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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-253 開幕! ULTIMATE EIGHT!! 第三回戦三位・四位決定戦及び第三回戦優勝決定戦 scene.1

<三人称全知視点>


 三回戦第三試合――三位と四位を決定する試合の対戦カードはアクアと白夜となった。


 一戦目でスティーリアを下した実績があり、二戦目では魔法を完全に封じられるという圧倒的な不利に立たされながらもディランと死闘を繰り広げた白夜は、遠距離攻撃手段に乏しく白夜の神聖魔法に対して直接的な対抗手段を持たないアクアにとってはかなり厄介な相手である。


 様々な厄介な技を有する白夜だが、その中でアクアが最も恐れているのはやはり一撃必殺魔法の「魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション」だ。

 求道神クラスで辛うじて耐え切ることができる一撃を白夜は息を吸うように連発することができる――その認めたくない事実は白夜に敵として対峙する者達の肩に重たく乗し掛かる。


 「魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション」の被弾確率が上がる可能性を考えても霸気の消耗を抑えることを考えても白夜との戦いは短期決戦が望ましい。


「【天使之王】――天使化!!」


 アクアは白夜に魂魄の霸気《弱体化》を掛け続けて弱体化を、自身に魂魄の霸気《昇華》を掛け続けて強化を行いつつ、黒い騎士のような形の黒いオーラを纏う魂魄の霸気《黒騎士》を発動。

 そして、魂魄の霸気《黒騎士》を発動している状態で【天使之王】を発動して天使の翼を魂魄の霸気《黒騎士》に生やす。


「求道の霸気最終領域・求道神! 《極闇の騎士オーバーダーク・ナイト》! 覇王の霸気最終領域・覇王神! 《万象切斬する剣オーバーロード・ソード》!」


『一回戦ではなし得なかった求道神と覇王神の同時使用――魂魄の霸気《昇華》によってアクア様の霸気のレベルを強制的に引き上げることで両立しているのでしょうね。しかし、何の代償もなくそのような強化ができる筈もありません』


「ああ、俺の限界を超えて足りない霸気を誤魔化しているんだからな。代償は霸気が使えなくなる時間が二倍になること……まあ、実戦じゃリスクが大き過ぎるからとても使えたものじゃないが、幸いこの仮想空間では霸気切れを起こしても現実には一切影響を及ぼさない。こういう欠点しかない奥の手も使えるってことだ。……いつか、こういう裏技を使わずに求道神と覇王神を両立できるレベルまで至りたいな」


『アクア様ならそう遠くないうちに至ることができると思いますわ。……とはいえ、今の段階ではアクア様が本当に勝てない相手に対してたった一度行使できる切り札。それを初っ端で切ってきたということは早期決着を望むということですわね』


「ああ、俺は白夜さんの厄介な神聖属性魔法を封じられる手札を相棒と違って持っていないんだ。だから、やられる前に叩き切る」


『とても良い判断だと思いますわ。……タイムアップで霸気切れを起こしたところにトドメを刺すのは恥ずかしい勝ち方ですので、私も最初から真っ向勝負を仕掛けさせて頂きます。崩魂霊聖拳メルトスピリチュアル・フィスト! 神霊纏拳!』


 拳に神霊力と神聖魔法「魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション」を込めた白夜は黒い騎士のオーラを纏ったアクアに肉薄――圓式の速度で放たれた斬撃を未来視と紙躱を駆使して紙一重で躱し、拳を鎧の中心目掛けて叩き込む。


『硬いですが、ノーダメージという訳には流石にいかないようですね』


「単一宇宙に匹敵する硬度の求道の霸気を纏っても『魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション』を完全に無効化することはやっぱりできないってことだな。……仕方ない、奥の手を使うか」


 《黒騎士》の纏う求道神レベルの霸気の純度が低下し、低下した分の霸気が全て覇王神の領域に達している覇王の霸気に流れ込む。


『防御に割く力を減らして私に勝てるとでも思っていらっしゃるのですか?』


「ああ! 勝算があるからやっている! 《完全体・黒騎士》から《完全体・白騎士》に属性変化!」


『――ッ! 《黒騎士》ではなく《完全体・黒騎士》!? まさか、魂魄の霸気を更に【再解釈】していたというのですか!?』


 アクアが魂魄の霸気《月下王国》を更に【再解釈】することで獲得した魂魄の霸気は《完全体・漆黒騎士》という名を与えられている。


 その効果は五つ存在し、従来の魂魄の霸気にあった正の強化《昇華》以外の負の強化《弱体化》の二つの効果を有する《強化》、フォルトナ王国の友人や仲間達を模した漆黒の騎士団を作り出す《王国》に加え、《黒騎士》を強化することで誕生した圧倒的な防御力とあらゆる状態異常の無効化能力、闇系統の無効化能力の他に、武器となる漆黒の剣を連動して振るうこともでき、使用者自身の動きに連動する黒い騎士のような形の黒いオーラを纏う《完全体・黒騎士》、新規に空間にヒビを入れるほどの振動を操る《震撃波》と《黒騎士》を反転させて圧倒的な防御力とあらゆる状態異常の無効化能力、光系統の属性の無効化能力の他に、武器となる純白の剣を連動して振るうこともでき、使用者自身の動きに連動する白い騎士のような形の白いオーラを纏う《完全体・白騎士》がある。


 アクアはこの中の《完全体・白騎士》を使用することで光系統の無効化能力を獲得した。

 この《完全体・白騎士》の光系統の無力化能力には光属性の回復魔法すら阻害してしまうというデメリットはあるものの、その光系統無効化能力は「魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション」すら無効化してしまうほど。

 ちなみに、内部に光系統の能力が届かないというだけで外部に発動する光を伴うスキルの恩恵を受けることは可能である。


『厄介な神聖属性を封じられる力は持っていない……しかし、神聖属性を無効化できる力は隠し持っていたということですわね。私としたことがすっかり騙されてしまいましたわ。結局、貴方の副隊長との戦いと同じ展開ですか。……とはいえ、その防御には時間制限があります。この手は使いたくありませんでしたが、霸気切れを狙うしかありませんわね』


「そんなことさせないぜ!」


『――ッ! その構えは!?』


「――我流! 砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)!!」


 アクアの纏う《完全体・白騎士》が剣に膨大な武装闘気と覇王神の領域に達した覇王の霸気を乗せた状態で剣を構えると白夜に向けて武装闘気を衝撃波として放つことで吹き飛ばす武気衝撃を応用して衝撃波を槍の形状に打ち出して攻撃する遠当ての技を放った。


 魂魄の霸気《震撃波》の振動も乗せて放たれた一撃は流石の白夜であっても求道神レベルの求道の霸気を纏わなければ沈められてしまうほどに強力だ。

 白夜もアクアの「砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)」に向けて「砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)」を放つことができれば攻撃を相殺は不可能だとしても多少なりの軽減は可能だったが、今から武器を作り出して「砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)」を放っても間に合わないことは容易に想像がついた。


魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション!!』


 目の前に迫る巨大な衝撃波の奔流を前に、白夜は展開した「魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション」を盾にすることを思いつき、六つの「魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション」を半円を描くように展開した上で求道神レベルまで高めて求道の霸気を流し込んだ。

 この目論見は成功し、白夜はアクアの放った「砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)」を相殺することに成功する……が。


 「魂霊崩壊エーテリアス・ディスインティグレーション」の光が晴れた時、白夜の目に飛び込んできたのは相殺された筈の「砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)」だった。


 霸気切れを起こす可能性を危惧して間髪いれずに放った二発目の「砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)」が白夜に殺到する。

 咄嗟に覇王の霸気を覇王神の領域まで、求道の霸気を求道神の領域までそれぞれ高めて「砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)」を耐え抜こうとする白夜だったが、霸気を強化し切るだけの時間が白夜には無かった。


 全ての霸気を消費し切る勢いで霸気を込めたアクア渾身の一撃を中途半端な求道の霸気と覇王の霸気で受け止められる筈もなく、白夜はポリゴン化する間も無く「砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)」に飲み込まれて消滅した。



 二十日に時空騎士(クロノス・マスター)のランキングが停止し、二十一日、二十三日、二十五日、二十七日と行われてきた戦いの祭典――君臨する八人の戦争アルティメット・エイトも残る一試合で終わりとなる。

 君臨する八人の戦争アルティメット・エイトの頂点――今期の第一位を決める対戦カードはプリムヴェールとディランという誰一人として予想していなかった組み合わせとなった。


「まさか、プリムヴェールさんが決勝まで上がってくるとはな。まあ、それは俺自身にも言えることなんだけど。……相棒と親友に、ラインヴェルド陛下、オルパタータダ陛下、スティーリアさん、白夜さん……本当になんでこれほどの猛者達が散っていったのか。ここにいるのはきっと運が良かったからなんだろうなぁ」


「運や相性、考えが作戦が嵌まったこと……正直、私もこの場にいるのは限りなく奇跡に近いと思っている。もう一度トーナメントに挑めば、私はここまで来ることができなかっただろう」


「まあ、この先は運が味方することはない世界だ。俺かプリムヴェールさん、どっちかが頂点に挑むことになる。その覚悟はできているか?」


「ああ、勿論だ。ディラン殿、貴方を倒して私はリーリエ様に挑む。……この戦いに勝った時点でマグノーリエ様……じゃなかった、マグノーリエさんとのレストランデートが確定するが、どうせなら優勝の先も手にして美味しい料理を食べたいからな」


「俺だって親友や相棒達――アクアやフォルトナのみんなと一緒に『クラブ・アスセーナ』に行くって決めてんだ!」


「互いに譲れないものがある戦いということだな。全力で行くぞ! ディラン・ヴァルグファウトス・テネーブル!!」


「こっちこそ全力で叩き潰してやる! プリムヴェール=オミェーラ!!」


 プリムヴェールは物理攻撃上昇、物理防御上昇、魔法攻撃上昇、魔法防御上昇、状態異常無効化、自己治癒促進能力、月属性魔法威力上昇の効果がある魂魄の霸気《月虹》を発動し、膨大な武装闘気と覇王の霸気と共に細剣に月の魔力を纏わせて構える。


「魂魄の霸気《影の世界》! 俺の得意なバトルフィールドで相手してや――」


「ムーンライト・ラピッド・ファン・デ・ヴー!!」


 魂魄の霸気《影の世界》を発動し、影の中に潜り込もうとした瞬間、ディランは謎の浮遊感に襲われ、気づいた時には巨大化した細剣の切っ先がディランに迫っていた。

 《影の世界》の内部で準備を整えようとしていたディランは武装闘気すら纏っていない無防備な状態で巨大な切っ先に刺し貫かれる。


 ディランは何が起きたのかも理解できないまま無数のポリゴンと化して消滅した。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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