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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-297 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜加速するラスパーツィ大陸の臨時班〜 scene.3

<三人称全知視点>


 弓月と千聖を新たに仲間に加えた海洋都市レインフォールを目指す妖魔討伐班はその後も各地で妖魔を討伐しながら海洋都市レインフォールを目指して馬車を走らせていた。

 戦闘経験が皆無な弓月と千聖も道中で沙羅と菊夜から闘気と八技の使い方を学び、戦闘に参加することもできるようになっている。……とはいえ、まだまだ一般人の領域を逸脱できていない二人には低級の妖魔の討伐が限界で中級クラスの妖魔の討伐となると二人掛かりでも討伐が厳しくなってくる。


 ちなみに妖魔は基本的に低級、中級、上級の三種に分けられる。低級の代表的な種は黒い身体に赤い瞳を持つ鼬である紅瞳鼬、中級の代表的な種は三つに分かれた槍のような尾を持つ三尾槍蠍、上級の代表的な種は黒い鱗に覆われた翼持つ大蛇――黒鱗翼蛇がいる。

 妖魔が群れを成している場合は低級が最も個体数が多く、群れによっても誤差はあるが基本的に中級は群れの三割、上級の数は群れの一割程度含まれる。とはいえ、例え上級の妖魔と雖も同じ個体が複数存在しており、メタ的な視点で言えば『妖魔斬刀〜絆縁奇譚巻ノ二〜』の雑魚敵の域を出ない。


 白面金毛九尾の狐の振り撒いた妖魔力から自然発生した妖魔とは異なり、白面金毛九尾の狐自身が自らの力を分け与えた創り出した妖魔――凶禍妖魔は上級妖魔と比較しても別格の力を有し、一体一体が妖魔の軍勢を従えている。

 凶禍妖魔が従える軍勢は凶禍妖魔の加護によるブーストが掛かっているため、通常の妖魔の軍勢に比べても数段上の力を発揮することが可能だ。『妖魔斬刀〜絆縁奇譚巻ノ二〜』のプレイヤーの中には初見でこれまでの妖魔の大襲来(スタンピード)と同じだと軽く考え、全滅した者も多かったという。


 凶禍妖魔は別名、六凶禍とも呼ばれる。その名の通り、全部で六体の凶禍妖魔が作中に登場して暴れ回った。

 藍色の牛のような見た目で、人のような顔と虎の牙、鰐のような脚を持つ凶禍饕餮、八枚の蝙蝠のような翼を持つ紫色と緑色の独特な縞模様を持つ虎のような妖魔である凶禍窮奇、額に第三の眼を持つ人のような顔と虎のような身体を持ち、三本の蛇のような紫の尻尾を持つ凶禍檮杌、朱色の髪を持つ人のような顔に八岐大蛇の胴体を合わせたような凶禍龔工、岩のような身体と鋼の如き爪を持つ犀のような見た目の凶禍犀烈、そして百の目を持つ漆黒の竜である凶禍瞳龍――その中の一体である凶禍犀烈とミーフィリア達が激突することになったのは海洋都市レインフォールに程近いシャワハルト辺境伯領だった。


『オウオウオウ! たった十一人でオレ様のことを相手しようっていうのか!? アヒャヒャヒャ、こいつは面白ぇ! あの夏江朔那ですら多勢で攻めてようやく討ち取ることができたってのに、随分と少ねぇじゃねぇか。それで街を守りながらこのオレ様を倒せるとでも?』


「ああ、そのつもりだ。……もっとも、十一人かどうかは微妙だがな」


 ミーフィリアの固有魔法の一つ――「蒼氷の女王の尖兵」。

 その力で大気中の水分から水分を補填することで再生も可能な不死身の氷の尖兵を生み出し、その全てに武装闘気を纏わせるとミーフィリアは凶禍犀烈以外の妖魔達に嗾しかけた。


『なるほど、防衛に戦力を割く必要はないってことか。……しかし、見たことない力だなァ。オレ達の妖魔術に近いものなのか?』


「さあ、どうだろうな? ――仕掛けるぞ! 凝固する時間の長針(クロノス・ランス)


『――ッ! このオレ様が簡単に攻撃させると思ったか!? 乱れ岩石砲デストロイ・ロック・キャノン!』


 凶禍犀烈は腕を上げると無数の岩石の塊を作り出してミーフィリア達に向けて放った。

 一つ一つの岩石は纏った妖魔力によって加速されており、常人の反射神経では躱すのは困難を極めるほどの速度に到達している。更に射出される岩も巨大なため、直撃する可能性のある範囲も広く、二つの意味で躱すのは困難だ。

 では、岩を破壊してしまうのはどうか? というと、岩はかなり分厚く更に纏った妖魔力によって硬化されているため破壊も難しい。


 ……しかし、それはあくまでも『妖魔斬刀〜絆縁奇譚巻ノ二〜』の世界の物理法則での話だ。


「……遅いな。流石にこの程度の攻撃ではいくら私が肉弾戦が苦手だとして今の私は落とせないぞ?」


「ブレイズ・アロー!!」


暗黒弾禍(ダークネス・バラージ)


桃花の光条フラッシュピーチ・シャワー!」


「暗殺脚技壱式 瞬降斧脚!!」


究極の一射(ティロ・フィナーレ)!」


幻想戯画ファンタジック・カリカチュア吸血姫神(リーリエ)! 神速の斬撃(ま・ど・か)!!」


「黒槍・群蜘蛛!」


「日輪赫奕流・劫火赫刃爆!」


 時間属性の魔力を束ねることで時の魔力に守られた存在にもダメージを与えることが可能な槍を作り出して武装闘気を纏わせたミーフィリアの突き、雪菜の放った武装闘気を纏わせた炎の矢、黒華の放った闇属性の無数の弾丸、桃花の放った桃色の光条、篝火の上空から身体を鋼鉄を凌駕する硬度に変える鋼身をも取り入れた振り下ろしの足技、美結の「絹紐の大砲(マジカル・カノン)」から放たれる最強の一撃、小筆が描きあげたリーリエが放つ圓式の斬撃、糸を束ねて槍を作り上げ、武装闘気を纏わせた菊夜の放つ渾身の突き、そして沙羅が放った霊力を変化させた炎を纏った剣で斬撃を放ち、斬撃が命中して地点を爆破する日輪赫奕流の型が十一人の標的に向けて凶禍犀烈の放った岩石砲を粉砕する。


『ま、まさか、オレ様の岩石砲を!? ならば、これで順番にトドメを刺してやる!! 乱れ角切削フューリー・ホーン・ドリル!!』


 自慢の一撃を全員に粉砕されてしまったことに驚きながらも凶禍犀烈は妖魔力を角に集中させて黒光りする回転角を生成――角を宛らドリルのように回転させると地面に向かって勢いよく突っ込んでいく。


「円華さんから話は聞いていたけど、これが凶禍犀烈の必殺技――乱れ角切削フューリー・ホーン・ドリルね。地面を掘削して様々な角度から不意打ちで即死攻撃を放ってくるのはかなり厄介だわ……でも」


 双眸を閉じて見気に意識を集中させた黒華は自分の足元から飛び出してきた凶禍犀烈の一撃を空歩を駆使して回避し、上空で銃を構えた。


『――ッ! 何故オレ様の必殺技が躱されて……』


「これでチェックメイトよ! 時停の連射(クロック・ドロゥ)


 黒華の武装闘気と覇王の霸気を込めた無数の弾丸が時間停止で凶禍犀烈の目の前に留め置かれる。そして、時間停止を解除されると共に一斉に凶禍犀烈に向かって殺到した。

 凶禍犀烈は咄嗟に妖魔力を練り上げて防御を強化しようとするが、その前に弾丸は凶禍犀烈の顔面を貫いた。

 ……まあ、仮に妖魔力を練り上げて防御を強化していたとしても黒華の一撃を受け止めることはできなかったので、どちらにしろ凶禍犀烈はここで敗北する運命にあったのだが。


『グォォッ! 九尾様ッ! お許しを――!!』


 残った凶禍犀烈の身体も無数の妖魔力へと変化し、空中に四散していく。

 凶禍犀烈を撃破された妖魔達は司令塔を失って大いに混乱した。敵討ちをしようとミーフィリア達に襲い掛かる者達、逆にこの場から蜘蛛の子を散らしたように逃走しようとする者、反応は様々である。


「……君達に逃げられると新たに被害が出る可能性がある。ここで眠れ。夜魔の女王の息吹」


 しかし、様々な方針を選んだ妖魔達も末路は皆一様だった。

 ミーフィリアの魔法によって戦場に出現した無数の竜巻が戦場の妖魔達全てを巻き込んで切り刻み、凶禍犀烈に率いられた妖魔達は一瞬にしてシャワハルト辺境伯領から姿を消すこととなった。



 シャワハルト辺境伯領ではまたしても勝利の宴に誘われたミーフィリア達だったが、今回の宴も勿論断り、更に馬車を進めた一行は遂に海洋都市レインフォールへと辿り着いた。


 海洋都市レインフォールは、国としては小規模でペドレリーア大陸の海洋国マルタラッタと同程度で文化も近い地域だ。違いがあるとすれば大陸が違うことを除けば治めているのが小国の王か公爵かという点くらいであり、造船業や水産業が盛んな地域であることとから、海賊――ティ=ア=マット一族を差別しているところまでそっくりである。


 別名レインフォール独立公爵領と呼ばれるこの地はかつてフィクスシュテルン皇国の一部だった。しかし、レインフォール公爵は自領のみが有する豊富な海洋資源によって富を築き、力をつけていき――遂には皇国と直接取引ができるほどの力を手にして独立した。

 現在はレインフォール公爵と元老と呼ばれる力を持つ功臣達、民間出身の政治家(議員)達、有力な造船や漁師達などが結成した組合(ギルド)が合同で国の運営方針を決定している。


 海洋都市レインフォールは商人の国――そのため、ラスパーツィ大陸の各国と上手く通商を行い確固たる地位を築いてきた。

 餅は餅屋ということで高い造船技術と漁業技術が失われる危険を冒してまで海洋都市レインフォールに侵攻しようとする国はほとんどない。


 厄介なティ=ア=マット一族――海賊達も随分昔に隔離島に追いやり、造船業に従事させている。食糧が与えられるが自由がなく、重労働を課された状態という彼らにとっては不満しかない状況ではあるが、自由だが民草からの直接的な暴力と差別に晒される状態に比べてはまだマシな状況なため、進んで反乱を起こそうというティ=ア=マット一族の者達は海洋都市レインフォールの中にはいない。


 残る隔離島に収容されていないティ=ア=マット一族の者達も同胞を解放しようと行動することもなく、ペドレリーア大陸からもラスパーツィ大陸からも離れた小島を拠点として小規模な海賊行為をしている。表立って海洋都市レインフォールと敵対しようとはしないため、無駄な争いを避けるべきとティ=ア=マット一族との戦いは回避され続けてきた。


 つまり、これまで海洋都市レインフォールは長期間にわたって他国と戦争に参戦することがなかったのである。平和ボケした海洋都市レインフォールでは騎士団も廃止され、海洋都市レインフォールは全く軍事力を持たない国となっていた。


 そんな平和な国に異変が起きたのはつい先日のことである。

 隔離島に収容されていたティ=ア=マット一族が子供達を残して姿を消した事件が起き、混乱した海洋都市レインフォールに追い討ちを掛けるように突如として妖魔達が攻めてきたのだ。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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