Act.9-250 開幕! ULTIMATE EIGHT!! 第二回戦第四試合 scene.1
<三人称全知視点>
二回戦の最後の試合となる第四試合はオルパタータダとスティーリアという対戦カードに決まった。
勝てばオニキスとの四位・五位決定戦、負ければラインヴェルドとの最下位決定戦へと駒を進めるこの試合の持つ意味は大きい。
大会に参加するだけで入賞確定であり、多大な名誉を受けられるが、やはり順位ごとに出される賞金額には大きな隔たりがある。
優勝を逃した以上、少しでも高い賞金と順位を狙いたいというのが一回戦の敗者達の共通する考えだ。
「スティーリア――剣士としての力、氷の古代竜の有する広範囲攻撃魔法、軍による制圧力……まさに一つの軍にも匹敵する厄介な相手だな。ラインヴェルドの敗北もそうだが、これだけ強いスティーリアと当たるのが第一回戦の敗者同士の試合って……改めて今回の大会の層のえげつない厚さを感じるぜ」
『誰と当たるかによって展開は大きく変わったような場面も見受けられましたわね。……勝者と敗者の差はほとんどないのでしょう。ほんの僅かな幸運や、一手の差が命運を分ける。わたくしもこれほどドキドキする大会は初めてでしたわ。……優勝こそ逃しましたが、まだ戦いは終わっていません。オルパタータダ陛下、貴方を倒して私はオニキス殿との戦いに駒を進めます!』
「いや、スティーリア。お前はラインヴェルドと戦ってくれ。オニキスとは俺が勝負する!」
先に動いたのはオルパタータダ――発動した魔法は「結晶飛翔騎士軍」。
オルパタータダのオリジナル結晶魔法「結晶騎士軍」の派生で無数の結晶の翼の生えた騎士を創り上げるという魔法だ。
『大軍には大軍でお相手致しますわ! 極寒の分身! 氷の捕食者! 冷纏の白龍!』
スティーリアも自らの分身(古代竜本来の姿の分身)、純白の冷気を纏う東洋竜、氷の小さな翼竜からなる大軍を創り出してオルパタータダに対抗する。
『大紅蓮凍寒摩訶鉢特摩! 一気に仕掛けますわ! 氷上の舞』
極寒の魔力の風を解き放ち、猛吹雪の吹き荒れるバトルフィールドを作り上げたスティーリアは、氷のブレードを足に出現させると氷を切るように加速しながらオルパタータダに迫る。
『超越する絶対零度!!』
「それをこのタイミングで使ってくるのかよ!? 超過大噴火!!」
氷点下二百七十三度を超えた物理限界の先にある極寒の氷点下五百度にまで到達するスティーリアの氷技最強の一撃の発動を察知したオルパタータダは、求道神レベルの求道の霸気を武装闘気と共にその身に纏った状態で足元から灼熱の大噴火を引き起こす。
『噴火の炎に巻き込まれることで芯まで凍ってしまうのを防いだのね。でも、これならどうかしら? 氷武創造! 魔剣昇華の儀・常闇! 聖剣昇華の儀・聖光!」
あらゆる剣を聖剣へと昇華させることができる天上光聖女教の秘術の派生「聖剣昇華の儀・聖光」を『氷百合の聖剣』に、「聖剣昇華の儀・聖光」を反転させた闇魔法「魔剣昇華の儀・常闇」を『氷百合の魔剣』に付与したスティーリアは『氷百合の魔剣』に求道の霸気を収束させてから前方に向かって軽く剣を振った勢いで猛吹雪と膨大な黒い稲妻を纏った巨大な槍型の衝撃波を白夜に向けて打ち出した。
『猛吹雪纏う砕城覇槍!』
「――ッ! 躱し切れねぇ!!」
噴火によって纏っていた吹雪は掻き消せたが衝撃波までは消し去り切れず、オルパタータダは噴火の中から押し出される。
『白冷の大雪崩』
噴火から押し出されたオルパタータダにすかさずスティーリアが「溢れた氷が押し寄せる」というスキルカードを十枚設置する効果を持つ大量の雪の奔流を展開した魔法陣から降らせる。
求道の霸気を維持している間はダメージを向こうにできるが、霸気を途切れさせればダメージを負う。霸気の使用を固定化させてオルパタータダの霸気を奪う作戦が展開されているが、スティーリアはそのままオルパタータダの霸気切れをゆっくりと待つつもりは勿論ない。
『モード聖氷竜! 聖氷竜の咆哮!!』
「――ッ! 風火融合魔法! 暴風大噴焔!!」
聖属性の魔力を込めた渾身の氷のブレスを放ったスティーリアだが、ブレスは風属性と火属性を融合することで強化された灼熱の大噴火によって防がれ、オルパタータダには到達しない。
「サレム、借りるぜ! 細結晶炸裂弾」
『生温いですわ! その程度でわたくしを止められると!? 凍結する大気』
巨大な結晶を生成して放ち、敵の寸前で炸裂させ、生じた無数の細かい結晶を敵に殺到させるサレムのオリジナル結晶魔法に膨大な武装闘気と僅かな覇王の霸気を乗せてスティーリアに放つも、「凍結する大気」によって生じた分厚い氷に阻まれて炸裂を封じられる。
凍結によって巨大化した結晶と氷の弾丸も紙躱を使ったスティーリアに躱されてしまった。
『ダークマター・アイシクル!』
スティーリアが闇属性と氷属性の複合魔法を発動し、暗黒物質の奔流が噴き上げる。
オルパタータダは暗黒物質の奔流を武装闘気と求道の霸気で耐え切ったものの、追加効果によって氷に閉ざされてしまった。
「この程度の凍結、効かねぇよ!」
『超越する絶対零度!』
「マジか!? 二段構えかよ!!」
オルパタータダは芯まで凍ってしまう前に武装闘気を衝撃波として放って氷を打ち砕くことに成功した……が、噴火による凍結解除ではなく武装闘気による解除を選んだのは悪手だった。
「超越する絶対零度」によってオルパタータダは再び氷に閉ざされる。その凍結力は凄まじく、オルパタータダの生半可な攻撃を遮断することができる武装闘気による防御も求道神レベルにまで強化されたオルパタータダの防御も少しずつ侵食し始めている。このままいけばオルパタータダが完全に氷漬けにされるのも時間の問題だろう。
『……大分苦戦しましたが、数をかなり減らされたとはいえ結晶の騎士を全て撃破できたようですわね。さて、あの氷が破られるのも時間の問題でしょうし、そろそろ戦いの幕を下ろしましょう。《リーリエ様に捧げる殺戮者の一太刀》!!』
《親愛》の力によってスティーリアの圓への燃え盛る愛が宿って強化された「殺戮者の一太刀」に、「求道の霸気最終領域・求道神」と「覇王の霸気最終領域・覇王神」――二つの尋常ならざる霸気が乗せられる。
オルパタータダが氷を打ち砕いた頃には既に絶体絶命の状況に陥っていた。
斬撃が間近に迫り、魂魄の霸気《冥府門》を発動できるほどの時間は残されていない。オルパタータダにできたことは武装闘気の層を僅かに厚くすることだけだった。
埒外の威力の斬撃がオルパタータダを守る求道の霸気の防御を突破して首を吹き飛ばす。
蘇生魔法を待機させていなかったオルパタータダは首を吹き飛ばされたことで即死し、瞬く間に無数のポリゴンと化して消滅した。
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それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
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