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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-434 侍女会議(3) scene.1 中

<三人称全知視点>


「ところで、最近ビオラ商会合同会社って傘下を増やしたんだろ?」


 こんなんでも一応国王である。流石にそのまま侍女会議を続ける訳にもいかなくなり、会議は中断されてそのままお茶会に突入した。


「傘下入り……というか、ビオラ商会合同会社優位の合併という形だねぇ。ヴィクスン商会はビオラ商会合同会社・プラト港支社となり、会長のアマリア・艶花・ヴィクスンさんはそのまま分社長に横滑りした。空間魔法の移動装置も会議の翌日には支社に赴いて設置したから、ビオラ商会合同会社の機能は今の時点で備えているよ」


「……少し意外ですね。圓様はあまりビオラ商会合同会社の肥大化に否定的だと思っていましたが」


「ノクト先輩の仰る通り、基本的にはそのスタンスです。それに、アマリアさんって傘下入りして下に着いたフリをして内部からビオラ商会合同会社を侵食――最終的には乗っ取るつもりでしたからねぇ。ただより高いものはないという言葉を地でいく、危険で普通は手を出してはいけない明らかに地雷な提案でしたよ」


「……ですが、その提案に圓様は分かっていながら応じた。何かしらの意図があったのですね」


「まあ、ファレル先輩の仰る通り、不利益を上回るほどの利益が見込めたので応じました。一つ目は先行投資、いずれ我々は世界中を探索する必要に迫られると思います。『管理者権限』を本気で集めるのであれば、こちらからアクションを起こす必要もいずれは出てくるでしょうからねぇ。予め、敵がどこにいるかを知るためにも情報は重要となります。ヴィクスン商会のルーツはポーツィオス大陸にルーツがありますから、ポーツィオス大陸に関する情報を得る際には頼りにできます。他にも通常の商会であれば重要視する利益は沢山ありますが、ヴィクスン商会の有する販路とか、そういったものはそこまで重視していません。スクルージ商会に攻撃をされたにも関わらず、攻撃によって生じた不利益を補填すると言い出した人の良すぎる女商人を簡単に丸め込めると思ったアマリアさんに対する意趣返しがしたいという思惑もありましたが……」


「親友の性格の悪さが怖過ぎるんだけど!!」


「ちなみに、そのスクルージ商会はその後どうなったのですか?」


「エーデリア先輩、ご心配ありがとうございます。勿論、無事に和解済みです。現在はクロエフォード商会に謝罪し、共に食糧の相互援助機構【ミレーユ・ネット】を構築するために話し合いをしているそうです。……まあ、あれに関してはまだピースが一つ足りないのですが、そのピースの準備自体が大変なので、準備ができるのは春あたりですねぇ。その前にはペドレリーア大陸の臨時班のフィナーレを飾る戦争が予定されていますから、まずはその山場を超えないといけませんが」


「……戦争というと、園遊会の戦争に比肩するほどの戦いでしょうか?」


「うーん、シエル先輩の想像するような大量の敵が攻めてくるという感じでは無さそうだと考えています。が、個人のレベルで見れば戦力の練度は段違いですねぇ。まあ、上手くいけば色々と取り返せますし、絶対に負けられない重要な戦いになりそうですねぇ」


「まあ、俺にとってはもっと先の戦争の方が重要なんだけどなぁ」


「ところで、陛下。つい先日、城内で頻繁に女性の方とお会いになられているという噂が流れておりました。王妃様も不安そうにされていましたが……」


「あっ……圓、お前から説明を頼む」


「浮気疑われて自分で弁解できない男ってどうかと思うけどねぇ。……ラインヴェルド陛下と隣国のオルパタータダ陛下が最近城内で会っているのはクレールさんとデルフィーナさんだよ。四人にはある共通の目標ができて、今はよく一緒に修行をしているらしい。……まあ、クレールさんとデルフィーナさんの目的の方はラインヴェルド陛下やオルパタータダ陛下も複雑な気持ちを抱いているんじゃないかと思うけど」


「……お二人の母親は、確かグローシィ=ナイトメアブラックでしたね」


「ああ、ルヴェリオス帝国の暗殺者だ。そして、メリエーナの暗殺を実行した犯人であり、フォルトナ王国でも側妃のシヘラザードの指示を受けた宰相のアルマンによって雇われ、国家を崩壊させる暗殺劇を引き起こす筈だった女だ。……今でもその行いは許せたものじゃないが、それを言うならクレールやデルフィーナだって母親を奪われた被害者だ。まあ、俺とオルパタータダで一発ずつぶん殴らせてもらうって約束しているし、それで水に流すつもりだぜ」


「勿論、この辺りの話はブライトネス王国とフォルトナ王国の醜聞になりますので、口外しないようにお願いしますねぇ。……ラインヴェルド陛下の説明だけだと不足しているから、不足分を補わせてもらうよ。ボクは近い将来、確実にあの園遊会の戦争を超える戦争が引き起こされることになると予測している」


「……あの園遊会を超える戦争ですか?」


 アルマだけでなく、事情を聞いていたノクト以外の筆頭侍女達の表情が絶望に染まった。

 園遊会の場で起きた戦争――ブライトネス王国戦争は過去最大の誰も経験したことのない未曾有の戦争だった。その戦争を超える規模となれば恐怖に苛まれるのも当然のことである。


「仮称で第二次ブライトネス王国戦争と呼んでいるこの未来の戦争の舞台は学園になる予定だ。敵は複数のグループが予想されるけど、最も厄介なのは『綺羅星の夢』――新年祭の場に現れたという謎の機械――魔導機兵(エーテリアス)を用いて話をした元魔法の国の四人目の三賢者シャッテン・ネクロフィア・ シャハブルーメもその一人……というか、その戦争の主力ということになる。本来、死者蘇生には制約がある。しかし、彼女の持つ『死者蘇生』という魔法はその制約を破り、死者を復活させることが可能であることが判明している。他にもそれとは別に擬似的な死者蘇生が可能な方法もあり、グローシィ、メリエーナ様、アーネェナリア様はシャッテン達の手で復活し、その戦争で敵兵として使われる可能性がある。意思を残したまま闇の魔法で操られて戦わされるという何とも悪趣味極まりない方法でねぇ。ただ、ピンチは同時にチャンスでもある。その闇魔法を解除すれば、死んでしまった大切な人を取り戻すことだってできる。ラインヴェルド陛下達にはその闇魔法を解除するための特殊な機械を作って貸し与えている。ただ、使い勝手がなかなか悪くてねぇ。それで、同じ目標を持つ者同士で協力して訓練をしているって聞いているよ」


「ってか、親友。何とかできねぇのかよ? 相手の動きを完全に止めてからじゃないと解析が始められなくて、しかも解析に十分以上掛かるとか使い勝手最悪じゃねぇか!」


「そんなに言うなら自力で解除しなよ! かなり複雑な上に毎秒変化しているパスワードのようなものなんだよ! しかも、一つずつアルゴリズムが違うから個別に対処するしかなくて大変なんだよ! ボクの科学力じゃこれが限界、文句あるなら自力でやるか、化野さんでも呼んでこい!」


「……ちっ、仕方ねぇな。まあ、親友でも無理なら俺にはもっと無理だ。諦めるしかねぇか」


「……つまり、過去最悪の戦争になるという意味はブライトネス王国戦争で死亡した敵が復活するからでしょうか?」


 グローシィ、メリエーナ、アーネェナリアの復活といった触れにくい部分のことには目を瞑り、ついでに何故学園で戦争が引き起こされるのかという疑問にも危険を感じたファレルは口喧嘩を始めたラインヴェルドと圓を止めて話題を戻すために確認のつもりで尋ねた。


「ファレル先輩のお考えの通りです。ただ、他にも予測される戦力は複数います。戦争が学園で起こる理由など詳しい話はここでは触れませんが、ラインヴェルド陛下がご存じないところでいうと、レイリア=レンドリタ夫人が『綺羅星の夢』側として参戦する可能性が高そうですね」


「はっ? 何でアイツが参戦するんだよ? ヴァルムト宮中伯家でお前とアルベルトに喧嘩を打った件で俺が颯爽と現れてヴァルムト宮中伯家を脅迫して、アイツはヴァルムト宮中伯のおっさんに左遷を言い渡されていただろう?」


「あっ、脅迫したことは認めるんだねぇ。そのレイリアだけど、監視していた諜報員から見失ったって報告が上がってきた。ビオラの諜報員があの程度の相手に遅れを取る筈がない。となると、外部の協力者の手で監視から逃れたとなる。考えられるとすれば、『這い寄る混沌の蛇』か『綺羅星の夢』だけど、ボクは『綺羅星の夢』の可能性が高いと思っている」


「パヴスェルの『ニコライの外套』か!」


「まあ、その可能性が高いと思うよ。……まあ、戦争のことは今考えても仕方がないし、話を戻そう。確か、ヴィクスン商会の話だったねぇ」

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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