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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 4. 緑霊の森のエルフ至上主義者達と暗躍する神々

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Act.4-18 エルフの族長への謁見〜かつて族長の愛した義妹の遺児〜

<一人称視点・アネモネ>


 族長の屋敷に到着した。……やっぱり一等地にあったねぇ……生命の巨大樹(ガオケレナ)の麓か。


「ここが、族長の屋敷だ。まあ、人間に謁見を許すことなど絶対にありはしないだろうがな」


「――やりました! お母様に交渉のテーブルをセッティングしてもらえましたよ!!」


 ……折角、鼻で笑おうとしたのに残念だったねぇ。族長の娘さんが全てをぶち壊しにしてくれたみたいだよ。

 本当に嬉しそうに笑うマグノーリエと、その後ろで一切表情を変えないエルフのメイド……というか、改めて思うけどマグノーリエってやっぱりお姫様だねぇ。


「お初にお目にかかります。メグメル家でメイドをさせていただいております、キャプセラ=ジロフレと申します。本日の謁見になりますが、流石に全員は無理でございますので代表の方のみでの参加になります。……それ以外の方は控え室を用意致しましたのでそちらでお待ち下さい」


 ……まあ、そりゃそうだよねぇ。全員で押しかけても邪魔だろうし。


「それじゃあ、メンバーはボク、王弟殿下、大臣閣下、アクア、ミーフィリアさんの五人だねぇ。そこにプリムヴェールさんと後はマグノーリエさんが中立として参加するってのがベターだねぇ。ということで、他のみんなは控え室でゆっくりしていてねぇ。……もし、身の危険を感じたら……まあ、その時は仕方ないから殺さない程度でやっちゃっていいよ」


「……相変わらず恐ろしいお嬢様ね。……了解したわ……とはいえ、アタシもエルフと敵対したいとは思わないし、正当防衛を取らないといけなくなる状況だけはお互い避けたいわよね?」


 これで、エルフに攻撃を加えられてもこちらから手を出すことができるようになった。ボクは「エルフ側から攻撃したなら反撃もやむなし」っていう立場をとることを明言して、居残り組のラルもこれに同意したのだから、この場にいるエルフ達やプリムヴェールを証人として、万が一の場合に「事前にそういう立場を取ることを明言していましたよね」と言うことができる。

 襲撃してきた場合は襲撃者に対する罪は問うものの、それをエルフ全体の責任と捉えて全面戦争をするつもりはない。……まあ、そこまでここで明言しておくつもりはないけど、「ボクらが一方的にやられるつもりはないよ」と意思表示しておかないと闇討ちにあってこちらから攻撃した結果、いいように持っていかれる可能性があるからねぇ。……まあ、ここって治外法権だからその理屈がどこまで通じるかは分からないけど……そうなったら、最終手段の支配統治かな? ……まあ、知性ある者達に対して武力をもって対応するってことはしたくないんだけどねぇ。ボクの理想とは対極にある行為だし。


「…………まあ、それが妥当だろうな。……個人的には今回の話を無碍にすることは愚かなことだと考えている。族長も話を聞けばメリットとデメリットを勘案して、エルフにとっての利益のために人間に対して国交を開く方に傾くだろう。……とはいえ、課題も多い。そこに向けて互いに努力するための下準備……今回の会談だけで全ては決まりはしないだろうがな」


「焦らずゆっくり行くべきだと思うよ。お互いにとって今後を左右する問題だからねぇ。……まあ、肝心の国王陛下の考えが全く分からないんだけど……まさか、国王陛下自ら天上光聖女教の総本山に突げ……直談判に行こうなんて行き当たりばったりなこと考えてないよねぇ。教皇を脅す……とか」


「えっ? そういう段取りじゃねぇの? てっきり親友(ローザ)と二人で総本山に道場破りを仕掛けて『亜人や魔族への差別の撤廃』を約束させに行くんだと思っていたんだけど……それくらい強引にいかねえと連中の体質は変わんねえだろ?」


 ……まあ、大凡察しがついていたけどねぇ……やっぱり、武力で解決するのか。それしかないねぇ……壊さないように手加減するってあまり好きじゃないんだけど。というか、そんなことをしていたら反感買ってそれこそ天上光聖女教の信徒とブライトネス王国の全面戦争になるんじゃないかな? ……まあ、そうなっても勝てるけど……そもそもそうならないようにできるだけ穏便に対処しないといけないのか……はぁ……狂信者って頭が固い(融通が効かない)から本当に重労働になりそう。


「……あの……そちらの方はメイドなのでは?」


 キャプセラがリボンの似合うメイド(使用人でしかも幼い見た目)を会議に参加させることに疑問を覚えて質問したみたいだけど……やっちゃったねぇ……それ、地雷だよ。


「……俺の親友が参加して何が悪いんだ? 親友がいねぇんなら俺、今回の件ばっくれるぞ!?」


「……まあ、アクアがいないと大臣閣下の逃亡癖が出るからねぇ。親友と一緒じゃないと嫌だと思ってメンバーに入れたんだけど。まあ、エルフ側の立場からすれば使用人を同列に参加させるってのは君達を見下しているって受け取られても仕方ないのか。……どうします? バルトロメオ王弟殿下。大臣閣下抜きでやります?」


「…………まあ、ローザ嬢もミーフィリアも一人で参加するんだしな。俺は一人でもいいけどよぉ。……でも、俺って軍務省の長官だよな? 軍事面は専門だけど、政治となるとディランがいねえと話にすらなんねえぞ。……まあ、宰相がいれば全部解決するんだけどな」


 軍部の長官と大臣の仕事も兼ねる国王陛下補佐役の宰相……青い猫型ロボット並みの性能が求められる上にラインヴェルド(クソ陛下)ディラン(逃亡癖の大臣)バルトロメオ(ヒゲ殿下)の手綱を握るってとんでもない立場だよねぇ……あの人一人でこの国って持っているんじゃないかな?


「ってことで、一番肝心な政治面の話が全くできなくなるけど、どうする?」


「か、畏まりました! そちらのメイドの方も是非ご参加くださいませ!!」


 まあ、そうなるよねえ。……というか、キャプセラ、汗だらだらだけど……とんだ厄日だねぇ。……お疲れ様。



 バルトロメオは「一人で」って言ったけど、交渉こそボク一人でする訳だけど、実際には欅と従魔合神をしているんだよねぇ。

 ちなみに、梛、櫁、椛、槭、楪、櫻の六人は地下茎移動を駆使して【生命の巨大樹(ガオケレナ)の大集落】の各所で情報収集をしている。それを、七人が姉妹になったことで発現した七植娘通信を利用して従魔合神しているボクに伝えている。……まあ、動かずして情報収集をすることができるってことだねぇ。


 さて、交渉のテーブルには二人のエルフの姿があった。


 一人はストロベリーブロンドの髪を持つ十代の少女のような童顔、低身長に不釣り合いの巨乳を持つ――所謂〝トランジスタグラマー〟に分類される、とても一児の親とは思えないよねぇ。

 大人のようなおっとりとした雰囲気は……ふわふわとした掴み所のない性格とも言い換えることもできる。……まあ、中身は十中八九タチの悪い政治家(化かす狐)だねぇ。


 もう一人は理知的な光を湛えた長身痩躯のエルフの男。

 まあ、族長の秘書みたいな立ち位置にあるんだろうねぇ。


「初めましてなのですよぉ。わたくしはエイミーン=メグメル。マグノーリエの母でぇ、族長を務めているのですよぉ〜。こっちはぁ、秘書のミスルトウ=オミェーラなのですよ」


「お初にお目にかかります。SS+ランク冒険者とビオラ商会の商会長を兼ねているアネモネと申します。こちらは、右からブライトネス王国の王弟で軍部省の長官を努めておられるバルトロメオ=ブライトネス殿下、同国で大臣を務めておられるヴァルグファウトス公爵家出身のディラン=ヴァルグファウトス閣下、ラピスラスリ公爵家でメイドをしているディラン大臣閣下の大親友のアクアさん、元宮廷魔法師のミーフィリア=ナノーグ様です」


「ナノーグ……懐かしいのですよぉ。クリゾンテムさんはお元気なのですかぁ〜」


「……母は随分前に死んだよ」


「……それはぁ…………お悔やみ申し上げるのですよぉ。…………ごめんなさいなのですよぉ……ミーフィリアさんには辛いことを思い出させてしまったのですよぉ」


「……エイミーン殿が謝ることではない。私の母も父も自分達で選んだ上での結果だ。茨の道だということも覚悟の上で緑霊の森を出て人間の世界で生きることを決めたのだからな。……まあ、その結果生まれてくる私に関しては何も考えていなかったみたいだが。全く、傍迷惑な話だよ。エルフにも人間にもなれず差別されたことも一度や二度じゃない。共通の趣味を持つ親友と巡り合わなければ私は今も孤独に苛まれていただろうな。とはいえ、私は今も元気になっている。今回、ラインヴェルドが他種族と同盟を計画する際に、私を同行させたのはハーフエルフである私とエルフの関係を修復させようという彼なりの優しさだろうが、このような混ざりものをエルフ側が許す訳がないことは承知している。……ただ、一目会いたかっただけだ……母が姉のように慕ったというエルフの族長にな」


 ……まあ、間違いなくエイミーンがクリゾンテムが姉のように慕っていた族長なんだろうねぇ。

 ……エイミーンは、やっぱり二人の駆け落ちに反対の立場だったのかな? ……そうして駆け落ちして生まれた子供に何を思うのかな?


「……っ、今までよく頑張ったのですのぉ! これからはお姉ちゃんに甘えてもいいのですよぉ!!」


「ちょ、ちょっと!? 私はそのような歳では!!」


「わたくしからすればみんな子供みたいな歳なのですよぉ〜。……沢山甘えられなかった分、わたくしに甘えれば良いのですよぉ」


 普段はクールなミーフィリアがタジタジになっているなんて珍しいねぇ。まあ、突然抱擁されて豊満な胸に顔を埋める形になったら、そりゃびっくりするものだろうけど……。


「わたくし、決めたのですよぉ。ミーフィリアのためにも人間と仲直りできるように、ハーフエルフ差別を無くすために、頑張るのですよぉ!!」


 ……予想外のパターンだったけど、まあ、エルフの族長が今回の件に意欲を示してくれたのは良かったんじゃないかな?


 ……しかし、今のでミーフィリアに向けられた秘書の視線が一気に冷たくなったねぇ。……というか、オミェーラってプリムヴェールと同じ姓だよねぇ。

 もしかして、プリムヴェールがマグノーリエの騎士を務めているのって、親同士がエルフの族長と補佐役をやっている間柄だからなのかな?

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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― 新着の感想 ―
[一言] > 童顔、低身長に不釣り合いの巨乳を持つ――所謂〝ロリ巨乳〟に分類される、とても一児の親とは思えないよねぇ。  個人的にロリ巨乳とトランジスタグラマーは分けて扱いたいお芋さんです。うん、ロリ…
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