Act.9-243 開幕! ULTIMATE EIGHT!! 第一回戦第二試合 scene.1
<三人称全知視点>
アクアとオニキスの戦いの決着がつき、続いてバトルフィールドに入ってきたのはラインヴェルドとプリムヴェールだった。
「プリムヴェール、お前との直接対決はドリームチームトーナメント以来か? 剣武大会に、フルレイド『大穴の果てへの参道』……共闘の機会はこれまでにも沢山あったが、その度に俺はお前の成長に驚かされてきた。今のお前は一体どれくらい強くなっているんだろうな? 楽しみだぜ!」
「ドリームチームトーナメントの屈辱は今でも覚えている。あの戦いはマグノーリエさんの再戦の機会だった。……ラインヴェルド陛下とオルパタータダ陛下、当時の私にとっては大きな壁だったとはいえ、マグノーリエさんを残して一番に脱落してしまったこと、無様に敗北してしまったこと……今でも度々あの日のことを夢に見る。だが、それもこれで今日で終わりだ。私は強くなりたいと願った。マグノーリエさんを、大切な人を守り切れるだけの力が欲しいとこれまで努力を重ねてきたつもりだ。そして、今、私は君臨する八人の一人としてこの場にいる。……エルフ族次期族長補佐――マグノーリエ様の守護者として、そして現時点のエルフ族最強の騎士としてラインヴェルド=ブライトネス! 最強の一角を崩して私は次の舞台に行く!!」
「随分と先の未来を見ているみたいだな! だが、残念だな! プリムヴェール=オミェーラ、今期のお前はここで終わりだ! お前を倒して俺が先に行く!」
『国王陛下の燦煌双剣』に武装闘気と覇王の霸気を纏わせたラインヴェルドと『ムーンライト・フェアリーズ・エペ・ラピエル』に武装闘気と覇王の霸気を纏わせたプリムヴェールが一気に距離を詰め、斬撃を放ち合う。
決して剣同士が触れ合うことなく拮抗し、天を割るほどの衝撃波が戦場を駆け巡り、黒稲妻が迸った。
「ちっ、やっぱり覇王の霸気の衝突が発生するか。この感じだと拮抗を打ち破るのは難しそうだな!」
「回復封じ」
さて、どう仕掛けようかと剣を振るいながら思案しているラインヴェルドを突然黒いオーラのようなものが包み込んだ。
オーラはラインヴェルドの身体に吸収されるように収束していく。
「――ッ! 早速仕掛けてきやがったな! ちっ、名前からして回復を封じる無属性魔法だろ!? プリムヴェール、お前ってそんなタイプじゃなかっただろう! もっと正攻法で攻めてくる騎士タイプしゃなかったのか! いつから害悪使いになった!!」
「誰が害悪使いだ! 私はここ数ヶ月、ミラークエストに篭り、己と向き合い続けてきた。私には何が足りないのか、その中で見えてきたものが沢山あった。そのおかげで今の時点では銀シンボルまでだが、全ての施設長に一発勝負で勝利を収めることができている。敵を知り己を知れば百戦危うからずという諺がある。自分と相手の情報を集め、相手の手に有効打を与えられる策を用意する、当然のことだろう?」
「まあ、そりゃそうだけどよ!? ってか、もしかしなくてもミラークエスト勝利者か!? 琉璃といいお前といい凄いなァ! 俺も負けてられないぜ!! 焔王の破壊狙連撃」
一度距離を取ったプリムヴェールにラインヴェルドは百発を超える対物アンチマテリアルライフルの12.7x99mm弾クラスの威力を秘めた火弾をマシンガンのように高速で放つが、プリムヴェールは見気と紙躱を組み合わせた無駄のない動きで全ての火弾を回避してしまう。
「ファンタズマゴリア-ガイストラッシュ-! ファンタズマゴリア-スピリットキング-! ファンタズマゴリア-マリオネットインフェルノ-! ファンタズマゴリア-ガイストプロージョン-! フォー・マイロード! ディア・マイロード! デヴォート・マイロード! アリージェンス・マイロード! アポシオーシス・マイロード! フィデリティー・マイロード! ロイヤルティー・マイロード! エルフィン・ガーディアン!」
プリムヴェールは小さな幽霊を大量に生成して嗾け、次いで巨大な霊体を生成して嗾ける。
小さい幽霊はラインヴェルドに命中すると同時に発火させ、巨大な霊体はラインヴェルドの付近に到達したタイミングで自爆させた。
ラインヴェルドが全身に武装闘気と求道の霸気を纏って防御している間にプリムヴェールは特殊な月の魔力を身体中を循環させると共に魔法威力上昇と魔法耐性強化を行い、更に闇属性耐性を得る「フォー・マイロード」、特殊な月の魔力を身体中を循環させることで回復を行い、自身にリカバリーを付与し、更に光属性耐性を得る「ディア・マイロード」、魔力による身体強化の一つで、魔力操作によって身体能力の底上げを行うと共に風属性耐性を得る「デヴォート・マイロード」、魔力による身体強化の一つで、魔力によって耐久力を上昇させると共に火属性耐性を得る「アリージェンス・マイロード」、魔力による身体強化の一つで、魔力によって敏捷を上昇させると共に土属性耐性を得る「アポシオーシス・マイロード」、魔力による身体強化の一つで、魔力によって魔法耐久力を上昇させると共に風属性耐性を得る「フィデリティー・マイロード」、自身に対する状態異常を無効化し、更に時空属性耐性を得る「ロイヤルティー・マイロード」、特殊な月属性の魔力で身体のリミッターを外し、限界を越えた力を出すと共に消滅属性耐性を得る「エルフィン・ガーディアン」を発動して戦いの準備を整えていく。
「メガロマニア! マキャヴェリズム! ロマンティシズム!」
「――マナフィールド!!」
自身の月属性魔法攻撃の威力上昇の効果を狙い、自身の刀身に月属性の魔力を宿す効果と自身の月属性魔法攻撃の威力を上昇させる効果を付与するという月属性のオリジナル魔法「メガロマニア」、能力低下の無効化を狙い、月属性と聖属性の複合魔法で特殊な月の光を自身に巡らせることで自身に存在する全ての状態異常と能力低下を無効化すると共に、その魔力で身体能力を底上げする「マキャヴェリズム」を発動。
この二つの魔法でとりあえず下準備は済ませたのか、大気中の魔力を支配する「マナフィールド」の魔法――「ロマンティシズム」を発動する。
「マナフィールド」が発動している間、ラインヴェルドは魔法が使えなくなってしまう。
一気に不利になってしまうことを避けたいラインヴェルドは自身も「マナフィールド」を使い、バトルフィールドに存在する魔力を掌握しに掛かった。
ラインヴェルドとプリムヴェールの魔力の奪い合いは拮抗、結果として戦場の魔力をラインヴェルドとプリムヴェールが半分ずつ掌握する形で奪い合いは幕を閉じ、ラインヴェルドが魔法を使えなくなる状況は防げたが……。
「――ッ! ちゃんと戦闘を構成してやがる! 打つ手に一切の無駄がねぇ!!」
プリムヴェールに肉薄し、「終焉齎す断魔の紅炎劒」を発動して天空まで伸びるほどの巨大な焔の剣を振り下ろしてプリムヴェールを仕留めに掛かるラインヴェルドだが、プリムヴェールは見気と紙躱を組み合わせた無駄のない動きで回避してすぐさまラインヴェルドの距離を取る。
「ブラックリリィ・スパイラル! ホワイトリリィ・スパイラル!」
「遠距離魔法で仕留めようってことか!!」
太極図のように黒と白の二色からなる特殊な魔法陣を展開、プリムヴェールはその魔法陣から螺旋を描くように回転する無数の漆黒の魔力と純白の魔力を打ち上げるが、ラインヴェルドも神速闘気を纏って俊身を使い、魔法陣の範囲を脱出して攻撃を躱してしまう。
「ムーンフォース・コンプレッション! ムーンフォースピラー・コンセクティブ! ムーンフォース・メテオライン!」
「《蒼穹の門》!」
月属性の魔力で相手を押し潰し、無数の月光の柱が戦場に顕現する戦術級魔法と月光の流星を降らせる戦術級魔法を同時に発動して仕留めに掛かる凶悪な魔法コンボを崩すべくラインヴェルドは《蒼穹の門》を発動して「ムーンフォース・コンプレッション」を回避する。
この回避を予測して広範囲攻撃魔法を発動したプリムヴェールだが、見気を極めているラインヴェルドには当たらない。
「……やはり大魔法で仕掛けても攻撃は当たらないか。となれば、近距離戦闘で仕留めに掛かるしかないな」
「燦く星の流星群! それのどこが近距離攻撃なのかおじさんに教えてくれや!」
近距離攻撃を仕掛ける……と見せかけて月の魔力と武装闘気で実体のある自身の分身を創り出した後、自身の刀身に月属性の魔力を宿す付与術式を発動した後に円を描いて中心を突く形で突撃する「ムーンライト・ラピッド・ファン・デ・ヴー」の巨大化した切っ先を自身の捉えた範囲に斬撃を含めあらゆる物体を瞬時に転移させる魂魄の霸気《転送》で目の前に転送されるのを野生じみたバトルセンスで察知して回避したラインヴェルドが猛烈な聖なる光が凝縮させ、一つの天体を創り出しながらプリムヴェールにジト目を向ける。
「勿論、今から仕掛けるのだ。私は嘘は言っていないぞ? 千羽鬼殺流・貪狼! 千羽鬼殺流・巨門! からの、ルナティック・キャリバー!!」
「圓式に、おいおい、『千羽鬼殺流・太白』と『常夜流忍暗殺剣術・毒入太刀』を混ぜてやがるのか!? そんな毒入りの剣と打ち合う訳ねぇだろ! 神威神退」
《蒼穹の門》を発動してプリムヴェールと打ち合う直前に後方に転移し、覇王の霸気を纏わせて薙ぎ払い、斬撃を飛ばす。
逃げの一手を打ったラインヴェルドに対し、プリムヴェールは剣に込めた筋肉の収縮を連続で行うことによって生じた衝撃波と霊力に加え、新たに覇王の霸気を纏わせるとラインヴェルドの放った飛ぶ斬撃を粉砕し、月の魔力と武装闘気で実体のある自身の分身を創り出しながら神速闘気と俊身を駆使してラインヴェルドに再接近した。
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それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
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