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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-311 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜サンアヴァロン連邦帝国の愚かな第一皇子に囁く蛇〜 scene.11

<三人称全知視点>


 マシャルドから協力要請を受け、サンアヴァロン連邦帝国の帝城襲撃の大義名分を得たエイミーン達は応接室に集まったメンバーと共にどのような方法で襲撃を仕掛けるのかを相談していた。


「我がナガス辺境伯家の家紋が入った馬車であればこの非常事態でも検問を突破して帝都に入ることも可能だろうが……流石に城の中まで入ることは厳しいだろうな」


「……いや、そもそも検問を突破することも厳しいかもしれませんな。これまでは高位貴族は検問をスルーできましたが今は非常時――中を改められる可能性は高いのではないでしょうか?」


 ジャビスの提案をヴォガスレスはあっさりと否定した。

 平時であれば検問をスルーして王都に入ることも可能だった。流石に帝城に入るためには高位貴族といえども身元の確認が必要だったが、戦時という名の非常事態である今は高位貴族の顔パスならぬ紋パスすら機能していない可能性は高い。


「えっ……なんでそもそも陸路で帝都まで行く話になっているのですかぁ〜?」


 そんなジャビスとヴォガスレスのやり取りを一刀両断したのはエイミーンだった。


「しかし、エイミーン女王陛下。陸路以外に帝都に行く方法はないと思うが……」


 マシャルドがいくら考えても陸路以外で帝都に行く方法はない。

 これがもし帝都が海に面した場所であれば海路という選択肢もあっただろうが、帝都があるのは内陸である。

 他には一応、ナガス辺境伯領から帝都方面まで流れる川を利用した水路という選択肢もあるにはあるが、あまり現実的ではない。……検問に引っ掛からずに帝都内に侵入することも可能ではあるだろうが……。


「二つ選択肢があるのですよぉ〜! 転移か、空路なのですよぉ〜!!」


 全く想定していなかったエイミーンの提案にジャビス、ウィレミア、パメラ、マシャルド、ヴォガスレスは驚愕のあまり固まった。


「転移……つまり、時空魔法は現在の状態だと使用できないので、どなたかの記憶を読ませて頂いて座標を得ることになりますね。空路の方は一応、私の権限で動かせる飛空艇がありますのでそちらを使うことが良いと思います。……流石に『飛空艇ラグナロク・ファルコン号』ほどの快適性はありませんが。どちらかといえば、私は空路の方が良いと思います。真っ向から正当性の欠片もない方法で権力を得たカスティール第一皇子殿下を止めるという構図であれば、空から奇襲を仕掛けるのが良いと個人的には思いますので」


「……ちなみに記憶を読み取るというのは?」


「マシャルド殿下、もしや興味がおありですか? 魔法を使って記憶を複製した飴玉を取り出す方法と見気を使って記憶を読み取る方法の二種類が今のところはあります。もし、サンアヴァロン連邦帝国が多種族同盟に入るのでしたら闘気系統と八技術の使用方法は教える方針になっていますので、教えられた通りに見気を鍛えて熟練者になれば記憶を読み解くこともできるようになります。記憶の飴玉の複製については多種族同盟加盟以後もお教えすることはできないと思います」


 思っていた以上に超常現象じみた方法だった上にその内片方の方法は多種族同盟に加盟すると教えてもらえると聞き、更なる衝撃を受けたジャビス達。

 「本当にそんな超常現象じみた力を本当に使えるようになるのか」という感想は一旦呑み込むことにして、ジャビス、マシャルド、ヴォガスレスの三人は優先度の高い今後の方針について考えた。


 エイミーンの提案した空路を使う方法であれば陸路よりも安全で効率的に帝都に行くことができる。空路であれば検問もないため、足止めを喰らうこともない。当然、見慣れぬ飛空艇が上空を飛んでいれば嫌でも注目を集めるだろうが、地上からは飛空艇に乗っているマシャルド達を止めることはできない。


 ジャビス、マシャルド、ヴォガスレスはエイミーンの提案を上回る代替え案を思いつくことができず、結局エイミーンの案を採用することとなった。



 翌日の早朝、ナガス辺境伯邸に一隻の見慣れぬ空飛ぶ船(そもそも、飛空艇はこの大陸には存在しないもののため、見慣れないのは当然だが……)が着陸した。

 ほとんど音を立てずに飛行してナガス辺境伯邸までやってきた木と金属で作られた船にジャビス、ウィレミア、パメラ、ナガス辺境伯家の使用人一同、マシャルド、ヴォガスレスが驚く中、エイミーン達はというと……。


「『飛空艇ラグナロク・ファルコン号』ほどの快適性はないと聞いて正直そこまで期待はしていなかったが、なかなかの船のようだな」


「この『量産型飛空艇グレート・ファルコン号』は十名程度の個室、浴場、小規模ラウンジなどを完備しております。流石に『飛空艇ラグナロク・ファルコン号』のように豪華客船に匹敵する設備はありませんが、任務での中距離程度の移動ではとても重宝します。量産型なので設備も少々グレードダウンしておりますので、王族や宰相閣下といった高貴な身分の方には相応しくない移動手段かもしれませんが、到着までの辛抱ですのでお許しくださいませ」


「……いや、この船のどこにケチをつけろというのだ?」


 マシャルドに飛空艇の良し悪しは分からないが、それでも自国の皇族専用馬車と比較すればどれほど高価な乗り物であるか推測することは可能だ。

 プリムヴェールと同じく狭い乗り物での長距離移動を想定していたマシャルドとヴォガスレスにはとっては良い意味で想定外の状況である。


「ちなみに、飲み物や食べ物は時空騎士(クロノス・マスター)の給料から天引きだったりするのですかぁ〜?」


「そのようなことはありませんのでご心配なく心ゆくまでご堪能ください。実は私達諜報員も任務の移動中のラウンジでのお茶の時間が密かな楽しみなのですよ」


「……本当にいい職場よね、ビオラ商会合同会社って。それほど福利厚生がしっかりとしている職場ってないんじゃないかしら?」


「アネモネ閣下は社内の福利厚生に人一倍気を使っておられますから、これ以上福利厚生がしっかりとしている職場は世界を見渡してもないと思いますわ」


「でも、そのトップが社畜という以外に表現する方法がないくらい働いているってのは少々残念なことよね」


 シーラの指摘に苦笑いになるダフネ。

 圓の働き過ぎという以外に表現のしようがない激務な勤務スケジュールにはダフネも流石に圓の体調を心配していた……が、一方で圓がそれを望むのであればその意思を尊重するべきではないかという考えもダフネは持っていた。


 それに、ビオラ商会合同会社は上司が働き過ぎだからといって部下が休みを提案し難い雰囲気の会社という訳ではない。

 圓やビオラの幹部達が少々働き過ぎであってもそれによって社内で生じる弊害はほとんど存在しないのである。

 そのため、圓の体調を過剰に気遣う一部過激派以外はダフネと同じく「それぞれが自分の目標に向かって好きなように働くべきで、その労働の自由は余程の理由がない限りは妨げられるべきではない」という考えを持っていた。


 ちなみに、そういう一部過激派は主にビオラ商会合同会社の労働組合に所属している。そのため、毎年春闘の時期になると本来ならベースアップなど社員の待遇改善を求めるところを経営者陣(アネモネや幹部達)の労働状況の改善を掲げ、圓達経営陣と白熱した戦いを繰り広げることが春の風物詩となっていた。勿論、労働組合側は全戦全敗で何故か社員達の給料と福利厚生が良くなっていくという謎の事態になっていたりする。勿論、本来の春闘においては願ってもない戦果なのだろうが、労働組合側にとっては不服な結果である。……彼らは本当に労働組合なのだろうか?


「では、そろそろ参りましょうか? マシャルド第二皇子殿下とヴォガスレス宰相閣下」


 エイミーン達に続いてマシャルドとヴォガスレスが『量産型飛空艇グレート・ファルコン号』は大きく飛翔する。


「私もついて行くべきだっただろうか?」


「あなたがついて行っても戦いでは足手纏いになるだけだと思うわ。それよりも、私達が今できることをするべきだと思うわ」


「そうだな。ダフネ殿達が無事にこの国の平穏を取り戻してくれることを祈り、私達は私達のできることを進めよう」


「皆様、どうかご武運を――」


 ジャビス、ウィレミア、パメラ、ナガス辺境伯家の使用人達に見送られる中、皆の祈りが乗せられた『量産型飛空艇グレート・ファルコン号』は帝都に向けて高速で飛翔した。



「船のような謎の飛翔物体が帝都に出現しただと!? 何をしている! すぐに撃ち落とせ!!!」


「し、しかし!! そのようなことをすれば帝都に被害が!!」


「この俺の言うことが聞けないというのか! 貴様を打首にしてもいいんだぞ!!」


「しょ、承知致しました! 速やかにッ! 速やかに落とします!!」


 カスティールに詰められた若い騎士は脱兎の勢いでカスティールの元から走り去る。


「……しかし、何者なのだろうか?」


「飛空艇と呼ばれる空を飛行できる乗り物ですね。あれを保有しているのは多種族同盟――恐らく、別大陸からの侵攻だと思われます」


「ほう、別大陸!? 別の大陸があるのか! 丁度いい! この大陸を制覇した暁にはその大陸も我がサンアヴァロン連邦帝国の支配下においてやろう!」


 カスティールの野心は留まることを知らない。

 遂には多種族同盟加盟国すらもサンアヴァロン連邦帝国の支配下に置こうと井の中の蛙の如き野心を語るカスティールの姿に、流石のオーギュローも苦笑いを隠せなくなった。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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