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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-260 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜学院都市セントピュセルの四人の留学生〜 scene.2

<一人称視点・エイリーン=グラリオーサ>


「まず、リズフィーナ様の認識では『這い寄る混沌の蛇』とはオルレアン教国に、オルレアン神教会に、果ては世界に仇なす破壊者の集団――歴史の裏で暗躍する秘密結社ということになっているんじゃないかと思う。……その組織構成に関しては一切掴めず、随分と手を焼いてきたんじゃないかな?」


「……えぇ、その通りだわ」


「さて、本来これはミレーユ姫がもう少し先の未来である人物から聞くことになる話を先取りした話ということになるけど、まあ大した情報でもないし勿体ぶらずに説明するよ。初めてリズフィーナ様と話をした際に説明は省いたけど、『這い寄る混沌の蛇』には元々四つの分類があった。脅されるなどして協力することになった消極的協力者。『這い寄る混沌の蛇』を利用し、利を得ようとする者である積極的協力者。蛇の教義に共感して主体的に行動する蛇教徒。そして、『這い寄る混沌の蛇』の教え――『這い寄るモノの書』を広める蛇導士。そして、彼らの頂点……っていうのか微妙だけど、『聖女』と対を成す存在として『蛇巫女』が存在する。まあ、この『蛇巫女』にも偽物と本物がいるんだけどねぇ。この『這い寄る混沌の蛇』という組織は組織と呼んでいいかどうかすら定かではない混沌とした集団であり、秩序を破壊し、世界を混沌に陥れる流れ……一種のミームと捉えている人も多いし、その認識で正しいと言えば正しいし、間違っていると言えば間違っていると言える。まあ、結論から言うと『這い寄る混沌の蛇』とは邪神を崇める邪教に一応区分されるんじゃないかな? っていう割と曖昧な結論になる。実際、写本ではない原本『這い寄るモノの書』には邪神が宿っているからねぇ。――蛇神Aponyathorlapetepっていう」


「蛇神アポニャ……なんですの?」


「アポニャソーレーペテップ。混沌の神NyarlathotepがNyarlathotepとApopeを組み合わせ、アポニャソーレーペテップと自らを呼称しているんだよ。『這い寄る混沌の蛇』の真の首魁である『混沌の蛇(アポピス)』の正体はこのNyarlathotepの化身だからねぇ。……まあ、これも便宜上こう呼んでいるというだけで本来ボク達には発音不能な名前を持っている。まあ、混沌の神だからねぇ。未分類である筈のものに名を付けたらもうそれは分類されたものになってしまう。名を呼べないからこそ混沌、我々秩序側の存在とは到底相入れることがない存在なんだよ。……さて、話を戻すと現時点での『這い寄る混沌の蛇』は『混沌の蛇(アポピス)』にその体を乗っ取られたアポピス=ケイオスカーンを頂点とし、蛇の使徒達を従える真の『蛇巫女』でアポピスの実妹であるレナス=ケイオスカーンを含む冥黎域の十三使徒、その下に先ほど述べた四つの区分の関係者達が続くってことになるのだと思われる。冥黎域の十三使徒はこれまでの蛇とは一線を画す圧倒的な力を持ち、より直接的な破壊行為を行ってくる場合が多い。特に思想も危険な部類に属する……後は冥黎域の十三使徒同士で矛盾した思想を持っていることも注目すべき点だねぇ。冥黎域の十三使徒は固定で、恐らく空席ができた場合は補填される。人数を減らして戦力を削ぐって考え方は通用しない。後、分かっているのは一人につき一つ以上の神話級(ゴッズ)と呼ばれる武器を所有していることかな?」


「……プレゲトーン王国で戦ったレナードは想像を絶する強さだった。あれほどの存在がまだまだいるということか」


「リオンナハト殿下の認識に間違いは……まあ、ないんだけど、あの時点のレナードさんは正直そこまで強くなかったし、戦い方も真っ当に近いものだった。子供を攫って人体実験を行って一度だけ死を回避する『生命の輝石ラピス・フィロソフィカス・セフィロト』を生成した常人の価値観が通じないエイリアンのような生まれついてのマッドサイエンティスト――フランシスコ・アル・ラーズィー・プレラーティ、脳内に小型の制御装置を埋め込み、これで意識を同調させることで対象となる人間の意識を乗っ取り、意識を奪った者とその意識をタイムラグ無しに同期させることで多くの人間を手足のように操っていたオーレ=ルゲイエ、膨大な魔力によってあらゆる錬金術を無理矢理行使するという力業でアルケミカル黎明結社という組織を従えていたアダム・アドミニスト・カリオストロ・フィリップス・アウレオールス・テオフラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム・アルケミカル・ニコラス・フラメル・サン=ジェルマン・ヴァイスハウプト、腐った秩序の破壊、そして、永遠の清浄なる国家秩序を作り上げるために、絶えず秩序は生まれ、そして滅ばなければならないと考え、『這い寄る混沌の蛇』に帰依した魔法少女オルタ=ティブロン、この世から可哀想と憐憫を抱く対象を全て消し去るために生物の存在しない原始海洋まで世界を巻き戻すために暗躍していた那由多彼方(ナユタ≠カナタ)。……方向性が違い過ぎるから何とも言えないけど、ボク達が相対し、そして倒してきた冥黎域の十三使徒は皆化け物だったよ。……そして、今後彼らは間違いなく更なる強さを手に入れて我々の前に立ち塞がることになる」


「……この上、まだ強くなるというのですか」


 ソフィス以外の面々はフランシスコ辺りの外道過ぎる行いに吐き気を催しているか、それほどの力を持つ化け物達が間違いなく更に強くなるというボクの断言に戦慄を覚えているようだった。


「これは『這い寄る混沌の蛇』の冥黎域の十三使徒クラスの何人かが所属する互助倶楽部『綺羅星の夢』に所属しているというシャッテン・ネクロフィア・ シャハブルーメがブライトネス王国の王宮でぶち撒けていった情報の中にあったもので、ボクも聞いた時は本当に嘘であって欲しいと思ったのですが、奈落迦媛命が『這い寄る混沌の蛇』に召喚された可能性が高まっています」


「……あの、圓様。その奈落迦媛命って一体何なのでしょうか?」


「マリア様、勿論ゆっくりと説明させて頂きます。……奈落迦媛命とは、ボクが前世で暮らしていた世界に暮らしていた鬼と呼ばれる種族の一体で、見た目こそ圧倒的な美貌を持つ少女ではあったものの、かつて抱いた野心から当時の猛者達の呉越同舟によって撃破され、封印されていた。……まあ、当時の猛者達を寄せ集めても封印することしかできなかった正真正銘の化け物ということになる。彼女の野望は『世界の神となる』こと、類い稀なる『王の資質』のカリスマ性で多くの鬼や彼女の思想に賛同した人間達を従えていった彼女は力こそが全てと考え、暴力の世界を作り上げて行った。あの世界においてどうやったら神になれるのかを知り、資質のない簒奪者の王を倒そうとしていた。……最終的に敗れたものの、神に近づいた彼女の力は極めて強大になっているものと思われる。しかも、強いのは彼女だけではなく、彼女の配下となった者達もまた一騎当千の力を得ていたと思われる」


「どのような力かは分かりませんが、その力が『這い寄る混沌の蛇』に流出した可能性があるということですね」


「流石はリズフィーナ様です。……まあ、厄介なことにこの力は『這い寄る混沌の蛇』の末端まで使えるようになる可能性があります。練度を高める必要性と、生まれ持ったものに左右される点があるので最悪の事態に直面するのはもう少し後になりますが、このまま『這い寄る混沌の蛇』が強化されるのを黙っている訳にもいきません」


 あっ、小心者(チキンハート)のミレーユが嫌な予感を察知したらしい。……でも、ボクは必要なことだと思うんだよ。


「リズフィーナ様、ミレーユ姫殿下を中心にこの場に集まっている皆様は対『這い寄る混沌の蛇』の協力体制を敷いているという認識でよろしいでしょうか?」


「ええ、その認識で構わないわ」


「ボクはこの技術が戦争の概念を一変させてしまうものであることからあまり流出はさせたくないのですが、そうは言っていられない状況になっています。ということで、ここにいる皆様に限り奈落迦媛命が有している場合によっては神に至ることができる力――闘気や霸気と呼ばれる力と、ブライトネス王国やフォルトナ=フィートランド連合王国の騎士団において闘気と並んで重要な技術と考えられている八技を習得して頂きたいと思っています。……まあ、勿論強制はできませんが、会得しておいて損はありませんよ。希望を聞いてからになりますが、希望者にはソフィス様の指導を受けて頂きます。ご安心を、ボクも正直驚いているのですがソフィス様は騎士団長にも比肩、場合によっては凌駕するほどの使い手に成長しています」


「貴重な技術を惜しみなく教えて頂けるのは大変有り難いのですが、しかし……」


「えぇ、カラック様のお気持ちはよく分かりますよ。ライズムーン王国の第一王子殿下に、オルレアン教国の聖女様……そういった高貴な方々にボクが自ら教授を行わないことをあまり良く思われていないのでしょう?」


「……いえ、決してそのような」


「まあ、ボクが教えてもいいんですけど他にやることがあるので。……ミレーユ姫殿下に関しては他の少々内容が変わりますので、個別にボクが力の使い方を教えたいと思っています。よろしくお願いしますねぇ、ミレーユ姫殿下」


 いきなり名指しされたミレーユは必死に逃げ道を探し……ボクに視線を向けられて蛇に睨まれた蛙のように固まってしまった。

 まあ、コクコクと頷いてもらえたし、ここまで退路を防がれて逃げられるほど強い心もミレーユは持っていないからねぇ。まあ、そのイエスマンなところがミレーユのいいところでもあるんだけどさぁ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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