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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-303 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜サンアヴァロン連邦帝国の愚かな第一皇子に囁く蛇〜 scene.3

<三人称全知視点>


 ペオーニアと彼女が自身の権限で連れてきた五体の旧型ブリスコラに阻まれ、一度は撤退を選んだ凶禍龔工。

 彼女の矜持(プライド)を大いに傷つけたこの撤退の判断は、無事に撤退をし終えた頃に合流することになった凶禍檮杌に笑われることになり、矜持(プライド)の高い彼女は更に怒りを燃やすことになった。


『手伝ってやろうか? 龔工のねぇちゃん』


 粘着度の高い不快な声音で嫌みたらしく共闘を提案してくる凶禍檮杌に苛立ちを覚えつつも、やはりこのままでは終われないと凶禍龔工は凶禍檮杌に協力を要請――凶禍檮杌の引き連れてきた妖魔達も味方に加え、一度目の襲撃の時以上の戦力で城塞都市ナガスに襲撃を仕掛けたのだが……。


Br(ビーアール)-1(ONE)からBr-3(THREE)、砲撃開始ですわ! Br-4(FOUR)とBr-5(FIVE)断崖の防壁(クリフ・バリケード)を展開しなさい!」


 三体のブリスゴラが放った金色のレーザーが妖魔達を薙ぎ払って一瞬にして焼き尽くし、二体のブリスゴラが放った土属性魔法が妖魔達の身体を貫いて無数の岩の防壁を作り上げる。


『――ッ!? おい、どうなっていやがるんだよ! 一体何なんだアイツらは!!』


『アタシが知る訳ないでしょ!! アタシはあの得体の知れない妖魔みたいな奴に一方的に可愛い部下達を殺されたのよ! アタシの九蛇大火焔ヒュドラ・インフェルノを受けてもあの妖魔みたいな奴にダメージ一つ与えられなかったわ』


『それを早く言いやがれ! なんで隠していた!!』


『アナタが一方的にアタシを莫迦にしてしっかり話を聞かなかったからじゃない!! 情報を共有しようって提案しても『負け犬の忠告なんてオレ様には必要ない! オレ様一人で勝利は容易い!』って全く話を聞かなかったわよね!!』


「あらあら、仲間割れですか? しかし、まさか旧型のブリスコラすら倒せないとは……これでは私の出る幕は無さそうですね」


『言ってくれるじゃない。……最初の戦いからこそこそ後ろから指示出しているだけで本当はアナタって弱いんじゃないの?』


「私ですか……確かに強くはありませんよ」


『ほら、やっぱり』


「私の上司は私よりも遥かに強い方々ばかり……私の所属している組織でも私はかなり弱い方ですからね。でも、流石に旧型ブリスコラを一撃で破壊できるほどの力は持ち合わせていますよ」


『おいおい、そのブリスコラだったか? それを破壊できるほどの力をそんな非力そうな嬢ちゃんが持っているっていうのかよ?』


『……凶禍檮杌、そういう女性差別的な発言をしないでくれないかしら? ……本当に嫌いだわ、アナタのそういうところ』


「凶禍龔工様、私も同意見です。少なくともそちらの脳筋な方よりは話が通じそうですわね。……とはいえ、アナタにとっては大切な子供にも等しい部下を殺されたのですから、私やブリスコラのことを相当恨んでいるのでしょうが。本当に残念です、こうして敵として相見えなければ良い友人となることができたかもしれませんのに」


『……妖魔と人間が友人? そんなものなれる訳がないじゃない。アナタってもしかしてそんなことも分からない莫迦なのかしら?』


「真の強者の世界では外見など誤差でしかありませんわ。もし、少しでも興味があるのでしたら私は貴女を歓迎しますよ。私のできる範囲で上司に打診してお力になることを約束します」


『つまり、アタシをヘッドハンティングしようってことね。……まあ、受け入れるつもりはないとはいえ、一応アタシを気に入った理由を聞かせてもらってもいいかしら?』


「一番は適切な判断を下せること、もう一つが貴女が部下の妖魔達のことを家族と呼び、愛していることです。撤退の判断は決して悪いものではありませんわ。適切な場面で判断を間違えれば泥沼に嵌って多くの戦力を失ってしまいます。……まあ、戦力を失うことも部下は使い捨ての道具だと割り切って仕舞えば関係のないことですが、我々はそういう闘い方を好みません。こちらは誰一人欠けることなく多くの戦果を得られることが理想……いえ、理想のままではいけませんわね。必ず形にしなければならないことですわ。誰か一人でも失ってしまえばその瞬間にどんな戦果も無意味なものになってしまいますから。……さて、この話は一旦終わりにしましょう。もし、気が変わりましたらいつでも仰って下さい。私達はいつでも凶禍龔工様を歓迎致します」


『おい、まさかオレと凶禍龔工を分断する気かよ!!』


「では、先ほどのご質問にお答えしましょう。私が旧型ブリスコラを一撃で破壊できるほど力を持ち合わせているのか、お二人の目で確かめてみてくださいませ」


『――ッ!? アナタ本気なのね!? オマエ達、一旦下がりな!!』


「では、参ります! Br-4、思う存分攻撃しなさい! 武装闘気硬化!! 俊身空歩!! 紙躱! 天降白指!!」


 俊身と空歩を駆使しながらBr-4の放った金色のレーザーを全て見気と紙躱を駆使して躱し切り、Br-4の頭上に達したタイミングで武装闘気を纏わせた指で突きを放ち、Br-4の身体を粉々に粉砕する。


『嘘でしょ……アタシの九蛇大火焔ヒュドラ・インフェルノを受けても傷つかなかったブリスコラを一撃で!?』


『だが、アイツは自ら敵を一体減らしてくれた! まだまだ勝機はあるぜ!!』


「時空修復魔法……さて、ご理解頂けたでしょうか? 私がただの指揮官ではないことが」


『嘘だろ……どういう理屈だ! なんでさっき粉砕された筈のブリスコラが復活しやがった!?』


 凶禍龔工だけでなく凶禍檮杌の表情も絶望に染まる。

 まるで逆再生された映像のようにブリスコラが修復されていくという絶望的な光景が目の前で繰り広げる中、ペオーニアの視線は凶禍龔工の背後に向けられ――。


「皆様、凶禍龔工は私が担当しますので残りの妖魔達の討伐をお願い致します。では、凶禍龔工様、戦いを続けましょう。もし気が変わりましたら遠慮なく仰ってください」


「ペオーニアさん、少々勝手が過ぎるじゃないかしら?」


「圓様はこれくらいのことはお許しになるお心の広いお方ですわ。それに、この場を任されたのは私ですから、ある程度の裁量は与えられていると考えているのだけど、違うのかしら?」


「それもそうね。でも、上への交渉はちゃんと貴女がやるのよ」


「それは勿論――ダフネ先輩にご迷惑はお掛けしませんわ」


 いつの間にか凶禍龔工達の背後に現れた増援――エイミーン、マグノーリエ、プリムヴェール、レミュア、シーラ、ラファエロ、ダフネに退路を塞がれ、凶禍龔工の表情は絶望に染まる。


『――ッ! おい、凶禍龔工!! もういい、こうなら総玉砕の覚悟をしやがれ! 人数は多いがとっとと退路を切り開いて撤退するぞ!! こんなところでオレが死ぬ訳にはいかねぇからな!!』


『――まっ、待って!!』


『負け犬はそこでメソメソと泣いてやがれ!!』


 凶禍龔工の部下の妖魔達を開眼した第三の目で睨め付けて催眠術を掛け、強引に味方に引き入れた凶禍檮杌は三本の蛇のような紫の尻尾に猛毒を纏わせると妖魔達を盾にエイミーン達を突破しようとする。


水斬弾ハイドロスラッシュ・バズーカ氷爆結フリージング・イクスプロージョン竜巻撃(ワールウィンド)吸蔓樹(ドレインプランツ)流石群(ストーン・ミーティア)光爆裂(ビッグバーン)常闇弾ダークネス・ドリルブリット影突槍ランス・オブ・シェイド――八重魔法(オクタ・キャスト)全開放なのですよぉ〜!!」


晩鐘の断光壁ミーティア・ライトニング・ウォール! 降り注ぎなさい! 暁の流星群ミーティア・ライトニング!!」


「ルナティック・バーストストリーム!」


「汝、六属性の一角を担う火の精霊王よ! 今こそ契約に従い、我が下に馳せ参じ給え! 精霊召喚・イフェスティオ!」


「『紅煉の断罪カーディナル・フレア・ジャッジメント!!』」


漆黒の槍ダークネス・スピア・ストライク! 地獄の火柱ダークネス・エラップション!!」


闇夜の翼ダークナイト・ウィング! 断光の暗黒剣ロード・オブ・ダークネス!!」


大振動拳バイブレート・インパクトブロウですわ!」


 エイミーンが開放した八つの魔法、マグノーリエの展開した触れたもの全てを消滅させる光の壁とあらゆるものを貫く光条、プリムヴェールの放った月属性の螺旋状の奔流、イフェスティオを召喚したレミュアとイフェスティオが放つに猛烈な熱量を持つ荒れ狂う劫火、シーラの放った闇の魔力の槍と火柱のように噴き上がる闇の奔流、闇の魔力を収束させて翼を作り出して飛翔したラファエロの暗黒剣による一撃、そして音属性の魔力を拳に纏わせて放つダフネの振動の連撃が次々と妖魔達を滅ぼしていく。


『アタシの……家族が……』


『オレは最強の凶禍妖魔!! 無様にこんなところで死んでたまるか!! 大真紅三蛇尾噛撃デッドリーポイズン・ヒュドラテール!!』


 第三の眼が真紅に染まり、身体が巨大化――虎のような身体が真紅の鱗に覆われ、三本の蛇のような紫の尻尾が真紅に染まって赤い毒液を迸らせる。

 三本の真紅の大蛇はまるで別の生き物と化したようにあり得ない軌道でエイミーン達に迫る……が。


「これで終わりだ! ムーンライト・ラピッド・ファン・デ・ヴー!」


 月属性の魔力によって巨大化したプリムヴェールの細剣と刀身が真紅の鱗諸共腹部を貫き、凶禍檮杌を絶命に至らしめる。


『そんな……アタシ……アタシは……どうすれば』


「凶禍龔工様、これが最後の問いですわ。我々の仲間になるかここで私と戦い死を迎えるか、好きな方をお選びください」


 凶禍檮杌も死亡し、凶禍龔工の部下の妖魔達も生き絶えた。この場から逃げられる方法はない。

 しかし、大切な家族を奪ったペオーニアの仲間になるという選択をすることが凶禍龔工にはできなかった。


『アッ……アタシは……』


『龔工……サマ、ドウカ、ドウカ、生キテ……』


 凶禍龔工が自らの死を覚悟してペオーニアに立ち向かおうとした時、命を落とした筈の黒鱗翼蛇――凶禍龔工の家族の声が彼女の耳朶を打った。

 既に虫の息……身体もボロボロでもう間も無く命を落としてしまいそうな黒鱗翼蛇の瞳に僅かに光が戻り……しかし、すぐに消えてしまう。


『……アタシの……負けです。どうか、お慈悲を……』


 本当は命を散らすべきだった。しかし、凶禍龔工は無様に生にしがみつき、生き恥を晒す選択をしてしまった。

 黒鱗翼蛇の最期の言葉――それを無に帰すことは凶禍龔工にはできなかった。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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