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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-286 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜ダイアモンド帝国への一時帰国〜 scene.1

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 マティタスとの謁見は数分足らずで終わった。

 事前にルードヴァッハが話を通していたということもあるだろうけど、あのミレーユのことが大好き過ぎる皇帝がミレーユの我儘を聞かない筈もない。


 況してや、今回はダイアモンド帝国にとっても大きな利のある話だ。

 大陸の国々にとって大きな利益を創出する金の卵のような選挙公約を打ち出して見せた自慢の愛娘を溺愛し、口から甘ったるい褒め言葉を垂れ流しにするマティタスと、「ほとんど……というか、全部圓様の発案ですけど、褒められて悪い気はしませんわ」と有頂天になるミレーユをその場に残し、ボクはディオンとの修行で利用させてもらっている訓練場へと向かった。


「ルードヴァッハ殿からは遅れると聞いていたんだけどね」


「そのルードヴァッハさんが事前にマティアス皇帝陛下にボク達の目的を伝えておいてくれたことと、後は皇帝陛下がミレーユ姫殿下にメロメロだったことが追い風になって交渉はすんなり終わったよ。まあ、ダイアモンド帝国にも利がある話だし、乗らない可能性の方が低い話ではあったんだけどねぇ。そもそも、ダイアモンド帝国を初手に選んだのも交渉が一番すんなり行くと思ったからだったからねぇ。想定の範囲内ではあるよ。ルードヴァッハさんへの伝言は保険だったってことだねぇ」


「もしかして君は好物を最後に残すタイプなのかな?」


「うーん、どうだろう? その時の気分によるからねぇ。でも、難易度の高い交渉ごとはメインディッシュに取っておきたいなぁ、と思ってねぇ。ほら、お楽しみは最後まで取っておいた方がワクワクできるでしょう?」


「君みたいな人は多分少数なんじゃないかな? 普通はそういう胃をキリキリさせるような厄介ごとは最初に片付けてしまいたいと思うものだと思うけどなぁ」


「ディオンさんにもそういう経験があるのかな?」


「ん? いや、ないね」


 軽い言葉の応酬もそこそこに互いに模擬戦用の剣を構える。


「好きなタイミングで掛かってくるといいよ」


「うん、じゃあ遠慮なく――」


 丁度、訓練場に忘れ物を取りにやってきた元ディオンの部下で百人隊副隊長をしていた、現皇女専属近衛部隊隊長バノスが「うわぁ」という表情を浮かべる中、神速闘気を纏ったディオンは俊身を使って一気にボクに肉薄すると、素早い斬撃を放ってくる。

 素早さと途轍も無い重さを両立した帝国最強の剣を見気と紙躱を駆使して躱すと、武装闘気と覇王の霸気を剣に乗せ、斬撃を放つ。


 ディオンも同様に覇王の霸気を武装闘気を纏わせた剣の上から纏わせ、今度は刺突を放ってくる。

 斬撃から刺突に切り替え、ディオンの剣の切っ先に真っ向から剣先をぶつけた瞬間――無数の黒稲妻が迸った。


「纏う霸気も使えるようになってきていますねぇ。この短時間で正直ここまで使いこなせるようにはなりませんよ」


「しかし、これでもまだまだラインヴェルド陛下達には及ばないんだろうねぇ? 当然、君にも」


「まあ、ラインヴェルド陛下達は例外ですからねぇ。あんなのがゴロゴロいたら困りますよ。フォルトナ王国の騎士の層が厚いと言われるのは、まあ、そういう例外がゴロゴロいるからなんですけどねぇ。オニキスさんに、ファントさんに……まあ、本当に挙げていけばキリがないですけど。正直、成長速度ばディオンさんの方が上ですが、あの頃は霸気に関して今よりも分かっていませんでしたから、今の状態で闘気の扱い方について何も知らないラインヴェルド陛下達に教授したらどの程度の時間で今のディオンさんの練度まで上がるのかは分かりません。単純に比較できる問題ではありませんからねぇ。でも、まあ、十分早い方だと思いますよ」


 流石に圓式基礎剣術を使うと勝敗が決してしまうので、圓式は使用せず。

 まあ、でも闘気も八技も練度はまだまだとはいえ随分使いこなせるようになってきたし、少しだけ本気を出してもいいかな?


「霸気の新たな可能性、見せてあげるよ。見気封殺――怪力の神闘気、鉄壁の神闘気、武装の神闘気、刹那の神闘気!」


 これでディオンの未来視が完全に機能を停止し、ボクの動きを予測することが不可能になった筈だ。


 神攻闘気、神堅闘気、神速闘気、神光闘気、武装闘気――この五大闘気と覇王の霸気を融合することで開かれる新たな扉、それが怪力の神闘気、鉄壁の神闘気、刹那の神闘気、陽光の神闘気、武装の神闘気だ。

 それとは別に気配を完全にコントロールすることで見気で行える全ての行為を無効化することができる見気封殺という技術を会得することができる。……まあ、実質裏の見気の上位互換みたいなものだねぇ。強いて裏の見気の利点があるとすれば、消費される闘気の量が裏の見気の方が少ないからコスパがいいってところくらいかな?


 この新たな力――怪力の神闘気、鉄壁の神闘気、刹那の神闘気、陽光の神闘気、武装の神闘気、見気封殺は既に『王の資質』の会得者に情報を共有し終えている。

 そろそろ、時空騎士(クロノス・マスター)達の戦闘でも使われるようになるんじゃないかな?


「さて、受け止められるかな?」


 俊身と組み合わせた神速の踏み込みでディオンの乱射速度を上回り、肉薄――ディオンの剣目掛けて覇王の霸気を解除して武装の神闘気を乗せた斬撃を放ち、武装闘気と覇王の霸気を纏ったディオンの模擬戦用の剣を粉砕した。


「……なんか見ない間に随分と違う次元の戦いになっていませんか?」


「ん? いやいや、バノスさん。ボク、全然本気出していないからねぇ? 時空騎士(クロノス・マスター)との戦いじゃこうはいかないって。まあ、それでも随分強くはなってきていると思うよ」


「今の僕じゃ、まだまだ圓さんには勝てない。その圓さん相手に渡り合う多種族同盟のエリート達に僕が勝てる訳がない……まあ、いずれは勝てるようになりたいけどねぇ」


「もし、ダイアモンド帝国が多種族同盟に加盟することになれば、ディオンさんは間違いなく時空騎士(クロノス・マスター)になれると思うから、そうなったら公式戦で戦える日を心待ちにさせてもらうとするよ。――公式戦ではボクも本気を出さざるを得ないからねぇ」


「……俺には一生ご縁が無さそうな話ですね」


「ん? そうかな? バノスさんも時空騎士(クロノス・マスター)の有力候補なんだけどなぁ」


「もしかして、俺に死ねと仰っているのですか?」


「……まあ、そんな大袈裟な話じゃないよ。ディオンさんも長年背中を預けてきたバノスさんに真っ先に闘気と八技の使い方を教えているようだし、『王の資質』は流石に持っていないものの素質は十分にあるから選ばれるのは確実だとボクは思っているけどねぇ。まあ、仮にダイアモンド帝国側の選考で落ちてもボクの持っている枠で拾ってあげるから安心しなよ」


「……全然、安心できないんですけど」


「こっちも優秀な人材を放置して置けるほど余力がある訳じゃないからねぇ。色々と制約があって動かせない時空騎士(クロノス・マスター)も多いし。……それに、ボクは基本味方の被害はゼロに抑えたいから、普通の騎士の仕事よりも実はローリスク・ハイリターンなんだよ。って今宣伝しても仕方ないか」


 まあ、あのミレーユだしバノスを時空騎士(クロノス・マスター)に選ばないということはあり得ないと思うけど。ディオンとバノスはまあ内定確実だよねぇ。


「それじゃあ、ボクはそろそろ行くよ。まだ後プレゲトーン王国とライズムーン王国に行って交渉してこないといけないからねぇ」


「……いくら転移魔法があるとはいえ、これからプレゲトーン王国とライズムーン王国ってちょっといくらなんでも無茶じゃありません?」


「ん? これくらい普通だけどなぁ。まあ、ある程度使いこなせるようになっているようですし、後は自主練で十分だと思います。明日以降はダイアモンド帝国には寄りませんので、何かありましたら元帝都貧民街の十番地の五までご一報ください。ダイアモンド帝国に派遣されている諜報員達の隠れ家の一つがそこにありますので」


「まあ、特にないと思うけど何かあれば連絡させてもらうよ。……そういえば、ルードヴァッハ殿が圓さん達が用意してくれた『這い寄る混沌の蛇』の過去の活動に関する記録を届けてくれたことを喜んでいたよ。勿論、ダイアモンド帝国側としてルードヴァッハ殿も動くことになるだろうし、恐らく護衛として僕も同行することになると思うけど、実地調査で裏を取らないといけないとはいえ、目星をつけられる情報があるのは有難いって」


 昨日もルードヴァッハとの話は選挙に関わることに集中していて、あんまり時間が無かったから雑談の機会は無かった。

 膨大な資料だから、流石にルードヴァッハといえどかなりの時間が必要だと思うけど、きっとルードヴァッハなら有効利用してもらえると思うし頑張ってもらいたいな。


「資料作りに携わってくれた方々にルードヴァッハさんが喜んでくれていたって報告させてもらうよ。ルードヴァッハさんにお礼は受け取ったって申し訳ないけど伝えてもらっていいかな?」


「その程度お安い御用だよ」


 その後、一応「明日の早朝にミレーユ姫殿下を迎えにくる」という旨をディオンとバノスに伝えてから、ボクは三千世界の烏を殺して転移直後の図書館に戻った。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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