Act.9-252 開幕! ULTIMATE EIGHT!! 第三回戦五位・六位決定戦 scene.1
<三人称全知視点>
「魂魄の霸気《昇華》! 魂魄の霸気《弱体化》! 魂魄の霸気《印転移》!」
スティーリアを魂魄の霸気《弱体化》させ、自身を魂魄の霸気《昇華》が強化しつつ魂魄の霸気《印転移》を付与した裏武装闘気の短刀を七方向に投げていくオニキス。
『大紅蓮凍寒摩訶鉢特摩!』
スティーリアは着々と準備を整えていくオニキスを妨害せず、極寒の魔力の風を解き放ってこちらも淡々とスティーリアが最も戦いやすいバトルフィールドを作り上げていく。
『氷武創造! 魔剣昇華の儀・常闇! 聖剣昇華の儀・聖光! 猛吹雪纏う砕城覇槍!』
互いに準備を整えたところで先に攻撃を仕掛けたのはスティーリアだった。
あらゆる剣を聖剣へと昇華させることができる天上光聖女教の秘術の派生「聖剣昇華の儀・聖光」を『氷百合の聖剣』に、「聖剣昇華の儀・聖光」を反転させた闇魔法「魔剣昇華の儀・常闇」を『氷百合の魔剣』に付与したスティーリアは『氷百合の魔剣』に求道の霸気を収束させてから前方に向かって軽く剣を振った勢いで猛吹雪と膨大な黒い稲妻を纏った巨大な槍型の衝撃波を白夜に向けて打ち出す。
「魂魄の霸気《印転移》!」
オニキスは直撃を浴びればかなりのダメージになると判断して魂魄の霸気《印転移》を発動して回避行動を取るが――。
『白冷の大雪崩!』
「猛吹雪纏う砕城覇槍」を魂魄の霸気《印転移》で回避することを読んでいたスティーリアは魂魄の霸気《印転移》が付与された短剣の真上に七つの魔法陣を展開、「溢れた氷が押し寄せる」というスキルカードを十枚設置する効果を持つ大量の雪を降り注がせた。
スキルカードの設置による固定ダメージは蓄積されれば厄介なことになる。オニキスはここまで攻撃に極振りしていた霸気を防御と攻撃に割かざるを得なくなった。
求道の霸気を纏えばダメージを無効化できるが、それこそがスティーリアの狙いであることは目に見えている。
全身に闘気や霸気を纏えばそれだけ霸気が消耗する。オニキスの霸気を消耗させつつ、攻撃に割く霸気の量を減らして攻撃力を低下させるのがスティーリアの狙いなのだろう。
『氷雪の暴風! 氷雪の暴風! 氷雪の暴風! 氷雪の暴風! 氷雪の暴風!』
瞬時に五つの吹雪の竜巻を創り出してオニキスに嗾ける。
オニキスは竜巻を強引に突破することで更に霸気を消耗することを避けるべく魂魄の霸気《印転移》を発動。新たに七つの短剣を創り出して印を付与して七方向に投げると同時に転移する。
『お代わりですわ! 白冷の大雪崩!』
オニキスの転移を読んでいたスティーリアが再び七つの魔法陣を展開してスキルカードを十枚追加する。
降り注ぐ雪崩の方はノーダメージに抑えられるが、霸気を纏っている時間を延ばされてしまうのは痛手だ。
「……つまり、魂魄の霸気《印転移》は完全に封じられたってことか。だったら速攻を仕掛けるしかないな! 俊身!」
『あらあら、わたくしのドラゴン達が押されているようですわね。少しだけ助力してあげましょう! 氷雪の大災禍竜巻!』
オニキスが俊身を使ってスティーリアに攻撃を仕掛けようとしたタイミングで、スティーリアは魂魄の霸気《騎士団》によって数を減らされた自らの分身(古代竜本来の姿の分身)、純白の冷気を纏う東洋竜、氷の小さな翼竜からなる大軍を援護すべく極寒の吹雪を収束させたような竜巻を無数に生じさせて解き放った。
まさに大災禍と呼ぶべき無数の巨大な竜巻はスティーリアが創り出した大軍諸共魂魄の霸気《騎士団》を飲み込み、戦場を蹂躙し始める。
無論、スティーリアを目指していたオニキスも竜巻の毒牙からは逃げられずに直撃で竜巻を喰らってしまった。
通常の求道の霸気と武装闘気でも耐え切れず、武装闘気の出力を最大にし、求道神寸前まで求道の霸気を強化することでノーダメージで耐え切ることに成功したが……。
『《リーリエ様に捧げる殺戮者の一太刀》!!』
《親愛》の力によってスティーリアの圓への燃え盛る愛が宿って強化された「殺戮者の一太刀」が竜巻に飲み込まれたオニキス目掛けて放たれた。
「魂魄の霸気《印転移》!」
『あらあら、回避されてしまいましたわ。やはり転移系能力を持つ相手はしっかりと身動きを封じる必要がありますわね』
魂魄の霸気《印転移》を発動し、紙一重のところで回避したオニキスは肝が冷える感覚を味わった。
「求道の霸気最終領域・求道神」と「覇王の霸気最終領域・覇王神」――二つの尋常ならざる霸気が乗せられていないにも拘らず、覇王の霸気単体でオニキスの求道神寸前まで高められた防御を突破してしまうほどの威力がスティーリアの一撃にあった。
それほどの一撃すらも、スティーリアは躱される可能性が高いと判断していた様子である。本気で放っていないあの斬撃――乗せられた圓に対する膨大な愛の奔流を果たして打ち破れるだろうか?
『氷華の茨荊・薔薇の棺桶』
オニキスを捕らえなければ攻撃を当てられないと改めて理解したスティーリアはオニキスの捕縛に全力を注ぎ始める。
まずは、増殖する氷の茨荊を発生させ、オニキスを捕縛し、薔薇の装飾が美しい氷の棺桶に閉じ込めようとするが神速闘気と俊身を組み合わせたオニキスには回避されてしまう。
オニキスが魂魄の霸気《印転移》を使わないのは転移の隙を狙われて「白冷の大雪崩」を浴びてしまわないためだ。
魂魄の霸気《印転移》の転移速度はそこまで早くない。瞬時に発動できる魔法一つなら容易に発動することができる猶予を与えてしまう。それよりも俊身と神速闘気を組み合わせて高速移動をした方が安全だと判断したのだろう。
「……霸気の消耗が思ったよりも激しい。これは早期決着を目指した方が良さそうだな」
ここに来て、オニキスは霸気の残量と転移を封じられた状況からこれ以上の長期戦は危険と判断し、多少の無茶を承知でスティーリアに攻撃を仕掛けることにした。
とはいえ、あのスティーリアがオニキスの得意な近距離戦を許してくれるだろうか? オニキスは魂魄の霸気《修羅舞昇》で敏捷を上げているが、それは「竜舞」を積んだスティーリアにも言えることである。速度勝負を挑んでも勝ち目があるとは思えない。
「だったら、遠距離で勝負を仕掛ければいいだけだ。この一撃に全てを懸けるぞ! 求道の霸気最終領域・求道神! 覇王の霸気最終領域・覇王神! ――我流!!」
『この距離で……まさか。いえ、あの漆黒騎士であれば習得しているのもあり得ますわね。モード聖氷竜! わたくしも全力で迎え撃ちますわ!!』
スティーリアはオニキスの狙いに気づき、古代竜本来の姿へと変貌を遂げる。
『求道の霸気最終領域・求道神! 覇王の霸気最終領域・覇王神! 迎え撃ちますわ! 聖氷竜の咆哮!!』
「砕城覇槍!!」
武装闘気を衝撃波として放つことで吹き飛ばす武気衝撃を応用して衝撃波を槍の形状に打ち出して攻撃する遠当ての技に「求道の霸気最終領域・求道神」と「覇王の霸気最終領域・覇王神」を纏わせて放つオニキスに対し、スティーリアは聖属性の魔力を込めた渾身の氷のブレスに「求道の霸気最終領域・求道神」と「覇王の霸気最終領域・覇王神」を纏わせて放ち対抗――まるで二つのブレスが衝突したかの如く二つの力の奔流が武器を交えた時と同様に覇王の霸気の衝突を引き起こし、無数の衝撃波と黒稲妻を迸らせる。
しばらく続いた拮抗も次第に崩れ始め、オニキス側にブレスが少しずつ迫り始めた。
「魂魄の霸気《印転移》!」
一縷の望みを託し、オニキスはほんの少し霸気を残して転移を発動、僅かに延命することに成功するが……。
『超越する絶対零度』
ブレスを解除したスティーリアが即座に氷点下二百七十三度を超えた物理限界の先にある極寒の氷点下五百度に達する究極の凍結攻撃を放ち、オニキスを凍結させた。
絶体絶命であることは理解しながらもほんの僅かに残った武装闘気を衝撃波に変え、脱出を図ろうと足掻くオニキスだったが……。
『先程のブレスにわたくしは全ての霸気を込めましたが、オニキス様は残していたのですわね。でも、そこまで弱っているなら霸気を纏わせなくとも倒すことができます。これで終わりですわ! 《リーリエ様に捧げる殺戮者の一太刀》!!』
《親愛》の力によってスティーリアの圓への燃え盛る愛が宿って強化された「殺戮者の一太刀」がオニキスに殺到する。
一度目は躱せた一撃も氷に閉ざされた二度目は躱せず、オニキスは凄まじい威力の斬撃を浴び、自身を包む氷諸共両断された。
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