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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 4. 緑霊の森のエルフ至上主義者達と暗躍する神々

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Act.4-7 ローザ一行の初遠征と、三つのクエスト scene.7

<一人称視点・アネモネ>


 冒険者ギルドを出て、商隊と合流した。ブライトネス王国とフォルトナ王国の間の商品の流通を支えている小規模の商会の一つらしい。

 三大商会の主な商売相手が貴族に対し、彼らは庶民達を相手に商売をしている。どちらが稼げるかは明らかだけど、庶民相手の商売がなくなれば生活が崩壊する訳だから、大手の商会よりも彼らの方が重要だと思うんだけどねぇ……。

 まあ、大手の中にも例外がいて、ボクら『ビオラ商会』は庶民から貴族まであらゆる階級を対象にして、彼らの生活を潤しつつ金を稼ぎ、それを彼らに還元するというサイクルを繰り返しているんだけど。最近だと食の改革とか……まあ、香辛料が圧倒的に足りないから改革と呼べるほどのことはできていないけど、都市(王都)を中心に少しずつ文化面で幅を広げることはできていると思うんだけどねぇ……。


 さて、馬車は全部で五台。それをボク達が護衛するという訳なんだけど……通常は全方向から襲われても対処できるようにそれぞれの馬車に冒険者チームを配置するものだけど見気もあるし、最前列にボク達を配置するという形でシルフスの街を目指すことになる。


 まあ、そもそも今回は例外に例外が重なった形だからねぇ。普通、王弟やら大臣やらが乗った馬車は商隊の馬車よりも優先されるものだけど、今回はバルトロメオやディランの素性は隠すことになったし……もしかしたら、ジルイグスやイスタルティからなんとなく素性を想像できてしまう人がいるかもしれないけど、マスメディアが充実している世界と違って庶民は雲上人の王族や貴族の顔を知らないのが普通だし、「なんとなく高貴な身分のお方なのかもしれないな」程度で済ませるんじゃないかな? というか、ディランとか見た目はともかく中身はやんちゃ坊主がそのまま歳を取ったみたいだし、そもそもここまで好戦的なおっさん達を高貴な人だなんて思わないかもしれないねぇ。


 軽く自己紹介をしてから馬車に乗って出発。ちなみに、馬は八脚軍馬(スレイプニル)から普通の馬に変え、馬車も普通のものに切り替えたから大幅にスピード減で乗り心地も落ちたけどそもそもこういうものだからと我慢してもらった。まあ、それでも衝撃吸収材が可能なアイテムなんかを使ってある程度の乗り心地にはしたんだけどねぇ。……そのおかげか、特に不満は上がらなかった……どころか、バルトロメオから「商売の話をしようぜ(意訳:この技術を軍部の馬車に採用したいんだが、どれくらいになりそうなんだ?)」って嬉しい話をもらった。勿論「まいどあり!」、ってことで今回の件が片付いてから作業に取り掛かることが決まったけど。素材アイテムの『モフ綿』と『天壌の白雲』の配合によって結構感触が変わってくるし、既存のものを改良するならやっぱりボクが直接騎士詰所に出向いた方が良さそうかな? まあ、ヒゲ殿下もバックにいる訳だし、多少のフォローはしてくれるだろうしねぇ。


『イヒヒヒ、そこの馬車止まれ! おおっと、ここから先は行かせねえぞ!! この『飢えた狼ハングリー・ウルフィー』のテリトリーを通ろうって言うんだ、通行料を払って貰わねぇとな、ってことで身包み全部置いていけぇ!!』


「って……前方三十メートル先で、盗賊のお頭らしき人が投降勧告をしてきていますが、どうします? ちなみに、無抵抗だと女性陣は漏れなく全員奴隷堕ちさせられそうですが?」


『うふふ、お姉様のお手を煩わせるまでもありませんわ! ここは私達が』


「いや、もっと効率よく捕まえる方法があるんじゃないか? そもそも、投降勧告に従う必要もねぇし……殺さない程度にやっちゃっていいぞ」


「了解です、王弟殿下。……では、【錬成・捕縛鎖】」


 地面に対して【遠隔錬成】を行って地面の金属を集めて生成した鎖を錬成の際の干渉力を再利用して金属への「錬成的干渉」をしてから約十五分間に限り、金属に掛かる重力を無視した干渉を可能にする【錬成力干渉】を使って操作した鎖の一方で盗賊達を捕縛。一方で、伸ばした鎖を馬車に繋いで……。


「「「「「「「「「「…………はっ?」」」」」」」」」」


 まあ、鮮やかな手並で捕縛されたせいで現場を全く理解できていないみたいだねぇ……まあ、これから嫌と言うほど味わうことになるか。

 さて、ここで突然ですが問題です。一方を馬車に取り付けられ、一方でガチガチに盗賊を拘束した鎖。では、馬車がそのまま真っ直ぐ進んだ時盗賊はどうなるでしょう? あっ、正解? 街道中引き回しですよ??


「「「「「「「「「「やめろぉ!! イタタタタタタタ!!!」」」」」」」」」」


 まあ、死なないように定期的に「聖究極治癒術式セイクリッド・ヒーリング」を掛けてあげているんだけどねぇ。

 その後も次々と盗賊が襲ってきたけど、似たようなパターンで全員返り討ちにして馬車に括り付け……結果的に大幅にペースが遅くなった。まあ、馬にも負担が掛かっているからねぇ。

 そのままゆっくりと街道を進み、シルフスの街についた頃には三つの盗賊団を捕らえていた。……しかし、なんで依頼通りミーラン街道に出没する盗賊から商隊を護衛したのに、商隊の人達から怯えられているんだろう……解せぬ。



「皆様のおかげで無事にシルフスの街に積荷を届けることができました! こちら、今回の護衛のお礼と依頼達成の報告書になります。わさわざお伝えする必要はないかと存じますが、冒険者ギルドに必ずご提出ください。それと、もし日用品のことでお困りのことがありましたら、ツァルマール商会を是非ご利用下さい。今後も素晴らしい関係を築いて参りましょう」


 商隊の隊長さんは報酬と書類を手渡すと商売に向かった。


「…………ツァルマール商会を是非ご利用下さい、か。もし、お前の正体がビオラ商会のトップって知っていたら絶対にそんなこと言わなかっただろうぜ。というか、腰抜かしていたんじゃないか?」


「それはヒゲ殿下も同じでしょう? 王族や大臣にあんな態度を取っていたなんて知ったら絶対に殺されるんじゃないかって戦々恐々していただろうからねぇ」


 商隊のメンバーはボク達を冒険者だからと下に見ることは無かった……けど、それが公爵家の令嬢や王族、大臣に対するものとして適切だったか、となれば話は別……まあ、アウトだよねぇ。

 でも、ボクは手を擦り擦り揉み手をして下心満載で阿る役職や家名なんていう看板、権力で人を判断する人間よりも、ちゃんと一人の人間として向き合う人間の方が好感が持てる。


「それじゃあ、ボクは冒険者ギルドの方に報告してくるからねぇ。……そうだねぇ、ヴァケラーさん達にも一緒に来てもらおうか。この盗賊達の処遇も冒険者ギルドに決めてもらわないといけないし……というか、冒険者ギルドだけじゃ無理だからこの地の領主も交えないといけないかもしれないねぇ」


「とりあえず、ここで考えても仕方ないだろう? 親友(ローザ)は仲間達と冒険者ギルドに行ってくればいいんじゃねえか? 俺達はそれまで時間を潰しているつもりだし……親友と一緒に街を巡りたいんだ」


「それはいい考えだねぇ。アクア、ディランさんと一緒に行っておいで。楽しんでくるといいよ。……申し訳ないけど、欅さん達は馬車の中で待機してもらっていてもいいかな? 騒ぎになると困るからねぇ……用がないメンバーも馬車の中で待機しているといいよ」


 ああ、馬車と言っても遺物級(レリック)の方だけどねぇ。実は、さっき全員が降りた時にすり替えておいたんだよ。


 そのまま、ヴァケラー、ジャンロー、ティルフィ、ハルト、ターニャ、ラルと共に捕らえた盗賊達をギルドに連れて行く。

 ちなみに、街に行く勢の中にナトゥーフの姿もあったみたい……ボクが少しお小遣いを渡しているし、最近だと王都で買い食いもしているみたいだからねぇ。……まあ、ナイスミドルが屋台で買い食いしているって光景はまだ許容範囲内だと思うけど、正体が古代竜エンシェント・ドラゴンだってバレたら間違いなく大変なことになるよねぇ。


 冒険者ギルドはダヴァルットの街ものと同程度だった。……ということで、「また絡んでくる人がいるのかな? ボコボコにしないといけないのかな〜」って思っていたんだけど。

 意外や意外、誰一人として冒険者が絡んでくることはなく、スムーズに受付の列に並ぶことができた。……ところで、何故全員で怯えているんだろう? まさか、ダヴァルットの街の冒険者ギルドでの騒ぎの話が……流石にそれはないよねぇ。情報の伝達速度的に。


「……なんでこんなに怯えられているんだろうねぇ」


「そりゃ、こんなにも盗賊をゾロゾロと引っ張って冒険者ギルドに入れば怯えられるわよ」


 まあ、確かに道中に現れた三つの盗賊団のメンバー……まあ、大体九十人くらいをゾロゾロと鎖で引っ張っているんだから、そりゃ怯えるか……。

 つまり、これは「盗賊を九十人くらい捕まえた」冒険者チームという冠詞があるから怯えられる訳で、ボク達単体で冒険者ギルドに入っても怯えられるどころか舐められるってことなんだろうねぇ。ダヴァルットの街の冒険者ギルドの時みたいに。

 ……これって冒険者は相手の強さを見極められないってことの証明じゃない?? まあ、そうじゃなきゃ絡んでこないか……。

 そもそも、冒険者が相手をするのは魔物や盗賊といった分かりやすい相手だから見た目だけで判断しても問題ないのかもねぇ。魔物もビジュアルと強さを結びつけて知識として持っておけば問題ない訳だし。盗賊とかはもっと分かりやすいし。

 王都で購入したロマンス小説が丸々一冊読み終わる頃に受付嬢に呼ばれた。……ところで、ヴァケラー達が「よく、そんな速度で読めますね」って顔をしていたけど、ボクって本気出したら四冊くらいは同時並行で読めるよ?


「依頼の報告に参りました」


「護衛依頼ですね、確かに受領致しました。……ところで、その背後の鎖で繋がれている方々は襲ってきた盗賊ですか?」


「ええ、道中で襲ってきた盗賊の方々です。確か、報奨金の他に犯罪奴隷として売ったお金の一部が貰えるのでしたよね?」


「はい、まず報奨金についてですが手配書が出回っている盗賊にはそれに合わせた金額をお支払いすることになります。出回っていない盗賊に関しては固定額を支払うことが商人達からの常時依頼で定まっております。詳しくはギルドマスターからお話があると思いますので、少々お待ち下さい」


「それと、ブライトネス王国の王都のギルドから必ずギルドマスターにお渡しするようにと手紙を預かっています」


「畏まりました。それでは、こちらもお預かりしますね」


 ということで、担当してくれた受付嬢は奥に引っ込み、ボク達はギルドの中で待つことになったんだけど……何故か、職員の一人が冒険者ギルドを猛スピードで飛び出していったし、急にギルドが慌ただしくなったんだけど、もしかしてヴァケラーが手渡した手紙のせい? というか、その手紙ってダヴァルットの街の冒険者ギルドに提出して、ギルドマスターから倍ぐらい分厚い封筒で返却されていたけど……もしかして、中にボクへの悪口が書いているの? いるのかな?

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 容赦ないですね。 そこに痺れて憧れます。 [一言] お疲れ様でした。 来年も楽しみにしています。
[一言] > 馬車がそのまま真っ直ぐ進んだ時盗賊はどうなるでしょう? A.紅葉おろしができる。
感想一覧
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