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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-310 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜サンアヴァロン連邦帝国の愚かな第一皇子に囁く蛇〜 scene.10

<三人称全知視点>


 乾涸びたアーモグドはダフネの手によって処理され、戦闘で破壊された執務室も時空魔法で修復された。


 原状回復作業が無事に終わったところでダフネがジャビス、ウィレミア、パメラ、マシャルド、ヴォガスレスを呼びに行き、ジャビスの提案でエイミーン達は執務室から応接室に向かうことになった。


「さてジャビス様、以前の我々の同盟はアーモグドに強制されたものでした。よって、ジャビス様の意思とは無関係なものとして破棄させて頂きます。そこで、改めて私達はジャビス様の意思を問いたい。……『這い寄る混沌の蛇』の勢力によってサンアヴァロン連邦帝国が危機的な状況に追い込まれていることは間違いありません。現時点でフィクスシュテルン皇国の『這い寄る混沌の蛇』は先代【血塗れ公爵】夫人の転生者によって全滅、その他小国にも『這い寄る混沌の蛇』が潜んでいる可能性がありますが、そちらは妖魔討伐班が担当しない地域の妖魔共々先代【血塗れ公爵】と使用人達、先代【血塗れ公爵】とその使用人達の転生者が対応することになります。しかし、サンアヴァロン連邦帝国が万一各国に侵攻して国内外の不満を増大させ、結果としてサンアヴァロン連邦帝国共々大陸を混沌に陥れるような事態になれば我々の努力も水の泡です。つまり、サンアヴァロン連邦帝国の引き起こす戦争を止めるために現状の国のトップ――カスティール第一皇子を処分し、彼を唆している『這い寄る混沌の蛇』を潰す必要があります。そこまでは我々にもできることですが、問題はカスティール第一皇子にご退場頂いた後です。残念ながら我々諜報員も国の深くには入り込めていないので、ゲルネイーラ三世の安否は不明です。死亡していなければ解毒も可能だと思いますが、もし死亡していた場合はマシャルド第二皇子殿下に即位して頂く必要が出てきます。まあ、マシャルド第二皇子殿下に協力して頂けないのでしたら、我々もアネモネ閣下に相談してビオラが直接国を運営――つまり国の乗っ取りも視野に入れることになってしまいますが。ご安心を、ビオラは既に二つの国家と複数の領地の経営の実績があります。サンアヴァロン連邦帝国を必ずや今以上に実り豊かな国にして見せましょう」


「……魅力的な相談だが、我々の国は我々の手で運営したい」


「まあ、そもそも我々が動かざるを得ない事態になった時点でアウトですけどね」


「……否定できないな」


「実際、我々がしっかりと皇帝陛下を守り、カスティール第一皇子殿下の愚行を止められていれば内政干渉が行われる事態にもならなかった。……本来ならば国土を奪われても仕方のない話か。一度失敗した我らに権利があるとは思えないかもしれない。だが、もう一度機会を頂けないだろうか?」


 ジャビスからサンアヴァロン連邦帝国の現状を聞き、ダフネ達の言葉の裏付けが取れたヴォガスレスは内政干渉を言っていられるような状況ではないことを実感した。

 最早、サンアヴァロン連邦帝国だけの問題ではない。大陸全土を巻き込んだ悲劇が引き起こされる寸前にまで事態は進んでいるのだ。


 既にマシャルドとヴォガスレスの二人だけでどうにかなる話ではない。では、ジャビスを頼ったら国の奪還は可能かと言われるとかなり厳しい。

 魔法という未知の力を持つ『這い寄る混沌の蛇』相手では分が悪い。彼らと戦うためにはやはり長きにわたり『這い寄る混沌の蛇』と戦ってきた『這い寄る混沌の蛇』の専門家の顔も持ち合わせている臨時班を頼るべきだろう。


「ちなみに、ジャビス様に協力して頂きたかったらことはほとんど終わっています。我々が国内に入れた後は我々が国内に潜入したという情報を握り潰して頂ければ、後はこちらで国の中枢に正面から攻撃を仕掛けてカスティール第一皇子殿下と彼を唆す『這い寄る混沌の蛇』を叩き潰しておきますので。それと、マシャルド第二皇子殿下とヴォガスレス宰相閣下の身の安全の保障と身を隠せる場所の提供ですね。対価はウィレミア様とパメラ様の救出と妖魔討伐でお支払いできていると思いますが、もし追加で報酬の希望がありましたら仰ってください。お互いにとって等価交換だと認識できる対等で公正な取引を我々も望んでいますから」


「妻と娘を救ってくれたことと妖魔の討伐で十分過ぎるくらいにお礼はもらっている思うのだが。それに、これはサンアヴァロン連邦帝国の問題――元々は私達の手で解決しなければならなかったものだ。何も返せなくて本当に申し訳ない」


 ウィレミアとパメラについては事前に情報を得ていながら放置していたという前科がダフネ達にはある。

 その情報を隠して恐縮するジャビスに「いえいえ、ジャビス様の尽力のおかげでとても助かっていますわ」とニコニコと微笑み掛けるダフネにプリムヴェール達はジト目を向けた。


「しかし、領軍の派遣は本当に必要ないのか? 確かに『這い寄る混沌の蛇』相手ではあまり役には立たないだろうが」


「ご心配には及びませんわ。もし、マシャルド第二皇子殿下とヴォガスレス宰相閣下に協力して頂けることになった場合のお二人の護衛も引き受けさせて頂きます。そうですね……カスティール第一皇子殿下から政権を奪還した後にご協力頂ければ助かります」


「勿論だ。カスティール第一皇子殿下を倒した暁には私も是非国の建て直しに協力させて頂こう」


 ジャビスの協力する意思は確認することができたが、まだ山を一つ超えたに過ぎない。

 寧ろ交渉の山場はここからだ。マシャルドとヴォガスレスの協力を得られるかどうかで今後、ダフネ達が打つ手が大きく変わってくる。……まあ、協力を得られなかった場合はビオラの直接統治に方針転換をするだけだが。


「ちなみに、ダフネ殿はサンアヴァロン連邦帝国に派遣された諜報員達を統括する立場で間違いないのだな?」


「はい、その通りでございます。マシャルド第二皇子殿下」


「では、そのダフネ殿は本国からどの程度の裁量を与えられているのだ?」


「どこまで私が権限を持っているのか、確かに重要なことですわね。実は私に権限が無かったと言われて後で約束を反故にされる可能性を警戒するのは至極当然のこと」


「……いや、そこまでは」


「私はサンアヴァロン連邦帝国における活動の全権をアネモネ閣下より委任された全権代理者という扱いになります。情報を共有して指示は仰いでいますが、万一連絡が取れない場合は私の一存で行動することも認められています。……まあ、そのような事態にはなかなかならないと思いますが。流石にサンアヴァロン連邦帝国の国土をアネモネ閣下に相談せずに引き継ぐとなれば小言の一言か二言は頂戴することになりますが、面倒見の良いあの方のことですから文句を言いつつきっと今以上に裕福な国へとサンアヴァロン連邦帝国を改革してくださると思います。といっても、全権代理の役割は今回の任務に限定されるもので、任務によって責任者は代わりますのでサンアヴァロン連邦帝国以外でそのような無理を通すことは難しいでしょうね」


「もしかして、今回の任務はたまたまダフネさんが指揮を取っていただけなのかしら?」


「レミュア様の仰る通りです。ビオラの諜報員にはリーダーとサブリーダーが居て、流石に二人は我々と同格とはいきませんが、それ以外の諜報員に地位の上下はありません。まあ、先輩後輩の関係で多少の上下はありますが、それも知っている範囲の人間関係のみ。私も流石に諜報部隊フルール・ド・アンブラルのメンバーを全員把握している訳ではありません。知らないうちにメンバーが増えていたなんてことも日常茶飯事ですし、把握されているのはアネモネ閣下と白夜様、シャルティローサ様、後はVSSCのシア様とリコリス様も把握されているのではないかと思います」


 諜報員達が互いに顔を知っていれば記憶から諜報員達全員の素性を知られて対策を講じられる可能性が生まれる。そのため、全員の顔を知らないという状況を作ることを諜報部隊フルール・ド・アンブラルでは徹底している。

 まあ、流石に誰一人知らないという状況は作れないため、一人諜報員を捕らえれば多少の情報を引き出すことはできるのだが……。


「先程お二人のご意見を少しだけお聞きしましたが、改めてお答えください。我々の協力を得てカスティール第一皇子殿下から権力を取り戻し、戦争を止めるのに協力するか、それとも我々の手を取らないという選択肢を選ぶか。勿論、我々の手を取らないのであればこちらはこちらで勝手にやらせて頂きますし、邪魔をするのであれば排除致します。もし、協力してカスティール第一皇子殿下から権力を取り戻した場合も我々に何かしらの便宜を図って頂きたいという希望はありません。その時になりましたら、多種族同盟に加入するか否かを選択して頂くことになりますが、今回、我々が不当に権力を手にした皇子の討伐に協力したことへの恩などは特に考えず国にとって何が益になるかを熟考した上で答えを出して頂ければ幸いです」


「悔しいが今の私達の力では兄上から権力を取り返すことも、そもそも臥せっている父上のもとに行くことすらも難しい。多種族同盟の臨時班の力を得られるのであれば、是非協力して頂きたいと思っている」


「それ以外の選択肢はありませんな。陛下を蝕む毒も多種族同盟の方々なら解毒する術を持ち合わせているかもしれませんし」


「直接状態を見た訳ではないので断言はできませんが、解毒は可能だと思いますわ」


「私は帝国の臣下です。皇帝陛下が臥り、第一皇子殿下が国を滅ぼす道に進もうとしている今、私が信じられるのはマシャルド第二皇子殿下のみ。私は殿下の意思を尊重致します」


「ありがとう、ヴォガスレス。多種族同盟の皆様、改めて兄上を止めるために力を貸してもらえないだろうか?」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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