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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-305 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜サンアヴァロン連邦帝国の愚かな第一皇子に囁く蛇〜 scene.5

<三人称全知視点>


 エルジューク監獄襲撃当日の夜、エイミーン、マグノーリエ、プリムヴェール、レミュア、シーラ、ラファエロ、ダフネは夜の街道を馬車で駆け抜け、クエラスの街へと向かっていた。


「そろそろあちらも動き出している頃なのか?」


「さあ、私にはプリムヴェール様の仰っていることが見当もつかないのですが」


「ここにはナガス辺境伯の関係者は誰一人としていない。わざわざ隠し立てする必要はないと思うが?」


 プリムヴェールが鋭い眼光を向けるとダフネは「あらやだ、怖いわ」と嘘くさく怯えて見せた。


「えぇ、皆様は察しが良いですからもうお分かりだと思いますが……ナガス辺境伯の妻子が誘拐されております。犯人はナガス辺境伯家の使用人――執事長のアーモグド。『這い寄る混沌の蛇』の信徒であるこのアーモグドに妻子の命を盾に情報を横流しするように求めておられるようですわ。もし、逆らえば二人を殺すぞ……と」


「やっぱり、あの晩餐の席にナガス辺境伯の家族がいなかったのは二人ともどこかに監禁されていたからなのね。……ということは、やっぱり監獄は……」


「恐らく罠でしょうね。まあ、でも、どちらにしろマシャルド第二皇子とヴォガスレス宰相の救出は必須ですから、罠ごと食い破ってしまいましょう。……正直どれほどの戦力がいるかは分かりませんが、警戒はしておいた方がいいでしょうね。そして、今回の我々の任務と並行して

ウィレミア様とパメラ様の救出作戦が侵攻しております。我々が潜入した時点でお二人が監禁されていることも、その監禁場所も把握しておりましたから正直、襲撃を仕掛けてお二人を奪還することは容易ですわ。いつでも奪還はできましたが、上手く相手を油断させるために奪還はこのタイミングですることになりました。……まあ、お二人の健康状態は把握していたのでもっと劣悪な環境に置かれているのであればお二人の奪還を優先させましたが……」


「まあ、人道的かどうかは別として当然の判断だとは思うのですよぉ〜」


「ちなみに、奪還の方は既に我々諜報部隊フルール・ド・アンブラルの手を離れておりますわ。当初は諜報員数名で任務を遂行する予定でしたが、VSSCのシア様から『丁度新型の試験機(プロトタイプ)が完成したので試験運用がてら二人の奪還の任務を引き受けたい』と仰られましたので」


「……新型というと、新型のブリスコラよね? フィクスシュテルン皇国の城での話だとまだまだ完成は先のような話だった気がするのだけど」


「レミュア様の仰る通り、完成はまだまだ先でしょうね。従来のブリスコラと新型のブリスコラ――通称、背教の熾天使(ゴモラ・セラフィム)は大きく異なるようです。旧型はトロールのクローンを利用していましたが、新型は素体は固定ではなく様々なバリエーションが用意されると聞いています。……バリエーションというよりは、一人一人がオリジナルといった方が良いのかもしれませんが。勿論、破壊された場合に補填をすることはあるでしょうけどね。元々はビオラの有するクローン技術、サイボーグ技術、人工の魔法発動に必要な器官を作る技術――そこに、魔法の国のホムンクルス技術を加えて新型を、と考えていたようですが、丁度偽天翼族(セラフェル)の遺伝子が手に入ったので方針を大きく転換したようですわ」


「……発火能力と極めて高い身体能力と生存能力を有する偽天翼族(セラフェル)の遺伝子を有する……それは確かにこれまでのブリスコラよりも厄介そうだな。つまり、新型のブリスコラとは偽天翼族(セラフェル)とブリスコラの融合……ということか?」


「プリムヴェール様、惜しいですわ。ですが、私に話すことができるのはここまで。本格導入は次のブライトネス王国を舞台とした戦争になるでしょうから、その日を楽しみにお待ちください」


 色々な意味で楽しみにはしたくないなぁ、という表情を浮かべるエイミーン以外のメンバーだった。



 エルジューク監獄の入り口はいつも以上に厳戒態勢が敷かれていた。

 その理由はエルジューク監獄の署長――イソトマ=シャロイツァーの指示が関係している。事前に「何者かがエルジューク監獄に襲撃を仕掛け、囚人のマシャルド第二皇子とヴォガスレス宰相を脱獄させようとしている」という情報を入手したとして、警備の強化を命じたのでいる。


 このイソトマもまた『這い寄る混沌の蛇』の信徒だった。

 『這い寄る混沌の蛇』の同志アーモグドから襲撃日の情報を受け取っていたイソトマはエルジューク監獄の署長として使える権力を総動員して警備を強化――更に、信頼に足るかは怪しい戦力二名と信頼に足る戦力一名を味方に加え、迎撃の体制を整えている。


 信頼に足る戦力とは混沌の指徒の一人で現在のイソトマの上司に当たる仮面に黒マント姿の怪しげな怪人――朦朧とした影(シャドウ)

 そして、信頼に足るかは怪しい戦力は沼這(ぬまばい)花蘭(からん)沼這(ぬまばい)絹江(きぬえ)――奈落迦四天王のメンバーである沼這義姉妹。


 個性豊かであまりにも牢獄に不釣り合いな増援達に流石の看守達もイソトマの人選に疑問を持った……が、イソトマは「案ずることはない」の一言で一蹴し、看守達もそれ以上の追及はできなかった。それだけイソトマの勤務態度は誠実で高い信頼を勝ち得ていたのである。


 イソトマの予告通り、一台の馬車がエルジューク監獄の前で停止し、中から六人の女性達と一人の男性が姿を見せた。

 年齢もバラバラでそのうち四人の女性は人間の耳とは明らかに違う特徴的な三角の長耳を持っている。花蘭と名乗った角の生えた妖艶な女性にも言えることだが、彼女達は人間ではないのかもしれない。

 ……などと看守達は考えつつも決して警戒を怠らなかった。それぞれ武器を構えて侵入者達を牽制する。


 しかし、馬車から降り立った者達はその牽制に対して何も感じていないようだった。


「……なかなか厄介そうな方々がいらっしゃいますわね。……奈落迦四天王の一人――鬼姫花蘭様と絹江様でよろしかったかしら?」


「アタシ達のことを知っているってのは驚きだな! どこでアタシらのことを知ったんだ?」


「頭脳労働ができるお姉様、素敵ですわ! ですが……お姉様、言葉遣いが少し荒いと思いますわ。もっとお淑やかに参りましょう」


「我々とは別のチームがグルーウォンス王国で白銀夜叉と交戦しました。我々の主人様は奈落迦媛命やその配下である奈落迦四天王についてもご存知でしたので、白銀夜叉から得られた情報で他の皆様についても何者なのか想定がついていますわ。ちなみに、残念ながら白銀夜叉には逃げられてしまっておりますので、討伐はできておりません」


「アハハハ! あの白銀夜叉が逃走!? おいおい、何やってんだよアイツ! アハハハ! 笑いが止まらない!! 次会った時には面と向かって笑ってやることにしよう!! アハハハ!!」


「……だからお姉様、言葉遣い。……でも、そうなると厄介ですね。あの戦闘狂が撤退を選ぶとなるとそれほどの強敵なのか、或いは」


 『強さ』に固執した白銀夜叉の撤退したという話を聞き、絹江が冷静に情報を分析する。

 こういった頭脳労働は荒っぽい花蘭が苦手としている分野で常に頭脳労働が苦にならない絹江が請け負っていた。


(……そもそも、あの女の証言が正しいとは言い切れない。白銀夜叉と交戦したのは間違い無いのかもしれないけど、命からがら逃げただけなのかもしれないわ。でも、もし、彼女の言葉が真実なら相手はそれほどの力を持っているということになる。霸気もかなりのレベルのようだし、油断ならないわ)


 絹江がそのような分析をしている間にエイミーン達はそれぞれ交戦の準備をしていた……が、その動きをダフネが制した。


「皆様、ここは私にお任せ頂けないでしょうか? ……相手は奈落迦四天王が二名、こちらには時空騎士(クロノス・マスター)の頂点に立たれたプリムヴェール様をはじめ、猛者が揃っておりますが、相手は上位互換の闘気や脅威的な霸気を使います。神闘気の習得が完全ではない今の状態ではかなり厳しい戦いを強いられることでしょう」


「……ダフネ殿、確かに苦戦はするだろうが世の中善戦できるものばかりではないことは貴女もご存知だろう? 格上と戦う場面はこれまでもこれからもあった。……本音は違うところにあるのではないか?」


「……実はVSSCのシア様から『ここ最近、プリンセス・エクレールに活躍の機会を作って欲しい』とお願いされてしまいまして……皆様お願いします! エルジューク監獄の一件、私に譲ってください!!」


 単純なプリムヴェールにすら疑問を持たれたしまったことでダフネはこれ以上適当な理由をでっち上げるのは不可能と判断し、正直に理由を話すことにした。


「……まあ、別に私は戦闘狂じゃないし、折角やってくれるならやってもらった方がいいと思うのだけど」


「僕もシーラさんの意見に同意です」


「そういうことなら私も無理を通して戦うつもりはない。私は戦闘狂ではないからな」


「私も遠慮しておくわ。戦闘狂じゃないし」


「ダフネさん、よろしくお願いします」


「私は戦いたいのですよぉ〜!!」


 駄々を捏ねるエイミーンを連れてマグノーリエ達は馬車の方へと退却していく。

 戦場に一人残ったダフネは『時空(ソード・オブ・)魔窮剣(アビス=ソトホート)』を鞘から抜き払って構えた。


「お越しくださいませ! プリンセス・エクレール!!」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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