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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-257 偽天使族の隠れ里とブルカニロ博士の野望 scene.1

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 多種族同盟会議の終了後、ボクはメールを送った全員からの返信を確認し、多種族同盟会議に参加していたアスカリッドと共に『管理者権限・全移動』を使って転移を繰り返しながらメンバーを集めていった。

 しかし、まさか今日決まって今日出発という決めたボクが言うのもなんだけど結構無茶なスケジュールなのに、よく全員が二つ返事をくれたねぇ。


 今回のメンバーはカトリジャーヌ、リステルカ、モーリシアの迷宮統括者(ギア・マスター)三人組、アスカリッド、エリーザベト、エイレィーン、六花の魔族三人と魔王の婚約者、マリオネットパペット、アローアロー、十六夜(イザヨイ)の元「大魔公安処罰班」の面々、そして「退魔局」所属の退魔士の(かんなぎ)水羽(みづは)、そこにボクを加えた十一人。

 同じ所属の者同士のグループをいくつかくっつけ、そこに「退魔局」所属の水羽を加えたっていうあまり複雑じゃない人選になっている。


 カトリジャーヌ、リステルカ、モーリシアのグループ、アスカリッド、エリーザベト、エイレィーン、六花のグループのメンバーは勿論共闘した経験があり、マリオネットパペット、アローアロー、十六夜(イザヨイ)の三人と水羽も同じ魔法の国所属の魔法少女として共闘経験があると思われる。

 だけど、この三つのグループの合同パーティのメンバー全員と共闘経験がある人はいない筈だ。


 このメンバーでパーティを組んだのは三大闇ギルド掃討戦の時と同じく普段組まない人の戦い方から学びを得たり、何らかの理由で共闘せざるを得なくなった場合に備えてどんな相手とも組める柔軟性を獲得して欲しいという意図があったからだ。

 ……まあ、実際に巨大な戦争に臨む場合は普段戦い慣れたメンバーを固めるんだけどねぇ。とはいえ、奇襲とか様々は事情で即席のパーティを組んで戦わざるを得ない場合がないとは言えない。あらゆる状況を想定してできることはしておきたいよねぇ。


「しかし、かなり面白い構造をしているねぇ、この山」


「まさか、火口がそのまま迷宮化しているとはな。……見気を会得していなければ気づくことも無かっただろう」


 標高三万メートルのネファシェム山の二合目に入り口があるようで、そこから山全体を貫く形でネファシェム山の中が丸々迷宮と化している。

 更にこの迷宮は地下にも伸びているようで、火口から迷宮の最新部までの距離は三万四千メートルほどになる。……まあ、上へ下へとかなりの距離がある分、迷宮の構造は割とシンプルで地下の火口までの巨大な吹き抜けとその周囲を囲む領域に大きく分かれるみたいだけどねぇ。


「山を登るか、迷宮を探索するか……まあ、入り口もあるんだし、迷宮の探索の方がいいよねぇ」


 当初の予定からズレたけど、より面白そうなのは迷宮攻略かな? と思って迷宮探索の方を選択……まあ、その入り口がある二合目までは結局登山なんだけどねぇ。

 一合目、二合目あたりだと環境がそこまでキツくないということなのか、出現する魔物達はあまり見慣れないものばかり……というか、ほとんどボクがオルゴーゥン魔族王国周辺で出現すると設定した魔物達だった。


 燃え盛る炎を纏った甲羅を持つ亀型の魔物や、銀色に輝く毛皮と角を持つ鹿のような魔物、紫と藍色の縞縞模様が毒々しいカメレオンのような魔物……他にも色々といたけど正直数が多いだけでそこまでの強さはない。


『セイクリッド・ウラノメトリア! 黄金の英雄剣ゴールドソウル・ソード!』


敏の舞-蝶舞-(バタフライ・ダンス)! 攻の舞-剣舞-(ソード・ダンス)! 戦舞-華舞嵐旋-テンペスト・ダンスストーム


暗黒医術・電気解剖刀(ラジオナイフ)


魔王太極・闇光開闢ダークネス・ルキフェルじゃ!」


聖熾天翼翔光刃セラフィムウィング・ブレイドラッシュですわぁ〜!!」


雷光霹爆槍(ゲイ・アッサル)! 獄焔の爆裂インフェルノ・プロージョン!」


凍える世界(ゴールド・ワールド)


操傀魔法(マリオネット)・傀儡百鬼夜行!」


「追尾しなさい! 大結晶の魔矢(クリスタルシュート)!」


「裏武装闘気・大手裏剣!」


龗・流水波(オカミ・リュウスイハ)!」


 連携を取って戦う必要などなく、バラバラに戦うだけで魔物達を撃破できる。

 この大陸の最高峰と聞いて過酷な環境に合わせて進化した魔物達が犇めき合っているんじゃないかと期待していたんだけど、ちょっと期待外れだったねぇ。


 ネファシェム山の二合目から火口の内部の迷宮に入っても、魔物の種類こそ変わったもののそこまで強さに変化はない。……もっと上に登っていかないと強くならないのか、逆に地下に進んでいくと強い魔物が出現するようになるのか。


 その後も五合目に到着する頃まではそれほど強くない魔物をひたすら撃破していくという退屈な時間が続いた。

 魔物達は一体一体がそれほど強くないが、とにかく凄まじい数が生息している。

 成果が目に見えて現れることのない単調な魔物狩りの時間は実に退屈で、ボク達の緊張感も少しずつ削られていった。


 弱い魔物で油断を誘い、緩み切ったところに強大な魔物を嗾ける……それが、このネファシェム山のコンセプトなんじゃないかって思ったくらいだよ。まあ、後々話を聞いてみるとそういった意図があった訳ではないみたいだけどねぇ。……山頂に近づくとやっぱり魔物達が環境に適応できず、八合目以降は魔物も生物も出現しない死の大地が広がっているみたいだし。


 状況が変わったのは五合目についた頃だった。といっても、魔物が強くなったとかそういう訳ではない。……空気がほとんどなくなって呼吸が困難な環境には入ってきているんだけどねぇ。

 余裕で一万メートルは超えているし、普通なら高山病を発症してもおかしくないんだけど空気が薄くなってきた地点から全員に風魔法を掛けて呼吸の補助をしているから特に問題はない。


 じゃあ、具体的に何が起きたかというと凄まじい地面の揺れを感じたんだ。ここは火山だし、かなり嫌な予感がしたんだけど……。


「おかしいな。オルゴーゥン魔族王国では滅多に地震など起こらないのだが……」


 エイレィーンの呟きが嫌な予感に拍車をかける。

 最悪の事態に直面していないこと祈りながら見気の索敵範囲を火山の下の方へと伸ばしていき――。


「アカウントチェンジ・リーリエ! 龍宿魔法(ドラゴン・フォース)! 《神の見えざる手インビジブル・ハンズ・オブ・ジュピター》! 吸血姫の翼」


 アカウントをリーリエに切り替えてスティーリアの魔力をその身に宿し、見えざる手でカトリジャーヌ、リステルカ、モーリシア、アスカリッド、エリーザベト、エイレィーン、六花、マリオネットパペット、アローアロー、十六夜(イザヨイ)、水羽を掴むと吸血姫の翼を顕現して飛翔する。


「い、いきなり何をする!」


「エイレィーンさん、口閉じてて! 舌噛むよ! さっきの地震、エイレィーンさんの話を聞いて嫌な予感がしたんだ。ずっと噴火をしていなかった火山の探索中に地震が起こった。偶然と片付けることもできるけど、プレートが原因で起こる通常の地震の他に火山性の地震もあるからこのネファシェム山の内部で何らかの変動があった可能性も捨てきれない。……火山性地震は一般的に規模が小さく、無感になることが多いけど、このネファシェム山は凄まじい標高の山だからねぇ。そこに内在しているエネルギーも当然凄まじいものであることが予想される。この火山性地震、噴火に関係なく起こるけど噴火の兆候である可能性もあるんだ」


「つ、つまり噴火が起こる可能性があるというのですか!?」


「雪女の六花さんは絶対に信じたくないよねぇ。雪女と火や熱の相性は最悪だから。……というか、可能性ではなく確実に噴火は起こるよ。実はエイレィーンさんの話の話を聞いて嫌な予感がして見気の索敵範囲を地下まで広げたら、迷宮の最下層――つまりマグマ溜まりの付近に生物らしい反応があった。人型……だから、魔物ってことはなさそうだけど、ネファシェム山の地下に潜入した何者かが何らかの目的があって噴火を誘発させた可能性が高い。あの地震は噴火の前触れだったんじゃないかな?」


「それを早く言え!!」


「エイレィーン、圓殿にキレても仕方ない話じゃ! それより、我らを連れて飛翔したということは何か考えがあるのじゃな!?」


「とりあえず、時間を稼いで対抗手段を取れる時間を増やそうと思っている。もし、これほどの山が噴火すればオルゴーゥン魔族王国は甚大な被害を受けるし、それ以外の地域も無事では済まない。例えマグマや火山岩塊、火山礫などによる被害がない地域でも火山灰による被害……寒冷化による作物への被害などがあるからねぇ」


「……どうやら最悪のタイミングで私達はこの山を訪れたようだな」


「いや、マリオネットパペット殿、それは違うぞ。もし、圓殿が今日ネファシェム山を訪れると決めなければ噴火は止められる可能性は皆無だった」


『……しかし、この噴火を起こした人物の狙いは一体何なのでしょうか?』


「さぁねぇ? 甚大な被害を出してまで何かを成し遂げたかったってことは、それ相応の大義名分を持っているんじゃない? ……まあ、罪のない魔族や現地民の命を奪ってまで強行する必要な大義名分なんてボクには到底思いつかないけど。まあ、考えても仕方がないことだしまずは噴火をどうにかしよう」


「――ッ!? 何かが来ます!!」


 水羽が何かを発見して声を上げた瞬間、無数の炎の竜のような存在が猛烈な勢いでボク達の方へと迫ってきた。


「――ッ! 白氷竜の輪唱咆吼ホワイト・ブリザード・ブレスカノンロア


 小さな魔法陣をマグマの通り道となる空洞を埋め尽くすほど無数に展開し、その魔法陣を口代わりにして「白氷竜の咆哮ホワイト・ブリザード・ブレスロア」を放つ。

 標高三万メートル級の火山を作った噴火のエネルギーは当然ながら生半可なものではない。それを丸ごと氷漬けにするということはこちらも相当な魔力を割かないといけないってことだ。


凍える世界(ゴールド・ワールド)!!」


龗・流水波(オカミ・リュウスイハ)!!」


 六花と水羽も協力してくれているもののその効果は微々たるもの。……やっぱり、噴火を止めるためにはボクが全力を注ぐしかないか。


「――ッ! 今、何かが飛んでいきましたわぁ〜!!」


「エリーザベトさん、それは後回しでいいよ。それよりも噴火を止めることに全力を注がないと」


 カトリジャーヌ、リステルカ、モーリシア、アスカリッド、エリーザベト、エイレィーン、六花、マリオネットパペット、アローアロー、十六夜(イザヨイ)、水羽から魔力を分けてもらい、ボク自身も体力の魔力を込めて「白氷竜の輪唱咆吼ホワイト・ブリザード・ブレスカノンロア」を強化する。

 さあ、勝負だ! 自然災害(大噴火)!!

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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