表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1171/1360

Act.9-318 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜妖魔犇く未開の森と妖狐棲む火山帯〜 scene.1

<三人称全知視点>


 未開の森から燃え上がる火山帯に掛けて探索するラインヴェルド、オルパタータダ、アクア、ディラン、レナード、ミリアム、アルベルト、スティーリアからなる妖魔討伐班はそれ以外の妖魔討伐班と異なり最短ルートで未開の森を目指したため未開の森に到着するまでに討伐した妖魔の数は他の妖魔討伐班がそれぞれの目的地に到着するまでに討伐した妖魔の数よりも遥かに少なかった。

 しかし未開の森に到着後、討伐数の順位は一気に逆転することになる。


「やっぱりこっちが正解だったか! だが、弱い奴しかいなくてクソつまらねぇ! 俺達は雑兵処理のために来たんじゃねぇんだよ! もっと強い奴とクソ面白い戦いを繰り広げてぇ!!」


 未開の森に犇く妖魔達の数はそれまでの街道に出現した妖魔達とは比較にならないほど多かった……が、いずれもラインヴェルドやオルパタータダのお眼鏡に適う強さを持ち合わせてはおらず、ラインヴェルドとオルパタータダのやる気はただ下がりになっていた。

 街道の小規模な妖魔の群れとの戦いは「未開の森に着けばもっと強い奴と戦える!」というモチベーションがあったから乗り越えられたが、その未開の森に到着してしまったため我慢の限界に達してしまったのである。


「儂達にとっては大した敵では無かったとしてもこの大陸の者達のほとんどは我々のような異能を持っておらん。この森から一匹も妖魔を出さぬ覚悟で戦うべきではないか?」


「ミリアム師匠、ちょっと真面目過ぎじゃねぇか? 俺達は別に慈善事業のために未開の森に来た訳じゃねぇんだぞ? 強い奴と戦うためだ!!」


 「「ああ、強い奴と戦いてぇ!!」」と叫ぶとラインヴェルドとオルパタータダにジト目を向けながらミリアムは聖属性の魔力を纏わせた剣で妖魔を両断した。

 ちなみに、アクア、ディラン、ミリアム、アルベルト、スティーリアは不満げな顔ひとつせず淡々と妖魔達の討伐を進めている。レナードだけは言葉にしてこそいないものの若干敵の弱さに不満げな顔をしていた。


「確か、六凶禍っていう強い奴がいるんだよな?」


『凶禍饕餮、凶禍窮奇、凶禍檮杌、凶禍龔工、凶禍犀烈、凶禍瞳龍の六体の凶禍妖魔でしたわね。ご主人様(圓お姉様)は強いと言いつつも世界観が魔法などの異能のない世界なのでそこまでの強敵ではないと仰っていましたわ。……ラインヴェルド陛下、オルパタータダ陛下、レナード様のご期待に添えるような相手はいないと思うのだけど』


「そうなる……これしかねぇな! よし、スティーリア。お前が俺とオルパタータダの相手をしてくれ!」


「おっ、そいつはいい!」


「二人とも狡くねえか! 俺だってギリギリの戦いを楽しみたいっていうのに!!」


『……わたくし、一言もお三方と戦うとは言っていませんわ。わたくし達が本気で戦えば地形が変わってしまいますし、命の奪い合いになります。「生命の輝石ラピス・フィロソフィカス・セフィロト」の生成でご主人様にご負担を掛けてしまいますから戦いはまたの機会にしてください。公式戦ではわたくしも本気を出させて頂きますから』


「「「ちぇ……」」」


「……正規の方法で作ろうとすれば負担どころの騒ぎではないのじゃがな」


 ちなみにこんなやり取りをしている間にアクアとディランは「どっちが多く妖魔を討伐できるか」という勝負を楽しんでいた。

 誰かを巻き込むラインヴェルド達とは違い、戦闘狂は戦闘狂でも誰かを巻き込まない平和的な戦闘狂である。……平和的な戦闘狂って一体。


「――ッ!? 師匠」


「ああ……デカいのが来たみたいじゃな」


「アハハハ! クソ楽しめそうな奴が来たぜ!!」


「しかも二体!! ワクワクするな!!」


「よし! 俺の全速力で誰よりも先に討伐してやる!!」


「どうする? ディラン」


「あのデカい奴は三ポイントぐらいでいいんじゃねぇか?」


「まあ、それくらいが妥当か。――それじゃあ、六ポイント頂戴しますか!」


『……全く、血の気の多い方々ですわね。もっと優雅でお淑やかに暮らせないのかしら?』


 ラインヴェルド、オルパタータダ、アクア、ディラン、レナード、ミリアム、アルベルト、スティーリアが一斉に北方に視線を向ける中、無数の妖魔を引き連れた二体の巨大な妖魔が姿を見せた。


『……藍色の牛のような見た目で、人のような顔と虎の牙、鰐のような脚を持つ妖魔と八枚の蝙蝠のような翼を持つ紫色と緑色の独特な縞模様を持つ虎のような妖魔――凶禍饕餮と凶禍窮奇ですわね』


『俺達のことを知っているのか? まあ、なんでもいいぜ! 今の俺達はムシャクシャしているだ!! ストレス発散に付き合って死んでくれや!!』


『……くっ、我らの忠誠心を蔑ろにされるようなお方だとは思わなかった。あの新参者共に側近の座を追われるとは!! この屈辱、必ずや晴らして見せる! あの年増女狐(ババア)も新参者共も必ずボコボコにして、(やつがれ)こそが妖魔を統べる王となるのだ!! だが、その前に貴様ら憎き人間共を皆殺しにしてやる!!』


「……どうやら、事情があるようじゃな」


 これまでは白面金毛九尾の狐の直接の配下は六体の凶禍妖魔だけだと思われていた。

 実際、『妖魔斬刀〜絆縁奇譚巻ノ二〜』の史実では白面金毛九尾の狐の直接の配下は六体の凶禍妖魔だけだったが、ここは物語の枠に囚われない異世界である。『管理者権限』を得て神に至りメタ視点を獲得した白面金毛九尾の狐が新たな妖魔を作り出すという選択をする可能性がない訳では無かった。


 それに、白面金毛九尾の狐はフィクスシュテルン皇国の皇城での邂逅で弱者だと侮ったラインヴェルドに想定以上の力を見せつけられて分身体を消滅させられている。

 白面金毛九尾の狐が『管理者権限』を持たない者達も圧倒的な力を獲得しているという事実を知り、『管理者権限』を持たない者達も危険視して彼らに対抗できるような新たな妖魔を創り出すに至った可能性も否定はできない。寧ろ、諜報部隊フルール・ド・アンブラルの諜報員達は白面金毛九尾の狐が多種族同盟と再戦するにあたって何も対策していない可能性の方が低いと考えていた。


『凶禍妖魔よりも強い可能性がある新型妖魔が作られている……情報の共有が急務ですわね』


「アハハハ! そう来なくっちゃな! 強い奴と戦えないならわざわざ海を超えてきた意味が無くなっちまう! 凶禍饕餮、凶禍窮奇、お前らは俺をどれくらい楽しませてくれるのか楽しみだぜ!!」


「ラインヴェルド、抜け駆けはするなよ!」


「って言いつつお前も先に動いているじゃねぇか!」


 ラインヴェルド、オルパタータダ、レナード、アクア、ディランが競うように凶禍饕餮と凶禍窮奇に攻撃を仕掛ける中、スティーリアは『本当に子供みたいな方々ですわね』と溜息を吐きながらシトロリーナに携帯電話(スマートフォン)で連絡を取り、ミリアムとアルベルトは凶禍饕餮と凶禍窮奇が連れてきた妖魔達を含む凶禍妖魔以外の妖魔達を森から一歩も森の外に脱出させないために、気を引き締め直して武器を構えた。


雷閃走撃(ライセン・ソウゲキ)! 丑寅の大斧砕撃(キモン・インパクト)!』


窮奇の爆熱咆哮(バーニング・ブラスト)!!』


 雷撃を纏った凶禍饕餮は巨大な斧を構えたまま一気に加速してラインヴェルドに迫り、巨大な斧を頭上で高速回転させてからラインヴェルドの頭目掛けて思いっきり振り下ろした。

 一方の凶禍窮奇はオルパタータダに狙いを定めて灼熱の蒼焔を口の中で収束させ、ブレスとして放つ。


 流石の凶禍饕餮と凶禍窮奇と雖も手練れ五人を同時に撃破することは困難だと考えていた。

 そこで、一瞬の目配せで二体は各個撃破の作戦を伝え合い、まずはラインヴェルドとオルパタータダを確実に撃破するために動いたのだが、凶禍饕餮の斧はあっさりと武装闘気を纏ったラインヴェルドの右手によって受け止められ、蒼焔のブレスを受けたオルパタータダも纏った武装闘気でブレスを無効化し、一回も足を止めることなく神速闘気を纏って凶禍窮奇との距離を詰めてくる。


神退(カムサリ)!!」


「――ッ! 間に合えッ!!」


神威神去(シンイカムサリ)!!」


「させるか!! 俺が先に仕留める!!」


「終焉の光条!! させねぇよ! 俺が討伐する!」


 ラインヴェルドが霸気を纏わせた一撃を凶禍饕餮に浴びせるのと全く同じタイミングでスカートが広がることも気に留めず、空中で剣を回して握り直して膨大な武装闘気と覇王の霸気を込め、逆手に構えられた剣で高速の斬撃を放つ。

 ラインヴェルドとアクアの霸気を纏った一撃を浴びた凶禍饕餮の身体は二人の攻撃に耐え切れず、無数の肉塊と化して飛散した。


 しかし、凶禍饕餮の末路はまだマシと言えるかもしれない。オルパタータダ、ディラン、レナードの本気の攻撃を浴びた凶禍窮奇は身体の大半がレナードの放った魔力の奔流によって消し飛ばされてしまっている。……まあ、残る肉塊も衝撃で周囲に散らばってしまっているため、似たような末路ではあるが。


「レナード、危ないじゃねぇか! 危うく俺まで消し飛ばされるところだったぞ!!」


 光条をスレスレで躱したオルパタータダが冷や汗を垂らしながらレナードに抗議の声を上げる中、アクアとディランはミリアム、アルベルト、スティーリアに「誰が最初に凶禍饕餮と凶禍窮奇にトドメを刺したのか」を聞きに行き、「他の妖魔の討伐をしていて見ていない」と言われてショックを受けていた。……ミリアム、アルベルト、スティーリアは別に誰が討伐したかに興味は無かったため、当然の結果である。


 スティーリア達にとっては討伐したという結果の方が大事だが、討伐数で競い合っているアクアとディランにとっては重要な部分だった。

 とはいえ、見ていなかったのであれば仕方がない。すぐに気持ちを切り替え、「もっと圧倒的な差をつければいい!」と妖魔達に突撃していくアクアとディランの姿を『勝っても負けても特に何もないのによくやるわね』とスティーリアは呆れ顔で見送ると、自身も妖魔の討伐に戻った。

 お読みくださり、ありがとうございます。

 よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)


 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ