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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-476 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜真夏の海と緑の試練の開幕〜scene.4

<三人称全知視点>


 帝都の一角、主に貴族の子弟が乗馬練習をする練馬場「煌馬庭(こうばてい)」にて――。

 ミレーユは乗馬訓練に勤しんでいた。


 事の発端は生徒会室でリオンナハト達と別れた後、リズフィーナから水着を仕立てることを提案されたことだ。

 リズフィーナが御用達にしている仕立て屋が実際にやってきたのはそれから三日後のこと。


 ミレーユ達――生徒会女子部のメンバーは早速水着を仕立てるために仕立て屋が持ってきたデザイン画集を確認し、その後採寸に移った訳だが……ケーキやお菓子を含めて少し食べ過ぎな状況が続いていたミレーユの身体は横に膨張……つまり太ってしまっていたのである。

 他の生徒会女子メンバーより一回り大きな水着を提案されてしまったミレーユは心を鬼にしてダイエットを決意――やせることを見越して、結構キツめのサイズで仕立ててもらった上でダンスと乗馬に全力を注いでいたのだ。


「やあ、頑張っているねぇ」


 汗を拭いつつ、ふと入り口の方に視線を向けると青薔薇のローザ姿の圓がミレーユの方に向けて手を振っていた。


「頑張っているところを止めて申し訳ないねぇ。実はミレーユさんに用事があってねぇ」


「奇遇ですわ。わたくしも圓様にお願いしたいことがありましたの」


「カレンさんから話は聞いているよ。カレンさんを同行させたいというお願いは承諾する。ただし、緑の試練の内容はお話できない。……正直、リーシャリスさんが話してしまったところもかなりグレーラインというか、ほとんどアウトというか。まあ、話してしまったことは仕方がないけど、そのタイミングまで取っておきたかったんだ。――安心しなよ、最初から同行ではなく途中合流の形にはなると思うけど、必要な場面ではしっかりと共闘するつもりだよ。というか、この件は流石にミレーユ姫殿下にも荷が重すぎるからねぇ」


「それを聞いてひとまず安心しましたわ」


 ミレーユが恐れているのは本来の緑の試練には含まれないイレギュラーな部分だが、その点については圓が共闘してくれると約束してくれた。

 流石に何もしないという訳にはいかないだろうが、圓が仲間に居てくれるというのはかなり心強い。


「それで、わたくしに用事とは一体何なのですの?」


「まあ、それは現地に行ってからねぇ。で、早速だけど今から少し時間をもらえないかな?」


「えぇ、まあ、構いませんけど」


 ミレーユの承諾を得た圓は「煌馬庭(こうばてい)」に同行していた護衛の一人に声を掛けて何やら話をした後、ミレーユの方に戻ってきて鞘から剣を抜き払った。

 『時空(ソード・オブ・)魔窮剣(アビス=ソトホート)』――時空騎士(クロノス・マスター)時空騎士(クロノス・マスター)たらしめる剣を見て、流石のミレーユも目的地がペドレリーア大陸以外の場所であることを察したらしい。



 時空魔法で移動した先は、小さな島だった。豊かな牧草が生えた青々しい草原には小さな小屋と厩舎があるのみで、島を囲うように配置された柵以外には本当に何もない。


「ここはどこですの?」


「ベーシックヘイム大陸の周辺にボクが保有する能力を駆使して作った人工島だよ。前に『空翔ける天馬の召喚笛(ペガサス・ホイッスル)』をプレゼントしたよねぇ?」


「えぇ、覚えていますわ。圓様が空の上でお渡しになったからとても怖い思いをしましたわ」


「大袈裟だなぁ……。で、ここはそういった召喚アイテムで召喚する天馬(ペガサス)などの待機する場所として用意した。召喚笛によって召喚できるものには使用していない際には専用の異空間に戻るものと、別の場所で待機していて召喚笛を使うことで呼び出せるものの二種類がある。まあ、二種類目の方は後天的に生み出したんだけどねぇ。そして、その二種類は実は簡単に変更することができる。『空翔ける天馬の召喚笛(ペガサス・ホイッスル)』は前者なんだけど、後者にすれば再使用規制時間(リキャストタイム)も無くなるから肝心な時に使えなくて困るみたいなことが起きなくて便利だよ。それに、ここなら自然の中で天馬(ペガサス)と触れ合うことができる。動物との関係も信頼関係が重要だからねぇ。息を合わせたコンビネーションなんかは、こういった場所で関係性を築くことで可能になるんじゃないかな? と考えている」


「では、天馬(ペガサス)と触れ合う場所としてこの島をお貸しくださるということですの?」


「ん? 違うよ?」


 圓の意図することが分からずミレーユが困惑していると、圓がにっこりと微笑んだ。


「二つ勘違いがあるねぇ。一つ、この島は貸すんじゃなくてプレゼントするよ。まあ、帝国の皇女様が手狭な島をもらっても困るかもしれないけどねぇ。この島と一緒にこの島と外界を自在に行き来できる時空魔法の指輪も進呈しよう。で、二つ目だけど、今日この島に来てもらった理由は二つあるんだ。一つ目はあそこに見える厩舎についてから説明するとして、二つ目はミレーユさんに魔法を習得してもらおうと思ってね」


「ま、魔法ですの!?」


「流石に今回は危険な匂いが漂うからねぇ。後々のことを考えても防御と補助系、後は回復系は欲しい。攻撃系も、まあ、習得しておいて損はないかな? ということで、久しぶりの特訓回だ。ああ、大丈夫。素質はあるから。過去にミレーユさんが闇堕ちした時、平然と魔法放ってきていたからねぇ。闇に反転していたから属性は光系統、間違いなく希少な才能だよ。素晴らしいねぇ」


 ミレーユもファンタジーの代表例と言える魔法に興味がないという訳ではないのだが……特訓と聞くと前回の覇王の霸気習得のための地獄の特訓を思い出して、沈んだ気持ちになってしまうミレーユである。


「ああ、今、ミレーユさんが頑張っているダイエットの方もついでにサポートしてあげるから大丈夫だよ。時間制限も時間魔法を使って用意するから実質無しだ。さあ、魔法も理想の体型も手に入れて最高の夏にしようぜ!!」


 すっかりハイテンションになってしまった圓様に「ああ、逃げられないんですわね」と遠い目になり、溜息を吐いた。


 そうこうしているうちにローザ姿の圓とミレーユは厩舎へと到着した。

 中に居た馬は七頭――いずれも全く種類の違う馬のようである。


「色々な馬がいますわね」


「ミレーユさんってパートナーの馬がいないでしょう? だから、この中から好きな馬を一頭プレゼントするよ。ちなみに、通常の方の馬はいずれもベーシックヘイム大陸産で通常の馬が三頭、魔物系の馬が四頭だよ」


「ま、魔物ですの!?」


「ああ、勿論危険な馬ではないよ。しっかりと調教は施しているから危害を加えることはない。普通の馬と変わらないから安心してねぇ。で、一頭ずつ説明すると左から重種馬のヴラジャイ種。重種馬とは体格の大きく力の強い馬で、ボクの前世では開拓や軍馬、農作業の労働力として活躍したことでも知られる区分だよ。ボクの前世の世界には体重一トンを超える大型の馬が騎手の乗ったそりを引き、勢いよく鼻息を吐きながら障害と直線で構成されたコースを競う輓曳競馬(ばんえいけいば)という世界的に見ても例を見ない独特のレースがあった。ヴラジャイ種はフォルトナ王国の軍馬に多く採用されている馬でボクの愛馬――コルディリネ・テルミナリス・ドナセラちゃんもヴラジャイ種の血を引いている。まあ、他の馬とも混ざっているから純血種ではないけどねぇ。彼女には彼女にしかない持ち味があるんだけどねぇ」


 毛色は鮮やかな栗毛。美しくしなやかな筋肉。

 一目で素晴らしい馬だと馬マニアのミレーユにも分かったが、まだ選ぶことはできない。何故なら、他の馬も同じくらい魅力的だからだ。


「二種類目は軽種馬。乗馬や競走馬として扱われる品種だねぇ。代表的なのはサラブレッドと呼ばれる種だけど、今回紹介するのはブライトネス王国で乗馬用の馬として親しまれているシャインレル種。とにかく機敏、ただし、サラブレッドほどではないけど、細い脚は怪我をしやすく、気性もかなり繊細だ。まあ、この子はかなり大人しいし、比較的まだ育てやすいとは思うよ。三種類目は中間種馬。軽種馬と重種馬を掛け合わせたハイブリッドな馬で、今回はブライトネス王国の陸上騎兵団で採用されているウラヴ種を連れてきた。この種をいいとこ取りと取るか、器用貧乏と取るからその人次第。と、ここまでが通常の馬だ。どれもブライトネス王国とフォルトナ=フィートランド連合王国の騎馬隊に拝み倒して譲り受けた馬から育てた自慢の子達だ。誰を選んでも損はさせないよ」


「素晴らしい子達ばかりですけど、まだ紹介は半分も終わってないですわよね?」


「じゃ、後半いってみよう。まずは黒曜馬。『黒曜馬の召喚笛ダークホース・ホイッスル』で呼び出すことができる黒馬型の魔物……ではあるんだけど、野生ではかなり凶暴な魔物として知られている。まあ、子供から育てたから危険性はほとんどない。ただし、プライドは高いからねぇ。まあ、それは他の魔物系の馬にも言えることだけど。その隣の銀色の毛を持つ馬が疾風旋馬(ストームホース)、風を纏い駆け抜ける要注意魔物の一匹だねぇ。危険度は黒曜馬と同等程度。雷撃魔法を扱えるフィジカルの黒曜馬、スピードと風魔法の疾風旋馬(ストームホース)、どちらも甲乙付け難いねぇ。三頭目は赫闘馬(かくとうば)、美しい赤毛の馬で、炎魔法を得意としている。疾風旋馬(ストームホース)を軽種馬、黒曜馬を重種馬とするならば中間種馬に属するということになるかな? スピードもフィジカルも申し分のないバランスの取れた馬だよ。そして、最後が白から青への美しいグラデーションの毛を持つ白麗馬(オーロラポス)。これだけは、ハーフレイドランク級の魔物で、はっきり言って他の魔物とは一線を画す。その身に纏う冷気はあらゆるものを凍て付かせるなんていう伝承も設定されているくらいだ。ゲーム時代には従魔にする愛好家も大勢いてねぇ、最も美しい馬と呼ばれることもあったかな? ……まあ、元々の素質云々は別にして、どの子も同じくらいの水準まで育てて……おや、その様子だともうどの馬にするか決めたみたいだねぇ」


「えぇ、この子に決めましたわ!」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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