Act.5-16 第一回異界のバトルロイヤル 一日目 scene.2 下
<三人称全知視点>
鋼鉄の銃巨人の最強技「ジャッジメント・コマンド」は、あのシャマシュすらも秒殺するほどの圧倒的威力を誇る。
とはいえ、そこに至るまでのプロセスが長く、厄介な高威力攻撃は存在するものの、「ジャッジメント・コマンド」のような理不尽な攻撃はない。その攻撃も、鋼鉄の銃巨人の死角にさえ入ってしまえばダメージを受けることなく立ち回りを続けることができる。
毒も効かず、物理攻撃も武装闘気と覇道の霸気で強化してなおほとんど通用せず、回復能力すら持ち、防御力を無視した理不尽な攻撃を放つ、黒鎧の極振りっ娘キラーのような存在だが、物理特化でも勝てないということはない。
アクアはとにかく足に攻撃を仕掛け続けた。「ランオーバー」を使用されたらすぐに追いつき、でき得る限りヌル・鋼鉄の銃巨人の背後を取る。その上で、「左足への攻撃が足りない……よって、攻撃はより激しくなる」の能力上昇を無視する勢いで攻撃を続け、「左足への蓄積ダメージLevel.1……反撃」を躱し、「左足への蓄積ダメージレベル上昇……出力強化」、「左足への蓄積ダメージLevel.2……反撃」、「左足への蓄積ダメージレベル上昇……出力強化」を物ともせず、遂に「左足への蓄積ダメージLevel.3……左足にヒビが入っている!」、「左足への蓄積ダメージLevel.MAX」まで追い込む。
その苛烈な攻撃が「左足への蓄積ダメージLevel.3……左足にヒビが入っている!」の自身のDEF+SPDを特大ダウンと「左足への蓄積ダメージLevel.MAX」の自身のDEFを超特大ダウンのデバフも相まって遂にHPが半分を切り、「メルトダウン」が発動して、メルトダウンの効果で更にダメージを受けつつ、更にデバフが重ね掛けされた上にアクアの苛烈極まる連続攻撃が放たれ、あっという間に左足が壊れた。
もし、この場にローザがいれば「…………マジですか」と頭を抱えただろう。それほどまでに、アクアとは相性が悪過ぎる敵なのだ……悪過ぎる筈なのだ。
左足が壊れたことで、右足が「ギギ……ギギギ……」となって自壊……ヌル・鋼鉄の銃巨人は機動力を失った……あれれ?
巨人の頭部の「ワープ・サークル」によってアクアの背後に回ったヌル・鋼鉄の銃巨人が「アトミック・フォースレイ」を二発と、「波動砲」を放つ……が、アクアが素早くヌル・鋼鉄の銃巨人の背後に回り込み、そこから頭部に攻撃を続けていく。
なんとなく頭を狙った方がいいんじゃないかと直感で感じて重点的に頭部を狙ったのだが、正解だった。ヌル・鋼鉄の銃巨人を最悪たらしめる「ジャッジメント・コマンド」は、頭部単体になってからしか放てないのだ。
常人離れした攻撃回数で遂にバリアを叩き割り、そこからアクアは勢いよくヌル・鋼鉄の銃巨人の背中を駆け上がってそのままスカートが広がることも気に留めず、空中で剣を回して握り直し、空中で態勢を整えてから飛び込みながら全体重分も加わった斬撃を放った。
「――魂魄の霸気!」
更にそこで自身の身体能力、武装闘気、覇道の霸気、そして重力加速を《昇華》によって自身の限界――十倍まで引き上げる。
魂が軋む痛みを堪えながら、男性然とした様子で笑ったアクアは、今の自身の限界をヌル・鋼鉄の銃巨人の頭部にぶつけた。
ヌル・鋼鉄の銃巨人の頭部のHPバーが吹き飛び、ヌル・鋼鉄の銃巨人の胴体が「ギギ……ギギギ……」となって自壊、連鎖反応で左腕と右腕も「ギギ……ギギギ……」となって自壊し、ヌル・鋼鉄の銃巨人は作成者本人が見れば「えぇ〜〜〜〜ッ!?」と軽く叫びそうな異例の速度で撃破されたのだった。
ヌル・鋼鉄の銃巨人が居た場所にはいつのまにか宝箱が現れていた。
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【ユニークシリーズ】(『World Sphere on-line』)
単独でかつボスを初回戦闘で撃破し、ダンジョンを攻略した者に贈られる攻略者の為だけの唯一無二の固有装備。
一ダンジョンに一つしか存在しない。
譲渡は可能だが、譲渡した場合は装備に施されたあらゆる強化が消去されて初期の状態に戻る。
『機械神の歯車髪飾り』
【HP+30】
【MP+5】
【STR+100】
【VIT+100】
【AGI-5】
【DEX+5】
【INT+5】
スキル:【機械生成】、【破壊成長】
『機械神の歯車鎧』
【HP+60】
【MP+0】
【STR+350】
【VIT+290】
【AGI-25】
【DEX+60】
【INT+190】
スキル:【機械神の権能】、【破壊成長】
『機械神の魔導拳銃』
【HP+0】
【MP+999】
【STR+999】
【VIT+0】
【AGI-50】
【DEX+0】
【INT+0】
スキル:【魔導弾丸】、【破壊成長】
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「……欲しいアイテムは無かったな。転送」
いらない装備を電脳空間外に転送するシステムで機械神シリーズを外に転送すると、アクアは魔法陣の中からなんとなく図書館を選び、魔法陣に乗った。
◆
それから三時間後、残る極乾砂漠に転送されたエイミーンも、ボスの間に到達した。
「苦手な金属なのですよぉ……でも、負けないのですよぉ〜!! 八重魔法全開放」
最初から八重術者としての全力を尽くし、水、氷、風、木、土、光、闇、影属性のストックしていた魔法を全て開放して八つの魔法を発動するエイミーン。
しかし、そんなエイミーンの全力も命中した場所が「エンシェント・リアクター」が常時発動している左腕だったため、大きな被害を与えることはできず……更に守りが堅牢だったため、一つ一つが対人級の魔法で、更に鋼属性の弱点である火属性を含まない攻撃では大したダメージは与えられなかった。
「パワー・チャージ」、「アーマー・アップ」の重ね掛けを行ったヌル・鋼鉄の銃巨人の「シンプレックス・コマンド」のビームを直撃で受けてあっという間にHPゲージを吹き飛ばされてゲーム内から消滅した。
これが普通なのだ。寧ろ、苦手な物理攻撃でヌル・鋼鉄の銃巨人の防御を突破して討伐したアクアの方が化け物なのである……お分かり頂けただろうか?
◆
〜バトルロイヤル 七時間経過時点の成績〜
一位 アクア +7(エリア:図書館)
二位 バルトロメオ +5(エリア:溶岩島)
三位 ローザ +5(エリア:溶岩島)
四位タイ ラインヴェルド +1(エリア:溶岩島)
四位タイ プリムヴェール +1(エリア:白雲世界)
五位タイ ミーフィリア ±0(エリア:???)
五位タイ ディーエル ±0(エリア:???)
五位タイ モーランジュ ±0(エリア:???)
五位タイ シモン ±0(エリア:???)
五位タイ メリダ ±0(エリア:???)
五位タイ ヴェモンハルト ±0(エリア:???)
五位タイ プリムヴェール ±0(エリア:???)
五位タイ イスタルティ ±0(エリア:???)
五位タイ ローザ ±0(エリア:???)
五位タイ ディラン ±0(エリア:???)
五位タイ スザンナ ±0(エリア:???)
五位タイ ホネスト ±0(エリア:???)
六位タイ ジルイグス -1(脱落)
六位タイ ペルミタージュ -1(脱落)
六位タイ マグノーリエ -1(脱落)
六位タイ エイミーン -1(脱落)
六位タイ ミスルトウ -1(脱落)
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それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。




