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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-283 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜暗雲立罩める生徒会選挙と四大大公家〜(3) scene.6

<三人称全知視点>


「まず、生徒会が自由に使用できるリソースのほとんどを学校施設の改修以外に極振りする」


「……あら? でも、そうすると学校施設の改修ができなくなるんじゃないかしら?」


「ボクが今日の早朝に話していたことを覚えていない? 何故、ボクが昨日、ビオラ商会合同会社の大幹部三人と打ち合わせを行ってきたのか疑問に思わなかった? 今回の選挙の必勝法はボク――というか、ビオラ商会合同会社を上手く利用することなんだ」


「……圓様とビオラ商会合同会社を利用、ですの?」


「まあ、こういうのは利用される側が言うことじゃないんだけどねぇ。ラングドン教授はボクとミレーユ姫殿下の二人でリズフィーナ様を撃破することを求めてきた。つまり、ボクが手を貸すのも別に禁止されている訳じゃないんだ。ビオラ商会合同会社はボクが言うのもなんだけどかなり高い技術力を有していてねぇ、その技術を使えばリズフィーナ様の構想を上回る素敵な学院施設を作ることも造作もない」


「確かに、ビオラの技術は凄まじいものですわよね」


 圓の有する異世界の超技術――それを継承するビオラ商会合同会社の技術であれば、リズフィーナの計画する学院施設改修案を上回ることもできるだろう。


「しかし、それじゃあ弱い。ビオラが仕事を請け負い良い学院ができたとしても、それはオルレアン教国の利益になるだけだ。例え、リズフィーナ様の改修案を上回るものを作れたとしてもリズフィーナ様の支援者をこちら側に引き寄せて鉄壁の牙城を粉砕することはできない」


「……まあ、そうですわよね?」


「そこで、次に必須となるのがリオンナハト殿下とアモン殿下の協力だ。ちなみに今回の選挙、リオンナハト殿下は中立宣言をする。よって、リオンナハト殿下にライズムーン王国の貴族子女達の票を集めてもらうことは不可能だ」


「なっ、なんですって!? 帝国とライズムーン王国が共闘してようやく勝てると思っていたのに、それが不可能なんですの!?」


「確かにライズムーン王国の票は必須だけど、仮にダイアモンド帝国とライズムーン王国が共闘して票をミレーユ姫殿下に集めたとして、それは完全勝利とは言えないでしょう? リズフィーナ様の支援者達の票も奪い取って圧倒的勝利を求めることを我々は強いられているんだよ」


「そ、そんなの絶対に――」


「できるさ! リオンナハト殿下とアモン殿下にはとあるビジネスを提案しようと思っている。直接的な選挙への協力ではなくライズムーン王国とプレゲトーン王国にとって利益になるビジネスだ。……具体的に説明すると、ダイアモンド帝国、ライズムーン王国、プレゲトーン王国、後はフィートランド王国……と言いつつフォルトナ王国にも声を掛けるつもりだけど、今挙げた国々の建築業者を集め、ビオラ商会合同会社の監督・指導のもと学院の改修を行っていく。ビオラ商会合同会社はこのペドレリーア大陸ではどこの馬の骨かも分からない商会だからねぇ。ビオラ商会合同会社の自力で交渉が可能なフォルトナ=フィートランド連合王国と、ミレーユ姫殿下、リオンナハト殿下、アモン殿下の力で交渉が可能になりそうな三国を挙げさせてもらった。まあ、でも自国のことだからオルレアン教国は参加意思を表明すると思うし、他の国々も手を挙げてくれればこの輪に加わっていいと思っている。まあ、要するに学院という小さな場所で行われている話を大陸全体まで広げるってことだねぇ。この学院には大陸中から人が集まってくる。それなら、自分達がお世話になっている学院は自分達の手で改良していった方がいいんじゃないかと思うんだよねぇ。その見返りとして各国が得られるのは従事者達への賃金と、ビオラの有する技術――各国にしてみれば外貨獲得が期待できる大きな仕事が一つ増え、更に技術まで得られるんだ。悪い話じゃないでしょう?」


 圓は学院の小さな問題を大陸の各国を巻き込む巨大な事業へと発展させ、様々な国が利益を享受できる方法を構築してしまった。

 それなら、オルレアン教国もダイアモンド帝国もライズムーン王国もプレゲトーン王国も――ある例外を除いて誰一人として損をしない。


 こんな提案をされてしまえば、例えリズフィーナが怖くても誰もがミレーユに票を投じるようになるだろう。

 リズフィーナの提案では自国には何一つ利益が生まれないが、この選挙公約が実現すれば大陸中が大きな利益を教授できるようになるのだから。


 しかし、しかしだ。この提案には大きな問題がある。


「とても素晴らしい提案だと思いますわ。……でも、それではビオラ商会合同会社が損をしてしまうのではありませんか?」


「ミレーユ姫殿下はボク達のことを心配してくれるんだねぇ。……他国のことだし使い潰すつもりで利用することもできるのにねぇ」


「そ、そんなことできる筈がありませんわ」


「嬉しいねぇ。……種明かしをすると、ビオラ商会合同会社にも実は大きな利益があるんだ。先ほども言ったように、ビオラ商会合同会社のペドレリーア大陸での知名度は低い。だけど、もし、学院の改修をビオラが主導したら? ここは大陸中から学徒が集まるセントピュセル学院だ。知名度は瞬く間に上がることになるだろう。商会の利用者が増えるかもしれない。オルレアン教国に恩が売れるってこともあるけど、それ以上に学院の改修で得られる宣伝効果の方が大きいんじゃないかというのがボクの試算だ。そして、最後にビオラ商会合同会社の損益だけど、実はゼロになるように動くつもりでいる。今回の発注者をボクにすれば、当然ながらボクのポケットマネーから費用を支払うことになる。そうすれば、ビオラ商会合同会社は何一つ損を出さずに大きな利益を享受できるようになるでしょう? ほら、誰も損をしていない」


「えっと……それだと、ビオラ商会合同会社の一人損が圓様の一人損になるだけじゃ……」


「迷宮攻略とか、商会経営と領地経営の利益とか、侍女業の収入とか、後は趣味関連の仕事で、まあ、一財産あるからねぇ。別に大した出費でもないし、気にすることじゃないよ。それに、今回の件、別にボクが一人損って訳でもないんだ。将来に向けた投資だからねぇ。いずれは巡り巡ってボクも得できるようになっているから安心してねぇ。まあ、その辺りは選挙が終わってから話すよ。……ただ、一般学徒への舞台裏の開示は生徒会長選挙公開討論まで取っておく。リオンナハト殿下達との交渉も水面下で行い、公約にはそういった舞台裏を隠した嘘偽りない表面上の内容だけを載せよう。それで、リズフィーナ様を油断させれば、どんでん返しの勝率が上がるからねぇ。……ミレーユ姫殿下のサポートメンバーとリオンナハト殿下達には教えてもいいと思うけど。とりあえず、今日はこのくらいにしようか? ここからミレーユ姫殿下にやってもらわないといけないのは二つ、リオンナハト殿下達との交渉のテーブルのセッティングと、学校施設の改修についてミレーユ姫殿下のサポートメンバーを集めてもらって意見を出し合う場のセッティングだ。一応、学校施設の改修についても考えてきたりしているけど、それはそこで出た意見と擦り合わせていい感じに纏めてから出すよ。あっ、後は今の舞台裏の件を抜きにした選挙公約――学校施設の改修以外に関するところを纏めておいてもらえると助かるねぇ。書き終わったら必要であれば添削するよ」


「本当に色々と……お世話になりっぱなしですわね」


「別に気にすることじゃないよ。さて、生徒会選挙開会宣言ミサまで後数日――そこまでにボク達の手札を全て揃えてしまおうか?」



 翌日の夕刻、ミレーユとエイリーンは事前に声を掛けたミレーユのサポーター達と共に図書館に集まっていた。


「あら、エルシー様達はいらっしゃらないのですわね」


「今回の選挙、エルシー達には偏見無しで提案する選挙公約が良いと思った方に投票するようにと伝えてありますからね。私はともかく残る三人を味方に引っ張りたいならリズフィーナ様を上回る素晴らしい選挙公約を打ち出すしかありませんわね」


「ということは、もう三人の票はもらったも同然ですわね」


「……さあ、どうでしょうねぇ」


 そもそも、今回の選挙の必勝法はリオンナハトとアモンが協力してくれることが前提になっている。

 「まだ交渉も終わっていないのに勝った気でいるのかよ」という思いを込めて圓がジト目を向けるが、ミレーユは全く気づかない。


「ということは、もう選挙公約は決まったのですか?」


「フィリィス、残念ながらまだですわ。ただ、勝利までの道筋はエイリーン様と相談する中で立ちましたわ! 後、選挙公約に関することでやらないといけないのは学校施設の改修の具体的な内容を決めることと、今回の選挙戦の鍵を握るリオンナハトとアモンと交渉ですわね」


「……リオンナハト殿下とアモン殿下ですか?」


 マリア達はミレーユがリオンナハトとアモンの協力を得てライズムーン王国とプレゲトーン王国の貴族子女達の票を集めさせようと画策しているのではないかと疑うが、ミレーユはそれを見通したようにあっさりとそれを否定する。


「そうですわね。皆様には先に今回の選挙の方針を伝えた方がいいかもしれませんわね」


 皆の注目が集まる中、ミレーユは圓が先日の夕刻にした話をそのまま丸パクリして話し始めた。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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