値で購入した(元社員や経営者陣の生活費に充てさせるために)百合薗グループは、「電界接続用眼鏡型端末」から「電波だけでなく人間の脳波をも受信する」回路を改変し、「E.DEVISE」として販売することとなった。なお、「蒼岩電機製作所」の社員は百合薗グループの社員として続投している(責任を取った経営者陣や、この事件を期に会社を辞めた者は除く)。
「E.DEVISE」そのものはVRMMORPG用の機械ではなく、あくまでヘッドマウントディスプレイ一体型ウェアラブルコンピューターであり、仮想モニターや仮想キーボードの表示、指電話機能など様々な機能を使用することができる。要は従来のスマートフォンと同じであり、それがヘッドマウントディスプレイ一体型ウェアラブルコンピューターの形になったと考えるのが正確だろう。
近年では警察機関、軍にも採用されており、かつてスマートフォンに採用されていたあらゆるアプリが使用可能なため、Torブラウザを利用したダークウェブなどへのアクセスなど、ネット犯罪の温床にもなっている。
もっとも、スマートフォンで十分と考えている者も多く、「E.DEVISE」をVRMMORPG用の機械と認識している者が一般人であれば大半のようだ。「E.DEVISE」が発売して以降もスマホ全盛の時代は続いている。
「E.DEVISE」をVRMMORPG用の機械して使用する場合は極小のコンタクトや眼鏡を媒介に、人間の脳神経に間接的にリンクし、ゲーム内での感覚を体感させる。と同時に、現実世界でも別の動きを実現することが可能となり、熟練者であればゲームプレイ中にも現実の世界で普通に生活が可能になる。
このシステムには「電波だけでなく人間の脳波をも受信する」システムの一部が応用されているが、あくまでVRMMORPG用の機械として使用する範囲に留められており、ゲームを起動しない場合はこの機能を使用することはできなくなっている。一番の改善点は意識体と肉体の乖離問題であり、「E.DEVISE」を使用した場合は上記の説明通り肉体と意識体をバラバラに動かしながらもしっかりと繋ぎ止められているが、「電界接続用眼鏡型端末」では意識体のみでログインすることになってしまい、肉体の方が動かせないままの状態でプレイすることになる。また、何らかの事故が起きた場合は肉体と意識体の接続が切れてしまうことも考えられる。
この「E.DEVISE」のリンクシステムをゲーム以外でも使用可能にした正式改良版・改造版ではモーションではなく直接脳波で「E.DEVISE」を操作することが可能になる。作中では化野に改造を依頼した圓が正式改良版を軍や警察、犯罪組織などが改造版を使用しているが、名称が違うだけで全く同一のものと考えていい。
ゲーム自体は「傭兵となってクランを結成し、未知なる荒野の如き世界で自らの生き方を見つけ、その足跡を刻みつけろ」という体感型の3Dオンラインゲーム。
外見データをスキャンし、規格は現実のサイズと誤差五センチまで変更可能で同じ性別のキャラクターしか作成できない。容姿、その他の部位に関しては、いくらでも変更が可能。
戦闘職から生産職、双極職に至るまで多種多様な職業やアイテム、広大で未だ謎の多いフィールドやイベントなどが設定されている。
また、もう一つのコンセプト「未知との遭遇こそ、その開拓して楽しむ」を謳い、公式が管理してる掲示板・スレッド以外で公開するのは禁止し、攻略本の発売禁止の徹底、サースェスウェブからディープウェブに至るまで全ての攻略サイトの問答無用の初期化を徹底している。また、掲示板・スレッドでもネタバレ情報が掲載された場合は即時消され、三回で同一IPアドレスのアカウントへの厳重注意、五回で同一IPアドレスの一時アカウントの凍結、六回でアカウント抹消が行われ、その同一IPアドレスでの再ログインが不可能になる。
一応逃げ道は存在する。書き込みを別の端末で行うか(ネットカフェなど)、Torブラウザの利用であるが、そこまでしてゲームの面白みを潰しにかかるプレイヤーはほとんどいない。
初期化には人間の集合的無意識が電脳空間化したものをほぼ全て初期化した「サーチアンドデストロイ・オートマトンプログラム」が利用されており、そのサーチ能力と初期化能力は天下一品である。見境なく初期化するような融通の効かなさはないが、情状酌量をするような慈悲はない。
ちなみに、「サーチアンドデストロイ・オートマトンプログラム」は百合薗グループの電脳戦における最終兵器であり、見境なく攻撃する設定を施した場合、インターネットは三日と経たず崩壊する。ゲームのものではないため、ゲームの異世界化の際に導入されることはないが、導入された場合速やかに駆逐しなければいとも容易く世界が初期化されることになるだろう。
・GM.Account_01 Sage Ciel
ゲームマスター用に用意された規格外のアカウントの一つ。空の名を持つ賢者のアカウントで天体や天候を支配するGM固有スキルの『空魔法』を唯一使用することができる賢者。
・GM.Account_02 Alchemist L'argent
ゲームマスター用に用意された規格外のアカウントの一つ。あらゆる物質の性質を変成させるGM固有スキルの『変成魔法』を唯一使用することができる錬金術師。
・GM.Account_03 Knight Grenat
ゲームマスター用に用意された規格外のアカウントの一つ。破壊不能の性質を持つ大盾と神剣、鎧を身に纏った騎士で、神速移動を可能とするGM固有スキルの『ハイスピードモード』を持つ。
・GM.Account_04 Hunter Azur
ゲームマスター用に用意された規格外のアカウントの一つ。羽を持つ妖精のような狩人の姿で、GM固有スキルの『無限之飛行』とGM固有スキルの『無限之降矢』を持つ。
・GM.Account_05 Lancer Vert
ゲームマスター用に用意された規格外のアカウントの一つ。破壊不能の性質を持つ槍を持つ女性騎士のような姿で、大地の植物のエネルギーを吸収することで体力を回復するGM固有スキルの『超自然回復』を持つ。
・GM.Account_06 Goddess Erde
ゲームマスター用に用意された規格外のアカウントの一つ。羽衣を纏った女神のような姿で、地形を自在に操作できるGM固有スキルの『無限地形操作』を持つ。
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