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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 4. 緑霊の森のエルフ至上主義者達と暗躍する神々

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Act.4-20 黄昏時の突撃〜悪役令嬢と暴走するクソ陛下〜 scene.1

<一人称視点・アネモネ>


「そろそろ本題に入ってもいいかな? ボクからはビオラ商会としてビジネスの話をしたいと思うんだけど……ただ、ビジネスということになると、当然こちらも対価を支払わなければならないよねぇ。でもエルフは物々交換が主流で、人間は資本主義経済……となってくると、そもそもビジネスそのものが成り立たないし、貨幣についても卑金属アレルギーを持つエルフの間で使用することは避けねばならない。これに関しては貨幣と交換可能な兌換紙幣への使用切り替えなどを陛下に進言することは検討しているけど、まあ、これらについては摺り合わせが必要だし、お互いに改革しなければならない制度もあるからねぇ……こちらは話を進める準備はできていることだけ理解しておいてねぇ」


「…………ビジネスか。それは、我々エルフを労働力……つまり、奴隷として差し出せと言いたいのか?」


 ようやく硬い口を開いたと思ったら、そう来たか……やっぱり堅物だねぇ……プリムヴェールに似て……いや、プリムヴェールがミスルトウに似たってのが正しいんだろうねぇ。


「ボクが求めているのは香辛料……つまり、植物から採取され、調理の際に香りや辛味、色をだしたり、臭みを消すものの総称だよ。残念ながら、人間の支配領土ではどうにも育たなくてねぇ。……これがあれば、料理に幅を持たせられるんだけどねぇ。そもそも、発端となったボクが緑霊の森と交易を行いたいと思ったのも、この香辛料を求めていたからなんだ。香辛料の自生地はここと獣人族のユミル自由同盟の支配地域の二箇所に集中している。まあ、具体的にどういうものか分からないと話にならないだろうし、現物を見せるよ」


 肉桂の根、胡椒の実のついた枝、欝金の根茎、花薄荷(オレガノ)の一枝、バニラビーンズ、肉荳蔲の種子などを硝子製の台座に乗せてエイミーンの元に持っていく。


「そのお花なら使ったことがあるのですよぉ〜。良い香りとほろ苦い清涼感があるのですよぉ〜。でも、種や根を使ったことはないのですよぉ」


「流石にこれまで香辛料を使用したことがないってことは無いんと思うんだけど、その利用法は肉の臭み消しや香り付けに限られると思うんだけど違わないかな? まあ、人間に関しても香辛料が希少だったからふんだんに使った料理っていうのはなかなか発達していないんだよねぇ。そこで、ボクの前世の世界にあった香辛料を使った料理を後程用意するから是非参考にしてねぇ」


「カレーだな」


「お母様、きっとカレーですよ。新感覚の美味しい料理なんです!!」


「二人はもう食べたのですかぁ? 狡いのですよぉ」


「まあまあ、後で用意するからねぇ……折角だから調理を見学していったらどうかな?」


「楽しそうなので見学させてもらうのですよぉ〜」


 まあ、見学するよねぇ……無償で料理法の一つを知ることができるんだし。


「そんじゃあ、俺達のは具体的な話になるから今のところは話はねぇかな。緑霊の森との国交が樹立した暁には軍事同盟の条約の話をしようや」


「まあ、その前に国交の樹立が先だけどな。まぁ、あくまでこれは前段階の会談ってレベルの話し合いだからな。そっちも見極めて俺達と組むか、このまま鎖国を続けていくのかゆっくり考えてくれよ」


 とりあえず、第一弾の会談はこれで終了だねぇ。


「ところで、滞在場所って決まっているのですかぁ?」


「……まあ、近くの森でキャンプでもしようかなって考えてはいるけどねぇ」


「お客様に野宿なんてさせたらエルフが恥知らずだと思われてしまうのですよぉ〜。もし良かったらこの家に止まっていくと良いのですよぉ〜。それが嫌だったら泊まれる場所を探すのですよぉ〜」


「――ッ!! 族長!!」


「それじゃあ、断る理由も無いし、お言葉に甘えさせてもらおうかな? しばらく滞在させてもらうよ……それから、今晩だけど一度戻って陛下から天上光聖女教の対策については確認してくるよ。やっぱり、エルフとしても梯子を外されるような事態になることだけは絶対に避けたいだろうからねぇ。背中を押すためにも不確定なところは無くしておかないとねぇ」



 夕方、ボクは厨房代わりのテントを庭に設営させてもらって、その中でカレーを含む香辛料を使った料理を作っていた。


「キャプセラ、きっちり目に焼き付けておくのですよぉ〜。新しい文化を知れる大チャンスなのですよぉ」


「…………はぁ。畏まりました、エイミーン様」


 ちなみに、テントの中で見学しているのはエイミーンとキャプセラの二人で、プリムヴェールとマグノーリエの二人は長旅の疲れを癒すために湯浴みをしてから睡眠を取っている……まあ、無理矢理薬を使って体力を回復させていただけだからねぇ、ちゃんと休まないといけないんだよ。


「まあ、そんなにガッツかないでもちゃんと後でレシピあげるから……」


 まずは手製のルーを何種類もの香辛料を混ぜて作り、炒めた馬鈴薯、人参、玉葱、豚肉に水を投入して煮込んでから、ルーを投入して完成。

 折角だからということで、作ったカレーの一部を別の鍋に移して出汁などを投入して伸ばし、最後にうどんを投入したカレーうどんも用意してみた。

 その他、スパイスを使った料理をいくつか用意して、皿に載せてエイミーンとキャプセラに手渡した。


「貰っちゃってもいいのですかぁ?」


「まぁ、そのために作ったからねぇ。毒味が必要ならボクがして見せるけど……」


「大丈夫なのですよぉ。わたくしはローザさんを信頼していますからぁ」


「まあ、そうやって言ってくれるのは嬉しいよ。……さて、ボクはちょっとブライトネス王国に戻って陛下に確認を取ってくるからねぇ」


「分かったのですよぉ〜。私達は料理を食べてからミーフィリアさんとお話ししてくるのですよぉ。……ところで? 他の使節団の方の料理ってこちらで用意してもいいのですかぁ?」


「そこまで甘えるのは流石に申し訳ないけどねぇ……でも、お願いできるのならお願いしたいな」


「了解なのですよぉ」


 エイミーンとキャプセラは使用人を呼んでその中の数人で料理を運んでいった。キャプセラはそれ以外の使用人に何かを伝えていたけど、多分ボク達の料理の手配をしてくれたんだよねぇ。


 衣装を王宮で使われている侍女のお仕着せに着替えて、『管理者権限・全移動』で王宮に転移する……まあ、その前に欅との従魔合神を解除して潜伏してもらったけどねぇ……しかし、なんであんなに名残惜しそうな顔をしていたんだろうねぇ?

 転移した先は統括侍女のノクトの執務室の前の廊下……表向きな謁見以外の場合は侍女服姿で紛れてノクトの部屋に行く手筈になっていたんだよねぇ。


「突然の訪問申し訳ございません、入室してもよろしいでしょうか?」


「どうぞお入りくださいませ、ローザ様」


 執務室はノクトの性格を反映したようにきっちりと整理されていて埃一つ落ちていないねぇ。流石、侍女の鑑。


「その様子だと緑霊の森には到達できたのですね。……ところで、変装しているつもりだと思われますが、その見た目だと目立って仕方ないと思います」


「……人間のアネモネで王宮のメイド服を着用しているので、流石にバレないと思ったのですが」


「…………美し過ぎる花は他のものに紛れていても目立ってしまうものですよ。……ところで、本日はどのようなご予定で?」


「エルフと国交を結ぶ際に障害になる天上光聖女教への対処についてどのような予定でいるのかを確認し忘れていましたので……流石に本日中に謁見は無理ですよね?」


「…………夕方はあまり謁見の予定はありませんし、ローザ様のご依頼なら嬉々として謁見をキャンセルすると思いますよ。……少々お待ち下さい」


 侍女やメイドを呼ばずに統括侍女様自らラインヴェルドに伝えにいったねぇ……お仕事邪魔してごめんなさい。

 それから数十分後、ノクトが戻ってきた。


「本日の謁見は全てキャンセルになりました。陛下から私室に案内するよう仰せつかっています。宰相閣下も同席なさるようでございますのでご留意くださいませ」


「…………流石に手綱を握る人がいないと成立しませんよね。お仕事中ご迷惑をおかけしました」


「いえいえ、ローザ様もとんでもない大役を果たされておりますし、お互い様ですよ。……陛下の私室にご案内しましょうか?」


「いえ、大丈夫です。場所は分かっておりますので」


 ノクトにお礼を言ってからノクトの執務室を後にして、王宮の最奥にある私室に移動する。

 ……しかし、随分と質素な外観だねぇ……絢爛豪華にするくらいなら別のものに使えっていう実にラインヴェルドらしい部屋だねぇ。


「おっ、エルフとの交渉はどうなったんだ?」


「まあ、交渉した相手はエルフじゃなくてハイエルフの先祖返りだったけどねぇ……。とりあえず、この世界の真実とこれから訪れる脅威、ボク自身のことについては説明し終えたところだよ。で、天上光聖女教の対策をしないことにはエルフとの国交樹立は難しいから、そこのところをどうするか確認を取ってこようと思って?」


「…………これ、拙いパターンだよな!? クソ陛下が薄ら笑っているし!! 騎士を呼んで止めないと……取り返しがつかないことに!!」


「ん? 天上光聖女教の対策か? 直接総本山をぶっ叩くしか無いとアイツらは融通が効かねえから無理だろ? 国の権力も通じねえからな……。エルフとの交渉を進めるなら先にそっちを解決した方がいいよな? よし、今から二人で散歩がてら行ってくるか? 総本山潰しに。丁度つまらなかったしな」


「言動が物騒過ぎる!? というか、本当に行く気なの!? 流石にそれは拙いでしょ!! 本当に出合え出合えしないといけないの!?」


「アハハハ、いい機会だ! 天上光聖女教をぶっ潰す前に騎士団の連中を鍛え直してやるかッ!! 負けた奴全員クソ笑ってやる」


「…………もうやだ、この陛下」


 本当にお疲れ様だよねぇ……アーネスト宰相閣下。


「…………まあ、そういうと思ったよ。とりあえず、殺傷は抜きで行こうねぇ。それじゃあ、教皇に直談判しに行こうか」


「…………あー、私は何も見なかった。何も聞かなかったからな!! ――あぁぁぁ! また仕事が増えるッ!! 折角大臣と王弟がいなくなって静かになったのに、結局こうなるのかよッッ!!」


 ……もう、キャラ崩壊がデフォルトだねぇ……アーネスト伯爵。


「それじゃあ、俺を城下町まで転移させてくれ」


「…………変装はいいの?」


「別にそこまでしなくてもいいだろ? どうせバレるだろうしな……」


 アーネストが「せめて変装はしていけよ」って視線を全力で送っているけど暖簾に腕押しだねぇ……また揉み消しっていう大変な仕事が増えるんだねぇ……お疲れ様。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「卑金属」って単語を使ってる小説、初めて見たw
[一言] > 暴走するクソ陛下  『暴走するクソ』陛下なのか暴走する『クソ陛下』なのかコレガワカラナイ(棒読み)  多分『暴走するクソ』はお腹を下してる。 > 卑金属アレルギー  ここでいう貴金属は…
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