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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-371 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜スクライブギルド編〜 File.1 scene.2

<三人称全知視点>


 飛空艇は農耕国ウェセスタリスとダイアモンド帝国の国境を越え、そのままの速度で農耕国ウェセスタリスの王宮に到着した。


 農耕国ウェセスタリスの王宮はダイアモンド帝国の宮殿と比較すれば小規模だが、城壁も堀も見張り塔も一切ないラージャーム農業王国と異なり防御機能を備えた戦城である。

 とはいえ、ペドレリーア大陸諸国の城と比較すればかなり小規模な部類に属する。この城の地下にスクライブギルドが存在するとはまず考えないだろう。


「……しかし、本当によく見つけたよな。お前らの諜報力、どんなってんの?」


「混沌の指徒の一人からスクライブギルドに関する記憶を取り出し、その後、農耕国ウェセスタリスの王宮に潜入していた諜報員が実際に確認したという形ですわ。流石に、我々でも全く情報がない状態でこの国にスクライブギルドがあることを掴むことはできなかったと思います」


 諜報部隊フルール・ド・アンブラルは確かに多種族同盟随一……否、世界一の諜報組織であるが、それでも決して万能という訳ではない。

 この広いペドレリーア大陸から情報が皆無な状態でピンポイントでスクライブギルドの場所を特定することは流石に不可能である。


「ここまで判明している混沌の指徒はラム=バカルディ、影の三人(シャドウ・トリニティ)、ギジュタール、ヘラナローラ=シェルフェッド、シュレード=サリザールの五組――もし、名前通り指に準えているのであれば後五名混沌の指徒がいる可能性があると圓様はお考えですわ」


「で、スクライブギルドも丁度五つか。まあ、普通に考えたら一人一つのスクライブギルドを担当している可能性が高いってことになるよな。まあ、十一組以上いたら破綻するんだけど」


「足の指も入れたら二十人まで行けるんじゃないか? まあ、この手の話で足の指までカウントすることはまずないけどな!」


「『這い寄る混沌の蛇』は常識とは対極にある混沌を信奉する組織ですから、十二人、十三人……中途半端な人数である可能性も皆無とは言い切れませんけどね」


 そんなやり取りをしている間に王城の内部から続々と武器を持った兵士達が姿を見せた。


「んじゃ、そろそろ頃合いみたいだし、行くか?」


「えっ、ちょっと待って!? まさか、このまま飛び降りるとか言わないわよね!?」


 テティスが「飛空艇を着陸させてからタラップで降りるんじゃないの!?」と叫ぶ中、ラインヴェルドとオルパタータダが意気揚々と飛空艇の扉を開けて飛び降り、続いて諦観の表情の雪菜と黒華が手を繋いで飛び降り、それに続いて弓月と千聖をそれぞれお姫様抱っこした菊夜と沙羅が飛び降りた。


「……地上までの螺旋階段を魔法で作りましょうか?」


「……そうしてくれると助かるわ」


 ギルベルタが木の魔法で螺旋階段を作り出し、テティスが入り口から階段に降りたことを確認すると、ギルベルタは少しだけ飛空艇の高度を上げて飛び降りると同時に時空魔法を発動――飛空艇を別空間へと転移させた。

 顔色一つ変えずに飛空艇から飛び降り、僅かな時間で飛空艇を収納して、平然と美しい着地を決めるギルベルタの姿にテティスは一瞬だけ見惚れ――「やっぱり、彼女も圓さんの諜報員なのね」と溜息を吐いた。



 未知の乗り物に乗って現れた者達に圧倒されていた兵士達だったが、程なくして調子を取り戻すと一斉にラインヴェルド達に武器を向けた。


「動くな! 賊共! ここを農耕国ウェセスタリスの王城と知って乗り込んだのだな!?」


「まあ、そりゃそうだろ? ――俺達は海を超えた先にあるベーシックヘイム大陸より来た多種族同盟の臨時班だ。現在、俺達――多種族同盟はペドレリーア大陸の唯一教会――オルレアン神教会の聖女リズフィーナ、ダイアモンド帝国のミレーユ、ライズムーン王国のリオンナハト、プレゲトーン王国のアモンなどと一時的に共闘関係を築いている。その目的はオルレアン神教会と多種族同盟の共通の敵を潰すためだ」


 「証拠が必要なのてあればこちらをご覧ください」とラインヴェルドに続いてギルベルタが一枚の紙を掲げながら兵士達に言葉を掛ける。


「たっ、確かに!? それは、リズフィーナ様のサイン!! して、その共通の敵を討ちに来たということはまさか、この国のどこかにその共通の敵とやらの拠点があるということですか!? オルレアン神教会の敵といえば、悪魔憑きか邪教徒!? その潜伏先がこの国にあるとすれば、急ぎ、国王陛下との謁見して頂き、陛下より調査許可を賜わる必要がありますな!」


 歩み出た他の兵士と比べて一際強者の風格を持つ兵士の一人がギルベルタの持つ証書を確認し、それが正しいものであると宣言すると空気が一変し、兵士達は一斉にラインヴェルド達に向けていた武器を下ろした。


「そんな簡単に見分けられるものか? 偽装かもしれねぇだろ?」


「私はリズフィーナ様のファンクラブの一桁台の会員でございます。この私がリズフィーナ様の本物のサインを見間違える筈が無い。……名乗るのが遅れました。私はリチェルド、農耕国ウェセスタリスの兵士長を務めております」


「おっ、おお……まあ、信じてもらえて良かったぜ」


 「しかし、実に羨ましい! 私もリズフィーナ様のサインが欲しいものです」などと羨ましそうに証書を見つめるリチェルドにドン引きしつつ、オルパタータダは溜息を吐いた。


「……いかがなされました?」


「いや、この国のどこかに邪教徒……まあ、『這い寄る混沌の蛇』っていうんだが、奴らの重要拠点があってこの国の国王の許可を得て共同で『這い寄る混沌の蛇』の拠点を叩くって展開だったらどれほどお前らにとっては良かったのかと思ってな。まあ、俺は戦えれば何でもいいんだが」


「……ふむ、では、事態はもっと最悪ということですか」


「聞いて驚くなよ。……この王城の地下に『這い寄る混沌の蛇』の重要拠点――スクライブギルドがあるという報告を受けて俺達はここに来た」


「――ッ!? それは、つまり我々が邪教徒と繋がっている、或いは匿っていると仰りたいのですか!?」


「いや、違うぞ。俺達にお前らが白か黒か見抜くことくらいできないと思っているのかよ? まあ、あくまでここにいる範囲の兵士だけに限った話だ。使用人やここにいない兵士の中に邪教徒と繋がりを持っている者がいる可能性は高いけどな。……俺達の持つ情報によればこの国と邪教徒の繋がりは極めて深い。遡れば建国以前だ。だが、どんな秘密も大勢の者が知れば漏れる危険が出る。時代を経るごとにその繋がりを知る者はごく僅かとなっただろう。それでも、この時代まで『這い寄る混沌の蛇』と繋がりを持ち、彼らの知識や技術を得る代わりに場所を提供するという協力関係を築いている者がいる。ソイツの先祖はその『這い寄る混沌の蛇』の信徒に唆されて肥沃な三日月地帯ファータイル・クレセントを支配しようと目論見、作戦を実行しようとした最中に狩猟民族達による侵略に巻き込まれ、僅かな同志を連れて逃走し、農業国を建国すると共に臥薪嘗胆の道を選んだ者。もう、分かるだろう? ――お前らの王様だ」


「これは聞き捨てられないな、我が国に土足で踏み入れた挙句、我を邪教徒の仲間扱いとは」


 手には王笏を持ち、質素を貫くラージャーム農業王国とは対照的な煌びやかなマントに王冠といった出立で現れた眼光鋭い白髪の老人はラインヴェルド達を睨め付けると共に兵士達に攻撃を命じる。

 しかし、リチェルドは兵士達に攻撃を中止するように命令を出した。王と信頼に足る兵士長――どちらの命令を遂行すべきか決めきれなかった兵士達はラインヴェルド達に武器を向ける者、静観の姿勢を取る者の二手に分かれた。


「ただ、もし俺達の言葉が事実ならお前らって『這い寄る混沌の蛇』の仲間っていうことになるよな? オルレアン神教会は一体どういう判断を下すんだろうか? まあ、どうでもいいんだけど。――この程度、余裕で気絶させられるし!」


「おっ、ちょっと待て! オルパタータダ、狡いぞ!!」


 ラインヴェルドが声を荒げる中、オルパタータダが先手を打って覇王の霸気を放ち、ラインヴェルド達に武器を向けていた兵士だけを確実に気絶させてみせた。


「……覇王の霸気か」


「おっ、知ってやがったか?」


「……王城に鼠が紛れ込んでいたとはな。忌々しいッ! そいつは後で見つけ出して処分するとして……我らの悲願、この肥沃な三日月地帯ファータイル・クレセントの支配には『這い寄る混沌の蛇』の力が必要不可欠だ! 貴様らには消えてもらう!!」


「……国王陛下」


「まあ、無理だと思うけどなぁ。その鼠、まず間違いなく俺達の国でも捕縛しようとしたらかなりの犠牲を覚悟しないといけないレベルだし。……つまり、お前は俺達の言葉が真実であることを認めたってことでいいんだよな?」


「ああ、全てその通りだ。だが、問題ない。――この国の真実を知った全ての者を亡き者にすれば良いのだからな。ラインヴェルド、オルパタータダ、それぞれ一国の国王であるお前達がノコノコとこの国にやってきたのは好都合だ。お前達がいなければ国は大きく荒れ、混沌の時代へと突入することになるのだからな!!」


 仕込み杖の機能を備えていた王笏の刃を鞘から抜き構えると、農耕国ウェセスタリス国王グエルヘヴン・ウェセスタリスは刃に黒い稲妻を纏わせた。


「覇王の霸気を纏わせるか! クソ面白い!」


「そう来なくっちゃな! てめえら、この楽しい楽しい戦いを邪魔するんじゃねぇぞ!!」


 獰猛に笑い、ラインヴェルドとオルパタータダはそれぞれ剣に覇王の霸気を纏わせてグエルヘヴンに斬り掛かった。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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