Act.4-3 ローザ一行の初遠征と、三つのクエスト scene.3
<一人称視点・リーリエ>
『うふふ…………貴女の髪、柔らかくて気持ちいいわ❤︎』
『貴女の肌、すべすべでもちもちしてる❤︎ 食べちゃいたいくらい、可愛い❤︎』
『……ひゃん、ら、らめ❤︎ そこだけは❤︎ ひゃん❤︎❤︎』
「…………どうしてこうなったんだろうねぇ」
アルラウネ達が体を絡ませながら火照ったからだ甘い吐息を耳裏に当てたり、首筋に手を回したり……なんとも眼福……ではあるんだけど、なんかこっちじゃないって空間が広がってる。
ボクは可愛い女の子がキャッキャウフフ(もしかして……これって死語?)して天使の笑顔を浮かべている姿を想像していたんだけど……これって、もっとディープでアダルティな方の百合じゃない? ……本当に何故、方針を間違えた。
「おーい、リーリエさん! こっちは終わりましたよ!! ……って、ええ!? 何事!? 一体何が起きているんですか!?」
あっ、ヴァケラー達も来たねぇ……そして、アルラウネ達が絡み合う百合百合な光景に絶句したようだ。
『うふふ、お姉様のおかげで私達生まれ変わったのよ❤︎ 人間を襲うなんて馬鹿みたい。おっさんに媚びを売るよりもこうやって可愛い同族達と戯れていた方が楽しいわ❤︎』
「これ……どうなっているんだ? どんな魔改造をしたらこんなことに……」
予想外の方向でアルラウネ問題が解決したからジルイグス達も驚いているねぇ……なんかラル達は「まあ、やりかねないわよね。圓さんは……」って納得しちゃっているけど……ボクって普段どんなキャラだって思われているの!?
「まあ、ボクの『魔眼』の効果なのかどうかは分からないけど、とりあえずアルラウネ七体は全部従魔にできたみたいだねぇ」
『魔眼』には精神干渉系の効果の他に元々の効果の他にMOBの捕獲確率に影響を与えるっていう隠し効果がある。まあ、吸血鬼系の特権の一つと言えるだろうねぇ。
まあ、今回はそれが効力を発揮した……訳では無さそうだけどねぇ。……うん、ボクにも実はよく分かっていないんだよ。
『お姉様! 私達はお姉様のおかげで本来の私達に目覚めることができました!! どうか、私達をお姉様の元に置いてください!』
『『『『『『『――お願いします!!』』』』』』』
完璧なタイミングで頭を下げて懇願するアルラウネと、困惑するヴァケラー達冒険者チームとジルイグス、イスタルティ、ミーフィリアの三人。
「――か、可愛い❤︎」
「おい……あぁ、親友が尊死してるよ。……おーい、大丈夫か? お前昔っから変わんねえな」
膝から崩れ落ちて鼻を押さえているアクアと、さりげなくハンカチを取り出してアクアに渡すディラン。この二人は通常運転だねぇ……前世からずっとこんな感じなんだろうねぇ、きっと。
「これ、一体どうするのですか? 冒険者ギルドへの報告は……」
「まあ、ターニャさんの気持ちは分かるけどねぇ。ボクがしたことだし、責任を持ってなんとかするよ。そもそも魔物がどうだとか言えば、ナトゥーフさんとかどうするんだって話だし」
我関せず地面の草花に触れては「可愛い花だな〜♪」ってやっている基本的には頭の中お花畑なナイスミドルに見えるけど、一応彼って古代竜だからねぇ? 二億年前からドラゴネスト・マウンテンの周辺に棲みついている最古にして最強の竜種の一体なんだよ? ……最近怪しくなってきたけど。
「ローザ嬢なら本気でなんとかしちまいそうだな。というか、できないことの方がねえだろ? 本当に怖え嬢ちゃんだよ」
「……それって褒め言葉なのかな? バルトロメオ王弟陛下」
なんかみんな誤解している気がするなぁ……ボクってそんなにヤバい奴じゃないよ? 基本的には温厚だと思うんだけど……まあ、本気で敵対した限りは一族郎党皆殺しは最低限するべきだって思っているけどさ……これ普通の感覚じゃないの? だって、もし仮に情けを掛けたら後で逆転された時にこっちが窮地に立たされてしまうんだよ?
とにかく、今回の第一の依頼――「討伐クエスト:ライヘンの森の魔物討伐」は、アクア三百十二体、ディラン三百十一体、バルトロメオ二百九十体、ラル百八十五体、ミーフィリア百体、ペストーラ七十二体、スピネル六十五体、イスタルティ六十三体、ジルイグス六十一体、ヴァケラー六十体、ジャンロー三十体、ティルフィ三十三体、ハルト十八体、治癒要員のターニャが零体っていう討伐数で決着した。……まあ、イスタルティは得意分野の馬上槍術ではなく、通常の槍術で戦わないといけなかったし、ジルイグスも本気を隠して戦っていたみたいだから、今回の件でどれくらいの強さか測ることはできなかったけど……まあ、他にも様子見していた人がいただろうしねぇ。
えっ? ナトゥーフはって? 古代竜は徹頭徹尾お花と戯れていたから零体だよ? ちなみに、ボクの討伐数はカウントされてないけど、まあ「虚空ヨリ降リ注グ真ナル神意ノ劒」で百体は消し飛ばしたんじゃないかな? ……まあ、規模が違うからねぇ。
◆
再び馬車に乗り込み、次の「素材回収クエスト:クラブスパイダー三体」が出現するパトラスの森に向かう間に、ボクはすっかり忘れていたバルトロメオ、イスタルティ、ジルイグス、ミーフィリアへの武器配布を行うことにした……すっかり忘れていたからねぇ。
ちなみに、ディランには既に幻想級装備『闇を斬り裂くもの』を、ペストーラには『光子力系ブラスター・大口径レーザーライフルσ-3096』、スピネルには幻想級装備『雲竜絲プラティナクロース』を既に手渡している。まあ、防具の方も幻想級をいくつか渡してあるけど今回も割愛ということで。
ちなみにペストーラに渡した『光子力系ブラスター・大口径レーザーライフルσ-3096』は名称の世界観からなんとなく分かると思うけど、『SWORD & MAJIK ON-LINE』、『Eternal Fairytale On-line』、『スターチス・レコード』、『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』のいずれのゲームのアイテムにも該当しない。
『End of century on the moon』……ボクと高槻さんが共同で作った十番目のゲームで、大規模な環境破壊と各国の最終戦争によって地球に住めなくなり、人々が地球から月へと移住し、テラフォーミングによって月での生活がある程度可能になったものの、またしても人間同士で利権を巡って戦争が起こり、その余波が今尚残っているという背景を持つ世紀末の月を舞台に、暴走した機械兵器や遺伝子操作で生み出された生体兵器、大破して宇宙船など様々なSF要素が登場するFPSゲームで、唯一公式リアルマネー換金や公式システムによるRMTを採用していて、このゲームで生計を立てているというプロがいるゲームだったっけ?
武器には光子力銃や光子力バリア、ビームサーベル、物理銃(通常の武器)、プラズマグレネードなどSFチックな武器と現実に存在する火器が入り乱れるように存在していて、『光子力系ブラスター・大口径レーザーライフルσ-3096』はその名の通り光子力銃の一種に分類される。『End of century on the moon』ではエネルギー式なので発射回数が多く、弾薬費もかからないけど、プレイヤー装備に光子力バリアが一般的だったから対人戦には向かない武器だったんだよねぇ……まあ、でもここは異世界。『End of century on the moon』もまだ導入されていないから、光子力バリアも存在しないし、かなり有用な武器だと思って採用したんだけど……分類は謎の未来級で使い方によっては幻想級に匹敵するとんでもない武器と化したんだよねぇ。一緒にいたラルやスピネル、他の極夜の黒狼のメンバーが羨ましそうにしていたっけ?
バルトロメオには幻想級装備『コールブランド』を、イスタルティには幻想級装備『神槍・天逆鉾』を、ジルイグスには幻想級装備『ソニックブリンガー』を、ミーフィリアには『世界樹の短杖』をそれぞれ手渡し……さて、次はアルラウネ達だねぇ。
まずはそれぞれに名前をつけることにした。それぞれ、年の順で欅、梛、櫁、椛、槭、楪、櫻と名付けて、髪型などで個性を出す……まあ、元々ちょっとずつ容姿が違うんだけどねぇ。
一番この中だとお姉さんみたいな雰囲気でやっぱり年長者な欅はミディアムヘアで片眼を隠している。
二番目に年長で清楚な高嶺の花イメージの梛は緩くウェイブの掛かったセミロング。
三番目に年長で嫋やかで奥ゆかしいイメージの櫁はロングヘアで普段は両眼が隠れている。……顔の全貌が見えた時のインパクトを狙った感じだねぇ。
四番目に年長で双子のように五番目に年長なアルラウネと似ている椛は右のサイドダウン。
五番目に年長で双子のように四番目に年長なアルラウネと似ている槭は左のサイドダウン。
六番目に年長で元気娘なイメージの楪はポニーテール。
そして、一番年若くて可愛い物好きな櫻がツインテール……まあ、こんなところだろうねぇ。
全員に幻想級防具の『緑の侍女服』を渡して好きにアレンジしてもらうことにしたんだけど……本当にセンスが分かれたねぇ。大規模にミニスカートにする楪とか、そこに製作級のメガネを組み合わせてメイド長みたいなイメージになっている梛とか……まあ、年長組はそのまま着崩さないで、年少組は大胆にアレンジするっていう傾向があるみたいだねぇ。
まだ得意な武器は分からないみたいだから、とりあえず保留で。植物を操る植物操作の力や、地面を潜って移動する、舗装されていない場所になら海さえ越えなければ移動可能な地下茎移動みたいな力もあるみたいだからねぇ……どうやら虜にして殺すだけじゃなかったみたいだねぇ。
お読みくださり、ありがとうございます。
よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)
もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。
それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。




