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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-407 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜ビオラ・スクルージ商会戦争〜 一章〜ワイゼマル商会の長ヴァルフォンスとの交渉と、ヴァルフォンスの要望〜 scene.3

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン・レインフォール>


 ヴァルフォンスの依頼とは港湾国セントエルモの国王アシュガルダに会って欲しいというものだった。

 ただ単にアシュガルダの親友として、彼にボクを紹介したくなったという話で、その裏に目論見とかが一切ないことは見気を使わずとも分かった。……まあ、一応確認はしたけどねぇ。


 実際に会ってアシュガルダがどのような判断を下すのか、また、ボクがこの機をどのように生かすのか、そこまでは関知しないという立場なのだろう。


 ヴァルフォンスはそのままの足で王城に連れて行くつもりだったみたいだけど、流石にいきなり王城に行っても驚かれるだろうし、こちらにも準備をすることがあるので謁見の希望日時だけを伝えてその日は一旦帰国した。


 そして、後日――ボクはミレーユ、ルードヴァッハ、リズフィーナ、アスカリッド、クラウディアを伴って港湾国セントエルモの王城に赴いた。

 リズフィーナにはオルレアン神教会の代表として万一の場合に魔族に対する立場を示してもらうために、クラウディアには念のために多種族同盟加盟国の女王として魔族の扱いがどうなっているかを万一の場合に説明してもらうために参加してもらっている。


 クラウディアの役目はそれだけでなく、アスカリッドと同じく多種族同盟の現状を尋ねられた際に加盟国の王としてそれに答えることも含まれている。

 この仕事は別にラインヴェルド達にもできるけど、アイツらトラブルを起こしそうだからねぇ。勿論、真っ先に候補から除外させてもらったよ。


 今回、ソフィスとミラーナはお留守。ミレーユとルードヴァッハは魔法で変装せずにダイアモンド帝国の皇女とその側近として参加してもらっている。

 とはいえ、今回、メインで客人として招かれたのはボクだから二人に仕事はほとんどないと思うけどねぇ。


 通された先は応接室として使われていると思われる少し小さめの部屋だった。置かれている調度品はどれも職人の技が光る逸品で、港湾国セントエルモが豊かな国であることが部屋に置かれた調度品からも窺い知れる。


 応接室にはアシュガルダの他にヴァルフォンス、港湾国セントエルモの宰相を務めるマッカルヴァス・アグユモンド、港湾国セントエルモの騎士団長を務めるクオドラ・ナグルフェアがいた。

 ヴァルフォンスの紹介とはいえ、相手はあまり情報のない海を隔てた大陸からやってきた商人……まあ、警戒をするのは当然のことだよねぇ。


「お初にお目に掛かる、アネモネ殿。私はアシュガルダ・セントエルモだ。こちらは宰相のマッカルヴァスと騎士団長のクオドラ――この部屋に武器を携帯した騎士がいることをよく思わないかもしれないが、友人のヴァルフォンスの紹介とはいえ、流石に無防備を晒す訳にはいがないのでな。ご理解頂きたい」


「当然の判断だと私は思いますわ。国王という身分の方が護衛の一人も付けずに得体の知れない相手と接触するのは褒められたことではありません。……こちらこそ、大勢で押し掛けてしまい申し訳ございませんでした。まずは今回、同行して頂いた皆様の紹介をさせて頂きます。ダイアモンド帝国第一皇女ミレーユ・ブラン・ダイアモンド殿下と、殿下の最側近のルードヴァッハ・フレイット殿、オルレアン神教会より『聖女』リズフィーナ・ジャンヌ・オルレアン公爵令嬢。御三方には多種族同盟のことを良く知るペドレリーア大陸の友人として発言を頂ければと思い、無理を言ってお越し頂きました」


 まさか、大国ダイアモンド帝国の皇女とオルレアン神教会の『聖女』をこの場に連れてくるとは思っていなかったアシュガルダ達は改めて二人の名前を聞いて衝撃を受けている。


「続いてベーシックヘイム大陸、多種族同盟加盟国よりオルゴーゥン魔族王国の女王アスカリッド・ブラッドリリィ・オルゴーゥン陛下と、ラングリス王国女王クラウディア=ラングリス陛下。お二人には多種族同盟加盟国の君主として発言して頂く必要がある場合に備えてお越し頂きました」


「多種族同盟加盟国のうち、ビオラ=マラキア商主国、クレセントムーン聖皇国、レインフォール湊都市国を治め、ブライトネス王国とフォルトナ=フィートランド連合王国で複数の爵位を叙爵された貴族であり、多種族同盟最大の規模を誇るビオラ商会合同会社の頂点に立つ商会長殿が一人いれば本来、事足りる話だと我は思うが……」


「更に言えば、多種族同盟の中で最大規模を誇る宗教――黒百合聖女神聖法神聖教会の神でもあるのよね。……って、これもしかして言ってはダメなことだったかしら?」


 既にアスカリッドの説明だけで、肩書の説明としては十分過ぎるものだった。ただの商会ではなく、複数の国家を運営し、多種族同盟の各地に支店を出し、同盟最大の規模と影響力を誇る商会であることはソフィスが力説していたからヴァルフォンスを経由してアシュガルダの耳にも入っているだろうし。

 クレセントムーン聖皇国の君主……ってのはグレーラインだったけど、リズフィーナの言葉は完全にアウト。できる限り、宗教絡みの話はしたくなかったんだけどねぇ。


「……アネモネ殿が神とは、一体」


「リズフィーナ様、その話題は極力避けたかったんですけどねぇ。……オルレアン神教会のような強固な信仰が存在している土地で、こういった話題は波紋を呼びます。波紋というか、最早争いの種です。宗教はいつの時代においても争いを引き起こす要因となってきました。一つの宗教が大陸全体で信じられているペドレリーア大陸だけしか知らないリズフィーナ様にはあまり実感の湧かない話だと思いますが。それに、港湾国セントエルモは多種族同盟加盟国でも無ければ、我々がその事実を伝えるべきと判断した相手でもありません。……まあ、ここまで話してしまったのであれば口を閉ざすという訳にもいかないでしょう。皆様、ここからの話は内密にお願いします。――万一の場合は、王族だろうと物理的に首を落としに行きますので、それだけお覚悟くださいませ」


 クオドラがボクの物騒な言葉を聞き、敵意ありと判断したのだろう――剣を鞘から抜き払い、殺気を放つ。

 しかし、ボクがその殺気を遥かに上回る霸気を放つと恐怖のあまり動けなくなった。


「これからの話を他言しなければ何をするつもりはありません。そして、信じるか信じないかはご自由にして頂いて構いませんが、ここからのお話は全て事実です。……まず、黒百合聖女神聖法神聖教会と呼ばれる宗教は元々四つの宗教が一つに合わさり誕生しました。一つ目は特定の神を崇めず、光属性の魔法を使える『聖女』と呼ばれる存在を特別視していた天上光聖女教を前身とした天上の薔薇聖女神教団。当初、人間を至上とし、亜人種族や魔族に対して迫害を行っていた彼らの存在がエルフ族と同盟を結ぶに当たり邪魔だったため、ブライトネス王国国王ラインヴェルド陛下と共に神祖の吸血姫であるリーリエが、天上光聖女教の総本山に襲撃を仕掛けて壊滅に追い込みました。その後、強力な光魔法とその吸血姫の立場に信仰心を見出したのか、宗旨替えをしてリーリエを崇める厄介な連中へと変貌を遂げました。二つ目は兎人姫ネメシア教、エルフ族に続いて獣人族とも友好関係を結びたいと多種族同盟の使節団がユミル自由同盟という獣人族の国を訪れた際に、その条件として獣王決定戦――つまり、次期国王を決める武術大会への参加を求められました。その大会で優勝した神祖の兎人族のネメシアの強さに信仰心でも抱いたのか誕生した傍迷惑な宗教です。三つ目は金色の魔導神姫教、多種族同盟加盟国の一つ、翠光エルフ国家連合――その前身となった緑霊の森で発生した内乱を鎮圧した神祖のエルフのマリーゴールドに次第に信仰心が集まって誕生したと聞いていますが、具体的な発足次期は不明です。四つ目は竜皇神教――風の国ウェントゥスに存在する暴風竜の異名を持つ古代竜エンシェント・ドラゴンを崇めていた緑の使徒(ヴェルデ)から派生した宗教で、神祖の龍人であるラナンキュラスを崇めています。……では、何故、全く別の神として崇められる四つの宗教が一つになったのか、答えは簡単です。その神が全て同一人物だからです。更に言えば、この私、アネモネもその姿の一つということになります」


 リーリエ、マリーゴールド、ネメシア、ラナンキュラスと姿を変え、最後にアネモネの姿に戻す。

 アシュガルダ達四人は相当驚いていたねぇ。まあ、当選の反応か。


「では、アネモネ殿……いえ、どのようにお呼びすれば」


「どのような形でも構いませんよ」


「では、アネモネ殿。貴女はご自身が神であると仰るのですか?」


「それは神をどのように定義するかで変わってきますね。……この時点で驚いているとこの先の話について来れなくなりますよ? では、続けていきましょう。オルレアン神教会の神聖典には創世神話が描かれていますが、あれは完全な作り話です。そもそも、オルレアン神教会で唯一神として崇められる女神オルレアンなどという神はこの世に存在しません」


「――ッ!? お待ちください! それはあり得ない!! 女神様がセントピュセル学院の生徒会選挙の場に降臨し、リズフィーナ様とミレーユ様に祝福を与えたという噂はこの地にも届いております!!」


 ここでボクの言葉をバッサリと否定したのはマッカルヴァスだった。……まあ、そういう反論が来るのは当然だよねぇ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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