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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-438 シーワスプ商会のベーシックヘイム大陸訪問に向けた準備 scene.3 上

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン・レインフォール>


 ジリル商会訪問を終えたボクはその足でユミル自由同盟へと転移した。


 三つ目の訪問先であるル・シアン商会本店はユミル自由同盟の外れに位置する。犬人族はユミル自由同盟と外界を繋ぐ橋渡し役でありながら、長きに渡り弱者として蔑まれてきた。

 ル・シアン商会の本店もユミル自由同盟の中心街に構えることは許されず、ユミル自由同盟の外縁地域に置かれることになったらしい。


 今は犬人族に対する差別意識は薄れ、余程の周りが見えていない古い価値観に囚われた連中でもなければ見下すことはないのだけど、残念ながらまだまだ武力が強い者が頂点に君臨すると考える連中が多いのが実情なんだよねぇ。……まあ、そういう連中の戦闘力は彼らが最弱と蔑んできた代表格である兎人族のメアレイズに秒殺されるレベルなんだけどさぁ。


 ……そして、その骨董品のような価値観をお持ちの皆様が今、ボクの前に立ちはだかっている。

 うん、本当になんでこうなった!? って感じだよねぇ。


 折角久しぶりにユミル自由同盟に来たし、少し観光しようって考えたのが間違っていたのかな? まあ、仮にル・シアン商会に訪問していても噂を聞きつけてル・シアン商会の入り口までぞろぞろとやって来そうだし、ここで相手をするのが最も被害が少ないのかもしれないねぇ。


 主要メンバーは、猩々人族の族長であるゴリオーラ=硬堅(インジィェン)=ヴォルドス=オランウータン、狼人族の族長であるウルフェス=餓狼(ェ゛ァ・ラン)=ヴォールグ=カニスルプス、熊人族の族長であるヴォドール=鋭爪(ルェイ・ヂャオ)=ベイージェ=ウルスス、牛人族の族長のギュトー=牛臣(ニィゥ・チェン)=タロウス=ボース、馬人族の族長のバトーウ=馬秀(マー・シゥ)=シャルキー=エクウゥス……要するについ最近、実力不足と判断されてギルデロイ=ヴァルドーナと共に時空騎士(クロノス・マスター)の地位を剥奪された面々か。

 一応、周囲を確認してみるけど、ギルデロイの姿はない。……まあ、彼まで結託していたらそれはそれで面白いで済んだ話なんだけど。


 集まっている連中の顔触れは率いている連中が連中ということもあって、猩々人族、狼人族、熊人族、牛人族、馬人族がやや多めだけど、獅子人族、虎人族、豹人族、象人族、犀人族の姿も一部見られる。

 彼らの共通点は、かつて獣人族の超点を争っていた者達というところかな? 獰猛な肉食獣系や草食系でもパワーが強い種族が多いし。


 彼らの中にも勿論、時空騎士(クロノス・マスター)にこそ選ばれていないものの闘気や八技といった新たな戦い方に順応して着実に強くなっている者達はいる。

 でも、かつての栄光にしがみつき、行うべき努力を怠った者達もいる訳で……その末路が彼らということになるんだろう。


「やあ、久しぶりだねぇ。……雁首揃えて、何のつもりかな?」


「まさか、分からねぇのか? 百合薗圓ッ! お前を倒せば時空騎士(クロノス・マスター)に相応しい実力を兼ね備えているってことが証明されるッ!! 俺達は強者だッ! ガリーゴラより弱い訳がねぇんだよ!!」


「ウルフィアが時空騎士(クロノス・マスター)に選ばれて、俺がその地位を追われるだと!? 何かの間違いに決まっている! あの狼人族の落ちこぼれが時空騎士(クロノス・マスター)に選ばれたのはあのクソ兎が寵愛しているからだろ!? 百合薗圓、お前を泣き面にして俺達が必要だってことを分からせてやるよ!!」


「俺は熊人族の頂点だ! それが、時空騎士(クロノス・マスター)の地位剥奪など、あっていい筈がないんだ!! 俺はジャクドンより強いッ! 二番手になってはならないんだよ!」


「……あっそう。君達の言い分はよく分かった。時代の畝りに、強さのインフレーションについて来れられない前時代の元覇者達よ! 敗北者共よ! ボクが君達に現実というものを叩きつけてやるよ!」


 アカウントをローザに切り替え、魂魄の霸気《八百万遍く照らす神軍アマテラス・パンテオン》を一部発動して光の剣を二振り創り出して構える。


「おい、真似すんなッ! 俺が先に攻撃しようとしたんだッ!」


「お前こそ、邪魔すんな! 牛頭は引っ込んでろッ!!」


「君らはいつもそれだ。共闘せずしてボクを倒せるとは……随分と舐められたものだねぇッ!!」


 辛うじて誰一人気絶しないギリギリを狙って覇王の霸気を発散させると共に、双刀に武装の神闘気と覇王の霸気、陽光の神闘気を纏わせる。

 同時に怪力の神闘気、鉄壁の神闘気、刹那の神闘気を全身に纏って強化を行い、スローモーションにすら見えるギュトーとバトーウにすれ違い様に斬撃を浴びせる。刹那の神闘気を使っている時点でかなり速度が増しているから圓式は使用しない。勿論、《血動加速》や光速移動を使うまでもない話だよ。


 絶命に追い込む致命傷は避けてギュトーとバトーウを戦闘不能に追い込んでから、ワンパターンな「熊・撃・爪ベアー・フェイタル・クロー」を放ってきたヴォドールに斬撃を浴びせ、「狼突進(ウルフ・ダッシュ)」に神速闘気を組み合わせてきたウルフェスを彼の速度を上回る速度で走り抜けてすれ違い様に切り捨てる。


「――こっ、こっちは数で優っているんだ!! 全員で畳んじまえッ!!!」


 ゴリオーラの号令で一斉攻撃を仕掛けてきた猩々人族を、狼人族を、熊人族を、牛人族を、馬人族を、獅子人族を、虎人族を、豹人族を、象人族を、犀人族を、一人ずつ斬り捨てる。

 確かに物量で攻めるというのは有効な手段だ。でも、それは連携が取れている場合だ。こうして一対一を無限に繰り返すような状況に持ち込まれて仕舞えば物量は無意味と成り果てる。


「ご、猛狒の剛拳(ゴリラ・フィスト)ッ!!」


「いいだろう、真っ向からぶっ潰してやる。求道の霸気最終領域・求道神! 覇王の霸気最終領域・覇王神!」


 光の剣を解除し、武装の神闘気を拳に収束――更にそこに求道神の領域まで強化した求道の霸気を纏わせて強度を大幅に強化し、そこに覇王神の領域まで強化した覇王の霸気を纏わせて破壊力を高める。

 魂魄の霸気《黒百合の眷属》を発動して《血動加速》を使用し、そこに《太陽神》の光速移動を重ねる。


 圧倒的な速度故に赤熱化して炎を、覇王の霸気によって黒い稲妻を纏った拳をボクは圓式の要領で最適化した拳術を用いて解き放つ。


神焔の覇雷砕拳(ゴッド・フィスト)ッ!!!」


 ボクの拳はゴリオーラの武装闘気を纏った拳を粉砕する。

 拳を失ったゴリオーラの腕から血が溢れ出る。ただ、消し飛ばしたのは拳だけなので、出血多量で死ぬまで死なば諸共で戦うという覚悟があるならまだゴリオーラにも打つ手は残されている。

 ……まあ、それは関係ないんだけどねぇ。


神聖なる治癒神域ゴッデス・セレスティアヒーリング


 神聖属性の回復魔法でゴリオーラ達を回復させる。流石は神聖属性――失った部位の修復まで完璧だねぇ。


「さて、君達の底は見切った。これでもボクは忙しくてねぇ、これ以上君達に付き合う時間はないんだ。だから、思う存分遊び給え。君達の影と――」


 ゴリオーラ達の影に魔法を掛けて彼らと同等の影の戦士達を出現させる。

 影の戦士達に阻まれながらゴリオーラ達が吐く暴言を聞き流し、ボクはユミル自由同盟の中心街からル・シアン商会へと向かった。



 ル・シアン商会本店でボクを出迎えてくれたのはカエルラ=犬弓(チュェン・ゴン)=コバルティー=カニスだった。

 懐かしいねぇ……会うのはド=ワンド大洞窟王国行きの使節団に同行してもらった時以来か。


 正直、ル・シアン商会ってジリル商会やマルゲッタ商会みたいに何度も足を運んでいる訳じゃないんだよねぇ。

 ボクの正体を知っていて王女宮宛てにDMを送ってくるけど、まあ、それも友好国の誼で少し商品を買ってくれるかもしれないっていう打算によるものなんだと思う。付き合いのレベルはミッテラン製菓と同列くらいかな?


「本当にお久しぶりです、圓様。使節団以来でしょうか?」


「久しぶりですねぇ、カエルラさん。あっ、そうだ。これ、ル・シアン商会に訪問するに際して持ってきたお土産なんですけど、後で会長殿にお渡ししてもらってもいいですか? 直接お渡しするほど親しい訳でもありませんし」


 風呂敷の中身はモルヴォルとルアグナーァに手渡したものと同じバターと蜂蜜のセットだ。

 本来なら会長に直接手渡すべきところだけど、別に親しくも何ともないしねぇ。商会を訪問した時も対応してくれるのは毎回違う社員さんで、会長との接点は皆無だし……というか、時期ルシアンを文官に登用したメアレイズ達とかの方がやっぱり付き合いは長いんじゃないかな?


「……ところで、先ほどピリピリとした感覚があったのですが」


「ああ、ゴリオーラ達時空騎士(クロノス・マスター)剥奪組を中心とした一団に待ち伏せされてしまして。ちょっと霸気を纏ってボコボコに」


「ちょっとレベルじゃないですよねェ!? 世界最強クラスで獣帝……いえ、獣神の称号すら有する圓様が手加減ならともかく本気でって、死者が出ますよ!!」


「失敬な。本来のローザの姿で相手しましたし、殺してませんよ。もしかして、カエルラさんはボクが死なない程度に手加減することができない暴力莫迦だと思っているのですか?」


「めっ、滅相もありません!」


「ところで、先程の襲撃、あまりにもタイミングが良過ぎたんですよねぇ。今回の訪問を知っていたのはル・シアン商会だけの筈ですが……もしかして、彼らに情報を流したりしました?」


「す、する訳ないですよ!? そんな恐ろしいこと。……と言いたいところですが、私もただの一社員なので正直その可能性を否定できるほどの情報を持っていないんですよね」


 まあ、冗談で言ったんだけどねぇ。……だから、この世の終わりみたいな顔をして震えなくてもいいと思うんだけどなぁ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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