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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-273 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜暴君と妖魔と暗殺貴族〜 scene.2

<三人称全知視点>


「妖魔に並んで厄介なのが『這い寄る混沌の蛇』です。まず、主力である海洋民族ティ=ア=マットは海を越え、ラスパーツィ大陸から去っています。フィクスシュテルン皇国で警戒するべき『這い寄る混沌の蛇』はタイダーラ・ティ=ア=マットが接触したジェルエナ=コーツハートだけとなります」


「一ついいだろうか?」


「どうなされましたか? ミーフィリア様」


「フィクスシュテルン皇国にも潜伏していた『這い寄る混沌の蛇』が他にもいる可能性があるだろう? 何故、ジェルエナだけを警戒すれば良いという結論になるのだ?」


「ご指摘はもっともですわね。私は昨晩――丁度、イリオット殿下がイリオット皇帝陛下に殺害されそうになっていた頃、ある方と会っていました。こちらも情報は掴んでいたのですが、まさかあちらからお声掛け頂くことになるとは思いませんでしたので、正直驚いてしまいましたわ。……その方がこの国の『這い寄る混沌の蛇』の関係者を鬱憤を晴らすが如く惨殺しておりましたので、この国にもう『這い寄る混沌の蛇』の関係者はいません」


 相手が邪教徒とはいえ、この国に虐殺を続けてきた者がいるという情報はラポワント一世、イリオット、アンガートンの表情を険しくさせるには十分だった。

 耐性のないセレンティナとギィーサムに至っては血の気を失い、吐き気を催している。


「……その者は一体、何者なのだ?」


 声を絞り出すように尋ねたラポワント一世に、シトロリーナはあっさりとその人物の名前を答えた。

 それは、ラポワント一世にとっても、ラインヴェルド(・・・・・・・)にとっても予想外の人物で――。


「彼女はヴィルヘルミーネ=モンモランシーラヴァル元公爵夫人――先代ラピスラズリ公爵夫人で元暗殺貴族バーネット伯爵令嬢、リスティナ=ラピスラズリ様の前世を持つお方ですわ」


 シトロリーナがその名を口にした瞬間、ラインヴェルド達(スティーリア、レミュア、ラファエロ、ミリアム、アルベルト、菊夜、沙羅、雪菜、黒華、桃花、篝火、美結、小筆、円華、皇帝イリオットを除く)が一斉に「うわぁ」という表情になった。


「『社交界の白薔薇』と言われたヴィルヘルミーネ公爵夫人が……いや、しかし、まさかあの者が……」


「確かにヴィルヘルミーネ様が嫁いだモンモランシーラヴァル公爵は不審な死を遂げています……しかし、まさか……」


 セレンティナ、ギィーサム、イリオット、ラポワント一世、アンガートン――フィクスシュテルン皇国の出身者達はヴィルヘルミーネが国内の『這い寄る混沌の蛇』の殲滅に関わっていたという話を聞いても俄には信じがたいという様子だった。


「……おいおい、ペドレリーア大陸といいラスパーツィ大陸といい呪われているんじゃねぇか? ネスト……今回の件、知っていたか?」


「いえ、初耳です……」


「ヴィルヘルミーネ様についての情報は以前から我々諜報員が掴んでおりましたが、連絡はコンタクトが取れてからで問題ないという圓様の判断で情報を留めていました。既にフィクスシュテルン皇国の『這い寄る混沌の蛇』も粗方討伐し終えており、ヴィルヘルミーネ様が国内で行うべき仕事はもう存在しないと仰っております。今回、ラスパーツィ大陸に派遣された臨時班の戦力はフィクスシュテルン皇国一国に対してはあまりに過剰ですが、各地の妖魔と『這い寄る混沌の蛇』の残党を狩るには少々頭数が足りません。そこで、圓様は近々カノープス公爵、メネラオス先代公爵、ベルデクト様に先代ラピスラズリ公爵家と『瑠璃色の影ラピスラズリ・シェイド』の派遣を要請するつもりだとお考えのようです。そのタイミングでヴィルヘルミーネ様に合流して頂くつもりのようですわ」


「……おいおい、先代公爵家と『瑠璃色の影ラピスラズリ・シェイド』まで動かす気かよ」


「いくらラインヴェルド陛下達が強いといっても同時多発的に起こる妖魔の被害全てに対処するのは困難でしょうから、私は当然の判断だと思います。もし、それでも戦力が足りない場合は今回は裏方に徹することが厳命されていたビオラ商会合同会社警備部門警備企画課諜報工作局の諜報員やビオラ特殊科学部隊にも出動要請が掛かる可能性もあります。旧型ブリスコラやプリンセス・エクレールも必要だと判断されれば投入するつもりだと……」


「もうそんなのオーバーキルじゃねぇか! ……ってか、旧型(・・)ブリスコラ?」


「これは本来秘密にしておかなければならない機密事項ですが、ビオラ特殊科学部隊は関係各所への許可を得た後、新型のブリスコラの開発に着手しています。圓様は『対神用決戦兵器』がコンセプトだと仰っていました。恐らく、開発が成功すれば戦いのステージは更に一段階進むことになると思います」


 スティーリアは『流石は圓様ですわ!』と嬉しそうにしているが、残るメンバーの反応は顔面蒼白になるか、「安定のマッドサイエンティストだな」と溜息を吐くかに二分された。

 一体、圓はどこを目指しているのかと少しだけ心配になるラインヴェルド達である。


「まあ、我々は最後の砦ですのでご安心を。では、そろそろフィクスシュテルン皇国残留組を決めていきましょうか?」


 ヴィルヘルミーネとの顔合わせを事前にしておく必要があると考えた次期ラピスラズリ公爵と目されるネストがフィクスシュテルン皇国に転移した先代公爵家、『瑠璃色の影ラピスラズリ・シェイド』とヴィルヘルミーネの橋渡し役を引き受けるためにフィクスシュテルン皇国残留組に手を挙げ、一応ネストの部下となっているクレールとデルフィーナが汀と共に残留組に加わる意思を示したため、フィクスシュテルン皇国残留組は円華、ネスト、汀、クレール、デルフィーナとなった。

 この五人は闘気と八技をフィクスシュテルン皇国の面々と皇帝イリオットに教える役割も担うことになる。


 このフィクスシュテルン皇国残留組はジェルエナに対処をし終えた後、妖魔討伐組に合流する予定になっている。


 また、この会議の中でフィクスシュテルン皇国の多種族同盟への加盟申請がラポワント一世によってなされた。

 この申請の承認の可否はジェルエナへの対処が無事に完了した時点で開く臨時の多種族同盟会議で決議をすることとなった。


「ああ、すっかり忘れておりました。円華様にお会いしたいという方がお二人いらっしゃいます。後ほどお時間を頂けませんか?」


「……? どなたかしら?」


「バイオリート=オルキデーア伯爵令嬢とミサリアーヌ=アニモーン侯爵令嬢ですわ」


 会議の終盤、シトロリーナの放った発言はある一部の者達を大きく動揺させることとなった。


「まあ、あのお二方が? その様子だと敵……ではないのよね?」


「はい、お二人ともニコル様をお探しのようでした。『管理者権限』を悪用して……ということは考えていないようで、ニコル様との橋渡し役を引き受けることを条件に圓様に『管理者権限』を返却することを了承して頂いております」


「……誰だ? ニコルとは」


「……未来の俺、ニコルとはセレンティナの四番目の姿だ。貴公子に転生したセレンティナが救うために奔走した二人がバイオリート伯爵令嬢とミサリアーヌ侯爵令嬢だ。……その結果、正史では二人の令嬢と婚約して甘々溺愛の日々を送ることに……ああ、思い出しただけで苛々が!」


「なん……だと!? 俺はセレンティナのことを愛していたのに、その愛していたセレンティナが転生したラスヴェートに殺されたんだぞ! そ、それなのに……くう、羨ま……けしからん!!」


「皇帝陛下のライバルの登場ってことだな?」


「アハハハ! クソウケるんだけど! そっちのイリオットと違ってお前は前途多難だなぁ、皇帝陛下」


「「まあ、せいぜい頑張りやがれ!」」


 大爆笑したラインヴェルドとオルパタータダに同時に肩を叩かれ、皇帝イリオットは涙を浮かべてラインヴェルドとオルパタータダを睨め付けるが残酷な皇帝陛下の睨みを受けてもラインヴェルドとオルパタータダが動じる筈もなく……そんな惨めな姿の皇帝イリオットにイリオットは憐憫(といいつつ実は優越感も込められている)の視線を向けた。


 婚約が破棄されて繋がりを失った皇帝イリオットとは違い、大切なセレンティナと婚約を結べているイリオット。――つまり、勝ち組である。

 ……まあ、この後ジェルエナに台無しにされなければ、ではあるが。


 新たな恋敵の登場に焦る皇帝イリオットと皇帝イリオットの味方のような態度を取りつつ自分はちゃんと愛する人と婚約が結ばれていると安心するイリオット、婚約者(イリオット)の意識が円華に向き過ぎて同一人物であることは分かっているものの少し嫉妬心を滲ませるセレンティナと「やれやれ」という表情でセレンティナとイリオットに視線を向けるギィーサム。

 ずっと手に入れたいと願った円華の幸せがそこにはあった。


「……絶対に奪わせる訳にはいかないわね」


「ああ、絶対に奪わせてなるものか! セレンティナと結婚するのはこの私だ!」


「……完璧にすれ違ってんなぁ、円華と皇帝イリオット。もう圓が構想しているみたいに三人と結婚すればいいんじゃねぇ? ってか、前例ができたら圓も少しは楽になるんじゃねぇか?」


 そんなディランの独り言は円華と皇帝イリオットの耳朶を打つことはなかった。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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