表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1249/1358

Act.9-395 緊急招集・多種族同盟臨時会議 scene.2

<一人称視点・リーリエ>


「となると、問題になってくるのはその取引の中身じゃな」


「ヴェルディエさん以外も気になっている人が多いと思うけど、その取引の内容は等価交換の質問。両陣営が互いに等価と判断した質問をし、質問が無くなったら終わりとする。こちらは開発している新型兵器について少しだけ情報を出したらしい。確かに一人の判断で出していい情報じゃないけど、実際、海老で鯛を釣るような結果になったんだから結果オーライだねぇ」


「ああ、NBr(ニュー・ビーアール)-熾天(SERAPH)の件か。どこまで話したんだ?」


「名前と、基本的なところだよ。核心部については触れていない。ラインヴェルド陛下達、直接交戦した莫迦共の方が情報を持っていると思うよ。で、得られた情報だけど、二つ。一つは『綺羅星の夢』が『管理者権限』を複製し、共有しているということ。ただし、オルタ=ティブロンはその規約を破っていたようで、実際に規約通り共有がなされるのは今回が初みたいだよ」


「……オルタのやったことは許せないけど、マシだったかもしれないわね。……って、結局、タイダーラが倒されて『管理者権限』を奪われているんだから、どちらでも変わらなかったのかしら?」


「まあ、トータルで考えればそうなるねぇ。とりあえず、『綺羅星の夢』が『管理者権限』を得たら全員がそれを共有し、強化されるということだねぇ。ボク達からしたら悪夢みたいな事実だけど。……そして、もう一つ。人によってはこっちの方がダメージが大きい話だねぇ」


 「特にラインヴェルドには……」という言葉をグッと呑み込み、ボクは話を続けた。


「シャッテンの取引で優位を取ったオウロアーナさんはその後、焼死体と化したタイダーラが『死者蘇生』によって復活する一部始終を目撃した。パヴスェルから『ニコライの外套』で取り出した素体を受け取り、固有魔法『残留思念から英雄を復活させる』で黒百合にタイダーラの残留思念を収束させ、魔法陣の上に寝かせた素体に黒百合を翳し、タイダーラの身体に残留思念を憑依させ、馴染ませる。ここまでは設定通りだけど、最後に『死軀操作デッドマン・マリオネーション』という闇属性魔法を復活したタイダーラに掛けていた。本人曰く、一度死んだことがある者に一度限り掛けることが可能な魔法で、その身体を自由に操ることができる。魂までは支配できないが、自分の意思とは裏腹に戦いたくない相手と戦わされるという悪趣味な使い方も可能なんだそうだよ」


「……あの、圓様? その『一度死んだことがある者』というのはどこまでが該当するのでしょうか? ……最悪の場合、圓様やアクア様といった転生した経験のある方や蘇生魔法によって蘇ったことが一度でもある方が敵に回ってしまうということになりかねないと思いますが」


 クラウディアの口から飛び出したその質問は場の空気感を一瞬にして緊迫させてしまった。

 まあ、そりゃ当然だよねぇ……この質問の答え一つでシャッテン達の脅威度が数段跳ね上がるんだから。


「オウロアーナさんの記憶から術式を特定、実際に試したところ『死軀操作デッドマン・マリオネーション』の性質がいくつか分かってきた。一つ、蘇生後一時間以上経過した者に対して魔法の影響はない。とりあえず、ボクやアクア達転生者が無条件で敵に回る訳ではないから安心してねぇ。二つ、強力な意志の力により『死軀操作デッドマン・マリオネーション』の支配から解放することが可能であることを確認している。まあ、ただこれはかなり難しい。ここまでは朗報だけど、『死軀操作デッドマン・マリオネーション』は別に欠陥だらけの魔法って訳じゃない。勿論、厄介な点も存在している。一つ目は即時性。これだけの魔法だけど発動には特殊な儀式を必要とせず、闇の魔法さえ使えれば比較的簡単に使用できる。……まあ、かなり魔力を消費するんだけど。二つ目はその強度。光属性の魔法による浄化などで簡単に魔法を消し去ることができない。魔法そのものを無効化する魔法も無効化される厄介な仕様が備わっているみたいだから、魔法を解除するためには魔法に組み込まれている鍵穴に鍵を差し込む必要がある。条件は光系統の魔力であること、鍵穴に合う波形であること、この条件を揃えて魔法に組み込まれている鍵穴に魔力を打ち込めば解除される。……まあ、敵の中には万が一裏切られた場合の保険として掛けてあるだけで、シャッテン達と思惑が一致している敵っていうのもいるから、魔法を解呪しただけで味方になる訳じゃない。当たり前のことだけど、この辺りも忘れないようにねぇ。……そして、もう一つ、オウロアーナさんがシャッテンとの交渉中に記憶を読んだことで直接『管理者権限』によって復活した人物にも使用できることが判明した。基本的に、完全に同一の肉体を持つ者は同一時間・同一世界には存在できない……クローンなどの例外を除いてっていうルールがあるけど、同一世界でも同一時間でなければ顕現は恐らく可能なんだと思う。データ取り出して何かと混ぜて素体に貼り付けるみたいなことしかしてないから、詳細は不明だけど。……流石に無尽蔵に復活できるなんてことはないだろうし、これにも何かしらの制限がありそうだねぇ。例えば、『管理者権限』によるバックアップ蘇生は一度しかできないとか。つまり、何が言いたいかっていうと、現時点で死亡しており、各ゲームにおいてネームドキャラであった人物については今後、復活し敵に回る可能性があるってこと。正直、シャッテンの魔法に比べて汎用性は低いけど、こちらで復活が可能で、対ラインヴェルド陛下とオルパタータダ陛下に突き刺さり過ぎるくらい突き刺さる人物が二人いる」


「……メリエーナ」


「……アーネェナリア」


 ラインヴェルドとオルパタータダの最愛の人――彼女達と戦わないといけないっていうのは複雑な心境だろうねぇ。


「まあ、シャッテンの魔法の存在を聞いた時点でその可能性はあるって思っていたけどなぁ」


「だが、これは敵の残酷な作戦であると同時にチャンスでもある。最愛の人を黄泉から取り戻せる絶好のチャンスだ。自力で取り戻し、二度と奪われないように全力で守れッ!!」


「「ああ、言われなくてもそのつもりだぜ!!」」


「ところで、お二人はどういう形で復活するのですかぁ〜? 『管理者権限』を使うってなると、あの人を頼る以外に方法はないと思うのですよぉ〜」


「まあ、エイミーンさんの想像している通り、悪役令嬢ローザ=ラピスラズリに取引を持ち掛けるつもりみたいだよ。二人を復活させる対価として共闘するという話。既に戦いに一区切りが付いたら『綺羅星の夢』のリーダーのプシューケー=ファルファッラに『管理者権限』を託すっていう約束を元『這い寄る混沌の蛇』の蛇教師で現在は『綺羅星の夢』の一員として活動しているギョドゥ=ドラヴァズ――レナーテ=ヴェルファスト子爵令嬢と結んでいるみたいだから、『管理者権限』を取引の対価として選ぶ必要がなかったみたいだねぇ。シャッテンはラインヴェルド陛下とオルパタータダ陛下――というか、ボク以外のことも警戒しているみたいだからねぇ。簡単に戦意を削げる方法があるなら使う筈だよ……まあ実際は普通にやっても火に油を注ぐ行為だし、事前に心算ができる現状だと、鴨が葱背負って来てくれたみたいな感じなんだけど」


 朗報と残念なニュースが入り乱れた報告はここで終わりを迎えることとなった。

 ……まあ、トータルで考えるとオウロアーナの活躍で状況は進展したと捉えるべきなのかな? 奪われた『管理者権限』もそこまで痛手ではないし。


 ただ、これでアポピスに警戒されるのは厄介だねぇ。これまで通り、『管理者権限』を化身全員に持たせておくっていうのは不用心だって痛いほど思い知らされただろうし。


 重要な情報共有も終わり、ボクの他に議題を持っている人もいなかったため、多種族同盟会議の臨時会はこれにて閉会となった。

 さて、明日からまた頑張りますか。


 ……これ以上、イレギュラーなことは起きて欲しくないんだけど、このまま無事に臨時班が終わってはくれないんだろうねぇ。

 まあ、そもそも菊夜と沙羅のブライトネス王宮来訪というイレギュラーからスタートした臨時班だから、イレギュラーが発生しないようにって祈る方が無理があるのか。


 ……全く、世の中ままならないものだねぇ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

 よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)


 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ