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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-346 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜グルーウォンス王国革命・動〜 scene.1

<三人称全知視点>


 イェンドル王国の革命を止めることに成功したトーマスはその足でグルーウォンス王国に転移した。

 王都にある隠れ家でルーネス、サレム、アインス、榊、槐、椿、榎、楸、柊と合流した後、グルーウォンス王国の隠れ家を統括するクラリーチェからグルーウォンス王国の現状に関する報告を受けていた。


「ジュマイカ男爵領イストラ村出身の農民のライフォール=キュラトスは六日前、遂に革命軍の設立を決意し、同志を集めて革命軍を構築し始めました。といっても、行動は水面下で行われており、王国側に気付いた気配はありません。……中央情報局局長のエスタージュ=ネコリシアも動いていないため、王国は把握していないと思われます」


「だが、エスタージュは中央情報局局長及びオルレアン神教会対策委員長を任される人物、革命軍の動きに気づくまでそう時間は掛からないだろう。……ラールフレットが気づいている可能性がないとは言い切れないが、愚王の目的は革命の混乱を引き起こすこと。革命の果てで自らが命を落とすも良し、逆に革命軍のリーダーのライフォールを激戦の果てで討ち取り、更に国民の王に対する怒りを煽るも良し……どちらでも構わないのだろうが、早々に革命軍の芽を摘んでしまうのは得策ではない。エスタージュが革命軍の動きを察知するまでは動くつもりはないと考えるべきだろうな」


 あまりにも一方的に革命軍を倒してしまえば恐怖が勝り、王国を倒そうという意思の炎が消えてしまう可能性がある。ラールフレットの目的は革命による混乱を引き起こすことのため、情報を掴んでいてもすぐに打って出ることはないとトーマスは考えていた。


「圓様の情報によれば、グルーウォンス王国の主な敵は国王ラールフレット=グルーウォンス、中央情報局局長及びオルレアン神教会対策委員長でラールフレットの愛人エスタージュ=ネコリシア、デスマウンテンの古き蛇の流れに属する蛇導士マシャナ=ブリユーノ。このうち、エスタージュは『這い寄る混沌の蛇』に所属はしていないものの完全にラールフレットの味方のため、どちらにしろ討伐は必須になります。マシャナは既にトーマス様達によって討伐がなされていますので、残りはラールフレット、エスタージュ、そして王宮内部、革命軍内部に潜伏している『這い寄る混沌の蛇』の関係者達となります。ラールフレットの子飼いの『這い寄る混沌の蛇』の関係者達は『ダイアモンドプリンセス〜這い寄る蛇の邪教〜』の中では王宮側が内務大臣の秘書官ナザニエル=ワポード、第二騎士団副団長ケインゼス=ウォーナート、次席執事のドラベル=ゲラントゥス、王宮総侍女長のアンネミリエット=ジュラヴィクス、革命軍側が二番隊隊長のメルヴォロン=ケッツァールト、四番隊隊長補佐のギアッチオ=スメトナの以上六名になりますが、圓様は他にも『這い寄る混沌の蛇』の関係者達が紛れているとお考えです」


「……混沌の指徒ですね」


「サレム殿下のご指摘の通りです。圓様からの指示で怪しげな動きをしている人物……特に王宮から革命軍に鞍替えした者を調査していましたが、革命軍が設立された直後に王宮側から革命軍に移動した者が一人だけいます。ヘラナローラ=シェルフェッド、詳細はこちらの資料に纏めましたのでご覧ください」


『……グルーウォンス王国の元侍女で現在は革命軍の一員として活動している女性。グルーウォンス王国で侍女として働いていたが、ラールフレットに執拗に肉体関係を迫られて逃走し、ラールフレットに虐げられて自由を奪われた侍女や妃達を解放するために剣を取った。……この資料だけでもラールフレットが女の敵であることがよく分かるわね。……しかも、これ、複数の同僚の侍女の証言もあるじゃない。流石に白じゃないかしら? ラールフレットもまさか本気で「這い寄る混沌の蛇」の同僚に手を出すとは思えないし』


「ラールフレットは恐らく混沌の指徒の存在に気づいていない。混沌の指徒はある種の選民意識を持ち、他の『這い寄る混沌の蛇』の信徒達よりも上位の存在と考えている者が多いように思える。恐らく、混沌の指徒の目的はラールフレット=グルーウォンス、中央情報局局長及びオルレアン神教会対策委員長でラールフレットとエスタージュの監視。そのために、王宮を離脱する前の彼女の仕事――ラールフレット付き侍女の立場はこれ以上ないものだ。そして、彼女以外に革命軍に下ったものはいない。……それに、エスタージュが革命軍の情報を把握するより前に一介の侍女である筈のヘラナローラは革命軍と合流している。あまりにも出来過ぎだとは思わないか? 椿殿達は少々女性に対し、甘いように思える。『這い寄る混沌の蛇』の信徒の女性は混沌を引き起こすためなら平気で好きでもない男に処女を捧げるし、普通の親であれば多かれ少なかれ愛情を持っている子供も平然と混沌を引き起こす道具にしてしまう。ただ、国を滅ぼすために子供を育てるということだってある……私はそういう輩をこれまで見てきた。奴らは異常だ。我々の持つ倫理や道徳に当て嵌めて考えるべきではない。……まあ、ヘラナローラが実際にラールフレットのお手つきになったかどうかまでは分からないし、興味がないがな。ヘラナローラにとってはラールフレットとエスタージュを気付かれぬように監視できれば十分だっただろうし、引き際が分からぬ素人でもないだろう。実際、プロフィールにも『執拗に肉体関係を迫られて逃走した』とあるし、可能性はかなり低いだろうな。まあ、どちらにしろ討伐対象だ。どちらでも構わないがな」


「それで、どうしますか? 中央情報局は王宮から独立した場所にあります。エスタージュが王宮に登城しているタイミングを狙い、一網打尽にしますか? それとも、各個撃破ですか? もし、仮に各個撃破するとして襲撃は王宮、中央情報局、革命軍のいずれから行いますか?」


「革命軍が本格的に動き出す前にまずはラールフレットのいる王宮を落とすべきだと私は思う。エスタージュが王宮に登城しているなら同じタイミングで、違う場合は次に中央情報局を制圧、最後に革命軍という流れでいいと思う。王宮と革命軍の拠点は遠い、連絡を取り合えるといっても奇襲を仕掛けられた場合はすぐに革命軍側の『這い寄る混沌の蛇』と連絡を取り合うことは難しいだろう。……いずれにしても時間との勝負だ。潜伏している『這い寄る混沌の蛇』にできるだけ気づかれぬよう、そして情報を共有されぬよう素早く動く必要がある」


「僕達の方はもう準備できているけど、トーマス先生はイェンドル王国の件を片付けた足でそのまま来たんだよね? 実行を遅らせた方がいいかな?」


「お気遣いありがとう、アインス殿下。だが、問題はない。問題なければ今日のうちに決行しようと提案しようと思っていたところだ」


 ルーネス達はトーマスを心配していたが、トーマスは休暇を挟まずその日のうちに王宮に乗り込むつもりだったらしい。

 臨時班の面々も特に反論はなく、一行はクラリーチェが馭者を務める馬車で正面から王宮に乗り込むこととなった。



 トーマスの提案で王宮への襲撃は深夜に行われることとなった。

 覇王の霸気を使えば城内に配備された騎士などの戦闘員を粗方気絶させることもできるが、万一のことを考えて敵の警戒が緩みやすい夜に攻撃を仕掛けた方が危険が少ないと判断したのである。


 ちなみに、この危険とは敗北の可能性云々というよりは革命軍側に情報が伝わり、革命軍側に潜入している『這い寄る混沌の蛇』に逃げられるという意味での危険である。


「おい、そこの馬車止まれ! このような時間に王城に来るなど非常識な。……要件を述べて身分証を提示しろ!」


倶利迦楼羅剣(クリカルラ)


 城門を守る騎士達の要求に対する答えは、浄焔により生まれた無数の剣だった。

 放たれた炎の剣は城門の木の扉を一瞬にして焼き尽くし、燃え上がる城門に向かって馬車は速度を落とすことなく突っ込んでいく。


「――ッ! 侵入者だ!!」


「五月蠅いな。……今は夜だ、静かにしたまえ」


 トーマス、ルーネス、サレム、アインスが一斉に放った覇王の霸気は黒い稲妻を周囲に迸らせながら城門付近で発散され、覇王の霸気に当てられた城門を守る騎士達は一瞬にして意識を奪われた。


『私達は内務大臣の秘書官、第二騎士団副団長、次席執事、王宮総侍女長を分担して撃破致しますわ。トーマス様、ルーネス殿下、サレム殿下、アインス殿下はラールフレットの撃破をお願い致します』


『中央情報局から増援が来た場合も私達の方で対応致しますわ』


「至れり尽くせりだな。面倒ごとばかり押し付けているような気がするが、榊殿、槐殿、椿殿、榎殿、楸殿、柊殿、よろしく頼む。健闘を祈っている」


 トーマス、ルーネス、サレム、アインスは榊達と別れ、まずはラールフレットの寝室を目指すことにした。

 今回の襲撃の兆候はないためラールフレットも流石に寝ているだろう。この騒動で起きているとしても寝室から動いていないだろうとトーマス達は判断したのである。


 榊と柊は王城外への警戒と、気絶から目を覚ました騎士の制圧のために城門周辺に残り、槐がナザニエルを、椿がケインゼスを、榎がドラベルを、楸がアンネミリエットをそれぞれ撃破すべく動き出した。

 グルーウォンス王国の王宮での戦いは、こうしてトーマス達の有利な戦況で始まったのである。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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