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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 4. 緑霊の森のエルフ至上主義者達と暗躍する神々

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Act.4-1 ローザ一行の初遠征と、三つのクエスト scene.1

<一人称視点・ローザ=ラピスラズリ>


 アクアマリン伯爵家でのお茶会から三日後、ボク達は王宮……ではなく、ボクが王都の外れに即席で建てた小さなお屋敷の中庭で遠征の出発準備を進めていた。

 ちなみに、この屋敷は小さいと言っても『Eternal Fairytale On-line』のシステムを利用してそこそこの素材を注ぎ込んだ子爵クラスすら手が出せないほどのものになっている、ボクの所有する屋敷で、他に王都から少し離れた場所に完全な更地が一つと、小さな屋敷を二つ持っている。……まあ、もしかしたら使うかもしれないからねぇ。


 この屋敷はアクアとディランの二人にプレゼントした屋敷で、いつもは二人で暮らしているんだけど……まあ、今回は「どういうメンバーで行くんだよ! というか、そもそもなんでエルフと和解しにいくんだよ!! あいつら下等種だろ!!」と面倒な連中にスリーアウトチェンジにされそうな感じで、叩かれると困ることがこれでもかと凝縮されているので、今回はあえてこの場所から出発して面倒な連中に勘付かれる前に事を終えようと考えている。まあ、一種の騙し討ち作戦??


 今回の遠征のメンバーはこちらからはボク、アクア、ヴァケラー、ジャンロー、ティルフィ、ハルト、ターニャ、ナトゥーフ。

 また、極夜の黒狼からはラルの他にペストーラ=ノイヴィジスとスピネル=シェノマキアの二人も同行することが決まっている。


 ペストーラはリーゼントの豪快な性格で面倒見がいい兄貴分な男で、スピネルは紫色のロングヘアのほんわか天然お姉さんという風だが、どちらも初期からラルと志を共にしてきた二人で実力も高いんだよねぇ……スピネルのほうは結構抜けているけど。


 そして、王宮側からは王弟バルトロメオと、大臣ディラン、元宮廷魔法師のミーフィリアに……。

 あの後、「流石に護衛無しに王弟と大臣を連れて行くってのは体裁が取れないか? なら、イスタルティとジルイグスもつけるか?」ということで第一騎士団騎士団長で攻略対象ゼルド=パルムドーハの実の父親である隻眼となっている壮年の男性ジルイグス=パルムドーハと、赤毛に赤髭の粗野な男で馬上槍術を得意とする第一騎馬隊長のイスタルティ=ジェルエスネの二人が加わっている。


「……それで、本当にこの馬車で緑霊の森に向かうのですか?」


 とは、ジルイグスの言葉……まあ、他のメンバーも似たり寄ったりな雰囲気だからねぇ。

 仮にも王弟と大臣を乗せて国の代表として行くんだから、もっと煌びやかな馬車にしろよ、って言いたいのは重々承知しているよ。


「俺は別に気にしねえよ? そもそも華美さとか、プレッシャーを与える要素にしかなんねぇし、それじゃあ嬢ちゃんの狙いから大きく外れることになるだろ?」


「……いえ、別に王家の紋がついた馬車をご利用になるという手もありますが……まず第一に、今回の計画が秘密裏に行われるものであるということ。王家の馬車を使うとなれば王家が動いたことがバレてしまいますわよ。それに、これだけの人数が動くとなれば、馬車も何台か使用しなければなりません。……一見、こちらの馬車はごく普通の馬車のように見えますが、実際はレイド級報酬の、車内に空間魔法が施されて王宮の一室に匹敵する広さと豪華さを兼ね備えた遺物級(レリック)……それに、『オーバーハンドレッドレイド:神々の黄昏』で最後のレイドボス、オーディンから低確率でドロップする幻想級(ファンタズマル)八脚軍馬の召喚笛スレイプニル・ホイッスル』で召喚できる八脚軍馬(スレイプニル)の馬力を組み合わせると……」


「……どうなるんだ? 親友?」


「……二回会っただけですのに、既に親友判定なのですね、大臣閣下」


親友(オニキス)の親友は親友だろ? なぁ、ローザ。お前も俺のことディランって呼び捨てにしていいからさぁ」


 ……何その理論。友達百人作るつもりなのかな?


「はぁ……それでは、今後はディラン様とお呼び致しますわ。……さて、通常の馬車よりも遥かに少ない時間で緑霊の森に到達できるということになるのですが、それよりも更に速さを御所望とあれば、統合アイテムストレージの方から飛空挺を出しますわ。……まあ、今回の主目的はそれで大幅に解決できる訳ですが、私には私の思惑がありますし、きっとあの陛下もその私の思惑を読んでいたからこそ、このタイミングで隊長格のお二人を追加派遣なされたのでしょう?」


「…………まあ、確実にそうだろ。嬢ちゃんの逃げられないタイミングで二人を押し付けて貴重な経験をさせようっていう腹がありありと見えるな。悪い話ではねぇと思うけどよ……同情するぜ、嬢ちゃん」


「……ボクの最終目的とも一応は合致する訳だし、正直文句はないんだけどねぇ……ただ、あの陛下が今頃抱腹絶倒していると思うと……ちょっとイラッと」


 ちなみに、ジルイグスとイスタルティは物級(レリック)って単語が出た辺りから話についていけていないようで、ずっと小首を傾げている。

 ヴァケラー達冒険者グループは「そもそも俺達が王族や大臣と同じ話し合いの場にいていいのか?」という疑問、というか、後で不敬だったからという理由で処刑されるんじゃないかと戦々恐々していて、ラル達は「私達は内容だけは把握しておきましょう」と壁の花と化しながら聞き耳を立て、ナトゥーフは「ボクなら飛んで行った方が早いのに、ニンゲンって大変だな」……って、いやそもそもボク一人ならラナンキュラスの「完全龍化」でひとっ飛びだし、なんならマリーゴールドでエルフ族に溶け込むことだってできるんだよ? それでヘイトを減らせるかは分からないけど。寧ろ、別の意味でヘイトを溜めそうだよねぇ。


「とりあえず、ナトゥーフさん達も暇だろうし議論は馬車の中でもできますから、出発しましょう。それに、国王陛下も大切なことを話していないようですし、そのご説明もしなくてはなりませんので……」


 あのクソ陛下(ラインヴェルド)……ボクの正体とか、この世界の事実とかそういう話は事前に場を設けて説明させるべきだよねぇ? なんでぶっつけ本番旅で初っ端から爆弾投下しないといけないのかねぇ。

 その後、乗り込んだ馬車で「「ま、魔族!?」」と二人が叫んだのはご愛敬……ヴァケラー達は「まあ、誰でも通る道だよなぁ」と遠い目をしていた。



<一人称視点・リーリエ>


「と、いうことで今回は緑霊の森に行くまでにいくつか依頼をこなすことになるんだけど……一つ、「討伐クエスト:ライヘンの森の魔物討伐」。二つ、アルボット商会からの依頼で「素材回収クエスト:クラブスパイダー三体」。三つ、「護衛クエスト:ミーラン街道に出没する盗賊から商隊を護衛せよ」。……この三つが緑霊の森までの道中で無駄なくこなせるものだから、きっちりこなすよ!」


「――あの、ローザ嬢!? 一応、この馬車に王弟陛下と大臣が乗っているのですけど!! 早急に緑霊の森を目指すべきでは!?」


 色々驚き過ぎて一周回って平常運転に戻ったイスタルティが「おいおい、そういうのはお前らだけの時でやれよ」という視線を向けてくる。


「まあ、時間の有効活用だよ。別にエルフにアポ取っている訳じゃないよねぇ? なら、別に寄り道しても良くない?? それに、嫌なら馬車に乗っていればいいじゃん。ほら、大臣だってやる気だし、『またオニキスとコンビ組んで戦えるぜ! やっほぉい!!』って叫んでいるよ? そもそも、今回ボクの側で呼んだメンバーの中でアクアさん以外は完全に経験を積んでもらうためだし、君達二人もこの旅で何かを掴めっていうラインヴェルド陛下の思惑で今回の旅に同行することになったんでしょう? 第一騎士団と第一騎馬隊って言えば、ブライトネス王家の物理の軍事の三大頂点の二角……その隊長さんとなれば当然強いんだよねぇ?」


 正体を明かした後なのでリーリエの姿のまま婉然と、しかし挑発的な笑みを浮かべて二人の自尊心を煽る。


「……でも、この依頼ってローザ様とアクアさんには絶対に無理よね?」


 ラルが「討伐クエスト:ライヘンの森の魔物討伐」の依頼書を黒檀製の机の丁度真ん中に置きながら「なんでこの依頼を選んでしまったのかしら?」とボクの正気を疑うような視線を向けてきた……いや、ちゃんと考えているって。


「確かに、オニキスにも無理だよな。可愛い女の子に目がないお前に、アルラウネの討伐は無理だろ?」


「任務だったら、ちゃんと殺すよ……殺……心を鬼にすれば、お、俺にだって」


 あからさまに動揺しているな、アクア。というか、オニキスだってことが明らかになってオニキス口調で話すようになったけど、見た目はアクアのままだから凄い違和感。


「えっ……なんで殺すの? 今回の依頼は「討伐クエスト:ライヘンの森の魔物討伐」であって、アルラウネを殺せ、なんて一言も書いてないよねぇ」


「ローザ様、何を馬鹿なことを言っているんだよ!? どう考えてもアルラウネの討伐も書いていないだけできっちりこなすことを期待しているよな!? ……そ、そりゃ熟練の冒険者でも躊躇するって相手だが、実際に被害が出ている以上は……」


「イスタルティさんは正義感に溢れているねぇ。まあ、確かに庇護欲を掻き立てて、旅人を誘って旅人を囚われの身にして、栄養価のない果実で殺した後、死体の養分を吸収するっていう恐ろしい魔物だけど……でも、可愛いらしいじゃん。ボクにとって可愛いは正義だからねぇ。殺すなんてとてもじゃないけど、無理だよ」


「……言い切っちゃったよ、この人」


 ヴァケラー達冒険者組が「この人ダメじゃん」と失望の視線を向けてくる。


「だからねぇ、殺す必要がないようにしようと思って。要するに被害が出ないようにすればいいんだよねぇ? それなら、殺すよりももっと簡単な方法があるよ? 丁度試したいこともあったし、きっと彼女達(・・・)なら目覚める筈だよ? 真の愛というものに……」


 ねえ……なんで君ら揃ってドン引きしてるの? ボクが恍惚な表情をしていたらダメなの? それとも笑顔が恐ろしかった?


(……これ、やべえな。気を抜いたら理性が吹っ飛びそうな笑顔だ……)


 ……あれ? ドン引きじゃなくて、絶え間なく押し寄せる欲望に抗っていたの?? もしかして、今回の切り札の『魔眼(イビルアイ)』が発動しちゃってた??

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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[気になる点] > そこそこの素材を注ぎ込んだ子爵クラスはら手が出せない → そこそこの素材を注ぎ込んだ子爵クラスすら手が出せない [一言] > 可愛いは正義  苺ましまろ! > きっと彼女達なら目…
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