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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-330 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜決着! セントピュセル学院生徒会選挙〜 scene.4

<三人称全知視点>


 学院とは反対側の階段を上り、辿り着いた小部屋の仕掛けを解除して扉を開けると、そこは風車小屋だった。

 学院の湖畔には幾つか風車小屋が設置されているが、どうやらその一つらしい。ちなみにこちらもトーマスが学院の研究室を購入したのとほぼ同じタイミングで購入していたようだが、現在に至るまで両者に何かしらの関係がある可能性を疑う者はいなかったようだ。


「この辺りの風車小屋は以前は使われていたけど現在は全く使われていないようだねぇ。恐らく、こちら側から業者に地下通路を作ってもらい学院の研究室と繋げたんじゃないかな? こっちの入り口の仕掛けの方は後でボクの方で調査してから結果を報告させてもらうよ」


「ありがとうございますわ。……ところで、ラングドン教授のプレゼントというのはこの脱出経路で間違いないのですわよね?」


「まあ、そういうことだろうねぇ。未来に起こることを知っているボクの立場から言わせてもらうとなかなか考えられたプレゼントだと思うけど、今の段階で説明する訳にはいかないからねぇ。とりあえずはこの地下通路が存在することを覚えておけばいいよ」


 圓が秘密にするということは、今後ミレーユの運命を左右する大きな事件でこの地下通路に何かしらの活躍の機会があるということなのだろう。具体的にどのような事件が起き、この地下通路がどのように役に立つのか気になるところだが、聞いたところで圓は教えてくれる可能性は無いに等しい。

 その後、ミレーユは風車小屋の調査を請け負ったエイリーンに鍵を手渡し、ライネ、ミラーナ、リズフィーナと共にエイリーンの魔法で学院に戻った。



 生徒会選挙を経て無事に生徒会長の座を射止めたミレーユは悩んでいた。


 ミレーユの悩みの種は新生徒会長の最初の仕事――生徒会の陣営の選抜である。基本的に行政能力が皆無なミレーユにとってしっかりと側近を固めることは極めて重要なことだった。


 凡百の者であれば短絡的に自分に都合の良いイエスマンを配するところだが、ミレーユはリズフィーナを正攻法で下して生徒会長に就任した。当然ながら期待のボルテージは高まりに高まっている。ここで下手な人事をする訳にはいかない。


 最も手っ取り早い方法はエイリーンを副会長辺りに指名して残りの人事を丸投げすることだが、当の本人が生徒会に入る気が全くないためエイリーンを生徒会に引き込むことは不可能。

 必然的にミレーユはエイリーン以外のメンバーで生徒会を構成せざるを得なかった。


「それで、ミレーユさん。生徒会の面々は決まったかな?」


「圓さんが入ってくれたら嬉しいのですけど……」


「あー、それは無理。学院に留まる時間も短いし、ボクも別に暇じゃないからねぇ。ラスパーツィ大陸での妖魔討伐も粗方終わり、残りは小国の対応とジェルエナ=コーツハートへの対処のみ。生徒会選挙も終わってゆっくりできるかと思ったけど、イェンドル王国、グルーウォンス王国、オッサタルスァ王国でも大きな動きがあったようだし、どうやらブライトネス王国でも『這い寄る混沌の蛇』関連の面倒ごとが起きているらしくてねぇ。そっちはブライトネス王国の暗部が秘密作戦を実行中のようだからあんまりやることはないけど情報の共有はしておきたいし、それにまた別の厄介ごとが浮上している。そっちはペドレリーア大陸に関わることだから生徒会のメンバーが揃ったら話すつもりでいるよ。……というか、一応メンバーの選定は終わっているんじゃないの?」


「えぇ、一応は終わっていますわ。まず副会長はリズフィーナ様とリオンナハトにお願いしようと思っています」


「リズフィーナさんの方は取り返しがつかない状況になって怒りを買うより、早い段階で指摘してもらう方がまだマシ。更に失敗しても『リズフィーナ様の責任でもある!』と言えるなかなか卑怯な人事だねぇ。リオンナハトさんの方も似たようなものか。ダイアモンド帝国だけでなくライズムーン王国までしくじったとなれば誰も文句は言えないからねぇ。それに、自分はこんな目に遭っているのにリオンナハトに何もないのは狡いという思惑もあるんだろう。なかなか小心者(チキンハート)なミレーユさんらしい素晴らしい人事だ」


「全然褒められた気がしませんわ」


「まあ、でもなかなか順当な人事だと思うよ。オルレアン教国を尊重しつつ、ダイアモンド帝国とライズムーン王国の力関係を考えれば自ずとこういった形になる。さあ、どうぞ続けて」


「会長補佐の役目はアモンにお願いしたいと思っていますわ。書記にはマリアを、会計にはフィリィスを指名したいと思っていますわ」


「アモンさんについては完全にミレーユさんの欲望だよねぇ? まあプレゲトーン王国の王子を生徒会メンバーに加えるのは学院内の国家間の均衡を考えても良い考えだと思うよ。フィリィスさんは友人として側にいて欲しいという気持ちがあるだろうし、商人の娘だから会計能力も高い。マリアさんは選挙活動ではお世話になった恩を返したいというところかな?」


「それと、サファルスさんを書記補佐にしようと思っていますわ。彼が『這い寄る混沌の蛇』の関係者だということははっきりしてますし、下手に自由にさせておくより生徒会の中に組み込んでしまって監視下に置いた方が得策ですわよね? 周りを反混沌の蛇の者達に囲まれていては、嘸かし居心地が悪いことでしょうし」


「まあ、彼が本当に『這い寄る混沌の蛇』の関係者かどうかは今のところ不明だけど、まあ、グレーの相手を自分の近くに置いて監視するというのは良い手だと思うよ。……で、ここからはボクの提案なんだけど、会長代理と会計監査の役職を置くのはどうかな?」


「……会長代理と会計監査ですの?」


 聞き慣れない役職名にミレーユが首を傾げる。


「今後、ミレーユさんが学院を離れることも増える予感がするんだよねぇ。まあ、そうなったら三千世界を多用することにはなると思うけど、万が一のために有事においては生徒会長と同等の権限を有する役職があった方が良いと思うんだよねぇ。それが会長代理だよ。普段は副会長と同程度の権限を持っているこの役職は先ほど副会長に名前が上がっていたリズフィーナ様が相応しいんじゃないかとボクは考えている。後は会計監査、置く場合と置かない場合もあるんだけど、その役目は第三者の視点から会計が生徒会の予算を使った後でその帳簿や領収証などを点検して不正が無いか、目的通りに使われているかどうかを検査することだ。まあ、会計が基本的にその役割を兼ねていることもあるし、他のものを含めた監査委員会を置く場合もあるんだけど、そこまではしなくてもいいかなって。生徒会が使える範囲での予算がしっかりと使われるかどうかを確認するのは会計の仕事でもあるから。会計監査は二重チェックの役割を果たすと考えてもらった方が分かりやすいかもしれないねぇ。まあ、監査とかの時期に頑張ってもらうのがメインだから基本的にはただの生徒会役員として会議に参加してもらうことになると思うけど」


「なるほど……どちらもいい案ですわね。会計監査を設置すればより誠実に学院の生徒会を運営していることが伝わりますし。……でも、具体的な人選はどうしようかしら? 全く考えていなかったので困りましたわ」


「じゃあ、ウォロスさんとルーナドーラさんはどうかな? 生徒会選挙で協力してもらった恩もあるし、マリアさん達だけを任命するのは不公平という意見もあるだろうし……」


「それもありますわね。……でも、会計監査の立場を考えるとお二人を任命するのはあまり良くないと思いますの。何か他に役職はないのかしら?」


「だったら庶務かな? まあ、基本的には何でも屋だよ。他の役職がやらないことを担当する役職で、生徒会の縁の下の力持ちというところだねぇ。ただ、役職の境って曖昧だから書記と会計以外は基本的にこれをしなければならないってのは特にないかな?」


「では庶務にウォロスさんとルーナドーラさんを指名して、会計監査には……そうですわ! ガラハッド様とリーシャリス様にお願いするのはいかがかしら?」


「ほら、ちゃんと生徒会の構成を自分で決められたじゃないか」


 エイリーンの言葉でミレーユは自分がここまで圓に誘導されていたことに気づいた。

 あの深謀遠慮という言葉すら生温いほど先を見通す圓に果たして会計監査に二人を指名する未来が見えていなかったのだろうか? もし、この言質を取るためにここまで誘導していたとしたら、自分はまたしても圓の掌の上で転がされていた訳で……。


 ――でも、仕方ありませんわ。だって、圓様ですし。


 ここまで来ると怒りすら湧いてこないミレーユは「まあ、圓様に助けられてばかりですし、これくらいのことはわたくしの寛大な心で許して差し上げますわ」と側から聞いたらとても心が広いとは思えない感想を内心に留めた。


「……正直、二人にはこの学院で沢山経験を積んでもらいたいと思っている。だけどなかなか良い経験になりそうなことが少なくてねぇ。正直、このままだと学院に留学してもらった意味がないって思っていたんだ。ボク達が留学する隠れ蓑というのがメインだったとしても二人の優秀な若人の青春の一年を奪ってしまうことには罪悪感もあるしねぇ。ミレーユさんは思うところがあると思うけど、どうか二人に良い経験を積ませるために力を貸してもらえないだろうか?」


 まさかエイリーンが頭を下げるとは思っていなかったミレーユは大慌てで「そう畏まる関係でもありませんわ! だから頭を上げてくださいまし!」と必死に叫んだ。

 頭を下げられることに慣れていないミレーユだった。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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