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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-314 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜サンアヴァロン連邦帝国の愚かな第一皇子に囁く蛇〜 scene.14

<三人称全知視点>


 オーギュローが自爆寸前に口にした「今回の業務」という言葉からダフネ達はオーギュローが先程の爆発から何かしらの方法で生き残った(あるいは、サンアヴァロン連邦帝国に潜入していたのオーギュローの分身体のようなものであった)と推測していたが、カスティールはオーギュローが先ほどの自爆で命を落としたと考えていた。

 これまでカスティールが皇帝に即位する未来への道を指し示してきた道標の突然の消失はカスティールに大きな衝撃と僅かな喪失感を与えた。


 しかし、カスティールにとって唯一の良き理解者(とカスティールは思い込んでいた)オーギュローの死亡は悲劇の序章に過ぎない。

 その後、オーギュローが掛けた「紫色の操糸パープリッシュ・マリオネット」がダフネ達によって解呪され、ホーク=ヴォイルド騎士団長を筆頭にサンアヴァロン連邦帝国の騎士達が全てマシャルド側についてしまったのである。


「なかなか厄介な闇魔法でしたね」


 「紫色の操糸パープリッシュ・マリオネット」には簡単に光属性魔法で浄化されてしまわないようにいくつかの一手間が施されていた。

 光属性魔法による浄化を阻害する無属性の魔力によるコーティングに、浄化魔法を受けたことに反応して発動する自爆魔法――この二つの厄介な仕掛けにより、「紫色の操糸パープリッシュ・マリオネット」は無属性魔法の阻害を突破して一瞬にして肉体を侵食する「紫色の操糸パープリッシュ・マリオネット」全体を浄化しなければならないという厄介な魔法に仕上がっている。


 白夜並みの神聖属性の力があれば無属性の浄化阻害魔法の処理限界を突破して「紫色の操糸パープリッシュ・マリオネット」全体に浄化魔法を届けることも可能かもしれないが、ダフネの実力では不可能だ。

 どのような仕掛けが施されているか分からないとその場で浄化を行わずに時空魔法で足止めする戦法を取ったダフネだが、その判断は正しいものだったようだ。


「あの魔法は紫の糸と植え付けた種を呼応させて発動するものだったようです。……魔法の発動のためにオーギュローはきっと地道に気づかれることなく種を植え付けていたのでしょうね」


「種が発芽するのも一瞬であれば、刈り取られるのも一瞬か……少しだけ敵ながら同情してしまうな。まあ、この世界を混沌に陥れようとする輩の策が失敗することは良いことだが」


「一歩間違えば浄化に失敗して大爆発を引き起こしていたことでしょう。時空魔法で時を止め、浄化魔法を掛ける時間を確保できたから浄化が可能でしたが、直接解呪しようとすれば圓様か白夜様クラスの術者が必要でしたわ。準備が大変な分、その準備に見合った効果を発揮する魔法だったのでしょうね」


 「浄化に失敗すれば命が無かった」と聞かされて怯える騎士達を残し、エイミーン達は帝城へと突入にしようとするが、その前に立ちはだかったのはホークだった。


「マシャルド殿下、ヴォガスレス宰相閣下! ここから先は我ら騎士団にお任せください!!」


「……でも、騎士の皆様ってオーギュローに操られるっていう失態を犯していたわよね? 本当に戦力になるのかしら?」


 シーラが事実を述べてホークにジト目を向けると騎士達は不機嫌そうにエイミーン達に視線を向けた。


「マシャルド殿下はカスティール殿下の悪行狼藉を止める覚悟を決め、我々に協力を打診して我々と共にここまでやってきました。終盤に入ったこのタイミングで騎士団の皆様が『ここから先は私達に任せてもらいたい』という態度を取るのは少々勝手が過ぎると思いますが。……それに、貴方方騎士団を信頼できる根拠がどこにもありませんし」


「貴方達こそ本当に信頼に足るのは甚だ疑問だ。殿下、何処の馬の骨かも分からぬ者達などに信頼を寄せず、どうか我らに――」


「ホーク騎士団長、随分と部下を自由にさせ過ぎているようだな。……この方々がいなければ我々は今も牢獄に囚われたままだった。マシャルド殿下は彼女らの素性を知った上で彼女達に協力を申し出た。彼女達が何を目的にしているのか、何故協力してくれるのか、その真意は全て知った上で共闘関係を築いている。少なくともこの異常事態においては騎士団より彼女達の方が信頼に値する」


 ホーク達騎士はマシャルドとヴォガスレスが濡れ衣を着せられて投獄されてから二人を助けようと行動することは無かった。

 それが、カスティールの野望が露見した瞬間に掌を返して打倒カスティールを掲げ、ここまで共闘関係を築いてきた多種族同盟の者達を「何処の馬の骨かも分からない者達」であるとして冷遇する騎士達の姿にマシャルドとヴォガスレスは不信感を募らせていた。


「いえ、そちらの騎士様の仰られる通り、サンアヴァロン連邦帝国の問題はサンアヴァロン連邦帝国が解決すべき。我々のような海を超えた大陸出身者――異国の者に解決されることを良しとしないことは当然ですね。皆様、本来、私の一存で決めることではありませんがここは騎士の皆様に任せて我々はサンアヴァロン連邦帝国を離れましょうか? サンアヴァロン連邦帝国の『這い寄る混沌の蛇』は一掃できたようですし、我々もこちらから手を引き、他の地域の応援に回ろうかと思っています。皆様も妖魔討伐班に合流してまだまだこなす任務もございますし、ここで主導権争いをしている暇はありませんよね?」


 あっさりとカスティールの捕縛という重要な仕事を明け渡して国からの撤退を提案したダフネに喜ぶ騎士達と対照的にマシャルド、ヴォガスレス、ホークにはそのあっさりとし過ぎた態度が逆に不安を掻き立てた。


「……この状況での我々の撤退は流石にまずいのでは……」


「……プリムヴェールさんは真面目ですね。僕はサンアヴァロン連邦帝国がそのような見解を出したのであれば、食い下がってまで助けてあげる義理はないと思いますけどね」


 そのままエイミーン達が飛空艇に乗り込もうとする中、プリムヴェールが馬鹿正直に零した本音とそんなプリムヴェールの真面目さに呆れたように感想を口にするラファエロの言葉に、嫌の予感が当たっていたことを確信したマシャルドは「待ってくれ!」と飛空艇に乗り込まんとしているダフネに大声で呼びかけた。


「……そんなにご心配にならなくても、望むのであれば我々多種族同盟内はサンアヴァロン連邦帝国を歓迎致しますわ。もっとも、サンアヴァロン連邦帝国がそれまで無事であればという条件が付きますが」


「シーラ殿が騎士団を戦力になるか否か見定めたことがずっと引っ掛かっていたが、ここまでのダフネ殿達の態度と言葉でようやく分かった。……戦いはまだ終わっていないのだな」


「戦いはまだ終わっていない……それは当然のことではありませんか? まだ、騒動の元凶であるカスティール殿下の捕縛もゲルネイーラ三世の安否確認及び解毒も終わっていないのですから。……ですが、騎士団の皆様は『ここから先は私達に任せてもらいたい』と仰られました。折角皆様がそう仰られるのですから、我々は安心してこの場を離れようとしているのですが」


「……安心などでなく無慈悲に我々を見捨てて、の間違いではないか?」


「無慈悲に? そもそも、我々は妖魔討伐とサンアヴァロン連邦帝国に潜む『這い寄る混沌の蛇』の討伐の任を受けてここまでやってきました。サンアヴァロン連邦帝国の存亡に関しては任務外のことですので。既に我々の任務は完了致しました。ここから先は親切心で……と思っていましたが、その善意を踏み躙る方々に睨まれてまで慈善事業をするつもりはありませんよ」


「……勝手なことを言っているのは分かっている。だが、どうか我々を許してもらえないだろうか? 父上を助けられるのは多種族同盟の皆様だけだ。それに……私は嫌な予感がしている。この先のことを騎士団に一任すると最悪の事態に直面するのではないか? その事態が具体的に何を示すのか分からないが、皆様はそれに気づいているのだろう?」


「……はぁ。そこまで仰られるのであれば仕方がありませんね。オーギュローはカスティール殿下に魔人の種子(デモニア・シード)を手渡していました。あれを服用すれば、理性と引き換えに圧倒的な力を持つ化け物と化します。我々時空騎士(クロノス・マスター)にとっては大した相手でもありませんが、そちらの騎士様達だと全滅してしまうんじゃないでしょうか? ……と忠告をしようかしまいか考え、先ほどは忠告をしない選択を取らせて頂きました。騎士団の皆様の矜持(プライド)を傷つけてしまう可能性がありましたので。……まあ、殿下にそこまで仰られてしまったのにこのまま見捨てるのは外聞に関わりますし、最後の最後までお付き合い致しましょう。皆様、予定変更に次ぐ予定変更で混乱を招いてしまい申し訳ございません。カスティール殿下の捕縛、不可能であれば処断を済ませた後、ゲルネイーラ三世の安否確認と可能であれば解毒をした後、各自次の任務地への移動となります。……多種族同盟加盟の手続きをお望みでしたら出立までに我々に連絡してくださるか、フィクスシュテルン皇国を経由して申請してください。勿論、今回の件に関して我々多種族同盟はサンアヴァロン連邦帝国に見返りを求めることもなければ、多種族同盟への加盟を求めることもありませんので、何を要求されるのかと不安になる必要はありません。……できれば騎士の皆様は(守る対象が増えてしまうので)この場に留まって頂きたいものですが、そういう訳には行かないと思いますので気が進みませんが、どうぞご同行なさってください。それでは、マシャルド殿下、ヴォガスレス宰相閣下、城内に参りましょうか?」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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