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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-333 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜新生生徒会の顔合わせと情報交換〜 scene.1

<一人称視点・エイリーン=グラリオーサ>


 生徒会の第一回の会合――生徒会役員の顔合わせの場に同席させてもらったボクは全員の自己紹介が終わったところで少しだけ時間をもらった。……まあ、そのために参加させてもらった訳だからねぇ。それが無ければ部外者のボクが参加する理由はないし。


「ある時期までは我々多種族同盟とミレーユさん達は同盟関係にあります。シナリオに関連しないところについては情報交換をしておこうと思い、今回は時間を頂戴しました」


「お心遣い感謝しますわ」


 自己紹介の時とはガラリと雰囲気が変わったねぇ。まあ、それもそうか……シナリオに関係ないものだとしてもミレーユさんはできる限り『這い寄る混沌の蛇』に関する情報を集めたいだろうし、それはオルレアン神教会の聖女であるリズフィーナや『這い寄る混沌の蛇』と戦う決意をした他の面々にも言えること。緊迫した雰囲気になるのも当然か。


「まず、かねてから何かしらの動きが起こることが予想されていたイェンドル王国、グルーウォンス王国、オッサタルスァ王国ですがそれぞれ革命の動きが本格的になってきました。よって、ラングドン教授を含む臨時班は本格的にこれら国々で『這い寄る混沌の蛇』の関係者の抹殺に動きます。こちらについてはサファルスさん以外の皆様は既にご存知のことだと思いますので詳細については割愛します。続いてラスパーツィ大陸での臨時班活動の現在の状況ですが、フィクスシュテルン皇国はジェルエナ=コーツハートとの戦いを残すのみ、それ以外は一部小国に潜む『這い寄る混沌の蛇』の残党狩りが残っている状況になります。出現した妖魔は粗方討伐が完了しており、派遣したかなりの戦力をラスパーツィ大陸から撤退させました。不完全燃焼だった両陛下がクレームを入れてきてとても面倒でした……って愚痴っても仕方がないですねぇ。また、大陸での臨時班活動中に混沌の指徒を名乗る『這い寄る混沌の蛇』と交戦し、今回の作戦の指揮を取っているのが冥黎域の十三使徒ロベリア=カーディナリスであることが発覚しました。混沌の指徒とは、このロベリアの直属の配下のことを指し、ロベリアが『這い寄る混沌の蛇』でも特別な立ち位置にいることから他の蛇導士と比較してもかなりの情報を有しているようです。ロベリアは冥黎域の十三使徒の候補生から冥黎域の十三使徒に昇格したようですが、アポピス=ケイオスカーンの右腕を自称するだけあって高い作戦立案能力を有し、候補生の頃から情報を集められる位置にいたことは間違いありません。まあ、流石にこれだけの大規模作戦の指揮を任されたのは今回が初めてのようですが。アポピスを信奉するロベリアは個人の思惑から『這い寄る混沌の蛇』を利用する積極的協力者の要素が強い冥黎域の十三使徒の中では珍しい部類に属します。決してアポピスを裏切らない人物ですから、アポピスが信用していたかどうかは別として候補生の時代からいくつかの重要な仕事を任される立ち位置にはあったようです。今回、皆様にお伝えしたいと考えている情報はその一つ――スクライブの統制に関することです」


「……あの、圓様? スクライブとはどのようなものなのでしょうか?」


 問いを口にしたのはマリアだったが、リズフィーナとリオンナハト、サファルス以外の面々は皆聞き慣れぬ言葉に疑問符を浮かべていた。


「まあ、聞き慣れない言葉だからマリアさん以外も疑問を持った人はいるんじゃないかな? スクライブには二つの意味がある。一つ目の意味は文字で書くことがそれほど一般的でなかった古代に王の命令を書き物にしたり、歴史的・宗教的なものを複写する人のこと。もう一つが印刷機が発明される以前の中世にさまざまな写本を複製する職業に従事する人のこと……今回は後者の意味だねぇ。要するに『這い寄る混沌の蛇』の教典である『這い寄るモノの書』や『蛇の魔導書』の複製を行っている者達だよ。彼らが集まるスクライブギルドという拠点がいくつかあって、そこで『這い寄るモノの書』や『蛇の魔導書』が大量に生産されているみたいなんだ」


「……つまり、そこを叩けば『這い寄るモノの書』や『蛇の魔導書』の複製が止められるということね」


「まあ、向こうは原本を持っているし複製の製造を完全に止められはしないと思うけど、生産数は減らせる筈だ。丁度、ラスパーツィ大陸での臨時班活動が収束に向かっているので、手の空いた人員をそっちに派遣しようと思っているところだよ。じゃあ、具体的にスクライブギルドがどこにあるかについて話そう。現在把握しているスクライブギルドは全部で五つ。一つ目は農耕国ウェセスタリス、ラージャーム農業王国に並ぶダイアモンド帝国の属国に区分される農業国家だねぇ。二つ目はペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸の中間に位置する無人島。三つ目はデューグモント王国の廃都。四つ目はブライトネス王国のアンブローズ男爵領。そして、五つ目はオルレアン教国の有する独立港湾都市セントポート――その中でも写本の街スクライブウルビスにほど近い地域だ。同時に主要な港や独立港湾都市セントポートを治める領主司教の館がある場所でもあるねぇ」


「農耕国ウェセスタリスにスクライブの拠点が……あり得ない話ではありませんわね」


「ブライトネス王国の男爵領か。かなりの大捕物をしたと聞いていたがまだ『這い寄る混沌の蛇』の関係者が残っているとは、彼らのしぶとさは常軌を逸しているようだな」


「……まさか、あの独立港湾都市セントポートに『這い寄る混沌の蛇』の拠点があるだなんて」


 ミレーユ、リオンナハト、リズフィーナが反応を示したのはそれぞれ別の場所だった。

 ミレーユとリズフィーナはそれぞれ自分達に関係する場所、リオンナハトはジェムを含め潜伏していた『這い寄る混沌の蛇』が一掃された筈のブライトネス王国にまだ『這い寄る混沌の蛇』の関係者が潜伏していたことに驚いたみたいだねぇ。


「独立港湾都市セントポートの写本の街はオルレアン神教会にとって要となる場所だからその近辺にスクライブギルドがあるというのはリズフィーナさんにとって驚愕の事実かもしれないけど、灯台下暗しという諺の通り、信頼に足る身内というのは盲点になりやすい。過去にもフォティゾ大教会の枢機卿が『這い寄る混沌の蛇』の信徒になっていたケースもあるし、別にあり得ない話じゃないよ。そして、リオンナハト殿下が驚いていたブライトネス王国の件だけど、アンブローズ男爵については証拠が掴めなくて見逃さざるを得ない状況だったんだ。彼はブライトネス王国のヴェモンハルト第一王子殿下の派閥の筆頭貴族で、黒い噂が絶えない人物だった。更に、ジェム=フンケルン大公との繋がりも噂されていたから、まあ、明らかに黒だったんだけど闇の魔法の研究所にも姿を見せず、結局現行犯処断ができなかったんだ」


「……現行犯逮捕ではなく、現行犯処断なんだね?」


「アモン殿下を含め、ボク達の方針をよく思わない方々はいらっしゃると思いますが、法律に照らし合わせて処罰することは難しいですし、そもそも捕縛に拘ればこちらも命の危険に晒されることになりますからねぇ。安全面を考えても手間を考えてもその場で戦い、命を奪うのが手っ取り早い。まあ、戦場に立つということは命を奪われる覚悟をしているということですかねぇ……自分だけか他者を傷つけることが許され、人から傷つけられることは許されないなんてそんな不条理、許されていい訳がない。……まあ、ボクはミレーユさん達と違って正義の味方じゃないから。いずれボクもこれまでの行いの報いを受けることになると思うよ。その時は甘んじて受け入れるつもりだ」


 ボクは決して正義の味方じゃないからねぇ。罪を重ねている自覚はあるし、いつかその罪を自らの命で贖う時が来ることも覚悟している。……まあ、前世はそういうの関係無しに瀬島奈留美のトラップで死んだんだけど。


「ブライトネス王国の男爵領の件は別件で【ブライトネス王家の裏の杖】が動いていたから、そっちに情報提供をするだけて留めるつもりだよ。それ以外の采配は今から決めるところだねぇ。まあ、ミレーユ姫殿下達には関係ない話だと思うけど、一応ねぇ」


「……いや、関わりがないという訳ではないな。ソフィス嬢から闘気の扱い方を学び、ようやく形になっていたところだ。どこかで実戦を行ってみたいという気持ちはある」


「……今はやめておいた方がいいと思いますけどねぇ。VIP守りながらの潜入はリスクが上がります。……一応、優先的に守るようにお願いすることはできますが、完全に無傷で生還できる保証はありません」


 ここまで言ってもリオンナハトは全く引く気がないみたいだし、アモンもマリアもリオンナハトの意見に同調している。……ミレーユはアモンがスクライブの拠点に潜入して万が一命を落としたらと心配しているけど、ここで踏み止まってくれるような人じゃないしなぁ。


「とりあえず、臨時班の再設定が終わったら連絡します。まあ、善処はしますが確約はできませんので悪しからず」


「……デューグモント王国の廃都ってアノルド様の故郷ですわよね? 今回の話ってアノルド様にもお伝えしたんですの?」


「ミレーユ姫殿下、お気遣いくださりありがとうございます。既にアノルドさんには連絡を入れてデューグモント王国の廃都に向かう臨時班に所属してもらうことになりました。……現時点までで掴んでいる大きな情報はここまでですが、各地で『這い寄る混沌の蛇』の動きが活発になってきています。シナリオの流れから外れ、今後状況が目まぐるしくことになると思いますのでミレーユ姫殿下は勿論、皆様にも助力を頂くことになる可能性があります。覚悟だけはしておいてくださいね。これで『這い寄る混沌の蛇』に関する報告は以上となりますが、最後にリズフィーナ様に許可を頂きたいことがあります」


「あら、私に? 一体何かしら?」


「ブライトネス王国の第二王子のルクシア殿下がペドレリーア大陸の生態調査を希望しています。そのための拠点の提供をしては頂けないでしょうか?」


「それはつまり学院への編入ということかしら?」


「ルクシア殿下は既に薬学分野の教授ですから流石に学院に留学生として来ることは難しいですね。……ちなみに、第二王子の婚約者のフレイ=ライツァファー公爵令嬢と第二王子専属侍女のクレマンス=ハント侯爵令嬢もルクシア殿下が希望する生態調査の許可が出た時は同行したいと仰っています」


「……それは、圓さんがルクシア第二殿下にお願いして成立した話なのかしら?」


「ボクが提案したってのもありますけど、ルクシア殿下はペドレリーア大陸の植生に興味を持っていたのは事実で前々から研究したいとは思っていたみたいですし、後はフレイ様の気分転換も兼ねています。このところ棍詰めて『スターチス・レコード』をプレイして情報を集めていたようなので、少しはリフレッシュしてもらえる状況を作りたいというルクシア様なりの心遣いのようです」


「分かったわ。研究室を一つ空けるように伝えておくわ」


「よろしくお願いします」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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