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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-299 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜妖魔襲来と混沌潜伏の海洋都市レインフォール〜 scene.2

<三人称全知視点>


 妖魔の討伐にこそ加わらなかったが、海洋都市レインフォールの中枢は妖魔の軍勢が侵攻を開始した情報を得ると調査員を派遣して妖魔の動向を探っていた。

 その諜報員は妖魔の軍勢がミロルカスケード港に侵攻した際も当然ながら現地に赴いて情報を収集しており、ミーフィリア達によって妖魔が討伐されたことも当然ながら察知している。


 妖魔の討伐の完了を確認した後、諜報員は海洋都市レインフォールの中枢都市に戻ってレインフォール公爵に報告し、急遽妖魔の軍勢を討伐した英雄達を表向き讃えつつ、海洋都市レインフォールに侵入した者達を見極めるためにレインフォール公爵を中心とする海洋都市レインフォールの中枢の人間達が中枢都市を離れ、ミーフィリア達に会いに行くことが決まった。


 レインフォール公爵一行が海洋都市レインフォール周辺で討伐漏れの妖魔達の討伐をしていたミーフィリア達と邂逅することになったのはその翌日――海洋都市レインフォールに侵攻した妖魔が全て討伐された頃のことである。


「おお!! 我がミロル市を守ってくれたのは貴女達か! 素晴らしい!!」


「……貴方がレインフォール公爵ビヴロスト卿か?」


 安全が確保されたことで悠々とレインフォール公爵一行に混ざって戻ってきたケロル市長を完全に無視してミーフィリアは一行の中心人物――レインフォール公爵に声を掛けた。

 ちなみに、雪菜と黒華は一国の君主であるためミーフィリアよりも当然ながら地位は高く、こういう場においては率先して発言するべきところではあるが、経験がまだまだ足らないため、今回の交渉ごとは全てミーフィリアが引き受けることになっている。


「いかにも、私がビヴロストだ。まずはレインフォール公爵領に現れた厄災を討ち滅ぼしてくれたことを感謝する」


「あれは私達にとっても敵だ。感謝されるようなことでもない」


「そういう訳には流石にいかないな。自領の民達が大勢この戦いの中で死んだ。そして、貴女達がいなければもっと戦禍は拡大していただろう。我が領を救ってくださった英雄は讃えなければならない。まずは名前を聞かせてくれないだろうか?」


「そうだな、一方的に名前を知られているというのも公平ではない。私はミーフィリア=ナノーグ、現在はブライトネス王国で宮廷魔法師団相談役をしている。そして、彼女達は天蜘蛛菊夜さん、蓮華森沙羅さん、美島弓月さん、漆原千聖さん、真白雪菜さん、刻曜黒華さん、咲良坂桃花さん、炎谷篝火さん、絹紐美結さん、菱川小筆さん――所属している国は違うが、我々は多種族同盟という海を越えた大陸にある国際互助組織からやってきた」


「……多種族同盟、海を越えた先からですか。……そのような遠い異国の地から何故海洋都市レインフォールにやってきたのかお話頂くことはできないでしょうか? 皆様は我々にとっては英雄であることは揺るぎませんが……しかし、異国からやってきたとなればその目的を問わなければなりません」


「当然だな。内政干渉の可能性もある……国としては目的不明の異国の者達を受け入れる訳にはいかないだろう。私達の目的は大きく分けて二つ。一つはあの妖魔達の討伐だ」


「ほう、ではあの妖魔達の出現を貴女達は最初からご存知だったと?」


 ビヴロストの目が鋭く見開かれる。あの妖魔達の出現を読んでいたとなれば、あの襲撃に関わっているのでは……つまりマッチポンプの線を疑ったのである。


「実のところ、妖魔の情報は数日前――フィクスシュテルン皇国の皇城に摩理冴を名乗る妖魔達の王――『白面金毛九尾の狐』の幻影が出現した事件が起きて掴むことができたものではあった。とはいえ、この地はあの物語と縁がないという訳ではない地……妖魔が出現する可能性もゼロでは無かった。恐らく、この地に派遣された臨時班では妖魔の討伐も想定した人選がなされていたのだろう」


 『あの物語』という言葉が気にはなったが、それ以上の情報は引き出させてはもらえないだろうとビヴロストはこれ以上の詮索を諦めて話の続きを聞くことにした。


「もう一つは『這い寄る混沌の蛇』という邪教徒のような者達の殲滅だ」


「『這い寄る混沌の蛇』? はて、そのような者達のことを私は聞いたことがありませんが」


「君達が隔離島に隔離した海賊――ティ=ア=マット一族とも縁深い者達だ。彼らは別名、『海の混沌の一族』とも呼ばれていたそうだ……もっとも彼ら全てが『這い寄る混沌の蛇』の信徒という訳でもないだろうが。彼らの目的は秩序の破壊だ。不満を持つ弱者を唆し、人々が築き上げた秩序を人々の手で粉々に粉砕させ、世界を混沌に――無秩序にしようとしている。いや、彼ら敵には本来あるべき無秩序に、混沌に戻そうとしているというところなのかもしれないな。……殲滅といったが、流石に罪のない者達の命まで奪うつもりはない。寧ろ破壊すべきは『這い寄る混沌の蛇』が望む土壌の方であると私は考えている。……特に、ティ=ア=マット一族が隔離島から逃げ出してしまった現状ではな」


 まさかそこまでの情報を掴んでいるのかとビヴロストの表情が驚きに染まる。


「ああ、彼らが逃げた件には私達は関わっていない。冤罪で濡れ衣は着せられたくないので先に断っておくとしよう。どうやら、ティ=ア=マット一族の隔離島からの脱出の手引きをしたのはティ=ア=マット一族の族長タイダーラ・ティ=ア=マットのようだ。彼は既にこの大陸を出発し、ペドレリーア大陸に向かったようだ。あちらで何かしらの事件を起こすつもりなのだろう。あちらの玄関口――海洋国マルタラッタは海洋都市レインフォールと同じく彼らを差別迫害しているようだから、その復讐という意味も勿論あるのだろう。……さて、ここで私には疑問がある」


「疑問……ですか?」


「いくら族長が手引きしたとはいえ本当にティ=ア=マット一族は子供達だけを残して消えることが可能だったのか? あの島は確か造船ギルドの管轄だった筈だ。民衆にとっては恐ろしい海賊達を隔離島に幽閉し、造船に従事させる。民衆達を安心させることにも繋がり、便利な便利な労働力も得られる。……つまり、海洋都市レインフォールにとっても造船ギルドにとってもWin-Winになる話だったのだろう? まあ、結果としてティ=ア=マット一族は飼い殺しにされて不満を募らせていたようだが。君達は存外悪い政策であるとは思っていないのだろう? 不満は溜まるが食事と寝床は与えられる……その状況下で反乱を企てる者は少ない。不満はあっても最低限の生活は保障されているのだかな。それに仮に自由になっても、今度は民衆達から直接迫害を受けることになる。……檻の中に居たいと思っても仕方がないことなのかもしれんな」


「……一体何を仰りたいのか分かりませんな」


「そうだな。順番に片付けていくとしよう。まず、私は造船ギルドがティ=ア=マット一族の隔離島からの脱出に関わっていると考えている」


「――ッ!? ハハハ! いや、それはないでしょう! 彼らは従業員を失った被害者ですよ」


「この事件によって海洋都市レインフォールは労働力を失う……いや、余計な賃金がかかるようになるというべきだろうか? まあ、本来はしっかりと支払われるべき正規の値段に戻るだけだが、決して民衆は納得しないだろう。民達の間に生まれた怒りは、ティ=ア=マット一族の者達に向けられる。恐らく、島に残された子供達に……な。しかし、それと同時にティ=ア=マット一族の手綱を握り切れなかった海洋都市レインフォールや造船ギルドにも怒りを向けられることになるだろう。それこそが、蛇の狙いだ。民衆の怒りを海洋都市レインフォールに向けさせ、造船ギルド共々海洋都市レインフォールを滅ぼさせる。造船ギルド長アシュガン=スレイニル、私の考えに何か間違いはあるだろうか?」


 ミーフィリアが一団の中にいたアシュガンに視線を向ける。

 視線を向けられたアシュガンは張り付いた微笑を崩すことなく口を開いた。


「ほう、つまり私がティ=ア=マット一族の隔離島脱出に加担していたと? そこまで言うなら証拠があるのですよね?」


「その通りだ。ミーフィリア殿の話はあくまで憶測、どこで得たかも分からない情報の寄せ集め――そこまで言うなら証拠を我々に示してください」


 アシュガンとビヴロストに証拠の提示を求められたミーフィリアは「やれやれ……」と溜息を吐いた。


「……正直、あまり見せたいものではないが、そこまで言うのであれば提示せざるを得ないな。一応、処置は施しているようだがあまり見たいものではない……一応、覚悟はしておいて欲しい」


「――ッ!? ミーフィリア殿は一体何を見せようというのですか!?」


「レミィシア殿、残念ながらあれを見せざるを得なくなった。例の柩を……」


「承知致しましたわ」


 ミーフィリア達の少し背後に控えていた諜報員――レミィシアが一瞬にして姿を消し、次の瞬間、別の女性諜報員と共に現れた。

 二人は先ほどまで無かった柩を二人掛かりで持ち、アシュガンとビヴロストの目の前まで運んでいく。


「……一体、この中に誰がいるというのですか!?」


「……時空保護魔法解除。では、柩の蓋を開けさせて頂きます」


 レミィシアが柩の蓋に手を掛けて柩を開ける。

 真っ白なドライアイスの煙が柩から吹き出し――真っ白な煙が消えると柩の中が見えるようになった。


 その中に居たのは――。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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