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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-259 ペドレリーア大陸・ラスパーツィ大陸臨時班派遣再始動〜学院都市セントピュセルの四人の留学生〜 scene.1

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 偽天翼族(セラフェル)の多種族同盟入りについては、その後ウェルフィンドと交渉を重ねて合意することに合意してもらったので予定通り加盟を認めることになった。

 選定した数名を時空騎士(クロノス・マスター)に任命して、その証である『時空(ソード・オブ・)魔窮剣(アビス=ソトホート)』を手渡してその日のやり取りは終わり。正式な書類の記入とか、偽天翼族(セラフェル)の窓口をどうするかという点については後日アーネスト達文官衆とやり取りをして決めていくそうだ。


 加盟国の名前はネファシェム天翼国で、代表は長老のウェルフィンドが務めることになった。


 ……で、この予想外の連続だったネファシェム山登山の話をしたらラインヴェルドとオルパタータダに「偽天翼族(セラフェル)に会いに行ったら噴火に巻き込まれるとか、ウケるんだけど! 断罪に巻き込まれる悪役令嬢はいても、噴火に巻き込まれる悪役令嬢なんてなかなかいねぇだろ!!」と笑われて腹が立ったので霸気を纏った拳で意識飛ばすレベルで殴ってやった。

 ……全く、あの噴火がもし本当に起きていたらブライトネス王国やフォルトナ王国にも甚大な被害が出ていたんだよ!!



<一人称視点・エイリーン=グラリオーサ>


 ネファシェム天翼国の多種族同盟加盟が決まった日の翌日、三月三十一日に王女宮での仕事を終えたボクとソフィスはラピスラズリ公爵邸とアクアマリン伯爵邸を経由してカレン、ヘクトアール、マンジュリカ、フリストフォルと合流、その後、三千世界の烏を殺して今朝のフォルトナ=フィートランド連合王国に赴き、リーシャリスとメイリィース、ガラハッドとオールフェルと合流してからオルレアン教国に転移し、そこから馬車に乗り換えて学院都市セントピュセルを目指す。

 馬車の馭者役は勿論ヘクトアールだ。


「しかし、まあ、随分と混んでいるなぁ」


「この時期は新入生が学院都市セントピュセルがある島に入るために並ぶからねぇ。昔は橋が掛かっていたけど、入学書類のチェックや随伴する使用人の確認などで結構揉めたらしい。橋の場合、どれだけ幅を広くしようと、あるいは本数を増やそうと渋滞は発生する。じゃあ、大きな船で運ぼうという話になったけど、今度は部屋割りで揉めて、もう面倒だから馬車ごと乗ってもらおうって話になったらしい。そうすれば部屋割り云々は関係なくなるからねぇ。……まあ、船の出入り口に近い場所を巡った小競り合いや、どの馬車を乗せるかで揉めたりとか今でもトラブルは付き物なんだけど」


「本当にお貴族様って面倒臭いですよね。くだらないプライドのために揉めて時間を浪費して。そんな時間があるなら寝たいですよ、俺は」


「本当にそうだよねぇ。そんなくだらないことで揉めている暇があったら、その時間を王女宮や商会や領地の仕事や趣味に費やしたいよ」


「本当にそうですわね。私も無意味な時間を過ごすより小説や漫画の執筆に費やしたいですわ」


 「ヘクトアールはいつもサボってばっかりじゃない。少しはラピスラズリ公爵家の使用人としての自覚を持ちなさい」とヘクトアールを睨め付けるカレンと、「ローザ様とソフィス様も立派な貴族令嬢ですよね? というか、二人とも相も変わらず呆れるほどの仕事中毒(ワーカーホリック)ですね」というマンジュリカ、フリストフォル、リーシャリス、メイリィース、ガラハッド、オールフェルの視線が痛い。


「それでお嬢様? この馬車を船に乗せるんですか?」


「そうだねぇ。もう少しだけ馭者役をお願いしたいな。学院都市まで着いたらヘクトアールさんはそのままラピスラズリ公爵邸に転移して庭師の仕事に戻ってもらって大丈夫だからねぇ。助力して欲しい時には連絡を入れるけど、臨時班のメンバーじゃないししばらくはゆっくりできると思うよ。ああ、それと先に今回の馭者の仕事の報酬を払っておくよ。わざわざ庭師の仕事を休んでもらった分の迷惑料込みとはいえあんまり高くないのは申し訳ないけどねぇ」


「いや、充分高いと思いますよ。ありがとうございます、遠慮なく頂戴します」


 ヘクトアールの仕事は馭者役だけで、今回のペドレリーア大陸及びラスパーツィ大陸の臨時班ではヘクトアールも含め臨時班に選ばれているメンバー以外のラピスラズリ公爵家の人間には特に仕事がない。

 拠点作りや維持、臨時班メンバーのサポートは全て各地にアジトを用意したビオラ商会合同会社警備部門警備企画課諜報工作局――諜報部隊フルール・ド・アンブラルの諜報員が行うからねぇ。


 躊躇いなくボクから麻袋を受け取ったヘクトアールとボクにカレンが「お嬢様はサボり魔ばっかり優遇し過ぎです!」という視線を向けてきた。


 麻袋を受け取ったヘクトアールが四次元空間に放り込んだタイミングでボク達を乗せた馬車は列の最後尾に到着した。

 フォルトナ王家の紋章とグラリオーサの花を模した紋章――二つの紋章が描かれた馬車を見つけてボク達の馬車であることに気づいたんだろう。わざわざボク達の到着を待っていたらしいリズフィーナがミレーユと共にボク達の馬車の方へとやってきた。


 学院都市セントピュセルの頂点である生徒会長で『聖女』のリズフィーナと大国の姫であるミレーユに出迎えを受けるなど前代未聞、一体どんな人物が乗っているのかとボク達の馬車に視線が集中する。


「遠路遥々ようこそオルレアン教国へ。しかし、普通に馬車でお越しになるとは思いませんでしたわ」


「……リズフィーナ様、ミレーユ姫殿下、一体私のことを何だと思っているのですか?」


「あのわたくし、まだ何も言っていませんわ!」


「心の声を聞くことができる私にとっては口に出したか出していないかという些細な違いでしかありません。しかし、まさかダイアモンド帝国の姫殿下と生徒会長のリズフィーナ様にわざわざお出迎えして頂けるとは思いませんでした。……少々悪目立ちし過ぎているようですわね」


「フォルトナ=フィートランド連合王国からの留学生とはいえ学院に入れば他の生徒と同じ……それはそうなのだけど、今回の留学生の受け入れには敵対寸前までいったフォルトナ=フィートランド連合王国とオルレアン教国の関係修復のアピールの意味があるわ。オルレアン教国はフォルトナ=フィートランド連合王国やフォルトナ=フィートランド連合王国が所属する多種族同盟と協調の路線を取るつもりでいる。学院の生徒になると同時に圓様……エイリーン様達は我が国の国賓の扱いになる。そんな皆様に流石にご挨拶をせずに……って訳にはいかないわ」


「……個人的にはこういう悪目立ちはしたくなかったんだけどねぇ」


「……圓様、お嬢様が目立たないって方が無理ですよ。どうせ遅かれ早かれ悪目立ちしていたんですから悪目立ちする運命だったって諦めてください」


 今回ばかりはカレンもヘクトアールに賛同して「ローザ様が目立たずにいられる訳がないわ」って視線を向けてくる。……お前ら、ボクのことを一体何だと思っているの?


「まあ、でも手間が省けたのは良かったのかもしれないですね。リズフィーナ様、ミレーユ姫殿下、後ほど時間を頂けないでしょうか? 『這い寄る混沌の蛇』に関する情報交換がしたいですし、個人的な用事もあります。他にマリア・レイドール様、リオラ・ウィリディス様、リオンナハト・ブライト・ライズムーン殿下、カラック・レストゥーア様、アモン・プレゲトーン様にもそうお伝えください」


「分かったわ」


「では、ボク達は自分達の番が来るまで各々好き勝手にしていますので」


 我関せず執筆を続けるエルシー姿のソフィス、ミレーユとリズフィーナに視線を向けつつも一回もボードゲームの手を休めないカレン、ヘクトアール、マンジュリカ、フリストフォル、リーシャリス、メイリィース、ガラハッド、オールフェル……これほどまでに好き勝手に待ち時間を有効活用しているグループもなかなかないだろう。


「それではわたくしは失礼致しますわ。また、後ほど学院でお会い致しましょう」


「先程上がったメンバーは私とミレーユさんとで声を掛けておくわ。生徒会室に集めておくから引っ越しの準備が終わったら生徒会室に来てもらってもいいかしら?」


「生徒会室ですね。私とソフィスさん――エルシーとで向かわせて頂きますわ」



 寮の部屋にそれぞれの荷物を搬入して荷解きを終えてから、ボクとソフィスは生徒会室に向かった。

 既に部屋にはミレーユ、アモン、リズフィーナ、リオンナハト、カラック、マリア、リオラ――ボクが指定したメンバーが揃っている。


「ミレーユ姫殿下、アモン殿下、リズフィーナ様、リオンナハト殿下、カラック様、マリア様はお久しぶり。リオラ様に関しては初めましてだねぇ。既に名前くらいは知っていると思うけど改めて自己紹介を。フォルトナ=フィートランド連合王国からの女子留学生エイリーン=グラリオーサ辺境伯兼宮中伯令嬢として学院に入学することになるローザ=ラピスラズリとその妹のエルシー=グラリオーサとして学院に入学するソフィス=アクアマリン伯爵令嬢だ。ソフィスさんについてはリズフィーナ様以外は初めましてだねぇ」


「ソフィス=アクアマリンですわ。皆様よろしくお願いします」


 ミレーユ、アモン、リズフィーナ、リオンナハト、カラック、マリア、リオラがそれぞれ軽く自己紹介をし終えたところで早速本題に入ることにした。


「さて、今回集まってもらったのは他でもない。オルレアン秩序や多種族同盟に敵対する我々の共通の敵である『這い寄る混沌の蛇』に関する情報交換をするためだ。……まあ、基本的なことはリズフィーナ様からプレゲトーン王国の一件が解決した後に聞いていると思うけど、改めて初歩的なところから説明していきたいと思う。勿論、最新の情報も交えるけど復習の色が強めだから気楽に聞いてもらうといいんじゃないかな?」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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